4.5 サーバグリーンIT化実現のポイント
4.5.3 ITリソースの有効活用
一般的にIAサーバの平均CPU利用率は2割程度と言われている。仮想化技術を採用し利用率の低 いサーバやストレージを集約することにより、機器の台数を削減することがグリーン IT 化にも有効 である。また、日々の運用においても、図 4-5 のように負荷が軽い時期に業務を移動し、未使用とな ったサーバの電源をオフにする。一方、負荷が増えた場合は、復帰させることにより効率良いサーバ 運用が可能となる。サーバは CPU 利用率がほとんどゼロの場合でも6割から7割の電力を消費する ため、未使用のサーバを積極的に作り電源をオフにすることが省電力化には有効である。
図 4-5 仮想化技術を活用した省電力化
付 録
付録1 簡易モデルの作成方法
付録2 2009 年度JEITA-JAIST 共同研究報告書:JAISTにおける負荷と電力消費の関係
付録1 簡易モデルの作成方法
以下は簡易モデル計算に使用したエクセルの例である。ここでは、一番複雑なUPSを使用した例 を図で示した。使用するパラメータ及び、図中の注記に従って、配線に使用する電線の抵抗値が異 なる場合や、UPSの常時使用電力値が違う場合の簡易モデルの作成に利用していただきたい。
壁電源電圧 V 10 0.00
壁電源からの
配線抵抗値 Ω/Km 3 .2 32 0.00 32 32 Ω/ m
PDU等見な し
配線長 m 5 .0 00
PDU等見な し
抵抗値 Ω 0 .0 32 32
UPS常時使用
電力 W 7 5.00
壁電源配線長 m 5 10 15 20 25 30
電流値 A 5 1.6 3.2 4.0 4.8 5.7 6.5
10 9.7 12.9 16.2 19.4 22.6 25.9
15 21.8 29.1 36.4 43.6 50.9 58.2
20 38.8 51.7 64.6 77.6 90.5 103.4
25 60.6 80.8 101.0 121.2 141.4 161.6
30 87.3 116.4 145.4 174.5 203.6 232.7
壁電源配線長 m 5 10 15 20 25 30 5 10 15 20 25 30
電流値 A 5 76.62 78.23 79.04 79.85 80.66 81.46 15.32% 15.65% 15.81% 15.97% 16.13% 16.29%
10 84.70 87.93 91.16 94.39 97.62 100.86 8.47% 8.79% 9.12% 9.44% 9.76% 10.09%
15 96.82 104.09 111.36 118.63 125.90 133.18 6.45% 6.94% 7.42% 7.91% 8.39% 8.88%
20 113.78 126.71 139.64 152.57 165.50 178.42 5.69% 6.34% 6.98% 7.63% 8.27% 8.92%
25 135.60 155.80 176.00 196.20 216.40 236.60 5.42% 6.23% 7.04% 7.85% 8.66% 9.46%
30 162.26 191.35 220.44 249.53 278.62 307.70 5.41% 6.38% 7.35% 8.32% 9.29% 10.26%
5m以下 10m以下 15m以下 20m以下 15m以下 30m以下
500W以下 84.7% 84.4% 84.2% 84.1% 83.9% 83.8%
1KW以下 91.6% 91.3% 90.9% 90.6% 90.3% 90.0%
1.5KW以下 93.6% 93.1% 92.6% 92.1% 91.7% 91.2%
電力損失(PDU+UPS配線)
電力損失(%)
IT機器みなし使用消費電力率(100V 20A配線) 総消費電力
総電力損失
電流は行きと帰りを流れるので、
1m当たりの消費電力は、2倍(0.006464*I*I) UPS使用の場合、PDU二つ分の損失を計算
計算した電力損失を電力使用量に対する 百分比(%)を計算
範囲毎の配線長、電流は最大値で計算
100%-電力損失(%)を計算 小数点以下、一桁で切り上げ
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付録2 2009 年度JEITA-JAIST 共同研究報告書:JAISTにおける負荷と電力消費の関係
2009 年度 JEITA-JAIST 共同研究報告書 :
JAIST における負荷と電力消費の関係
小原 泰弘 岡本 忠男 佐藤 幸紀 宇多 仁 北陸先端科学技術大学院大学
yasu, tadao, yukinori, zin @jaist.ac.jp
平成 21 年 9 月 30 日
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付録2 2009 年度JEITA-JAIST 共同研究報告書:JAISTにおける負荷と電力消費の関係
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概 要
CPU
の消費電力の増加,発熱量増加,サーバ機器の高密度化が進んでおり,電 力の消費量は増加傾向にある.一方で,地球環境の保全,グリーン
ITへの要請 から,消費電力の低減および効率的利用が求められる.電力の効率的な利用を実 現するための第一歩として,現状の実運用コンピュータサーバ環境における電力 消費量の実態を調査することが必要である.
