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現在、調査実施中であり、その結果及び機構の判断は審査報告(2)で報告する。

9.

審査報告(1)作成時における総合評価

提出された資料から、本品目のアトピー性皮膚炎に対する有効性は示され、認められたベネフィットを 踏まえると安全性は許容可能と判断した。本品目は、既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎の治療に

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デュピクセント皮下注_サノフィ株式会社_審査報告書

おける新たな治療の選択肢を提供するものであり、臨床的意義があると考える。製造販売後の調査におい て、使用実態下での本剤の安全性について更に検討する必要がある。

専門協議での検討を踏まえて特に問題がないと判断できる場合には、本品目を承認して差し支えない と考える。

10.

その他

臨床試験における有効性評価項目の定義は、以下のとおりである。

項目 定義

全試験共通

EASIスコア

頭頸部、体幹、上肢、下肢の各部位について、紅斑、浸潤/丘疹、搔破痕、苔癬化の重 症度(なし=0、軽症=1、中等症=2、重症=3)及び湿疹面積(0%=0、1~9%=1、10

~29%=2、30~49%=3、50~69%=4、70~89%=5、90~100%=6)をスコア化し、以 下の計算式により算出される湿疹面積・重症度の評価スコアであり、臨床的に意義のあ る最小変化量は6.6と報告されている(Allergy 2012; 67: 99-106)

EASI スコア=頭頸部の重症度スコアの小計×頭頸部の湿疹面積スコア×0.1+体幹の 重症度スコアの小計×体幹の湿疹面積スコア×0.3+上肢の重症度スコアの小計×上肢 の湿疹面積スコア×0.2+下肢の重症度スコアの小計×下肢の湿疹面積スコア×0.4 HADSスコア

自己記入式質問票により不安と抑うつに関する精神的状況を計測する尺度で、不安に 関する7項目及び抑うつに関する7項目の合計14項目の質問に対する回答から得られ る各スコア(0~3点、高スコアほど心理学的苦悩が高い)の合計スコア

IGAスコア

皮疹に関して医師の全般的評価により付される、以下を基準とした0~4の5段階評価 のスコア

0=病変なし(アトピー性皮膚炎による炎症の徴候なし)

1=病変はほとんどなし(かろうじて認識できる紅班又はごく軽度の病変の隆起(丘疹 形成/湿潤))

2=軽度(目で検知可能、薄いピンク色の紅班、及びごく軽度の隆起(丘疹形成/浸潤))

3=中等度(くすんだ赤色、明らかに識別可能な紅班、明らかに認識できる隆起(丘疹 形成/湿潤)、ただし広範ではない)

4=重度(深紅/暗赤色の紅班、著明かつ広範な隆起(丘疹形成/浸潤))

そう痒NRSスコア

そう痒を評価する0~10の11段階の横軸スケールで、0が「そう痒なし」、10が「想 像できる最悪のそう痒」を表し、24 時間以内で最も程度が悪かったそう痒について、

その状態を最もよく表す数値に被験者が自分で印を付し、得られるスコア R668-AD-1334試験、R668-AD-1224試験、R668-AD-1416試験

EASI-50達成率 EASI-75達成率 EASI-90達成率

EASIスコアがベースラインから50%、75%又は90%以上減少した被験者の割合

IGA≦1達成率 IGAスコアが0又は1かつベースラインから2点以上減少した被験者の割合

R668-AD-1225試験、R668-AD-1415試験

EASI-75達成率 EASIスコアが、先行して参加した試験におけるベースラインから75%以上減少した被

験者の割合

IGA≦1達成率 IGAスコアが0又は1である被験者の割合

以上

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審査報告(2)

平成

29

10

26

申請品目

[販 売 名] デュピクセント皮下注

300 mg

シリンジ

[一 般 名] デュピルマブ(遺伝子組換え)

[申 請 者] サノフィ株式会社

[申請年月日] 平成

29

2

21

[略語等一覧]

別記のとおり。

1.

