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EL発症時期の意義

ドキュメント内 Jpn. J. Vas. Sur. 26S: 17SupplS14 (2017) (ページ 74-151)

○東 亮太、稗田 哲也、飯島 誠、牧野 裕 王子総合病院 心臓血管外科

【背景と目的】EVAR術後において、Type II endoleak(EL)の頻度は多く、また術後様々な時期にその発症を認めるが、

治療に関して一定の見解がない。今回我々は、Type II ELの発症時期が術後の瘤径変化に及ぼす影響について検討した。

【方法】2008 年 4 月~ 2016 年 6 月末までに当院で施行した EVAR 症例中、腸骨動脈瘤もしくは退院後のフォローで単純 CTのみの症例を除いた172例を抽出した。そこからELを認めなかった症例をN群(103例)、退院時にType II ELを認 めた症例をE群(29例)、退院時にELがなくフォロー中にType II ELを認めた症例をL群(20例)とし、患者背景・術中・

術後因子について 3 群間で比較検討した。後述する術前後の瘤径変化率は、最終フォロー時と術前の最大短径の差を術 前の最大短径で除した値とした。瘤径拡大速度は、N群では術前と最終フォロー時の最大短径の差を月数で除した値とし、

E・L群では、(1)ELを認める直前(E群は術前の最大短径)と、ELが消失した直後の最大短径の差、(2)ELが消失しない、

あるいはEL消失直後の値がなければ、最終フォロー時の最大短径の差を月数で除した値とした。

【結果】患者背景:N群 vs E群 vs L群=平均年齢[歳](75.6 vs 76.1 vs 78.7,NS)、高血圧[%](59.2 vs 82.8 vs 23.8,P<

0.05)、糖尿病[%](8.7 vs 3.4 vs 25.0,P<0.05)、抗血小板薬[%](27.7 vs 13.3 vs 26.3,NS)、抗凝固薬[%](1.1 vs 0 vs 5.3,NS)。術中因子:N群 vs E群 vs L群=Excluder[%](28.1 vs 44.9 vs 40.0,NS)、Zenith[%](31.1 vs 24.1 vs 35.0,

NS)、Endurant[%](40.8 vs 31.0 vs 25.0,NS)、手術時間[分](136.6 vs 133.2 vs 139.1,NS)、出血量[ml](227.8 vs 194.9 vs 182.2,NS)、輸血[単位](0.17 vs 0 vs 0,NS)。術後因子:N群 vs E群 vs L群=追跡年数[年](1.6 vs 1.6 vs 1.8,

NS)、瘤径変化率[%](-15.5 vs -1.8 vs -5.2,P<0.05)、瘤径拡大速度[mm/月](-0.69 vs -0.9 vs 0.20,NS)。

【結語】Type II ELの存在は、出現時期に関わらず術後瘤径縮小効果に不利であることが示された。今回の検討では有意 差はないものの、Type II ELの発症時期が遅い群において急速に瘤径拡大をきたす傾向があった。今後更なる症例数の 蓄積とフォロー期間を延長することで、Type II EL出現時期の意義がさらに明確になる可能性が示唆された。

腹部大動脈ステントグラフト内挿術後のエンドリークに対する追加治療症例の検討

○前田 達也、永野 貴昭、比嘉 章太郎、安藤 美月、戸塚 裕一、新垣 涼子、喜瀬 勇也、稲福 斉、山城 聡、

 国吉 幸男

琉球大学大学院 胸部心臓血管外科学

(はじめに)腹部大動脈ステントグラフト内挿術(EVAR)は低侵襲治療であるが、術後経過中にエンドリーク(EL)によ る瘤の再拡大に対する追加治療が大きな問題点である。今回、我々の施設での EVAR 術後 EL に対する追加治療を行っ た症例について検討を行ったので、報告する。(対象)2009年3月から2016年10月までの期間で、腹部大動脈瘤に対して EVARを施行した297例(年齢77±5.7歳、男性83%)中、ELに対して追加治療を行った症例14例(4.7%)を対象とした。

14例の内訳は、Type1a 1例、Type1b 2例、Type2 10例、Type5 1例であった。

(結果)Type1aの症例は、Angled neckの症例に対してEndurantを用いてEVARを施行した症例で、術後に逆行解離を 発症。ごくわずかなType1aエンドリーク残存し、経過フォローしていたが、拡大傾向を認めたため、Re-EVAR(左腎動 脈Chimney)を施行した。術後にType1bを認めた症例は3例(1%)あり、そのうち拡大傾向の見られた2例で追加治療を 行った。ともにExcluder使用症例で、内腸骨動脈塞栓+脚追加を行った。しかし、2例ともに、追加治療後もType2が みられており拡大傾向が持続。1例で経動脈的塞栓術(TAE)を施行した。術後にType2を認めた症例は64/297例(21.5%)