本共同研究は,我が国における数多くのコンピュータサーバ群が電力消費にど のように関わっているかを調査するための,プロトタイプ調査環境について考察 し,将来行われていく消費電力調査についの知識を深めるものである.本報告書 では,当初の環境として北陸先端科学技術大学院大学のメールシステムにおける 消費電力の調査と考察をまとめる.
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第 1 章 はじめに
近年,環境への配慮が進み,発熱量の低減や電力の効率的な利用に注目が集まっ ている.データセンターの電力消費の効率化に向けた技術標準の導入と促進に取 り組む団体,グリーングリッド
[1]は,
CPUの使用率と消費電力は1次相関関係 にあるとし,省電力機能(
CPUの周波数と電圧を制御する機能)の利用,サー ビスにあったサーバ投資の適切なサイジングなどを勧めている
[2].東京大学では,グリーン
IT推進協議会
[3]の一環として,グリーン東大プロジェクト
[4]の 名で,エネルギーサプライドチェーン管理制御システムの構築を目指し,マルチ ベンダーでのファシリティマネージメントシステムの実践に取り組んでいる.
一般的にグリーン
IT (ICT: Information Communication Technology)には,
“Green of ICT”
と
“Green by ICT”があると言われる.前者は情報通信技術自 身の省エネルギー化/効率化であり,後者は情報通信技術を利用した地球環境問 題の改善を目的とする.前述のグリーングリッドが前者にあたり,グリーン東大 プロジェクトは後者にあたる.
社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA: Japan Electronics and Information
Technology Industries Association)
[5]は,北陸先端科学技術大学院大学
(JAIST, 以下本学
)と共同研究契約を結び,実運用下におけるサーバ群の消費電力を調査 した.本学での消費電力調査は,他の組織における電力消費を推測するための,
Preparatory Study
(事前調査)の位置づけとなる.本報告書では,この事前調査
の結果として,
JAISTにおけるメールサーバの負荷と電力消費の関係を報告する.
1
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第 2 章 消費電力調査の環境
本共同研究では,北陸先端科学技術大学院大学
[6](以下本学,もしくは
JAIST)のメールシステム,およびターミナルサーバにおける消費電力を調査した.本章 では,これらの電力供給と機器構成を述べる.
2.1 メールサーバの電力供給,構成
本学のメールシステムは,主に,
6台のワークステーションサーバ
(Sun SPARC Enterprise T5120 [7])と
2台のメールアプライアンスサーバ
(IRONPORT C350 [8])で構成される.図
2.1にそのシステム概要を示す.図では,右上にバックアップ 用メールサーバとして
C350が一台配置され,残りが通常のメールサーバシステ ムとして右下に配置されている.右下の
7台のうち,一番右が
C350であり,左 の
6台が
T5120である.
これらメールサーバへの電力供給の接続を図
2.2に示す.図
2.1で右上に示さ れたバックアップ用
IronPort C350は,メールシステムの主幹機器とは物理的に 離れた地点に配置されている.そのため,主幹機器の電源接続を示している図
2.2には,バックアップ用
IronPort C350は示されていない.
