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4.分析結果

4.3 IC と成果との関係

4.3.1 仮説1・2の検証−直接効果と仲介効果

まずは,4つに分類されたCL間でDCと業績に差があるのか,多重比較を 行った。図表20に示されるとおり,CL 1の平均値が最も高かったが,CL 3 が他のCLと比べて有意に低いという結果しか得られなかった。なお,業績に 関しては,有意差が認められたのは,CL 3に対するCL 1のみであった。

次に,業績を従属変数,DCを仲介変数,ダミー変数化した4つのCLを独 立変数とするパス解析を行った。図表21はCL 1を基準カテゴリーとした場 合のパス図を示している。CL 4に関して有意な結果は得られなかったが,CL からDCへの標準偏回帰係数は全て負の値であった28。また,DCから業績に

DC 業績

クラスター Mean 有意差のあった対比 Mean 有意差のあった対比 CL 1(n=23)

CL 2(n=44)

CL 3(n=40)

CL 4(n=27)

5.522 5.205 4.417 5.198

CL 1>CL 3***

CL 2>CL 3***

CL 4>CL 3***

5.139 4.850 4.415 4.867

CL 1>CL 3**

K−S検定 0.061 0.070

S−W検定 0.989 0.985

多重比較検定はTukey-Kramer法によっている。**p<0.05,***p<0.01

図表20 各CL間の成果の比較

図表21 パス解析の結果

対しても有意なパス係数が得られており,ICがDCを通じて業績に影響を及 ぼしていることが分かる。

これらの分析結果を踏まえると,仮説1と2はある程度支持されたと考えら れる。ただし,CL 1とCL 2・CL 4との間には,それほど大きな差は見受けら れなかった。

4.3.2 仮説3の検証―調整効果

次に,DCの業績への影響がICによって調整されるのか検証しよう。その ために,DCとCL(CL 3を基準カテゴリーとしたダミー変数)との交互作用 項を作成し,階層的重回帰分析を行った。なお,多重共線性を避けるため,分 析の際にはDC変数を中心化している。この結果を示しているのが図表22で ある。以下では,まず主効果について確認し,その後で,交互作用効果の検討 とその下位検定29を行う。

第1ステップにおけるDCの偏回帰係数は有意な正の値であり,DCの主効

28 なお,CL 3を基準カテゴリーとした場合に標準偏回帰係数を比較すると,CL 1の 値が最も大きかった(CL 1は0.509,CL 2は0.452,CL 3は0.382)。

29 下位検定の方法はAiken and West(1991)に従った。

1ステップ 2ステップ

B β t p VIF B β t p VIF

定数項 競争の程度 競争戦略 DC

CL 1-basedCL 3 CL 2-basedCL 3 CL 4-basedCL 3 DC×CL 1 DC×CL 2 DC×CL 4

4.906

−0.087 0.387 0.365 0.349 0.178 0.095

−0.134 0.206 0.295 0.130 0.083 0.037

17.115

−1.568 2.429 3.239 1.284 0.812 0.386

0.000 0.119 0.017 0.002 0.201 0.418 0.700

1.195 1.174 1.355 1.671 1.696 1.539

4.737

−0.134 0.333

−0.250 0.530 0.525 0.402 1.031 0.731 0.886

−0.206 0.177

−0.202 0.197 0.243 0.159 0.358 0.286 0.307

16.864

−2.426 2.119

−1.217 1.799 2.258 1.582 3.117 2.547 2.878

0.000 0.017 0.036 0.226 0.074 0.026 0.116 0.002 0.012 0.005

1.276 1.230 4.883 2.120 2.052 1.789 2.323 2.223 2.006 F(6,127)=6.071***

R2=0.223,自由度調整済みR2=0.186

F(9,124)=5.832***

R2=0.297,自由度調整済みR2=0.246 R2変化量=0.075,F変化量=4.383***

p<0.1,**p<0.05,***p<0.01

図表22 階層的重回帰分析の結果

果が観察された。当初の予測のとおり,DCは業績に正の影響を及ぼしてい た。一方,ICの主効果は観察されなかった。第1ステップの3つのCL変数 のみならず,図表22に示されていない,CL 2を基準とした場合のCL 1・CL

4,CL 4を基準とした場合のCL 1についても検証したが,全ての偏回帰係数

は有意な値ではなかった。

次に交互作用効果を見ていくことにしよう。交互作用項を投入した第2ス テップでは,R2の有意な変化が見られ(ΔR2=0.075,ΔF=4.383,p<0.001), 3つの全ての交互作用項において,正の有意な効果が示された。次に,交互作 用の下位検定を行う。

まずは,カテゴリカル変数CLがそれぞれCL 1,CL 2,CL 3,CL 4である時 の,DCの単純主効果(単純傾斜性の有意性)の検定を行う。

図表22はCL 3を基準カテゴリーとしたものだが,他の全てのCLを基準カ テゴリーとした階層的重回帰モデルも構築し,第2ステップにおけるDCの偏 回 帰 係 数 とt値 を 抽 出 し た30。そ の 結 果,CL 1(B=0.780,p<0.05),CL 2

(B=0.480,p<0.1),CL 4(B=0.635,p<0.05)にて,DCの業績への正の 影響が確認された。

次に,DCが高い値,平均値,低い値の場合の,4つのCLの単純主効果の 検定を行う。具体的には,DCに1標準偏差(SD)を加・減算した変数,そし て,この変数とCLとの交互作用項を新たに作成し,階層的重回帰分析を行 い,第2ステップの各CL変数の偏回帰係数の有意性を確認した。その結果,

DCの値が高い場合(+1 SD)に,CL 3を基準 と し たCL 1(B=1.377,p<

0.01),CL 2(B=1.126,p<0.05),CL 4(B=1.130,p<0.05)の 偏 回 帰 係 数が有意31であった。

これらの下位検定の結果を踏まえると,ICの実践がDCの業績向上効果を

30 基準カテゴリーとなるCLは3つのダミー変数全てに0を代入することで示される ので,第2ステップのDCの偏回帰係数は,基準カテゴリーになるCLの場合のDC の単純傾斜性を示すことになる。なお,この有意性の検証には,Bonferroni法による 調整を加えている。

31 DCの単純主効果の場合と同様に,p値はBonferroni法によって調整している。

ICの形成 CL3 CL1

CL4 CL2

より強めているので,仮説3はある程度支持されたと言える。ただし,仲介効 果に関する分析結果と同様に,CL 1とCL 2・CL 4との間には大きな差は見受 けられなかった。

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