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ISO5500xシリーズの活用について

ドキュメント内 土木ISOジャーナルVol.24 (2013.3) (ページ 32-46)

このようなAMSの国際規格というものが,組織にとってどのように影響し,あるいは活用 すべきものなのかということが問題となってくる。

AMSを改善したいというのであれば,ISOに従ってAMを実施すればよいのかもしれないが,

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ISOの認証を取得するということになると,組織にとって別の効果を求めざるを得ない。例 えば,認証を取得することで,実際のマネジメントシステムが働くモティベーションが高ま るとか,株主への説明責任といったことかもしれない。インフラアセットに関して言えば,

日本の場合,国の出先機関や地方自治体等がアセットを保有しているわけで,マネジメント システムの改善は必要だが,AMに関わるビジネス競合相手がいない公的組織にとって,認証 取得の意味は何処にあるのかという疑問もあろう。適切な予算管理や,何か事故があった際 の納税者への説明責任のようなことかもしれない。あるいは,財政事情が厳しい折,ISO国 際規格取得を推奨することで公的組織内のマネジメントを半強制的に回し,その効果を見極 めつつ予算の優先的配分を検討するといったこともあり得るかもしれないが,それについて は未だ明確な理解が得られていないのが実情である。

最も直接的にISOの認証が影響すると思われるのは,インフラの運営維持管理をコンセッ ション契約で請け負う,あるいはBOT(Build-Operate-Transfer)ビジネスを狙う企業・組 織ではないだろうか。ISO5500xにおいて,単にインフラの運営維持管理のみを請け負う企業 が認証を受けることは難しいとされている。実際にアセットを保有しているか,あるいは例 えば20年~30年といった期間に渡ってアセットの運用管理を任されているような組織体でな ければならない。なぜならば,アセットの維持管理業務のみであれば,当該組織が要求事項 の全てを満たすことはできないからである。コンセッションやBOT契約を担う組織の場合,

同業務を受注するにも競合相手が存在するわけで,自らが適切なAMを実施できることを売り にしていかなくてはいけい。つまりassuranceを示さなくてはならないわけで,それを第三 者機関として証明してくれるのがISO認証ということになる。また,ISO認証を有することが,

そういった入札参加の資格条件になる場合も想定されるのである。このように,AMに関する 競合相手が存在する場合は,ISO認証が効いてくる場合があろう。まさしく,欧米・豪はそ れをもってビジネス参入の強化を図らんとする戦略であり,またインフラ管理をしようとす る組織体の審査基準にも利用しようという意図がある。

さらに,ISOの認証取得とは別に,ISOで求められるAMSを適切に実践するために必要なソ フトウェアの開発が極めて重要であると指摘できる。アセットを有する組織にとっては,

「What to do?」よりも「How to do ?」に関心があるのは当然であろう。そのHow to doの 部分をソフト化するということは,組織が有する様々なアセット,アセットシステムのマネ ジメントインターフェースといったものを提供することを意味し,最もビジネスとして魅力 的な分野になると考えられる。日本の組織におけるAMに関わる現場のノウハウ,パフォーマ ンス評価の機器や測定技術は,恐らく世界のトップクラスに違いない。それをISO5500xに準 拠した形のソフトウェアとして開発し,そこでのアウトプットが組織の経営判断にも活用で きるようにしなくてはならない。ただし,良いソフトを作れば売れるというものではない。

インフラストラクチャーの実情や維持管理方法等は各国異なるものである。コア技術は守る にしても,ソフトが各国事情にカスタマイズされるようでなければならない。日本政府が推 進しているパッケージ型インフラ輸出は,ハードとソフトの組合せであり,その積み重ねが デファクトを生み出せば,AMに関わるビジネスの勝ち組になるかもしれない。

5. おわりに

日本においては,ISOの品質管理や環境におけるマネジメントシステムにおいて,様々な 不満の声を聞くことも事実である。例えば,ISO認証取得が目的化してしまっているとか,

マネジメントの改善など見られないのでISOは役に立たないとか,つまらない文書や記録ば かりを作らされ,不必要なものを管理させられている等々。筆者は,ISO/PC251に参加して いる他国の代表に,日本ではこのような不満をよく聞くがどうか?と尋ねたところ,そのよ うな不満があるのは,マネジメントシステムに対する理解不足か,誤解からくるもので,本 来のマネジメントシステムの継続的な改善が忘れられているのではないか,との指摘を受け

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た. 国際規格の本質とその価値を見極めることが大切である。

日本の組織にとってみれば,ISO5500xシリーズでの要求事項は,既存のシステムを編集し 直し,説明し直す工夫を施すだけでクリアすることが多いと思われる。要は,ISO5500xシリ ーズを組織戦略として,さらにはビジネス戦略として活用しようという意思があるかどうか が問われているように思われる。

(京都大学経営管理大学院教授/ISO/PC251国内審議委員会委員 澤井克紀)

注)本稿は,2012年6月2日第45回土木計画学研究発表会の際に筆者が提出した論文「アセ ットマネジメントシステムの国際標準化(ISO5500xシリーズの動向を踏まえて)」を基本に,

2013年4月29日~5月3日に開催されたISO/PC251 WGカルガリー会合で策定されたFDISに関す る資料情報をもって大幅に加筆,修正したものである。

参考文献

1) BSI : PAS55-1 2008 Asset Management Part 1: Specification for the optimized management of physical asset, British Standards Institution, 2008.