分電盤の各系統は,パナソニック電工の多回路電力チェッカー
BT3710 [9]に よって電力測定されている.メールシステムは電源を二系統利用しており(図中左 下と右下の
1,2系
-No.9T),各系統は,
Raritan PX DPCR8-15-J [10]を介して,そ れぞれ各機器の二つの冗長化された電源装置に接続されている.左右の
⃝1の装置 は、明工社のラック用コンセントバー
MR7669 [11]である。
BT3710(BCRN2500 を介してアクセスする)は分電盤の各系統の消費電力の総和を,
DPCR8-15-Jは 各機器の電源装置ごとの消費電力を調べることができる.
どのような環境で何を測定したのかについて理解を深めるため,メールシステム の動作概要を図
2.3に示す.本学のメールシステムは,主に
3種類の役割を持つ機 器によって構成されている.それは,メール受信サーバ
(mailrelay{i,j}),メールプ ロキシ
(mailproxy{1,2}),メールストア
(mailstore{1,2})である.
IronPort C350が
mailrelay{i,j}の役割を果たし,前述したようにそのうち一台
(mailrelayj)は 物理的に離れた位置に配置されている.
mailstore{1,2}はメール
(IMAP)のスト レージサーバの役目を持つ.mailproxy
{1,2}は内部ユーザへのインターフェイス
(webmail),および外部メールサーバ
(mailrelay)とメールストレージ
(mailstore)2
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メール系ネットワーク構成 2009/1/5
インターネット(OCN)へ
OCN向けLAN(125.206.245.50/29)
インターネットへ
mailrelayj-internal
cons
クリエイトラボ向けLAN(150.65.7.144/28)
DMZ 学内
メールサービス用LAN(150.65.19.0/27)
DNS・認証用LAN
(150.65.1.0/25)
FCSW#1
mail-fcsw1 管理PC
mail-manager FCSW#2 mail-fcsw2
管理用LAN(150.65.19.32/27)
コンソール用LAN(150.65.39.0/25)
53 54 メール受信#2 mailrelayj mailrelayj-sub
9
AX2200(Active) mail-gw mail-gw1
50 LDAPレプリカ/DNS
ldap-replica ns3
153
既設L3スイッチ
151 152
40
⑥スパムスプール spamspool
23 25
22
①メールストア#1(クラスタ)
mailstore1
②メールストア#2(クラスタ)
mailstore2
10434
16 7
8
⑭
⑨
③④
⑨ ⑬ ⑮
AX2200(Standby) mail-gw2
1819 24 10
⑯
➉⑪⑫⑬
⑦メール受信#1 mailrelayi mailrelayi-sub
111 既設FireWall
既設L3スイッチ
ETERNUS2000 mailstorage
37
67 8 9
108 35
③メール管理 mailadmin
④メールプロキシ#1 mailproxy1
109 110
LDAPマスタ#1 ldap-master1
LDAPマスタ#2 ldap-master2
107
⑯ ①
➉
⑤メールプロキシ#2 mailproxy2
⑥⑦⑧
③
17
⑤ ⑪ ②
21 20
⑥ ⑫ ⑭⑮
10636 38
39
⑦⑧
①② ⑤
105
④
L2スイッチ L2スイッチ
↑ 上位ネットワーク機器へ ↑
← 上位ネットワーク機器へ ←
2
(13) 4 5 6
5 4
150
3 (14)
図
2.1:メールサーバのシステム概要
3
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ラック左側 ラック右側
24 24
8◆ ◆8 23
1◆ ◆1
23 22
2◆ ◆2
3◆ ◆3
4◆ ◆4
5◆ ◆5
22 21
8 8
1
: 2 :
: :
3 3 3
2 2
1 4 1
2系-No.9T 1系-No.9T
①は明工社MFシリーズ 100V/30A 19インチ用コンセント
◆は線長2.5m NEMA5-15P Raritan PX
(DPCR8-15) PX8 2
IronPort C350 mailrelayi
Raritan PX (DPCR8-15) PX8 3
① SparcEnterpriseT5120
mailproxy1 SparcEnterpriseT5120
mailproxy2 SparcEnterpriseT5120
