第3章 RFID 利活用の現状と課題の把握
3.1 RFID 国際標準フォーマットの概要と動向の整理
3.1.2 ISO 標準の概要
(1)RFID 関連の国際標準
サプライチェーンにおける物品管理での利用を想定した RFID に関する国際標 準の開発は、1998 年から国際標準化機構(ISO)及び国際電気標準会議(IEC)
の合同技術委員会(JTC 1)傘下の分科委員会 31(SC 31)で行われている。
ISO/IEC JTC 1/SC 31 では、RFID 関係の国際標準開発をする作業グループ 4
(WG 4)の下に3つのサブ作業グループ(SG)を設置して、それぞれアプリケ ーション・インターフェース・プロトコル、エア・インターフェース、導入ガ イドラインを開発しており、また、WG 2 において RFID に記録するデータの構造 や識別子に関連した国際標準を開発している。これまで、SC 31 で開発及び開発 中の RFID 関連の国際標準を図表 3-5~8 に示す。
図表 3-5:RFID 関連の国際標準の開発状況 (1)(2014 年 2 月現在)
図表 3-6:RFID 関連の国際標準の開発状況 (2)(2014 年 2 月現在)
図表 3-7:RFID 関連の国際標準の開発状況 (3)(2014 年 2 月現在)
図表 3-8:RFID 関連の国際標準の開発状況 (4)(2014 年 2 月現在)
図表 3-5 に示すエア・インターフェース規格のうち、ISO/IEC 18000-63 は、
これまで ISO/IEC 18000-6 Type C と呼ばれていたもので、ISO/IEC 18000-6 を 再編により分割したものである。この ISO/IEC 18000-63 は、EPCglobal が開発 した UHF C1Gen2 タグが SC 31 に提案されて国際標準となったものであり、この タグは ISO 標準と EPCglobal 標準の両方で使い分けることができるようになっ ている。昨年、EPCglobal で UHF C1Gen2V2 が発行されたことに伴って、SC 31 では対応する ISO/IEC 18000-63 の改訂作業が開始されている。
また、サプライチェーンにおける RFID の利用にあたっては、サプライチェー ンの構築で関連する『包装』(ISO/TC 122)及び『貨物コンテナ』(ISO/TC 104)
でも必要な国際標準の開発が行われており、SC 31 では、各 TC の関連の WG とは 情報交換しながら国際標準の開発を進めている。
さらに、RFID に関連した技術として、NFC の標準規格が『通信とシステム間 の情報交換』(ISO/IEC JTC 1/SC 6)で、非接触 IC カードが『IC カード及び個 人認証』(ISO/IEC JTC 1/SC 17)で開発されており、これらの TC とも、情報交 換しながら国際標準の開発が進められている。
最近の SC 31 の動向としては、RFID に記録された情報に関するセキュリティ 確保への要請に伴って、RFID のエア・インターフェースへの暗号化機能追加の 提案がされており、WG 7 において 29167 シリーズとして開発が進められている。
(2) RFID に書き込む情報
RFID に書き込む情報のうち、特に重要なものとして固有識別子(Unique Item Identifier:UII)が挙げられる。UII は RFID が貼付された物を一意に示すもの であり、重複がないように ISO/IEC 15459 シリーズで規定されている。ISO/IEC 15459-4 で規定されている個品を識別するための UII の基本構造を図 3-6 に示す。
UII は、先頭に企業コードを発行する発番機関を示す「発番機関コード」があり、
続いてその発番機関が発行する「企業コード」が続く。「企業コード」を取得し た企業は、以下に続くコードは重複がないように自社で管理することになる。
発番機関コードの管理機関としては、これまでオランダの Nederlands
Normalisatie-instituut(NEN)が登録されてきたが、現在は、米国のAIM global に変更になっている。
日本国内では、発番機関として一般財団法人 日本情報経済社会推進協会
(JIPDEC)と株式会社 帝国データバンクが登録されている。このため、これら の機関に企業コードが登録されている企業は、その企業コードを利用すること ができる。また、EPC も発番機関として登録されているため、JAN企業コード(現 在の名称は、GS1事業者コード)を取得している企業は、その企業コードをその まま利用して UII を作成することができる。
図表 3-9 ISO/IEC 15459-4 で規定する固有識別子の構造
また、RFID は電波を使ってデータの読書きをするため、リーダライタの電波 が届く範囲にある RFID は、読み取りを想定していない RFID であっても反応し てデータを返信する可能性がある。この様な場合、読み取ったデータの内容を 解析してデータの取り扱いを決める必要があり、データの読み取り効率が低下 することも考えられる。このため、RFID に記録する情報にはアプリケーション 識別子(Application Family Identifier:AFI)が定義されている。AFI は、業 界別に割り当てられていることから、これを利用することによって、リーダラ イタに反応する RFID をフィルタリングすることができる。このフィルタリング を有効に利用することによって、所望の RFIDだけを反応させて、RFID を効率的 に読み取ることが可能となる。図表 3-10 に現在定義されているAFI を示す。
これらの情報を RFID に書込むにあたっては、ISO/IEC 15962 に沿って書き込む
図表 3-10 AFI の定義状況