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Hermite 変換, Unitary 変換, 正規変換

ドキュメント内 線 形 代 数 学 (ページ 176-179)

第 9 章 2 次曲線と 2 次曲面 133

12.4 Hermite 変換, Unitary 変換, 正規変換

定義12.4.1 (1) V の線形変換TT =T を満たすとき, T は Hermite 変換 と呼ばれ, T =−T を満たすとき,歪 Hermite 変換 と呼ばれる.

(2) また, 正方行列 AA = A を満たすとき, A はHermite 行列 と呼ばれ, A =−A を満たすとき,A は 歪 Hermite 行列 と呼ばれる.

注意12.4.2 12.3.6(1) により, 線形変換 T が Hermite 変換であることと, 任意の

::::::::::::正規直交基 に関する T の表現行列が Hermite 行列であることは同値である.

12.4.3 A が Hermite 行列でも歪 Hermite 行列でもあるならば A=O であることを示せ. 12.4.4 線形変換 T に対して TT およびT T は Hermite変換であることを示せ. また,正

方行列 A に対して AA およびAA は Hermite 行列であることを示せ.

12.4.5 T が Hermite 変換であるとき, 任意の自然数 n に対しTn も Hermite 変換である ことを示せ. さらに T が正則なHermite 変換であるとき,任意の n Z に対しTn はHermite 変換であることを示せ.

12.4.6 A が Hermite 行列であるときtA も Hermite 行列であることを示せ. 定理12.4.7 Hermite 変換, Hermite 行列の固有値はすべて実数である.

証明 V の Hermite 変換 T が固有値 λ∈C を持つとき, 0̸=u∈V が存在して

T(u) = λu となる. このとき

(T(u),u) = (λu,u) =λ(u,u) = λ∥u2.

一方,T は Hermite 変換だから

(T(u),u) = (u, T(u)) = (u, λu) =λ(u,u) = λ∥u2. 従つて λ∥u2 =λ∥u2 であるが, u̸=0 ゆゑλ=λλ∈R.

Hermite 行列に関しては問 (次の12.4.8)とする.

12.4.8 Hermite 行列の固有値はすべて実数であることを示せ. 12.4.9 歪 Hermite 行列の固有値はすべて純虚数であることを示せ.

定義12.4.10 すべての固有値が正である Hermite 行列を 正定値 Hermite 行列 といふ. 定義12.4.11 V の線形変換T がHermite内積の値を変へないとき,即ち,任意のu,v∈V

について (

T(u), T(v))

= (u,v) が成り立つとき, T はunitary 変換 と呼ばれる.

注意12.4.12 TV の unitary 変換であるためには, V の 1つの基 (正規直交基でなくても よい){u1,· · · ,un} について

(T(ui), T(uj))

= (ui,uj) が成り立つこととが必要十分である.

命題12.4.13 T を Hermite 空間V の線形変換とする. 次の3 つは同値である. (1) T は unitary 変換である.

(2) TT =IV. (3) T T =IV.

証明 (1) (2). 任意の u, v V について, (u,v) = (

T(u), T(v))

= (

u, TT(v)) ゆゑ, TT(v) = v である. つまり(2) が成り立つ.

(2) (1) は上の議論を逆に辿ればよい.

(2) (3). V の基を決めて, それに関する T の表現行列を A とすれば, 仮定から AA =I.

3.5.2 により,A =A1 であり AA =I が成り立つ. これは T T =IV を意味する. (3) (2) は上の議論を逆に辿ればよい.

定義12.4.14 正方行列UUU =I,つまり tU U =I を満たすとき,U は unitary 行列 であると言はれる.

注意12.4.15 Unitary 行列は絶対値1 の複素数eR) の類似であると考へられる.

12.4.16 U が unitary 行列であるときtU も unitary 行列であることを示せ. 12.4.17 Unitary 行列の行列式の絶対値は 1 であることを示せ.

例題12.4.18 V の正規直交基を固定する. TV の unitary 変換であるためには,この基に 関する表現行列が unitary 行列であることが必要十分であることを示せ.

証明 dim(V) =n として, 与へられた正規直交基を {u1,· · · ,un} とし, T の表現行列を A = [a1 · · · an] とせよ. このとき

(T(ui), T(uj))

= (∑n

k=1

akiuk,

n k=1

akjuk )

=taiaj.

T が unitary 変換であることは (

T(ui), T(uj))

= (ui,uj) = δij であることに他ならず, そ れは

taiaj =δij,

即ちtAA=I であることと同値である. 従つて A は unitary 行列である.

命題12.4.19 n 次正方行列 U = [a1 · · · an] について, 次の3 条件は同値である. (1) U は unitary 行列.

(2) T は Cn の標準Hermite 内積に関してunitary 変換である.

証明 (1) (2) は 12.4.18 から直ちにわかる. また (1) を仮定すれば UU =I であるが, こ れは, すべての 1 ≤i, j n について taiaj =δij, 即ち taiaj =δij であることと同値であり, これは (ai,aj) =δij を意味するから, (3) が結論される. この議論は可逆だから (3) (1) も 示された.

定理12.4.20 TV の線形変換とせよ. TV のunitary 変換であるためには, 任意の u∈V に対し, ∥T(u)=u であることが必要十分である.

証明 (必要性) これは定義より明らか. (十分性) u,v ∈V について

u+v2 =u2+ (u,v) + (u,v) +u2,

∥T(u+v)2 =(Tu)2+ (T(u), T(v)) + (T(u), T(v)) +∥T(u)2 であることとT についての仮定から

(u,v) + (u,v) = (T(u), T(v)) + (T(u), T(v))

である. ここで実数部分を real, 虚数部分を imag で表せば, 上のことから real(u,v) = real(T(u), T(v)). 一方 u の代りにiuをとるとreal(−i(u,v)) = real(−i(T(u), T(v))),つまり imag(u,v) = imag(T(u), T(v))が示され, 結局, 任意の u, v について

(u,v) = (

T(u), T(v)) となるから T は unitary 変換である.

注意12.4.21 次の様な類似があると考へればわかり易いかも知れない :

複素数を成分に持つ行列 ←→ 複素数 随伴行列 ←→ 複素共役

Hermite行列 ←→ 実数

正定値 Hermite行列 ←→ 正の数

歪 Hermite行列 ←→ 純虚数

Unitary 行列 ←→ 絶対値1 の複素数.

演 習 問 題 12.4

12.4.22 一般に 2つのHermite 行列の和, 積はHermite 行列になるか. 理由をつけて答へよ. 12.4.23 任意の正方行列 Aは Hermite 行列 H を歪 Hermite行列 S の和A=H+S として 一意的に表されることを示せ.

12.4.24 行列A Mat(n,C) を任意にとり固定する. このとき, 2 つの集合 H ={X Mat(n,C)|XA+AX =O, φX(1)̸= 0},

U ={T Mat(n,C)|TAT =A, φT(1)̸= 0}

がCayley 変換T = (I−X)(I+X)1 により 1対1に対応することを証明せよ. とくにA =I

とすれば unitary 行列のある集合と歪 Hermite 行列のある集合との対応が得られる.

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