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JIS Z 9090「測定-校正方式通則」の適用事例

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第 3 章 生産における不確かさの導入・活用事例

3.1 不確かさの求め方事例

3.1.2 JIS Z 9090「測定-校正方式通則」の適用事例

1)事例の概要

デジタルマイクロメータを使用し、外径 12mm の円筒製品の測定する場合の不確を JIS Z 9090 附属書2「計測器の使用における誤差の大きさを実験によって求める方法」に基づき

JIS Z 9090「測定-校正方式通則」附属書2 計測器の使用における誤差の大きさを実験 によって求める方法

実際の測定では真の値が不明であり誤差を求めることは困難であるが、校正では取り除け ない、実際の使用条件や環境条件によって発生する誤差の大きさを推定する方法が示され ている。測定対象の現物に近い現物標準を信号因子とし、測定値に影響を与えるような変 化する環境条件、使用条件を誤差因子として L18直交表に割り付け実験を行い、計測器の使 用における誤差分散の推定値を求める。

この誤差分散の推定値と計測器の校正の不確かさから測定の不確かさを求められる。

不確かさを評価した。(実験はあいち計測研究会の実験結果による。)

2)測定の不確かさ要因

現実の測定条件における不確かさの要因は多く、その要因の測定結果に与える影響につ いての情報が少ないため、現実の測定条件から影響を与える要因を特性要因図(Fishbone

Diagram)を作成し、もれなく挙げる。特性要因図を描く主要因として測定物、計測器、

測定者、環境及び校正が挙げられ、その主要因と関連する要因を挙げ特性要因図を描く。

測定の不確かさについての特性要因図の例を図1に示す。

図 1 測定の不確かさの特性要因図(長さ測定の例)

3)JIS Z 9090 附属書2 計測器の使用における誤差の大きさを実験によって求める方法

① 信号因子

信号因子は測定対象品の範囲 500μmがカバーできるよう、厚さ約 300μmのテープを 使用し、1 回巻き、2 回巻きにより等間隔の水準を設定した。

1=なし(0μm) M2=1 回巻き(約 300μm) M3=2 回巻き(約 600μm)

② 誤差因子

図 1 測定の不確かさの特性要因図を参考に測定者の作業状態、測定現場の環境条件 を幅広くとらえ、表 1 の誤差因子を設定した。また、水準の設定は計量値の場合のよう に設定する

第 1 水準:m

 2

 3

(8)

第 2 水準:m

第 3 水準:m

 2

 3

(9)

計量値でない場合は平均的使用条件と、実際に起こり得る使用限界と平均的な使用条件 との幅の半分に近い条件とする。

表 1 誤差因子とその水準

因子 水準 1 2 3

A:体温の影響 手袋使用 素手で保持

B:測定速さ 普通の 1/2 普通の速さ 2倍

C:固定方法 測定物固定 マイクロ固定 固定なし

D:ラチェト 1 回 3回 3回転

E:測定方向 縦 横 ななめ

F:温度差(測定物) -6℃ 0℃ +6℃

G:測定者 A B C

③ 実験の方法

信号因子及びA~Gの7つの誤差因子を表 2 のL18直交表に割りつけ実験を行った。

④ 実験結果

実験の結果は表 2 に結果が得られた。

表 2 L18直交表と実験結果

実験 信号 誤差因子 測定値 偏差値※

No M A B C D E F G (mm) (μm)

1 1 1 1 1 1 1 1 1 12.010 0

2 1 1 2 2 2 2 2 2 12.007 -3

3 1 1 3 3 3 3 3 3 12.005 -5

4 2 1 1 1 2 2 3 3 12.279 269

5 2 1 2 2 3 3 1 1 12.275 265

6 2 1 3 3 1 1 2 2 12.281 271

7 3 1 1 2 1 3 2 3 12.564 554

8 3 1 2 3 2 1 3 1 12.569 559

9 3 1 3 1 3 2 1 2 12.544 534

10 1 2 1 3 3 2 2 1 12.005 -5

11 1 2 2 1 1 3 3 2 12.009 -1

12 1 2 3 2 2 1 1 3 12.007 -3

13 2 2 1 2 3 1 3 2 12.284 274

14 2 2 2 3 1 2 1 3 12.292 282

15 2 2 3 1 2 3 2 1 12.294 284

16 3 2 1 3 2 3 1 2 12.567 557

17 3 2 2 1 3 1 2 3 12.550 540

18 3 2 3 2 1 2 3 1 12.558 548

※偏差値が別に測定し求めた元径(M1=12.100mm)との差を示す。

⑤ 計算結果

=Σy2= 2258058 (10) Sβ=(-yM+yM22/(6×2)=912457 (11) β’=(-yM+yM2)/(6×2)hM=0.9192 (12) S=(Σyi)2/18=1344800 (13)

r=6×2hM=1080000 (14)

SM=(M12+M22+M32)/6-S=912463 (15) SMres=SM-Sβ=6.25(信号の誤差:誤差にプール) (16) Se=ST-Sm-Sβ=801.25 Ve=Se/16=50.08 (17) 測定のSN比

07355 . 08 0

. 50

1 9192 . 0 2 08

. 50

) 08 . 50 912457 1080000(

1 1 ) 2

1(

 

 

 

 

e e

e

V V

V

r S 

(18)

誤差分散の推定値

13 . 597 07355

. 0

1

2

 1  

(μm2 (19)

4) 測定の不確かさ

① 合成標準不確かさ

合成標準不確かさ

u

xは使用における誤差分差の推定値と別に求めた校正作業の誤差 分散の推定値

c2=0400(μm2)と校正に使用した標準の表示値の誤差分散の推定値

2

o =0.014(μm2)から(20)式により求められる。

2 2 2

o c

u

x

     

13 . 597  0 . 400  0 . 014  3 . 74

(μm) (20)

② 拡張不確かさ

拡張不確かさU は包含係数=2 とすると(21)式で求められる。

u

x

k

U  

=2×3.74=7.5(μm) (21)

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