2) BSI : PAS55-2:2008 Asset Management Part 2: Guidelines for the application of PAS55-1, British Standards Institution, 2008.

3) 岡本誠一郎:AMのISO規格化に関する予備会合(英国・ロンドン会議),下水道協会誌8 月号,pp.61-64, 2010.

4) 水谷哲也,澤井克紀,堀江信之,神宮 誠:アセットマネジメントのISO規格化会議(メ ルボルン会議)-ISO/PC251の第 1回会議報告-,下水道協会誌6月号,pp.35-41, 2011.

5) 水谷哲也,澤井克紀,堀江信之:ISO/PC251アセットマネジメント 第2回アーリントン 会議報告,下水道協会誌12月号 , pp48-51,2011.

6) 水谷哲也,澤井克紀,堀江信之,竹末直樹,榎本吉秀: ISO/PC251AM第3回プレトリア会 議報告,下水道協会誌5月号,pp35-38,2012.

7) 澤井克紀,砺波 匡,重村浩之,竹末直樹,榎本吉秀,藤木 修: ISO/PC251アセット マネジメント第4回プラハ会議報告,下水道協会誌9月号,pp60-64,2012.

8) Rhys Davies : We have been Managing our Assets for a long time -why do we need International Standards for Asset Management? , Seminar on ISO Asset Management, Feb. 29, 2012.

9) ISO : ISO9000 -Quality Management Edition12, ISO, 2009.

10) ISO: ISO14000 -Environmental Management, ISO, 2007 11) 日本規格協会編:対訳ISO9001:2008,日本規格協会,2010.

12) ISO : ISO/FDIS55000 カ ル ガ リ ー 会 合 資 料 Asset Management -Overview , principles and terminology, May 3, 2013.

13) ISO : ISO/FDIS55001 カルガリー会合資料 Asset Management -Management systems- Requirements, May 3, 2013.

14) ISO : ISO/FDIS55002 カルガリー会合資料 Asset Management -Management systems-Guidelines for the application of ISO55001, May 3, 2013.

15) ISO: Guide 83, High level structure and identical text for management system standard and common core manegemnt system terms and definitions, ISO, 2011.

16) 澤井克紀:アセットマネジメントシステムの国際標準化(ISO5500xシリーズの動向を踏 まえて),第45回土木計画学研究,土木学会,平成24年6月2日.

17) 飯塚悦功, 棟近雅彦, 住本守, 平林良人, 福丸典芳: ISO9001:2008要求事項の 解説, 日本規格協会, 2008.

18) リスクマネジメント規格活用検討会編著:ISO31000:2009 リスクマネジメント解説と 適用ガイド,日本規格協会,2011.

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5.ISO/CEN規格情報

5-1.粉体材料評価分野:ISO/TC24

「粉体材料計測分野」に関するTCは,TC24(Particle characterization including sieving,

ふるい分け及び粉体特性評価)である。この国内審議団体は、(社)日本粉体工業技術協会が 担当しており,我が国の参加地位はPメンバーとして登録されている.TC24にはSC4とSC8があ り、SC4は粒子特性評価関係、SC8はふるい関係である。

ここでは,平成24年度に開催されたTC24/SC4のグラーツ(オーストリア)(2012-4-17)及び 東京会議(2012-11-26,27)で開催された会議の審議報告を基に状況を掲載する.

また、ふるい関係のSC8のベルリン会議(2012-5-10,11)の審議状況も記述する。

1. ISO/TC24/SC4(粉体特性評価)

文書番号 規格名称/和訳名称 我が国の対応状況

ISO/WD9276-1 Representaion of particle size analysis-- Part 1: Graphical representation

粒子径解析の表現―第 1 部:図的表示

Annex A を”Distribution density”と し、Annex B に”Number

concentration density”をくわえる。

ISO/DIS9276-2 Representaion of particle size analysis-- Part 2: Calculation of average particle sizes/diameters and moments from particle siza distributions

粒子径解析の表現―第 2 部:粒子径分布か ら平均粒子径及びモーメントの計算方法

オランダからのコメントを含めて DIS 案を回す。

ISO/DIS 26824 Particle characterization of particulate systems – Vocabulary

粉体系の粒子特性 - 用語

投票中(7/6 締め切り)。WG16 及び WG17 に関する用語が入っていない。

一般用語と専門用語の関係を記述す る。

ISO/PWI-15901-1

Pore size distribution and porosity of solids materials by mercury porosimetry and gas adsorption – Part 1: Mercury porosimetry

水銀及びガス吸着による粉体の空隙分布 及び空隙率―第 1 部;水銀による空隙率 測定

Sys.Rev.Annex にポーラスガラスのバ イモーダル分布、及びヒステリシス図 を追加して回付し、CD 投票を行う。

ISO/DIS13322- Particle size analysis --Image analysis methods – Part 1 : Static image analysis

粒子径解析―画像解析法-第 1 部:静的 画像解析

DIS が否決された。現在の状況不明。

画像撮影器具の調整・画像撮影につい てどの程度詳細に盛り込むかを議論。

ISO/FDIS 13099-1,

Methods for zeta-potential determination - Part 1: Electro acoustic and electrokinetic phenomena ゼータ電位の測定方法 - 第 1 部:電 子音響及び電子力学現象

FDIS 投票の準備中。

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ドキュメント内 土木ISOジャーナルVol.24 (2013.3) (ページ 32-46)

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