0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0
0.0 15.0 30.0 45.0 60.0
セメント:普通セメント 増粘剤添加
水中養生試験開始時材齢:7日
水中養生
試験開始時材齢:28日 蒸気養生後気中養生 試験開始時材齢:28日
300サイクル時の質量減少率(%)
GGBF/B (%)
図 3-70 脱型までの養生温度
図 3-71 試験開始時材齢が相対動弾性係数に与える影響
(細骨材:砂岩砕砂)
温度(℃)
50
35
20
0
打込みからの経過時間(時間)
4 6 10 16 18
脱型
↓
50℃蒸気養生
35℃蒸気養生
20℃標準養生
3章 高炉スラグ細骨材コンクリート
図 3-72 試験開始時材齢が相対動弾性係数に与える影響
(細骨材:高炉スラグ細骨材)
図 3-73 細骨材の種類が質量変化に与える影響
図 3-74 蒸気養生が相対動弾性係数に与える影響(GGBF/B=0%)
図 3-75 蒸気養生が質量変化に与える影響(GGBF/B=0%)
3章 高炉スラグ細骨材コンクリート
図 3-76 水中養生期間が耐久性指数に与える影響
図 3-77 水中養生期間が質量変化に与える影響(蒸気養生なし)
図 3-78 水中養生期間が質量変化に与える影響(蒸気養生あり)
図 3-79 蒸気養生が相対動弾性係数に与える影響(GGBF/B=50%)
3章 高炉スラグ細骨材コンクリート
図 3-80 蒸気養生が質量変化に与える影響(GGBF/B=50%)
(a)質量変化率:-1.0%
(b)質量変化率:-2.0%
図 3-81 質量変化率とスケーリング
図 3-82 蒸気養生が耐久性指数に与える影響(GGBF/B=50%)
3章 高炉スラグ細骨材コンクリート
3.5.4 増粘剤の影響の検証
本項では,本章第2項及び第3項の検証実験により、高炉スラグ細骨材を用い たコンクリートの凍結融解抵抗性に,増粘が与える影響を検証したものである。
増粘剤を用いることで,短い水中養生期間でも,凍結融解抵抗性が得られる ことを示す。
図 3-83は,増粘剤がコンクリートの凍結融解抵抗性に与える影響を示したも のである。図中に示される結果は,表 3-9に示される配合のものである。材齢 7 日まで水中養生を行った後に,試験を開始した場合では,増粘剤を添加するこ とで,高炉スラグ微粉末の混合割合によらず,耐久性指数は 100 程度に向上し ている。しかし,増粘剤を添加していない場合には,高炉スラグ微粉末の混合 割合を高くしても耐久性指数は低い。一方,図-13 は,材齢 28 日まで水中養生 を行った後に試験を開始した結果を示したものである。材齢 28 日まで養生を行 えば,増粘剤を使用しなくても,十分な凍結融解抵抗性が得られている。図 3-85 は,図 3-84の試験を行ったコンクリートの凍結融解試験 300 サイクル時におけ る質量減少率を示したものである。増粘剤を添加しないコンクリートでは,質 量減少率はほぼ 0%であるが,増粘剤を添加したコンクリートでは,質量減少率 が 1%程度と多くなっている。増粘剤を用いることで,若材齢でも高い耐久性指 数を得ることができるようになるが,スケーリングは多くなる傾向となる。
図 3-86 は,細骨材に高炉スラグ細骨材のみを用いたコンクリートの凍結融解 抵抗性に,増粘剤が与える影響を示したものである。いずれの供試体も,結合材 に普通ポルトランドセメントのみを用い,試験開始時材齢である材齢 7 日まで水 中養生を行っている。増粘剤を用いていないものは,早期に破壊に至っているの に対し,増粘剤を用いたものは,材齢 7 日で試験を開始しても,300 サイクルま で相対動弾性係数の低下は見られない。また,図 3-74に示したように,結合材 に普通ポルトランドセメントのみを用いた場合には,蒸気養生を行うと早期に凍 結融解抵抗性が低下するが,増粘剤を用いることで,蒸気養生を行っても,300 サイクルまで相対動弾性係数の低下が見られないことが分かる。
図 3-87は,図 3-86に示したコンクリートの質量変化を示したものである。増 粘剤を用いることで,300 サイクルまで相対動弾性係数が 100%であっても,蒸気 養生を行っていない場合には,質量変化が約-4.0%と,スケーリングは大きいこ とが分かる。しかし,蒸気養生を行えば,質量変化は約-1.0%となっており,増
粘剤を用いた場合には,蒸気養生は,コンクリートの凍結融解抵抗性を改善して いることが分かる。
図 3-88は,細骨材に砂岩砕砂のみを用いたコンクリートの凍結融解抵抗性に,
増粘剤が与える影響を示したものである。いずれの供試体も,結合材に質量比で 50%の高炉スラグ微粉末を用い,試験開始時材齢である材齢 7 日まで水中養生を 行っている。増粘剤を用いていないものは,早期に破壊に至っているのに対し,
増粘剤を用いたものは,300 サイクルまで相対動弾性係数が 70%を下回っていな い。また,蒸気養生を行えば,300 サイクルでも,相対動弾性係数は 100%を保っ ている。図 3-89は,図 3-88に示したコンクリートの質量変化を示したものであ る。いずれの供試体も,質量減少はなく,スケーリングを伴わずに,試験を終了 していることが分かる。
