これらは燃焼性がクラス2Lと低く、室内機がマルチの場合やVRF、ダクトシステムで 使用される。許容される冷媒充填量は、室内の大きさ、室内機の位置とシステムの安全状 態に依存する。冷媒量が15~60kgの範囲で許容される。
ダクト付システムはHFC-134aの不燃性代替冷媒(R-450AとR-513A)の使用が可能であ る。
(e)大型空調機器の市場での可能性
日本では、大型の分離システムでHFC-32が販売されて伸びている。(冷媒充填量が安全 基準を満たす唯一の地域となっている。)
VRFシステムは安全問題に関する多くの作業待ちとなっている。
R-446A,R-447AとR-454Bユニットはいくつかの製造者により検討がなされているが、
上市の時期は明らかではない。
3)ビル用マルチ空調機
この型式は、1台の室外機(凝縮装置)が2台以上の室内機(1kmのパイプで、50台の室 内機を扱った例があるが)に供給する多重分離型である。家庭用として2台室内機のモデ ルがあるが、この多重分離型は商業用ビルにより頻繁に使われている。規定の冷媒充填量 は、設置条件によって異なるが、約0.3kg/kW以上である。1段分離と同様、導管あり、
あるいは導管なしの多重分離でも、可逆型(熱交換型)の選択が可能である。
この多重分離型空調機の一分野に、冷媒流量可変システム(Variable Refrigerant
Flow ;VRF)があり、系の需要に応じて冷媒流量を適正化できる能力で、この型式の中で
も別扱いされている。ある仕様では、それぞれの室内機に対して、独立した冷房または暖 房機能をもっており、それゆえ、離れた空間を、同時に、一方は暖房、一方は冷房を行う ことが出来る。室外機は、コンプレッサーの能力制御技術を使って、全体の冷媒流量を制 御している。このコンプレッサーの型は、通常、ロータリーかスクロールである。VRFシ ステムの能力は、10kW~150kW超まである。2000年以前に生産されたシステムでは、
HCFC-22が使われていたが、R-407C やR-410Aが増加してきている。充填量の目安は、
0.30~0.70 kg/kWである。
多重分離型空調機の冷却能力は4kW~150kWで、平均は20kWである。これは、モジ ュールの能力で、より大きな能力が必要な時は、多重化されることを特記しておく。約百 万台が年間生産されている。
(a)ビル用マルチ空調機の導管ありの商業用パッケージ(自己完結型)空調機
導管ありの商業用パッケージ空調機と熱交換機は、複合化した換気扇と熱交換のシステ
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ムからなる1個の自己完結型の装置があり、これがダクトで商業用施設の分配システムと 繋がっている。パッケージの一端は、凝縮装置で、通常は空冷のコンデンサーとコンプレ ッサーで、多くは封止されたスクロールタイプであるが、封止もしくは半封止のレシプロ、
タイプもしくはスクリュータイプも使われることもある。
多くの導管ありの商業用パッケージ空調機もしくはヒートポンプは、オフィス、店舗、
レストラン、公共施設の屋根、もしくは屋外の地面に設置される。ショッピングセンター や店舗、学校や商業用施設など、ある程度の広い空間を冷房する場合には、1もしくは2 以上のコンプレッサーをもった装置が多重化されることもある。
その平均的な能力は、7 kW~700 kW超で、規定の冷媒充填量は、0.3~0.5 kg/ kWで ある。歴史的にはHCFC-22が使われてきたが、主にはR-410Aが、もしくは、周囲温度 の高い地域では多用される傾向にあるが、R-407cが使われている。年間の市場規模は約百 万台である。
(b)ビル用マルチ空調機の新規製品のための選択肢
代替冷媒を選択する時に、考慮すべきいくつかの要因がある。それにしたがって、新規 に生産された空調機のための、最も実行可能なHCFC-22代替冷媒の候補を、現在RTOC で入手できる情報に基づいてまとめている。いくつかの単一の HFC 冷媒が HCFC-22 代 替として開発されてきたが、過去において、HFC-134aのみが、空調機用としてある程度 事業的に使える唯一の単体HFCであった。HC-290 とHFC-32 が、単一冷媒として、空 調機生産者にも入手できるようになった。いくつかの HFC の混合冷媒が、空調機用の HCFC-22 代替として出現してきた。HFC-32、HFC-125 と HFC-134a の混合品が、非 ODSのHCFC-22代替として提案されている。最も広く使われている混合品は、R-407C と R-410A.の2品である。R-407C、R-410AともHCFC-22と同等のGWP値を持つ。
