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IDEL を用いた可能性の削減

第 5 章 IDEL ∼ の提案とその実装と解析

5.2 推理小説の解析

5.2.1 IDEL を用いた可能性の削減

図 5.10 各可能世界とそのissue

図 5.11 issueの要素

図5.10は設定したモデルの可能世界とそのissueを表したものである.issueは本来グ ループになるが,作図の都合上同じissueに入っている可能世界同士を線で結んでいる.

issueの最大の要素はWになっているので,すべての可能世界同士がissueによって繋がっ

ている.図5.11はそのissueの中身とその要素数を表示させたものである.

いま読者のissueはすべての可能世界のべき集合であり図5.11よりその要素数は31個 であることが分かる.このissueはある命題が成り立つ集合であるが,このモデルでの意 味づけを変え,そのissueに含まれる要素一つ一つを共犯の組にする.つまりissueの中に {wa, wb}があったとすると,その可能世界の集合は「A,Bが共犯である」という意味を 持つものとする.問題の「犯人は一人もしくは,その共犯が一人だけいる可能性がある」

を形式化する.犯人は二人以下であるので,downward closureの性質が発揮でき,「犯人 は二人以下の組み合わせであり,犯行を行ったのが組み合わせの中のどちらかだ」と考え ると,?を用いて次のように表せる.

ann1 =?{x∨y|x, y ∈ {ha, hb, hc, hd, he}}

この告知を行ったとき,可能世界の数は変化しないがΣrが告知が成り立つように[[ann1]]

により制限される.

図 5.12 ann1後のΣr

図5.12で表示されたΣrをみると可能世界の長さが3以上ある可能世界の集合が消えて,

長さ2以下,つまり犯人は二人以下の組み合わせが残る.

この作られたissueの要素の一つ一つに命題を与えていけばPALで解くこともできる が,それではissueを用いて犯人の組み合わせを減らすまでもなく,5人いる中から2人以 下であるという意味で5C2+5C1の動作を行ってクリプキモデルを作ってしまえばissueを 使うまでもなくできてしまう.それではより複雑な問題には対処できない.よってissue という可能世界の集合を用いて可能性を削減していき特定の集合のみが真となる場合を推 論できるようしなければならない.そのためにはissueの要件であるdownward closureを 失くす必要性がある.downward closureは数学的にも理にかなってはいるが,推理小説を 解くためにissueを共犯の組の意として捉えると制限が強すぎるのである.例えば,この モデルにおいて犯人がAとBだとするとdownward closureの性質により,Aの単元集合 とBの単元集合も含まれてしまう.AとBが共犯でやっと行える犯罪については推論す ることができないのである.また,問題設定が犯人は二人以下であるからこそdownward

closureの性質を利用できたが,犯人は三人以上の場合にはこれは用いることはできない.

これでは普遍性がある推論とはいえない.次のパートでdownward closureの性質を破る 論理について提案する.

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