で、そのうち11/64例(17.2%)で5mm以上の瘤径拡大がみられ、9例にTAEを施行(Type1bに対する追加治療後の症例 含む)した。TAE 後に 3 例で瘤の拡大が持続し、別経路での Type2の出現がみられたため、2例で再度TAE を施行した が、1 例は破裂にて開腹腰動脈結紮術を施行した。Type2 の出現頻度はデバイス別では Zenith が 32% と多くみられた。

Type5 の症例は、Zenith を用いて EVAR を施行し、経過で瘤拡大がみられたが、造影 CT で明らかなエンドリークが確 認できず、endo tensionと判断し、Re-EVAR(EPL)を施行した。その後は、瘤の縮小が得られている。

(考察)平均フォローアップ期間3.4±1.8年において、初回の追加治療を要するまでの期間は平均で2.2±0.6年であった。

デバイス別では Zenith で追加治療の頻度が高く(20%)、他デバイスと有意差がみられた。また、2 回以上の追加治療を 要した症例も4例(1%)に見られ、初期追加治療から平均1.4±0.5年で2回目の追加治療を必要とした。

(結語)EVAR後の瘤拡大を伴うELに対してTAEやRe-EVARは有効な手段であるが、ELの再出現の可能性は残されて おり、慎重なフォローアップが肝要である。

EVARにおける治療介入が必要であったtype 2エンドリークの検討 −Dダイマーを中心に−

○大澤 晋、藤井 泰宏、増田 善逸、黒子 洋介 岡山大学病院 心臓血管外科

昨今のステントグラフトデバイスの進歩によって,今まで治療介入が困難であった腹部大動脈瘤ハイリスク患者へのス テントグラフト治療(以下,EVAR)が拡大している.その中でも type 2 エンドリーク(以下,Ty2EL)については多数 の議論があるところで,その予防的前処置として腰動脈塞栓を行うことも多いが,その有効性については議論があると ころである.今回,我々は自験例において追加治療を必要としたTy2EL症例(以下,EL(+))について,比較検討を行った.

症例は,2010 年 1 月から 2015 年 12 月までに当院で行い,追跡調査が可能であった EVAR 症例 47 例を対象とした.平均 年齢 78.3 歳(男女比 4:1),EL(-)41 例,EL(+)6 例,使用デバイスは Zenith 13(4)例,Excluder 13(1),ENDURANT 18(1),PowerLink 2(0),Aorfix 1(0)であった(カッコ内は EL(+)群数).術前塞栓介入率は EL(-)65.9%,EL(+)

50.0%,有効腰動脈開存はEL(-)1.89本,EL(+)2.67本,有効腰動脈塞栓率EL(-)73.4%,EL(+)0%(p<0.01),平均フォロー アップ期間はEL(-)15.6か月,EL(+)44.5か月(p<0.05),期間中の動脈瘤経拡大率はEL(-)87.8%,EL(+)142.7%(p<0.05)

であったがEL(+)群内で術前径と追加治療介入前径の間には有意差は認められなかった(pre 47.5mm vs. post 63.5mm;

p=0.08).血液検査では,EL(+)群でDダイマーが術前からやや高値(7.2 vs. 17.3µg/ml;p=0.09)傾向であり,術後一週 間(10.6 vs. 21.7µg/ml;p<0.05)および追加治療直前(12.7 vs. 25.4µg/ml;p<0.05)で有意差を認めた.腰動脈塞栓率が 有意に術後の Ty2EL の発生に関連していると考えられ,事前塞栓を行うことが,Ty2EL 発生抑制に関連していると考 えられる.また,術前に凝固線溶系の亢進状態が比較的高い場合,トラネキサム酸事前介入出来る可能性も考えられた.

Type2エンドリーク予防のためのAortic Cuffファーストテクニック

○手塚 雅博1、墨 誠1、山城 理仁2、花井 信2、田口 真吾2、小野口 勝久2、大木 隆生3

1埼玉県立循環器・呼吸器病センター 心臓血管外科(血管外科)、2埼玉県立循環器・呼吸器病センター 心臓血管外科(心臓外科)、

3東京慈恵会医科大学附属病院 外科学講座血管外科

【はじめに】腹部ステントグラフト内挿術(EVAR)は一般的な手術となったが、術後エンドリーク(EL)の問題は依然と して残っている。特にType2 ELは経過観察中最も頻繁に観察され、一部の症例では瘤径拡大を来し追加処置を要する。

そのため下腸間膜動脈(IMA)や腰動脈(LA)を術前あるいは術中に塞栓を行う施設もある。しかし、移動式Cアームで EVARと同時に塞栓を行う際には画像解像度が低く、オーバーヒートの問題もある。そのため、当院では初回EVAR時 にまずAortic Cuffを用いてIMAやLAを閉塞させるAortic Cuffファーストテクニック(ACF法)を考案し、Type2 ELを 予防している。今回、ACF法の初期成績と有用性について報告する。

