L ≅ Z −
π
line_max
2 (7-4)
となります。(7-3)式の
L
lineにこのL
line_maxを代入し、配線に許される最大の長さl
maxを求めると6 6
. 0
@
@ 6
6 . 0 max
max _
2 10
4 . 0 10 5
.
2 ×
≅ −
×
=
w f h
ESL f
Z w
h l L
PCB T
cap PCB
T
line T
π
(m) (7-5)
となります。
図
7-4
に示すように、ICの電源端子からこのl
max以内に直近のコンデンサを配置すれば、ターゲッ トインピーダンスの高周波部分は達成できることになります。そこで、このl
maxを最大許容配線長と呼ぶ ことにします。lmaxが大きいときは、コンデンサを配置する自由度が大きいと考えることができます。IC
l
max以内に コンデンサを配置 f
T@PCBZ
Tターゲットインピーダンスの 高周波部分を達成
PDNのインピーダンス
IC
l
max以内に コンデンサを配置
IC
l
max以内に コンデンサを配置 f
T@PCBZ
Tターゲットインピーダンスの 高周波部分を達成
PDNのインピーダンス
図 7-4 lmax以内に直近コンデンサを配置
一方、コンデンサを中心に考えると、この
l
maxは電源インピーダンスをZ
T以下に抑えることのできるコ ンデンサの有効範囲ととらえることもできます。図7-5
に示すように、コンデンサからl
max以内にIC
の 電源端子を配置すると、1つのコンデンサで複数のIC
の電源インピーダンスをZ
T以下に抑制すること ができることになります。(7-5)式からわかるようにESL
capの小さいコンデンサはl
maxが大きくなりますの で、有効範囲の広いコンデンサであるということができます。なお、図
7-5
のように1つのコンデンサで複数のIC
の電源をカバーする場合には、ICの動作のタ イミングが重なるときは電流が大きくなりますので、ターゲットインピーダンスZ
Tの見直しが必要な場合 があります。また、コンデンサとIC
をつなぐ配線が複数のIC
で重複する場合(右側の2個のIC
など)は、重複部の配線に誘導される電圧が
IC
同士のノイズ干渉を引き起こす可能性があります。このよう な不具合が生じる場合は、各IC
毎にコンデンサを用いる必要があります。IC
l
max以内に ICを配置
IC
IC IC
l
max以内に ICを配置
IC
IC IC
図 7-5 lmax以内に IC を配置
なお、(7-5)式で
2 π f
TESL
capがZ
Tよりも大きい場合は、lmaxはゼロ以下になりコンデンサを配置でき ません。これは、コンデンサ自体のESL
が大きすぎて、インダクタンスがゼロの理想的な配線で接続し てもターゲットインピーダンスZ
Tを達成できないことを表しています。このような場合は、ESL の小さな コンデンサを使ったり、コンデンサを複数並列に使って等価的にESL
capを小さくする必要があります。7.4
最大許容配線長lmaxの目安(7-5)式から、ESLcapの小さなコンデンサを使うと
l
maxが大きくなり、コンデンサ配置の自由度が増す ことが推定できます。また、このl
maxは、プリント配線の断面寸法(h やw)の影響も受けると考えられま
す。そこで、この傾向を確認し、配線設計の目安を示すために、図7-6
に示すように配線の幅や誘電 体の厚み、コンデンサの実装条件などが変わったときのl
maxを計算しました。結果を図7-7〜図 7-10
に示します。ここでは、3端子コンデンサ、LW 逆転コンデンサなどの低
ESL