審査内容

専門協議及びその後の機構における審査の概略は、以下のとおりである。なお、本専門協議の専門委員 は、本品目についての専門委員からの申し出等に基づき、「医薬品医療機器総合機構における専門協議等 の実施に関する達」(平成

20

12

25

日付け

20

達第

8

号)の規定により、指名した。

1.1

有効性及び用法・用量について

専門協議において、審査報告(1)に記載した本剤の有効性及び用法・用量に関する機構の判断は、専 門委員から支持されるとともに、以下の意見が出された。

アトピー性皮膚炎の治療目標は患者毎に異なり、治療目標を達成した患者に対して本剤の投与が不 必要に継続されないよう、個々の患者の状態に応じて、保湿外用薬及び抗炎症外用薬のみによる治療 への切替えも含め、投与継続の要否を定期的に医師が検討することが重要である。また、製造販売後 の調査等において、本剤の投与期間や投与中止後の経過等を情報収集し、より適切な使用方法を検討 することが重要である。

日本人部分集団では、QW群の成績が

Q2W

群を上回る傾向が認められていること等を踏まえ(審査 報告(1)表

27

及び表

30

参照)、本剤

300 mg

1

週間隔投与でより高い効果が得られる日本人アト ピー性皮膚炎患者が存在する可能性も考えられる。

機構は、専門協議での議論等を踏まえ、製造販売後の調査等において本剤の投与状況(投与期間、中止 後の再投与の有無)、投与中止後の経過、再投与された場合には再投与後の経過に関して情報収集し、得 られた情報を適宜臨床現場に提供することを申請者に指示した。また、アジア人のアトピー性皮膚炎では

Th17

の経路が欧米に比べてより強く関与しているとの報告があること等も踏まえ(J Allergy Clin

Immunol: 2015; 136, 1254-64)、今後得られる情報から投与間隔短縮の必要性についても検討するよう申

請者に指示した。

申請者は、以上について対応する旨を回答した。

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1.2

臨床的位置付け及び効能・効果について

専門協議において、審査報告(1)に記載した本剤の臨床的位置付け及び効能・効果に関する機構の判 断は、専門委員から支持されるとともに、以下の意見が出された。

アトピー性皮膚炎の診断及び治療に精通した医師が、診療ガイドライン等を参考に適切な治療を一 定期間実施しても、本剤投与が必要となる患者を慎重に判断することが重要であり、本剤の適正使用 のための情報提供を適切に行うべきである。

本剤投与後は、医師の判断により、個々の患者の状態に応じて抗炎症外用薬への変更等がされるもの と考える。

機構は、審査報告(1)の「7.R.4 効能・効果について」の項における検討及び専門協議での議論等を 踏まえ、効能・効果に関連する使用上の注意において以下の旨注意喚起し、これらの情報を臨床現場に十 分周知するよう申請者に指示し、申請者は対応する旨を回答した。

<効能又は効果に関連する使用上の注意>

ステロイド外用剤やタクロリムス外用剤等の抗炎症外用剤による適切な治療を一定期間施行しても、

十分な効果が得られず、強い炎症を伴う皮疹が広範囲に及ぶ患者に用いること。[【臨床成績】の項参 照]

原則として、本剤投与時にはアトピー性皮膚炎の病変部位の状態に応じて抗炎症外用剤を併用する こと。

本剤投与時も保湿外用剤を継続使用すること。

1.3

安全性及び医薬品リスク管理計画(案)について

専門協議において、審査報告(1)に記載した本剤の安全性及び製造販売後の安全対策に関する機構の 判断は専門委員から支持されるとともに、以下の意見が出された。

本剤投与中及び中止後に、合併する喘息症状の増悪が認められ、投与中止後の喘息増悪においては死 亡例も認められている。喘息等の合併するアレルギー性疾患に本剤を投与する場合、本剤投与中及び 中止後に合併するアレルギー性疾患の治療が適切に行われるよう、他の診療領域の主治医とも適切な 連携を図ることが重要である。

喘息の合併又は既往患者においては、呼吸器関連の診療情報(全般改善度、喘息発作の頻度、喘息治 療薬の使用状況等)も情報収集し、喘息の合併又は既往患者に本剤を投与した際の喘息症状に及ぼす 影響について検討すべきである。

本剤長期投与時の安全性及び有効性について、更に検討する必要がある。

本剤投与中止後、急激にアトピー性皮膚炎が再燃する可能性について、引き続き検討すべきである。

アトピー性皮膚炎に対する初の生物製剤となることから、本剤と併用される医薬品の情報並びに併用 時の有効性及び安全性について、幅広く情報収集することが望まれる。

機構は、審査報告(1)の「7.R.7 製造販売後の安全対策について」の項における検討及び専門協議で の議論等を踏まえ、現時点における本剤の医薬品リスク管理計画(案)に、表

47

に示す安全性検討事項 及び有効性に関する検討事項を設定し、表

48

に示す追加の医薬品安全性監視活動及びリスク最小化活動

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