mailstore1 SparcEnterpriseT5120
mailstore2 SparcEnterpriseT5120
mailadmin
100V/30A 100V/30A
Fujitsu SH18616B IronPort M650
mailrelaym
FC/SW
FC/SW
Fujitsu SH18616B Raritan PX
(DPCR8-15) PX8 1
Raritan PX
(DPCR8-15) PX8 4
①
図
2.2:メールサーバの電力供給図
4
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メールプロキシサーバ
メールストアサーバ Firewall
インターネット
メール受信サーバ
クライアント
学内ネットワーク
部局メールサーバ MX参照
■配送経路■
学内→学外 ①→② 学内→@jaist.ac.jp ①→③
学内→@sub.jaist.ac.jp(静的マップあり、MXあり)
①→④
学内→@sub.jaist.ac.jp(静的マップなし、MXあり)
①→④
①
③
② ④
メール配送経路
MX参照
SJSMS
SJSMS
mailrelayi (C350) mailproxy[12] (T5120)
図
2.3:メールシステム動作概要
表
2.1:メールサーバ定格消費電力
IRONPORT C350 750W
Sun SPARC Enterprise T5120 641W
の仲介をするサーバとなっている.
mailproxyと
mailstoreの役割は
Sun SPARC Enterprise T5120が担っている.
6台ある
T5120のうち残りの
2台は,メール システム管理用マシン
(mailadmin)と,スパムに関するストレージサーバである
(spamspool).本研究では,主に
mailproxyと
mailadminを利用して消費電力を 測定した.
各機器の定格消費電力を表
2.1に示す.
2.2 負荷
本学では,前述のメールシステムで,全学約
1,300人のメールを送受信してい る.受信は 約
12〜14万通/日,そのうちの約
6,000〜10,000通程度が正常なメー ルであり,残りはスパムメールである
(全体の
90〜
95%程度
).送信は平日で 約
1.55
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〜2.7 万通/日,休日で約
3,000〜6,000通/日である.送信にはスパムが約
10%程度含まれている.
次章では,これらの環境での消費電力調査の結果を示す.
6
-51-
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第 3 章 メールサーバの消費電力調査
3.1 測定手法と結果(一週間)
測定は
Raritan PX DPCR8-15-J [10]を用いた.
mailproxy1 (T5120)に電源を供 給している二つの
DPCR8-15-J,左側
PX8-2および右側
PX8-3に対し,
cacti [12]で毎分ポーリングしデータを取得した.
DPCR8-15-Jが計測する電流値の精度は
0.1Aであり
[13],これは瞬間値である.これを cactiに付随する
RRDtoolで平 均化したものを,
cactiから
exportし比較のために重ね合わせた.電流も
CPU Usageも
120分平均の値となっている(電流値は
1分間隔,
CPU Usageは
5分 間隔の値取得となっている).
mailproxy1
の
2009-08-24 00:00から
2009-08-31 00:00までの一週間の消費電 力と
CPU Usageの関係を,図
3.1に示す.ここでは,電源系統の
1系を
”Power (left)”(図
2.2における左の系統),2 系を
”Power (right)”としている.誤差の 範囲内であるが,左右の電源が均等に電力を消費しているわけではないことが見 て取れる.
図
3.1の左右の電源の消費電流を足し,
CPU Usageと消費電流の総和を比較し たものが図
3.2である.図から,緩い相関関係が疑われる.図
3.2の
CPU Usageと消費電流の総和について,ピアソンの積率相関係数を求めたところ,
0.82と なった.
同時刻の
mailproxy2での
CPU Usageと消費電流の関係は,これとは若干異 なるものとなった.
mailproxy2の左右の消費電流と
CPU Usageの比較を図
3.3に, 消費電流の総和と
CPU Usageの比較を図
3.4に示す.
図
3.4についての相関係数は,
0.38となった.
7
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