小面積セルで 20. 0% 、大面積モジュールで 13.6%
I- IIVI 2 とつづくダイヤモン ド一家の末裔なので四面
体配位の共有結合です。
• I-III-VI2
族には、太陽電池
材料の候補となるものが
多数あります。
CIGS の光吸収をシリコンと比較
• 図は、いくつかの半導体の光吸収 スペクトルを比較したものです。
• シリコンは、「間接遷移型吸収端」
をもつので光吸収が弱いのです。
• これに対し、 CIGS 、 CdTe 、ガリウム ヒ素などは「直接遷移型吸収端」
なので光吸収が強いのです。
CIS
1kW 発電するのにシリコン何kg必要?
CIGS なら?
•
同じ
1kW発電するのにシリコンは
5kg必要だが、
CISなら銅+インジ ウム
60gで
OK–
シリコンの太陽電池では、約
200μmの厚さのシリコン結晶が必要 なので、
1kWの出力を得るにはシリコンが約
5kg必要です
– CIGS
薄膜では
2μmの薄さで十分なので、同じ
1kWを発電するの
に金属原料の総重量は
60gでよく、はるかに省資源です。
CIGS 系多結晶太陽電池の構造と 薄膜形成プロセス
• CIS
(
CuInS2)は直接遷移型半導体なので、光吸収係数はほか
の半導体と比べて非常に大きく、このため、たった
1~
2μmとい う薄さの膜でも太陽光を強く吸収します。
•
インジウム(
In)の一部をガリウム(
Ga)で置換した
CIGSは、バン ドギャップを
1.25eV付近にもち、変換効率が高く、小面積セルで は
20%という高い効率が報告されています。
•
大面積のモジュールにしても、シリコン多結晶太陽電池の変換
効率と遜色ない
16.7%の効率がでます。
CIGS 系でサブモジュール効率 17.8%
の世界記録
• ソーラーフロンティアは、 NEDO との共同研 究を受けて、 30cm 角 CIGS 系薄膜太陽電池 サブモジュールの開口部面積でエネルギ ー変換効率 17.8 %を達成しました。
• この記録は、ソーラーフロンティアが 2011 年 3 月に達成した 17.2 %という世界最高記 録を更新するものです。
• 2012
年
2月
28日 プレスリリース
参考
CIGS の製造プロセス
(1)バイレーヤー法
• CIS
結晶は
CIS膜の表面に存在する
Cu-Se
系液相を介して成長します。
•
薄膜表面の拡大図に示したように
Cu-Se系液相が固相の
Cu2Seと共存し,
この
Cu2Seと
,表面から拡散してきた
Inと
Seが反応してカルコパイライト型 の
CISが生成します。
• Cu2Se
と
CISの間には,
3次元的な結 晶学的方位関係が存在します。
•
出発物と生成物の間に
3次元的に結 晶学的な関係が存在する化学反応 のことをトポタクティックといいます。
和田:日本結晶成長学 会誌Vol. 36, No. 4
( 2009)282による CuxSeはKCN処理
などで除去します。
CIGS の製造プロセス
(2)三段階法
•
第一段階:比較的低い
400 ℃程度の基板温度で
In,Ga,Seを蒸着して(
In,Ga)
2Se3膜を形成します。
•
第二段階:基板温度を
600 ℃程度まで上昇させて
Cuと
Seを蒸着して膜全体を
Cu過剰(
Cu/(
In+Ga)
> 1)組成にします。
•
第三段階:再び
In,Ga,Seを照射して膜の 最終組成を
Cu不足(
Cu/(
In+Ga)
< 1)に します。
ダブルグレーデッドバンドギャップにより,開放端電 圧(Voc)と短絡電流密度(Jsc)の両方を大きくできる.
和田:日本結晶成長学会誌Vol. 36, No. 4
( 2009)282による
CIGS の製造プロセス
(3)セレン化法
• Mo 裏面電極の上にCu, In の順に金属膜を形成
.
• その積層膜をH2Se ガス 中で熱処理→まず表面 のIn がH2Se と反応して In2Se3 が生成.
• 次に,そのIn2Se3 中に裏 面からCu が,表面から Se が拡散して次第に In2Se3 がCIS に変化。
和田:日本結晶成長学 会誌Vol. 36, No. 4
( 2009)282による
CZTS って何?
• クラーク数を30位まで掲げます。クラーク数から見るかぎり、次世代においてもシリ コンが最重要な太陽電池材料であり続けることは間違いないでしょう。
• CIGSについても、かろうじて銅(Cu)が25位に入っているだけなので、インジウム(In
)に代えてスズ(Sn、30位)と亜鉛(Zn、31位)を使うCu2ZnSnS4という4元化合物に置 き換える研究が始まっています。Copper zinc tin sulfideの頭文字です。
• 結晶構造はKesterite構造です。因みにKesteriteとはCu2(Zn,Fe)SnS4という鉱物です
。
CuInS2
Cu Zn0.5 Sn0.5 S2
CZTS で世界最高効率 11.1%
•
ソーラーフロンティアは、
IBM、東京応化、
DelSolarとの
CZTS太陽電 池に関する共同研究においてエネルギー変換効率が
11.1%を達 成。今回の記録更新は、
CZTS太陽電池セルとしては世界最高記 録です。
• CZTS
太陽電池はレアメタルを使用せず入手が容易かつ安価な原 材料を用いています。また、
CZTS太陽電池はコスト競争力に優れ 量産化にも適しているため、将来性のある技術といえます。
写真提供:IBMコーポレーション(www.research.ibm.com)
2012年8月30日 プレスリリース
宇宙用の太陽電池は何でできている?
