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↓ 排気

4.2 ESR による SiO 2 膜中の欠陥評価

2.4で述べた通り、ESR装置を用いれば、欠陥である物質中の不対電子の濃度を求めるこ とができる。そこで、SiO2膜中の欠陥を調べるためにESR装置を用いることとした。なお、

測定の感度を上げるために、SiO2膜は石英基板上に形成し測定を行った。

SiO2膜を形成したPECVDプロセスの条件は、TEOS流量:1 sccm、O2ガス流量:90 sccm、

成膜時間:30 min、基板温度:400 ℃、マイクロ波出力:450 Wで、膜厚が400 nmとなる まで石英基板上にSiO2膜を形成し、ESR測定を行うための試料を作成した。

測定では、まず試料のg値を求める。g値を求めるには、g値が既知である標準試料と試 料とを同時に測定し、既知のg 値からの距離で試料の g値を求める。具体的には、標準試 料は、MgOにMn2+熱拡散して作られたもので、MgO中に含まれるMn2+の微細分裂である 6本のESRスペクトルの内、低磁場側から数えて3本目と4本目のg値が、g3 =2.034とg4

=1.981で共振周波数9200 MHz ~ 9400 MHz の間では変化しないという特長を利用し求め

る。Figure 4-10は計算方法を表した図である。g3とg4の間隔が86.9 Gであることから、

ΔHが比例計算で求めることができる。ΔHが分かると、式2.4.4を用いて以下のように試 86.9 G

g4 = 1.981 H0

∆H

g3 = 2.034

Figure 4-10:g値計算模式図 H1

式2.4.4をg4に用いて、 4

0

g h

H ν

= β

(4.2.1)

両辺にβH0を乗じて、

g

4

β H

0

= h ν

(4.2.2)

(

0

)

g β H − ∆ H = h ν

(4.2.3)

これをgについて解くと

0

4

( )

h g h

H H h g H

ν

ν β

β ν

β

= =

− ∆ − ∆

(4.2.4)

となる。ここにg4 =1.981、周波数νとして9200 MHz~9400 MHzの中心周波数9300MHz

を代入すると、

g H

= − 3357

6651 (4.2.5)

となって、ΔHからg値が求められる。

では、g値からどのようなことが分かるかであるが、Holzenkampferらは計算により、SiOx 試料において考えられるg値について報告している[31]。Figure 4-11に報告を引用する。Figure 中の下方にある原子結合モデルでは、大きい○がSi、小さい○がO を表す。よって、1は Siが3つのSiと結合している状態、2はSiが2つのSiと1つのOとに結合している状態、

3はSiが1つのSiと2つのOとに結合している状態、4はSiが3つのOに結合している 状態を示す。各々の状態がESRで得られる信号において、図のように現れる。

それでは、無限線路型マイクロ波プラズマを用いたPECVDによるSiO2膜についてのESR 測定について報告するが、結果は欠陥由来のESR信号が弱く分かりづらいことから、先に 比較として用いる、過去に土屋勇介氏(2006 年度山梨大学大学院修士課程修了)が行った、

RFプラズマを用いたPECVDによって形成したSiO2膜試料におけるESR測定結果を見てみ る。PECVDの条件はRF出力100W、O2ガス流量:90 sccm、TEOS流量:1 sccm、基板温 度 400 ℃である。なお、本試料も今回の試料と同様に、石英基板上に堆積されたもので、

-0.2 -0.15 -0.1 -0.05 0 0.05 0.1 0.15 0.2

3300.0 3350.0 3400.0 3450.0

In te n si ty ( ar b. u n it s)

field (Gauss)

sample: TEOS_051215_2 TEOS-SiO2, 100W, 400C anneal 15min ESR@RT

Figure 4-11:計算によるSiOx膜のESRスペクトルとそれに対応した結合モデル

(E.Holzenkampfer et al., J.Non-Cryst.Solids, 32, 327 (1979)より引用)

このグラフから、g値を求めるとFigure 4-10におけるH1が3375.2、H0が3412.9であるから ΔHは37.7と分かる。式4.2.5に求めたΔH37.7を代入し、試料のg値は2.0037と求められ る。これはFigure 4-11のモデルにおける、2のSiが2つのSiと1つのOとに結合している 状態に対応すると考えられる。

続いて、スペクトルの面積を求め、欠陥濃度を算出する。ESR のスペクトルはその測定 方式から微分波形が得られている。よって、測定スペクトルを 2 回積分し面積を求めた。

Figure 4-12おけるスペクトルの積分結果をFigure 4-13に示す。既に欠陥密度の分かってい

る標準試料においても同様にスペクトルの面積を求めておき、その面積比から欠陥密度を 換算すれば、試料に含まれるSiO2膜の欠陥密度が分かる。SiO2膜内の欠陥密度についてRF 出力を変えながら測定した結果がFigure 4-14である。最も欠陥が少ない試料はRF出力200 Wで作製された試料で、その欠陥密度は、およそ5 × 1017 spins / cm3であった。

0 10 20 30 40 50 60 70 80

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

3350.0 3370.8 3391.7

2nd Integrated Intensity (arb. units)

1st Integrated Intensity (arb. units)

field (Gauss)

sample: TEOS_051215_2 TEOS-SiO2, 100W, 400C anneal 15min ESR@RT

Integrated of Intensity (1st) Integrated of Intensity (2nd)

Figure 4-13:Figure 4-12積分結果

一方、無限線路型マイクロ波プラズマを用いたPECVDによる堆積SiO2膜のESR測定結果

はFigure 4-15である。なお、熱アニール処理は行っていない。Figure 4-12と比べ、欠陥由

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0

0 50 100 150 200 250 300

sp in d en sity (/1 0^ 18 cm

3)

R.F. power (W)

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