最近になって、新しい低~中のGWP値の混合品が提案されている。それは、不飽和HFC で、HFC-1234yf、HFC-1234ze(E)、HFC-1243zfなどで、HFC-32、HFC-134a 、R-744 と同様、非ODP冷媒である。HCFC-22やR-410Aが使われている現行の製品の性能に最 も近づくように、混合が行われている。その成分比によって、これらの混合品の多くは、
異なった温度勾配(ある飽和圧力下で、露点と蒸発温度の違い)を示し、多くは可燃性で ある。非常に多くの混合品が提案されてきたが、R-記号をもらえたのはほんの少数である。
そのR-記号も2~3年後には変更されると予想されている。
冷媒が選択された時はいつでも、対応する適切な潤滑剤(基本の潤滑油と添加剤)が選 択されなければならない。この選択は、コンプレッサー技術と予想されるシステムの運転 条件にも影響される。あるHFC冷媒で使われる潤滑剤の選定は、コンプレッサー・メー カーによって、包括的な物質の相互性と信頼性の実験の後に、なされるのが通例である。
いろいろな低~中GWP値の代替品について、その多くは程度の差こそあれ、可燃性で ある。可燃の冷媒が選択されると、空調機に関する過去の安全の概念を超えた危険が生ず ることになる。冷媒が漏れて引火した場合、引き続いて起こることは、超過圧力と熱放射 で、それはさらに二次被害(二次火災、物質分解、毒性分解物など)が起こる。それゆえ、
危険性を最小限にする適切な対策が取られなければならない。例えば、占有空間に漏れる 冷媒の量を最小化すること、あるいは、占有空間に漏れた冷媒を完全に掃去することは、
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引火の可能性を減ずることが、リスク評価で分かっている。そして少なくとも国の規制、
もしくは相当する安全基準(存在するところであれば)に合致することである。尤も、国 の規制や安全基準は常に改廃が行われているので、対応は大変ではある。
① 大型空調機用の冷媒:HFC-134a
HFC-134aは、空冷システムではHCFC-22代替の本命であったが、広く普及している
ようには見えない。これは、R-407C やR-410AなどのHFC混合品を使って、実質的に 安い空冷の空調機が開発できたからである。
HCFC-22に相当する能力を満たすためには、HFC-134aの低い部分の能力を補完する
ために、約40%増のコンプレッサーの転換が必要である。同様にHCFC-22と同等の効率 と能力を確保するためには、相当の装置の再設計が必要になる。この再設計にはより大き な熱交換機、より径の大きな冷媒の配管、より大きなコンプレッサーと再最適化されたモ ーターなどがある。
したがって、コスト効率の良い代替手段であることは滅多にないが、周囲温度の高い地 域では、いくつかの異なった空気/空気の空調機で使われてきた。
②大型空調機用の冷媒:R-407C
R-407Cは、既存のHCFC-22の装置に対して最も少ない設計変更で済むので、もとも
とHCFC-22で設計された装置に対する移行冷媒として使われてきた。しかしながら、2004
年頃から、多くのR-407Cシステムが大きさと原価低減のために、R-410A用に再設計さ れてきた。唯一の例外は、標準の運転状況が非常に高い周囲温度、例えば40-55℃の所で ある。
現在、R-407Cの空調機は、欧州、日本とアジア地域で入手可能である。飽和圧力が小 さいため、周囲温度の高い中東のメーカーの中には、HCFC-22代替でR-407Cを選択す る人もいる。R-407Cは、北米で、主に商業用に限定的に使われている例が見られる。一 般的には、空調分野で、R-407CがHCFC-22に代って広く使われることは、将来にわた ってほとんどないと思われる。特に標準的な温度帯の場合には可能性はほとんどない。
R-407Cの性能試験で、適切に設計された空調機の場合、能力的にも、効率的にも HCFC-22
の± 5%範囲内である。2000年にLinton他は、能力を一定とした場合、R-407Cは、5-11%
低いCOPであることを見出している。
R-407Cは、ゼオトロピック(液相―気層の平衡状態の時に、液体の組成と気体の組成
が同じにはならない)な混合物なので、温度勾配は非常に大きいが、多年の使用経験から、
制御可能である。熱交換機の中で、流体を向かい合う方向(向流)に設計する事は、冷媒の 温度勾配の負の影響を緩和するのに有効である。しかしながら、可逆型のヒートポンプで は、暖房と冷房のモードで冷媒は向きの違う流れになっているので、複雑な可逆的冷媒の 熱交換回路を採用しない限りこの向流式の設計は難しい。
R-407Cでは、ポリオレエステル(POE)やポリビニールエーテル(PVE)の潤滑剤が
選択できる。このうち、POEはHFC冷媒の装置では最も普及している潤滑剤である。最 近では、コンプレッサー・メーカーは POE を使う傾向があり、システムメーカーは、
HCFC-22でも、R-407Cでも、同じコンプレッサーを使うことができる。