コンデンサや、MLCC を想定して います。なお、ターゲットインピーダンスの上限周波数f
T@PCBとしては、ここではIC
外部の電源端子で 測定すると想定して、仮に100MHz
としています。(実際にはf
T@PCBの値は、使用するIC
によって大 きく異なると考えられます)図
7-7〜図 7-10
の計算結果より、lmaxを大きくするには、低ESL
のコンデンサや誘電体の薄い基板、幅の広い配線が有効であることがわかります。また、ターゲットインピーダンスが小さい場合ほど、コン デンサの
ESL
によるl
maxの変化が大きくなる傾向があることがわかります。このように低
ESL
のコンデンサではl
maxが大きくなるため、コンデンサの配置の自由度が大きくなり、また、1つのコンデンサの有効範囲も広くなるので、より少ないコンデンサで広範囲の
PDN
をカバー できるようになるといえます。なお、図
7-7〜図 7-10
において0.2Ω@100MHz
以下を狙う場合などでは、1つのMLCC
では前 述のように2 π f
TESL
capがZ
Tよりも大きくなりますので「配線不可能」となります。このような場合には、8 章で述べるように複数のコンデンサを並列に使い、ESLcapを小さくする必要があります。また、4章で紹 介した低ESL
コンデンサを使うこともESL
capが小さくなりますので有効です。また、以上の説明は、電源配線が
MSL
としてみなせること、対象周波数が配線の長さに比べて十 分低いことを前提としています。したがって、例えば片面基板のようにMSL
とはみなせないときや、周 波数が高くなって配線の共振が表れる領域では適用できません。IC 電源端子 コンデンサ
・3端子コンデンサ(ESLcap=0.05nH想定)
・LW逆転コンデンサ(ESLcap=0.2nH想定)
・MLCC最良条件(ESLcap=0.5nH想定)
・MLCC通常条件(ESLcap=1nH想定)
配線断面構造
h w
グラウンド層 電源配線
ターゲットインピーダンス ZT= 0.1、0.2、0.5、1、2、5 (Ω)
ターゲットインピーダンスの最大周波数 fT@PCB=100MHz
最大許容配線長lmaxを計算 w=0.1〜10 (mm)
h=0.1、0.2、0.4、0.8 (mm)
IC 電源端子 コンデンサ
・3端子コンデンサ(ESLcap=0.05nH想定)
・LW逆転コンデンサ(ESLcap=0.2nH想定)
・MLCC最良条件(ESLcap=0.5nH想定)
・MLCC通常条件(ESLcap=1nH想定)
配線断面構造
h w
グラウンド層 配線断面構造
h w
グラウンド層 電源配線
ターゲットインピーダンス ZT= 0.1、0.2、0.5、1、2、5 (Ω)
ターゲットインピーダンスの最大周波数 fT@PCB=100MHz
最大許容配線長lmaxを計算 w=0.1〜10 (mm)
h=0.1、0.2、0.4、0.8 (mm)
図 7-6 計算条件
h=0.4 3端子コンデンサ
1 10 100
0.1 1 10
配線幅w(mm)
最大許容配線長lmax(mm)
5Ω以下 2Ω以下 1Ω以下 0.5Ω以下 0.2Ω以下 0.1Ω以下 h=0.1 3端子コンデンサ
1 10 100
0.1 1 10
配線幅w(mm)
最大許容配線長lmax(mm)
5Ω以下 2Ω以下 1Ω以下 0.5Ω以下 0.2Ω以下 0.1Ω以下
h=0.2 3端子コンデンサ
1 10 100
0.1 1 10
配線幅w(mm)
最大許容配線長lmax(mm)
5Ω以下 2Ω以下 1Ω以下 0.5Ω以下 0.2Ω以下 0.1Ω以下
h=0.8 3端子コンデンサ
1 10 100