【対象と結果】2014 年 12 月から ACF 法を導入し、2016 年 9 月までに ACF 法で IMA が閉塞可能な 18 例に施行した。平均 動脈瘤径は50.2mm、平均IMA径は3.1mm、平均IMA分岐部動脈径は30.6mmであった。平均手術時間109.3分、同時期 に施行した EVAR の平均手術時間は 108.3 分であり、ACF 法による手術時間の延長は認めなかった。全例で目的部位に Cuffを留置することができ、術中合併症は認めなかった。術後経過では、3例(16.7%)で術後早期にType2 ELを認めた。

1例はIMA由来、2例はLA由来であった。2例は術後半年以内にType2 ELが消失し、術後1年までType2 ELが持続し た症例は炎症性動脈瘤の1例(5.6%)であった。過去9年間に当院で施行したEVAR 425例のうちType2 EL持続例は術後 早期で51例(12.0%)、術後半年で70例(16.5%)、術後1年で63例(14.8%)であった。ACF法との有意差は認めないものの、

ACF法ではType2 ELが少ない傾向であった。

【考察】術後Type2 ELは高頻度で発生し、瘤径拡大をきたすので臨床的に問題となる。諸家の報告どおり、当院の解析 でもEVAR術後1年以内にType2 ELを認める症例は、遠隔期に新たに出現したものに比して長期にわたりELが残存し やすく、瘤径拡大に帰結しやすい傾向があった。そのため、我々も術後1年以内のType2 ELをいかに減らすかが重要で あると考えている。ACF法は、IMAのみならずLA由来の術後Type2 ELを消失させる簡便で有用な方法と考えられる。

EVARにおける遠隔期合併症の現状

○五味渕 俊仁、御子柴 透、町田 海、小松 正樹、市村 創、山本 高照、中原 孝、大橋 伸朗、大津 義徳、

 和田 有子、瀬戸 達一郎、福井 大祐、岡田 健次 信州大学医学部附属病院 心臓血管外科

【目的】ステントグラフト内挿術(EVAR)の登場以来、その低侵襲性より腹部大動脈瘤(AAA)の治療戦略は大きく変遷 した。今回、EVAR治療の遠隔期合併症と追加治療について検討した。

【対象と方法】2008 年 3 月から 2014 年 10 月までに当院で施行した EVAR の手術症例 441 例のうち破裂症例 22 例を除いた 419例を対象とした。年齢76.0±8.2歳、男性353例(84.2%)であった。

【結果】周術期合併症は21例(5.0%)、病院死亡は3例(0.7%)であり、内訳は多臓器不全、腸管壊死、肺炎がそれぞれ1例 であった。追加治療を要した遠隔期合併症は 68 例(16.2%)であり、内訳は瘤径拡大が 39 例(9.3%)、脚閉塞 9 例(2.1%)、

脚狭窄 5 例(1.2%)、脚逸脱 6 例(1.4%)、腎動脈狭窄 9 例(2.1%)、感染 5 例(1.2%)であった。そのうち破裂は 3 例(0.7%)

あり、原因は脚逸脱が 2 例、Type2 endoleak による瘤径拡大が 1 例であった。追加治療の内訳は瘤径拡大に対するコイ ル塞栓術が 21 例(5.0%)(腰動脈塞栓が 7 例、IMA 塞栓が 15 例)、中枢側にステントグラフト追加が 4 例(1.0%)、末梢側 脚追加が13例(3.1%)、開腹手術が17例(4.1%)であった。開腹手術は前期では人工血管置換術を11例施行し、後期では 中枢側Bandingと瘤縫縮術を6例施行した。脚閉塞に対してはF-F bypass術が8例、保存的治療が1例であった。腎動脈 狭窄についてはステント留置術を 8 例施行した。脚狭窄は全例ステント留置を施行した。脚逸脱は全例脚の追加を施行 したが、1例が術翌日にショック状態になったため、開腹手術を施行した。破裂症例は脚逸脱の1例が脚追加で対応可能 であったが、1 例は脚の追加後、翌日にショック状態になったため開腹手術を施行した。Type2 endoleakが原因の瘤径 拡大による破裂症例は開腹手術を施行した。遠隔期成績の平均観察期間は46.4±23.8ヶ月で、遠隔期死亡は108例(25.8%)

であった。1 年生存率は 93.7%、3 年生存率は 81.9%、5 年生存率は 73.2% であった。追加治療回避率は 1 年が 93.9%、3 年 が86.8%、5年が81.5%であった。

【結語】EVARにおける遠隔期合併症と追加治療について検討した。EVAR手術侵襲が少ないものの遠隔期合併症は多く、

長期の follow や追加治療が必要となる。特に瘤径拡大が最も多く、複数回の治療が必要となることが多い。開腹手術で の中枢側Bangingと瘤縫縮術は人工血管置換術と比較して侵襲が少ないため、瘤径拡大症例には選択肢の一つとして検 討していくことが有用であると思われた。

ドキュメント内 Jpn. J. Vas. Sur. 26S: 17SupplS14 (2017) (ページ 74-151)

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