声道の 3 次元形状を考慮した合成モ デルに対する提案方法と評価
5.1.2 FEM における問題点
ここでは,まず波動方程式の弱形式化について述べるとともに,メッシュ生成の必要性 を述べ,FEMにおける問題点を示す.
波動方程式の弱形式化
ここでは,図5.3に示す3次元形状において波動方程式をFEMを用いて解いた際の例 を示す.
まず,5.1.1節の波動方程式と境界条件から弱形式を求める.
式(5.17)の両辺に重み関数v(x)をかけてΩで積分する.
2
Ω
+! ∂2
∂x21+ ∂2
∂x22+ ∂2
∂x23
"
Φ(x, ω)3
v(x)dx=− 2
Ω
ω2
c2Φ(x, ω)v(x)dx (5.23) 上式の左辺にGreenの公式を用いれば,
2
Γ
∂
∂nΦ(x, ω)v(x)dx
− 2
Ω
+ ∂
∂x1
Φ(x, ω) ∂
∂x1
v(x) + ∂
∂x2
Φ(x, ω) ∂
∂x2
v(x) + ∂
∂x3
Φ(x, ω) ∂
∂x3
v(x)3 dx
=− 2
Ω
ω2
c2Φ(x, ω)v(x)dx (5.24)
で積分すれば,
2
Γin
∂
∂nΦ(x, ω)v(x)dx=− 2
Γin
u0v(x)dx, (5.25)
2
Γwall
∂
∂nΦ(x, ω)v(x)dx+j ωρ Zwall
2
Γwall
Φ(x, ω)v(x)dx= 0, (5.26) 2
Γrad
∂
∂nΦ(x, ω)v(x)dx+j ωρ Zrad
2
Γrad
Φ(x, ω)v(x)dx= 0. (5.27) となるから,これらを式(5.24)に代入すると,
− 2
Γin
u0v(x)dx−j ωρ Zwall
2
Γwall
Φ(x, ω)v(x)dx−j ωρ Zrad
2
Γrad
Φ(x, ω)v(x)dx
− 2
Ω
+ ∂
∂x1
Φ(x, ω) ∂
∂x1
v(x) + ∂
∂x2
Φ(x, ω) ∂
∂x2
v(x) + ∂
∂x3
Φ(x, ω) ∂
∂x3
v(x) 3
dx
=− 2
Ω
ω2
c2Φ(x, ω)v(x)dx (5.28)
となるから,これを整理して以下の弱形式を得る.
2
Ω
+ ∂
∂x1
Φ(x, ω) ∂
∂x1
v(x) + ∂
∂x2
Φ(x, ω) ∂
∂x2
v(x) + ∂
∂x3
Φ(x, ω) ∂
∂x3
v(x)3 dx +j ωρ
Zwall
2
Γwall
Φ(x, ω)v(x)dx+j ωρ Zrad
2
Γrad
Φ(x, ω)v(x)dx− 2
Ω
ω2
c2Φ(x, ω)v(x)dx
=− 2
Γin
u0v(x)dx (5.29)
図5.4に8[kHz]における速度ポテンシャルの実部を示す.
FEMにおけるメッシュ生成の必要性と問題点
計算機上において領域Ωで積分を行う際に,特別の場合を除いて数値積分を用いるが,
複雑な形状を一要素として積分することが実用的には難しい場合がある.そのため,領域 Ωを有限個の要素に分割し,各々の領域において積分を行い総和をとる.そのため,複雑 な形状に対してFEMを用いて解析する際にはメッシュを生成する必要がある.このと き,生成されたメッシュにおいて図5.5に示すように要素間に重複がある場合や隙間があ る場合は許容されない.また,要素が極端に変形している場合も数値積分を行う際に誤差 を生じる.これらの不適格要素が生じないようにメッシュ生成のプロセスに人間が介入し て修正する必要がある.そのため,形状が変化する度に膨大な時間をかけてメッシュを生 成しなくてはならないという問題がある.
5.1.3 メッシュ生成に関する従来研究
従来より,メッシュ生成のコストを削減するために種々の方法が提案されている.
Radial basis functionを用いた方法は,メッシュ生成を行う必要が無く,さらに数値積分
図5.4 8 kHzにおける速度ポテンシャルの実部.
図5.5 許容されない要素の例.(a):要素間に重複がある場合.(b):要素間に隙間があ る場合.(c):要素が極端に変形している場合.
を必要としないため高速に数値解を得られる特徴がある.しかし,複雑な形状では誤差が 非常に大きくなるという問題がある[c8, c3].Spectral smoothed boundary method[c2]
は,メッシュ生成の必要がなく近似解の基底として直交関数を用いるため数値積分の計算 コストが非常に小さい特徴を持つ.しかし,細かい形状を精度よく近似しようとした際に 解くべき行列のサイズが非常に大きくなるため,声道の音響解析には適さない,Radial point interpolation method[c10]やMeshless local Petrov-Galerkin method[c9]はメッ シュ生成の必要は無いが,数値積分を行う際の計算コストが高いことに加えて得られる数 値解の精度がパラメータに強く依存するため,解の精度を検証することが難しいという問 題がある.
(NURBS blocks) Inner domain (Caltegian blocks)
artificial bundary
artificial bundary
図5.6 提案方法の概念図.