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図3:

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佐藤本華厳文儀要Jのヲコト点(左)と 春日 (1956)、築島 (1996)による羅摩伽経のヲコト点(右)

問題はこの点図(図3)です。このヲコト点の並べ方は日本のほかの資料にはありません。

これは春日政治先生と築島先生の本で紹介されている『羅摩伽経』という今は見ることの できない資料ですが、この点の並べ方は、先ほどご紹介した佐藤本『華厳文義要決』とほ

とんど同じです。

では、片仮名までも新羅、朝鮮半島から入ったのでしょうか。この中でご存じの方もお られるかと思いますが、韓国の場合、片仮名に対応するものは口訣文字です。口訣文字に は日本の片仮名と非常によく似ているものがあります(表3)。

表3:口訣文字

ぎ ? ? ; T i ? ; f j ? ; ? ? 出 ? ;

? ? i ? ; T t j ? ? ; h i i k ;  

1

T

4

ろ も り 主 色

毛 音 邑 火 i i g i ‑

エ 主

3

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良 乎 子 衣 是 膏 下 手 乎 今 為 中

「リJと似ていたり、「ノj と似ているなど、結構あります。

ただし、読みを見ると一致するものは著しく少ないです。例えば、この場合(1利J)に は省略の仕方はこうなるのですが、読みは「イjですο これは日本語の「オ」と似ていま すが読み方は全然違います。

漢字の略体化は、中国も含め、漢字文化圏では既に 8世紀までに普遍的なことになって いました。韓国では、日本の万葉仮名のように表語文字として使ったものを簡略化して口 訣文字ができましたロ日本は並行して、日本語を表すために表語文字として使った万葉仮 名を同じように簡略化しました。簡略のアイデアを誰が最初に思いついたのかはわかりま せんが、口訣文字が日本の片仮名として直接借用されたということはやはり言い難いと思

います。

結論といっても、これはまだ研究が途中ですが、ヲコト点の場合は借用といいますか、

このような直接の影響があった可能性はあると思います。片仮名の場合は少し難しいと言 うべきだと思います。ということは、先ほどのネットの会話の方々は、そう心配する必要 はないということです。

8  なぜ「司11読Jや「訓点」のようなものを勉強するのか

最後の聞いは、なぜ「司11読Jや「訓点Jのようなものを勉強するのかということですυ

これには渡辺先生のお答えもありますが、ここでは私としての答えを述べます。

二つの目的があると思います。一つは古代の言語を知るためです。日本における訓点語 研究にはこのような目的が多いと思います。例えば、日本語は 9世紀になると『万葉集』

を勉強するので、 8世紀の資料はたくさんありますυ それから、平安時代に入ると 10世紀 の資料が少しありますし、 11世紀の資料となるとたくさんあります。しかし、仮名による 9 世紀の資料はほとんどありません。どうやって 9世紀の言語を知るかというと、司11点資料 を使うしかないのです。

韓国の口訣研究に関しても同じことが言えますが、日本の訓点をなぜ研究するかという と、古代の言語を知るためです。これは古代言語の資料です。中近東の模形文字の研究に 関しても、同じ目的で研究する人がたくさんいます。それが目的の一つです。私の場合、 8 世紀の奈良時代の日本語に興味があり、 9世紀の資料が少ないことに気が付き、司11点を通し てそれを研究するために勉強を始めたということがあります。他言語も全く同じです。

もう一つの目的は、これは渡辺先生もご説明なさったものですω それは、古代の言語生 活を知るためです。具体的に言うと、今日の話で出てきたのは、何語で文字を書いて読ん だのかを知るためです。他言語の文字をもって書いて、自国語で読むという方法は最近ま では珍しい、あまりされないことです。古代にはされたのですが、現代はされないと考え られてきました。しかし、以前の研究者が考えたよりもかなり普遍的ではないかというの が私の考えです。

発表は以上です。ありがとうございました。

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NINJALセミナー『漢文訓読再発見J記録

パネルディスカッション「漢文司

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読再発見』

渡辺さゆり,ジョン・ホイットマン,ヴ アレリオ・ルイージ・アルベリッツィ,

朴鎮浩,唐偉,嘗山日出夫,小助川貞次,高田智和(司会)

高田 NINJALセミナー「漢文訓読再発見」の第2部はディスカッションです。司会は国立 国語研究所の高田が務めます。どうぞよろしくお願いします。

講師とコメントされた先生方と、そのほかパネラーの皆さんに並んでいただきましたが、

皆さんからの質問を基にこれからディスカッションをしていきます。

それでは、一つ目の質問です。「どうしてこの分野の研究をしようと思ったのですかJと いう非常に素朴な質問が届いています。皆さま、自己紹介代わりに、このご質問に順にお 答えいただければと思います。よろしくお願いします。

