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が紅茶葉中に0.5〜1%と低いため、分離法に関する報告は少ない。

しかしながら、これらの化学的性質を詳細に検討するためには、

純粋な化合物の入手が必須であった。そこで当研究グループでは、

まずこれらの成分の大量分離法の確立を試みた。

材料として紅茶熱湯抽出物500gを用いて、Fig.2‑3に示したよ うに数段階を経て、Free Theaflavin(6)を1.6g、Theaflavin mono‑gallate(7,8)の2種を混合物として2.3g、Theaflavin3,3'‑

digallate(9)を約1g得ることに成功した。なお、(7),(8)の2種 に関してはさらにHPLCを用いることによって分離を行った。し かしながら、テアフラビン類は含量が少なく、このように段階数 が多いことからこれ以上のスケールでの分離は困難であった。1

‑1章で述べたように、当研究グループでは、茶カテキン類の大 量分離に成功している。そこで、これを原料にして次にテアフラ

ビン類の人工的な合成を試みることにした。

テアフラビン類の合成法としては、先にも述べたように1964 年のK3Fe(CN)6/NaHCO3を用いた滝野らの方法17,18が一般的で

ある。当研究グループでもこの方法にならって追試、さらに様々 な改良を試みた。その結果、最もシンプルな構造をもち収率も良 いFreeTheaflavin(6)においては52%と2倍以上まで改善するこ

とに成功した。しかし、その他のテアフラビン類、特にもっとも 収率の悪いTheaflavin3,3,‑digallate(9)においては8%と全く改 善が見られなかった。

このように、テアフラビン類の合成収率改善のためにさまざま な検討を行ってきたが、テアフラビン類4種どれにおいてもこれ

以上の改善はみられず、もっと抜本的な改良が必要であると示唆

紅茶熱湯抽出物500g

ⅠIP・20

Ⅱ20部 50%MeOH部 MeOⅡ溶出部

EtOAc/H20抽出

トr

EtOAc層 水層

Fig.2・3.Purification ofTheaflavins.

Takino、Y.et al..Can.J Chem‥ 45.1949、(1967).

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K3Fe(CN)6NaHCO30℃ OH 17%

Fig.2・4.Synthesisof6・Methyl・8,9・dihydrobenzotropolone(22).

された。そこで、テアフラビン類の合成収率の改善を最終目的と

して、まずその生成機構の解明を目的に研究を進めることにした。

テアフラビン類は、B環部がCatecholタイプと Pyroga1lolタ イプのカテキンから生成されるが、これらは非常に高価である。

そのため、テアフラビン類の生成機構を検討するにあたり、その

モデル反応としてCatecholと Pyrogallolからテアフラビン類の 共通母核であるベンゾトロボロン環の合成を検討することにした。

ベンゾトロボロン骨格の構築法については、テアフラビンの構 造決定以前から興味が持たれており、さまざまな研究者がその合 成を行っているが12・14、現在ではテアフラビン類の合成と同様、

酸化剤としてフェリシアン化カリウム・E3fle(CN)6を用いた方法 が一般的である。1967 年滝野らは、4・Methylcatechol(20)と Pyrogallol(21)の水溶液に0℃でK3Fe(CN)6とNaHCO3の水溶液

を添加する方法で、生成する 6・Methyl・8,9‑dihydrobenzo・

tropolone(22)の合成を報告しているがその収率は、粗結晶で 44%、再結晶後でわずか17%であった15(Fig.2・4)。これは、

副生成物であるPurpurogallin(23)が生成するのが主な原因と考 えられた。6‑Methyl‑8,9‑dihydrobenzotropolone(22)は4・Methyl catechol(20)とPyrogallol(21)から生成するのに対し、2分子の (21)が結合すると(23)が生成する。4‑Methylcatechol(20)と Pyrogallol(21)の酸化を比較した場合、フェノール性水酸基を2 つ持つ4・Methylcatechol(20)よりも3つ持つPyrogallol(21)の方 が高い酸化電位を持つため酸化されやすいと考えられる。そのた め、Pyrogallol(21)と 4・Methylcatechol(20)を共存させると

Pyrogallol(21)が先に酸化されてPurpurogallin(23)が生成して しまうのではないかと予想された。

実際のテアフラビン類においては、Purpurogallin(23)生成に 必要なPyrogallolの5位はエーテル環との結合に使用されている ためPurpurogallinタイプの化合物は、構造上生成し得ない。し かし、モデル反応の場合と同様にPyrogallolタイプのカテキン同 士の反応が起こり別の副生成物が生成している可能性がある。そ して、その生成を抑制できればテアフラビン類の合成を改良し収 率を改善できるのではないかと期待し、Pyrogallol(21)と

Catechol(24)から8,9・Dihydrobenzotropolone(25)を合成する反 応を検討した。

Purpurogallin(23)の生成を抑制するためにはCatechol(24)の 酸化を優先させる必要がある。K3Fe(CN)6水溶液に対しCatechol

(24)を先に添加して酸化し、その後Pyrogallol(21)を添加する方 法を試みた。その結果、Purpurogallin(23)の生成はほとんどみ

られず、8,9‑Dihydrobenzotropolone(25)の収率が改善する傾向 がみられた。

そこで、Catechol(24)とPyrogallol(21)を添加する間隔を詳 細に検討して、Purpurogallin(23)の生成を抑制し8,9‑Dihydro‑

benzotropolone(25)の収率が最もよくなる最適時間(t)を決定す ることにした。その方法および結果はFig.2‑5に示したとおりで ある。

ここで時間t(sec)はCatechol(24)添加後Pyrogallol(21)を添

加するまでの時間を表しており、t=0 の時が従来の方法である Catechol(24)と Pyrogallol(21)を同時に添加した場合である。

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