第 5 章 産業機械のサーボ系開発のためのモデルベース手法の提案とその適用
5.3 提案する産業機械のサーボ制御系のモデルベース手法
5.3.3 HILS 検証システム
図
5.7
に,提案するMBD
手法におけるHILS
検証システムの構成を示す.システム は,実際のコントローラ,実際のサーボアンプの制御ユニット基板,サーボアンプの パワー回路,コンバータ,電源,サーボモータおよび機械のモデルを実装したリアル タイムシミュレータとホストPC
を接続した構成となっている.各モデルは,図5.5
に示した
Simulink
モデルをリアルタイムシミュレータの実行コードに変換した形で実装される[19].ただし,スイッチング動作を伴うパワー回路とサーボモータの位置を 検出するエンコーダのモデルは
FPGA(Field Programmable Logic Array)
に実装されて いる.各モデルの動作は以下のようになる.65
図5.6 MILS検証のSimulink画面例
図5.7 提案するサーボ制御システムのためのHILS検証システムの構成
DC-リンク電圧
パワー回路 モデル コンバータ
モデル
PWM リアルタイムシミュレータ 信号
コントローラ
制御ユニット 基板
機械モデル トルク
パワー回路 モデル PWM信号
制御ユニット 基板 サーボアンプ1
パワー回路 モデル PWM
信号 制御ユニット
基板
商用 電源 モデル
モータ モデル モータ
モデル モータ
モデル
指令n ネットワーク
3Dリアルタイム アニメーション
各部波形 位置 速度 電流 電圧 振動
: ホストPC
指令1 指令2
エンコーダ モデル 電流
位置
実際の制御機器 サーボアンプ2 サーボアンプn
FPGA FPGA FPGA
FPGA FPGA FPGA
S/W S/W
S/W
S/W S/W
トルク トルク
エンコーダ
モデル エンコーダ
モデル
電流 電流
位置 位置
・・・
表示器
66
(1)パワー回路モデル:サーボアンプからの PWM(Pulse Width Modulation)信号を, FPGA
を用いてリアルタイムシミュレータの計算周期
10 μs
間での平均電圧に変換する.PWM
信号のスイッチングはリアルタイムシミュレータの計算周期とは非同期で発 生するため,FPGA
において20 ns
周期でサンプリングし10 μs
間での平均電圧に変 換している.なお,PWM信号生成のキャリア周波数は10 kHz
である.ここではサ ーボアンプ(50 W
~55 kW
)のパワー回路をモデル化している.(2)モータモデル:パワー回路モデルからの 10μs
間での平均電圧に基づいて電流およびトルクを発生する.ここでは表面磁石タイプと埋込磁石タイプの回転型サーボモ ータ,およびリニアサーボモータをモデル化したものである.
(3)エンコーダモデル:モータ位置信号に基づいて FPGA
を用いてエンコーダ信号を模擬して,製品と同じく
50 μs
周期でサーボアンプに出力する.(4)電流センサモデル:D/A
変換器を使って電流検出信号を模擬して,サーボアンプに出力する.
(5)
電源モデル:瞬時停電などの現象も含めた商用電源系統の動作を模擬する.(6)機械モデル:モータトルクや外乱に対する機械各部の動作を模擬する.計算周期は
200 μs
が標準設定である.以上のように提案手法における
HILS
検証システムでは,コントローラやサーボア ンプの制御ユニット基板は,実際の機械,モータ,パワー回路を制御しているのと同 等な挙動を示すことになる.また,実際のパワー回路,モータ,機械を使用しないの で,電源環境,設置場所,安全面での制約を受けずに様々な運転条件や負荷条件に対 して机上での検証が可能である.図
5.8
は,上述のリアルタイムシミュレータとホストPC
間での信号やデータの授 受を示したものである.ホストPC
はリアルタイムシミュレータからの情報に基づい て,機械モデルのリアルタイム3D
アニメーションや各部の波形を表示することがで きる67
図5.8 リアルタイムシミュレータとホストPCの処理内容とその関係
5.4 提案手法の適用結果と考察
ドキュメント内
産業機械のサーボ系開発におけるモデルベース手法の活用
(ページ 69-72)