0.1 1 10
配線幅w(mm)
最大許容配線長lmax(mm)
5Ω以下 2Ω以下 1Ω以下 0.5Ω以下 0.2Ω以下 0.1Ω以下 h=0.4 3端子コンデンサ
1 10 100
0.1 1 10
配線幅w(mm)
最大許容配線長lmax(mm)
5Ω以下 2Ω以下 1Ω以下 0.5Ω以下 0.2Ω以下 0.1Ω以下 h=0.1 3端子コンデンサ
1 10 100
0.1 1 10
配線幅w(mm)
最大許容配線長lmax(mm)
5Ω以下 2Ω以下 1Ω以下 0.5Ω以下 0.2Ω以下 0.1Ω以下
h=0.2 3端子コンデンサ
1 10 100
0.1 1 10
配線幅w(mm)
最大許容配線長lmax(mm)
5Ω以下 2Ω以下 1Ω以下 0.5Ω以下 0.2Ω以下 0.1Ω以下
h=0.8 3端子コンデンサ
1 10 100
0.1 1 10
配線幅w(mm)
最大許容配線長lmax(mm)
5Ω以下 2Ω以下 1Ω以下 0.5Ω以下 0.2Ω以下 0.1Ω以下
図 7-7 3端子コンデンサ 最良条件(ESLcap=0.05nH)
h=0.4 LW逆転コンデンサ
1 10 100
0.1 1 10
配線幅w(mm)
最大許容配線長lmax(mm)
5Ω以下 2Ω以下 1Ω以下 0.5Ω以下 0.2Ω以下 0.1Ω以下 h=0.1 LW逆転コンデンサ
1 10 100
0.1 1 10
配線幅w(mm)
最大許容配線長lmax(mm)
5Ω以下 2Ω以下 1Ω以下 0.5Ω以下 0.2Ω以下 0.1Ω以下
h=0.2 LW逆転コンデンサ
1 10 100
0.1 1 10
配線幅w(mm)
最大許容配線長lmax(mm)
5Ω以下 2Ω以下 1Ω以下 0.5Ω以下 0.2Ω以下 0.1Ω以下
h=0.8 LW逆転コンデンサ
1 10 100
0.1 1 10
配線幅w(mm)
最大許容配線長lmax(mm)
5Ω以下 2Ω以下 1Ω以下 0.5Ω以下 0.2Ω以下 0.1Ω以下 h=0.4 LW逆転コンデンサ
1 10 100
0.1 1 10
配線幅w(mm)
最大許容配線長lmax(mm)
5Ω以下 2Ω以下 1Ω以下 0.5Ω以下 0.2Ω以下 0.1Ω以下 h=0.1 LW逆転コンデンサ
1 10 100
0.1 1 10
配線幅w(mm)
最大許容配線長lmax(mm)
5Ω以下 2Ω以下 1Ω以下 0.5Ω以下 0.2Ω以下 0.1Ω以下
h=0.2 LW逆転コンデンサ
1 10 100
0.1 1 10
配線幅w(mm)
最大許容配線長lmax(mm)
5Ω以下 2Ω以下 1Ω以下 0.5Ω以下 0.2Ω以下 0.1Ω以下
h=0.8 LW逆転コンデンサ
1 10 100
0.1 1 10
配線幅w(mm)
最大許容配線長lmax(mm)
5Ω以下 2Ω以下 1Ω以下 0.5Ω以下 0.2Ω以下 0.1Ω以下
図 7-8 LW 逆転コンデンサ 最良条件(ESLcap=0.2nH)
(ZT=0.1Ω以下は配線不可能)
h=0.4 MLCC最良条件
1 10 100
0.1 1 10
配線幅w(mm)
最大許容配線長lmax(mm)
5Ω以下 2Ω以下 1Ω以下 0.5Ω以下 0.2Ω以下 0.1Ω以下 h=0.1 MLCC最良条件
1 10 100
0.1 1 10
配線幅w(mm)
最大許容配線長lmax(mm)
5Ω以下 2Ω以下 1Ω以下 0.5Ω以下 0.2Ω以下 0.1Ω以下
h=0.2 MLCC最良条件
1 10 100
0.1 1 10
配線幅w(mm)
最大許容配線長lmax(mm)
5Ω以下 2Ω以下 1Ω以下 0.5Ω以下 0.2Ω以下 0.1Ω以下