渡辺 「どうしてこの分野の研究をしようと思ったのか」、それはやはり小助川先生が素晴 らしかったからですね。漢字や漢文を読む側面から日本語の歴史を知るということが好き だったのです。もともと歴史が好きでしたし。日本語も好きですが、歴史が好きだったと いう自分の個人的な性格と、授業と興味がそこで一致して、本当にちょうどいい出会いが 私をこの道に導いたのではないかと思います。

富山 私の師匠は太田次男という先生です。先ほど画像で紹介しましたが、日本における 金沢文庫本『白氏文集』の研究の第一人者です。その先生の授業を大学2年生のときから 取っていて、 3年生のときには大学院博士課程の授業まで、ずっと聴講していたということ がありました。その先生の影響ですね。金沢文庫本『白氏文集』をきちんと読んでみたい。

私はたまたま国文科にいたので、まずは訓点から入ろうということで訓点の方をやり始め たというような結果です。まず先生ありきですね。先生がたまたまその分野の研究の第一 人者であったということが大きく影響しています。

ホイットマン 個人的にお答えすると、私は小助川先生がおっしゃったように言語学者で す。言語学が専門で、いわゆる自然言語のどういうところが言語によって違うのか、どう いうところが共通するのかということに興味があります。

なぜ日本語を取り上げて、なぜ訓点資料に興味があるかというと、これも小助川先生の コメントにも出てきましたが、日本語とし、う言語は貴重なものです。貴重な現象をたくさ ん教えてくれる言語です。言語学者から見て、一つは、現在の世界で主流となるヨーロツ

パの言語と極めて構造的に違う言語でありながらも、研究が非常に進んで、います。ですか ら、言語学者として研究すると、そうしづ意味で価値があります。司│点に関しても、小助 川先生がおっしゃったように、もしかすると、以前非常に広く行われた文字の使い方が現 在の日本語の文字生活、言語生活に保たれているということも重要な歴史的・文化的な課 題だと思います。

高田 次は、パネラーとして加わっていただいている、早稲田大学のヴ'アレリオ・/レイー ジ・アルベリッツィ先生です。

アルベリッツィ はじめまして、アルベリッツィと申します。

どうしてこの研究分野を選んだのかというのは散々される質問ですが、ホイットマン先 生とほかの方々がおっしゃった内容とは別の理由でこの研究分野を選びました。

まず、私はイタリア人ですが、イタリアでは普通に、大学で日本文学の試験がありまし た。 2年生ぐらいだ、ったと思うのですが、アメリカ人の有名なドナルド・キーン先生が『日 本文学概論』とし、う本を書いていて、その中の『平家物語』のところに

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平家物語』の典 型的な文体は和漢混交文であるJという文章があったのです。周りにいたイタリアの先生 たちに「和漢混交文とは何ですかJと聞いても、ちゃんと答えてくれる人は一人もいませ んでしたU

そして、留学のチャンスに恵まれて初めて日本に来て、幾つかの資料を自分で集めまし た。当時は自分の日本語のレベルをはるかに超えた資料ばかりだったのですが、少しずつ 読んでみて、自分なりの解釈をして卒業論文を書いたのです。そして、日本語と漢文が交 ざっているスタイルを勉強するには漢文訓読がどうしても必要になるということが分かつ ていたので、日本に留学しました。そして、首山先生、渡辺先生のように、たまたま東京 大学に留学するチャンスを得たときに、そこで私の先生に巡り会いましたυ その先生は一 流の専門家だ、ったために環境にも恵まれていて、たくさんの資料に触れることができまし た。当時の東京大学の国文研究室にあった一つの資料を自分の博士論文の題材にして、ま すます古い日本語の系統に興味を持ち続けて、現在に至っています。

高田 続いて、ソウノレ大学校の朴鋸浩先生です。今日のパネルデ、イスカッションのために 韓国からお越しいただきました。

朴 私は日本語が下手ですので、私の話の中に間違いがあっても了解していただければと 思います。日本語の表現に困るときには北海道大学の申さんに通訳をお願いします。

私の専門は韓国語史です。韓国ではハングノレという韓国語を表記するための文字が 15

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ドキュメント内 〈全文〉 訓点資料の構造化記述 成果報告書 (ページ 120-149)

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