• 宇宙ステーションや人工衛星 の電力は高効率の太陽電池 から供給されます。
• 単接合ではせいぜい 30% なの で、3接合タンデムセルで波長 域を分担して、 40% 以上の変 換効率を達成しています。
• MBE 、 MOVPE などのハイテク
で作製されるので高価です。
Ⅲ - Ⅴ族太陽電池
Ⅲ-Ⅴ族化合物系太陽電池の変換効率のチャンピオンデータ
有機太陽電池・色素増感太陽電池とは?
• いずれも、有機物の分子内の光 励起による電子・ホール対の生成 を使っています。
• 有機半導体は、無機の半導体とち がって本質的に高抵抗です。
• n 型、 p 型のいずれもドーピングに
よってキャリアが生成されるので
はなく、電極の仕事関数との関係
で、電子受容体 (n 型半導体 ) にな
るか、電子供与体 (p 型半導体 ) に
なるかが決まるのです。
有機太陽電池の仕組み
n型 p型
負極 正極
電子受容体はLUMOで電 子を受け持つほうが安定。
電子供与体はHOMOで電 子を受け持つ方が安定。
• 電子供与体(p)を光励起すると HOMOにあった電子がLUMOに上 がる。
• 電子供与体(p)のLUMOから電子 受容体(n)のLUMOへ電子が移動 し、電荷分離状態が達成される。
• この状態で、電子供与体(p)の HOMOにホールがあり、電子供与 体(n)のLUMOに1つ電子が入って いる。
• ホールはエネルギーダイアグラム の上へ向かって障壁なく流れ、電 子供与体分子から仕事関数の大 きなITO電極へ到達する。
• 電子は、電子受容体のLUMOから仕事関 数の小さなAl電極に捕捉される。
塗布型有機太陽電池
•
最もよく使われているのがバルク ヘテロ型太陽電池です。
•
塗布型太陽電池では、無機太陽 電池のように
p型領域と
n型領域 とがはっきりと分離されておらず 図に示すように両者が絡み合っ たバルクヘテロ構造をとります。
•
両材料の界面のみが光を電気に 変換するのに寄与しており、電極 との仕事関数の関係で、電子ホ ールを分離できるのです。
おわび:
太陽電池のキホンでは、電子受容体・電子供与体t のpn対応が逆になっています。PCBMはn型(電子 受容体)、ポリマーはp型(電子供与体)です。
色素増感太陽電池
• 光をあてると色素分子の電子が光エネ ルギーをもらって色素の励起分子軌道 LUMOに入る。LUMOのエネルギー準位 は、酸化チタンの伝導帯の底よりエネ ルギーが大きいので、電子は伝導帯に 移り、透明電極を経て外部回路に流れ る。
• 一方、色素の分子軌道HOMOに残され たホールは、ヨウ化物イオンI-に移って ヨウ素になる。ヨウ素は対極から電子を もらって還元され、I-に戻る。
• 外部回路を接続しないときの開放電圧 Vocは、n型側のフェルミ準位(酸化チタ ンの伝導帯の底)とp型側のフェルミ準 位(ヨウ素の酸化還元電位(REDOX))の 差となる。
量子ドット太陽電池って?
• 量子ドットは図2(a)のように、バンドギャップの大きな半 導体に囲まれたバンドギャップの小さな半導体のナノサ イズの箱です。電子の波は(b)のように、3方向に閉じ 込められて運動の自由度がなくなるために、(c)エネル ギー状態は幅のない量子準位になります。
• この量子準位のエネルギーは、量子ドットのサイズWを 変えることによって制御できます。また、図3の(a)のよう に、量子ドット超格子をつくると、(b)のようなミニバンド が生まれ、バンドギャップを人工的に制御することがで きます。
• 光をあてると、いくつかのミニバンド間の遷移が起きる ので、広い波長範囲の光を吸収し、効率よく電気に変え ることができます。理論的には60%を超える高効率が 期待されていますが、サイズのそろったドットを均一に 並べることが技術的に難しく、いかに外部に電気を取り 出すかも未解決で、高効率を実現するまでの道のりは まだまだ長いようです。
MEG 太陽電池って?
• MEG
とは
multi exciton generation(多励起子生成)
• NREL
のノジック、ビヤドらは、
100%を超える外部量子効率
(EQE)をも つ太陽電池を開発しました
[1]。(高い
EQEは必ずしも高い変換効率 を意味しません、なぜなら電力の変換は、出力電流と出力電圧の 両方に依存するからです。)
•
鍵となるプロセスである「多励起子生成
(MEG)」が半導体ナノ結晶、
半導体量子ドットにおいておきることは、ノジックが
2000年代初期 に予言していました
[2]。
1. Q.E. Semonin et al. Science 334, 1530 (2011) 2. A.J. Nozik: Physica E 14, 115 (2002)
ナノ結晶ドットにおける MEG
• MEGは、衝突電離の仲間です。高速で走行する電子が他の電子に衝突して、そ の電子を伝導帯に励起する現象に相当します。衝突電離現象は、バルクの半導 体太陽電池にはあまり大きな効果をもたらしません。なぜなら、強く励起された電 子はフォノンを励起してエネルギーを失うからです。
• 太陽電池がバンドギャップより高いエネルギーの光子を吸収すると、1つの光子 は高エネルギーの電子正孔対を生成します。左図に示すバルク太陽電池では電 子も正孔も非常に短時間のうちに伝導帯底と価電子帯頂に緩和して、もとのエネ ルギーの大部分を熱として失います。
• これに対し右図に示すナノ結晶系の太陽 電池では、伝導帯の電子状態はバルク より大きなエネルギー間隔をもって分離 しており、フォノンを媒介した冷却は起こ りにくく、第2の電子を衝突励起することが できるのです。
D. J. Binks: Phys. Chem. Chem. Phys. 13, 2693 (2011)