h=0.8 MLCC最良条件
1 10 100
0.1 1 10
配線幅w(mm)
最大許容配線長lmax(mm)
5Ω以下 2Ω以下 1Ω以下 0.5Ω以下 0.2Ω以下 0.1Ω以下 h=0.4 MLCC最良条件
1 10 100
0.1 1 10
配線幅w(mm)
最大許容配線長lmax(mm)
5Ω以下 2Ω以下 1Ω以下 0.5Ω以下 0.2Ω以下 0.1Ω以下 h=0.1 MLCC最良条件
1 10 100
0.1 1 10
配線幅w(mm)
最大許容配線長lmax(mm)
5Ω以下 2Ω以下 1Ω以下 0.5Ω以下 0.2Ω以下 0.1Ω以下
h=0.2 MLCC最良条件
1 10 100
0.1 1 10
配線幅w(mm)
最大許容配線長lmax(mm)
5Ω以下 2Ω以下 1Ω以下 0.5Ω以下 0.2Ω以下 0.1Ω以下
h=0.8 MLCC最良条件
1 10 100
0.1 1 10
配線幅w(mm)
最大許容配線長lmax(mm)
5Ω以下 2Ω以下 1Ω以下 0.5Ω以下 0.2Ω以下 0.1Ω以下
図 7-9 MLCC 最良条件(ESLcap=0.5nH)
(ZT=0.2Ω以下は配線不可能)
h=0.4 MLCC通常条件
1 10 100
0.1 1 10
配線幅w(mm)
最大許容配線長lmax(mm)
5Ω以下 2Ω以下 1Ω以下 0.5Ω以下 0.2Ω以下 0.1Ω以下 h=0.1 MLCC通常条件
1 10 100
0.1 1 10
配線幅w(mm)
最大許容配線長lmax(mm)
5Ω以下 2Ω以下 1Ω以下 0.5Ω以下 0.2Ω以下 0.1Ω以下
h=0.2 MLCC通常条件
1 10 100
0.1 1 10
配線幅w(mm)
最大許容配線長lmax(mm)
5Ω以下 2Ω以下 1Ω以下 0.5Ω以下 0.2Ω以下 0.1Ω以下
h=0.8 MLCC通常条件
1 10 100
0.1 1 10
配線幅w(mm)
最大許容配線長lmax(mm)
5Ω以下 2Ω以下 1Ω以下 0.5Ω以下 0.2Ω以下 0.1Ω以下 h=0.4 MLCC通常条件
1 10 100
0.1 1 10
配線幅w(mm)
最大許容配線長lmax(mm)
5Ω以下 2Ω以下 1Ω以下 0.5Ω以下 0.2Ω以下 0.1Ω以下 h=0.1 MLCC通常条件
1 10 100
0.1 1 10
配線幅w(mm)
最大許容配線長lmax(mm)
5Ω以下 2Ω以下 1Ω以下 0.5Ω以下 0.2Ω以下 0.1Ω以下
h=0.2 MLCC通常条件
1 10 100
0.1 1 10
配線幅w(mm)
最大許容配線長lmax(mm)
5Ω以下 2Ω以下 1Ω以下 0.5Ω以下 0.2Ω以下 0.1Ω以下
h=0.8 MLCC通常条件
1 10 100
0.1 1 10
配線幅w(mm)
最大許容配線長lmax(mm)
5Ω以下 2Ω以下 1Ω以下 0.5Ω以下 0.2Ω以下 0.1Ω以下
図 7-10 MLCC 通常条件(ESLcap=1nH)
(ZT=0.5Ω以下は配線不可能)
8.コンデンサを組み合わせた
PDN
の構成IC
の電源端子に接続される電源配線やデカップリングコンデンサなどは、全体でPDN
と呼ばれま す1)。このPDN
の性能指標の一つに、ICの電源端子からPDN
をみたときのインピーダンス(電源イ ンピーダンス)があります。電源インピーダンスの小さいPDN
ほど、電流供給性能が良く、電源品位(Power Integrity :以下
PI)が高いといえます。また、6章で述べたように、電源インピーダンスが小
さいほど、ICの電源電流が変化したときの電圧変動も小さくなります。大規模・高速な