本項では,高炉スラグ細骨材を用いたコンクリートの凍結融解抵抗性に,増粘 剤が与える影響を検証したものである。
その結果,以下のことが検証できた。
(1)増粘剤を用いれば,7 日の若材齢で試験を開始しても,高い耐久性指数を得 ることができる。ただし,耐久性指数が改善されても,スケーリングは大き くなる。
(2)増粘剤を用いることで,短い水中養生期間で高い凍結融解抵抗性を得ること ができる。
(3)普通ポルトランドセメントと高炉スラグ細骨材を用いたコンクリートでは,
増粘剤を用いることで,相対動弾性係数の低下が抑えられても,スケーリン グが大きくなる。これに対して,高炉スラグを微粉末として用いた場合には,
増粘剤を用いることで,相対動弾性係数の低下が抑えられ,スケーリングも 生じにくくなる。
3章 高炉スラグ細骨材コンクリート
図 3-83 増粘剤が耐久性指数に与える影響(試験開始時材齢 7 日の場合)
図 3-84 増粘剤が耐久性指数に与える影響(試験開始時材齢 28 日の場合)
0 20 40 60 80 100 120 140
0.0 15.0 30.0 45.0 60.0
耐久性指数
増粘剤無添加 増粘剤添加
試験開始時材齢:7日 養生方法:水中養生 セメント:普通セメント
GGBF/B(%)
0 20 40 60 80 100 120 140
0.0 15.0 30.0 45.0 60.0
耐久性指数
増粘剤無添加
増粘剤添加
セメント:普通セメント 試験開始時材齢:28日 養生方法:水中養生
GGBF/B (%)
図 3-85 増粘剤が質量減少率に与える影響(試験開始時材齢 28 日の場合)
図 3-86 増粘剤が相対動弾性係数に与える影響(GGBF/B=0%)
-2.0 -1.0 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0
0.0 15.0 30.0 45.0 60.0
GGBF/B (%)
増粘剤無添加 増粘剤添加
セメント:普通セメント 試験開始時材齢:28日 養生方法:水中養生
300サイクル時の質量減少率(%)
3章 高炉スラグ細骨材コンクリート
図 3-87 増粘剤が質量変化に与える影響(GGBF/B=0%)
図 3-88 増粘剤が相対動弾性係数に与える影響(GGBF/B=50%)
図 3-89 増粘剤が質量変化に与える影響(GGBF/B=50%)
3章 高炉スラグ細骨材コンクリート
3.5.5 粗骨材界面の影響の検証
BFS によってコンクリートの耐凍害性が改善されるのは,モルタル部に 加えて,粗骨材界面の改質がある。砕砂を用いたコンクリートの粗骨材の界 面には,低温ほど水に溶けやすい水酸化カルシウムが析出する。凍結融解に より水酸化カルシウムが溶出した隙間に侵入した水が凍り膨張することで,
モルタル部にひび割れが生じる。これに対して,BFS を用いたコンクリー トには,BFS のボゾラン反応によって水酸化カルシウムが消費されるた めに,粗骨材界面に析出する水酸化カルシウムは少なく,粗骨材界面を起点 とするモルタルへのひび割れが発生しにくくなる18)。
一般的なコンクリートでは,骨材の界面に水酸化カルシウムが集積すると言わ れている。図 3-90は,水酸化カルシウムの水への溶解度に及ぼす温度の影響を 示したものである。水酸化カルシウムは,温度が低いほど,水に溶けやすくなる ことが分かる。低温環境下において,骨材界面の水酸化カルシウムが水に溶け出 し,骨材界面に隙間が生じ,その隙間を埋める水の凍結膨張が繰り返し行われる ことにより,劣化が進行していくことが考えられる。そのため,凝固点降下を引 き起こすグリセリン水溶液を用いて試験を行っている。図 3-91および図 3-92 は,それぞれ,細骨材に砂岩砕砂および高炉スラグ細骨材を用いたモルタル小片 において,グリセリン水溶液を用い凍結融解試験を行ったものである。砂岩砕砂 を用いたモルタルにおいては,グリセリン濃度が高く,凝固点が低いものを試験 水として試験を行ったものほど,劣化の進行が速い。これに対して,高炉スラグ 細骨材を用いたものは,いずれのグリセリン水溶液を用いたものも,破壊に至っ ていない。これらから,砂岩砕砂を用いたものは,凝固点の低い試験水で試験し たものほど,骨材界面の水酸化カルシウムが多く溶け出し,劣化の進行が速くな ることが考えられる。これに対して,高炉スラグ細骨材を用いたものは,ポゾラ ン反応による C-S-H の生成により,骨材界面の水酸化カルシウムの析出が少なく なり,凍結融解抵抗性が向上したことが考えられている。
図3-93,図3-94は,細骨材に硬質砂岩砕砂を用いた水セメント比が50%の Non-AEコンクリートの凍結融解試験前と凍結融解を219サイクル繰り返した後 の断面を撮影したものである。断面に存在するひび割れや気泡には,蛍光塗料 が入り込むことにより,白く発光している。断面全体において,骨材周辺が発 光しており,骨材の周辺に隙間が空いていることが分かる。この供試体の結合