4.1 マニュアルの目的

プロジェクトに DBを採用する際、また実際にDBが設置される際に関わるすべての関係者 が、DB の正しい機能及び設置・運用方法を理解し、適切に DB を機能させることを目的に、

プロジェクトコスト見積もり時の DBの設置に必要な費用の積算やアジュディケーター選定プ ロセス、また DB 設置後の現地訪問、支払い等、DB の設置と運用に必要な一連の情報及びプ ロセスをまとめたマニュアルを作成した。

マニュアル作成は「業務主任」、「国際契約2」がマニュアルのフレーム・ワークを構成し、

「国際契約2」が本文を執筆、「外部専門家」のレビューを経て最終ドラフトを作成した。「JICA DB Training Kit」作成に貢献されたゴードン・ジェーンズ氏のレビューを得て、さらに質の高 いマニュアルの完成を見た。

4.2 マニュアルの構成と概要

JICAローン借入国の政府・役所高官のようにDBプロセスの概要だけ知りたい読者には「エ グゼクティブ・サマリー」を読んでもらい、実務担当者のように詳細まで知りたい読者には

「Appendices」を読んでもらうという2部構成とした。

マニュアルの概要は以下のとおりである。セクション3以下は、同じ番号のAppendixに詳 細を記述した。

Acknowledgement

本マニュアルの作成に携わった人、貢献した人々に謝意を表する。

Preface

本マニュアルの提供者であるJICAのまえがき。

1. Introduction

本マニュアルの目的を示す。また、DBの最大の特徴である紛争の予防を強調した。Ad hoc DB がこの特徴を欠いていることを指摘し、使用にあたっての留意点を指摘した。本マニ ュアルが他の融資期間や民間でも利用されることを勧めている。

2. Brief Explanation of DB

DB コンセプトを概説した。これによってすでに知識がある人はおさらいをし、知識がな い人は基本を学ぶことができる。

3. Consideration at Pre-implementation Stage

発注機関に対してプロジェクト計画時に何をすべきかを示すガイドである。プロジェクト のアプレイザル時にDBコストをプロジェクトの予算として組み込むための作業フローが

示されている。DB採用の決定、1人メンバーのDBか3人メンバーのDBかを決定すれば 工期の長さを考慮して、DB コストを見積もることができる。見積もりでは大型で複雑、

工期も長くかかるプロジェクトに国際的DBアジュディケータを3人用いる場合と、比較 的単純で工期もあまり長くない中・小型プロジェクトにローカル・アジュディケータ1人 を用いる場合の見積もり例を示している。

4. Consideration at preparation of Tender documents

発注者がコンサルタントの助けを借りて入札図書を作成するときに、DB 関連ではどのよ うな情報を盛り込む必要があるかを示した。Contract DataにはDB設置の期日、DBメン バーの数(1または3)、もしDBメンバーの選択が合意されないときに指名を依頼する指 名機関名を記入しなければならない。また、発注者のDBコスト負担分の支払いを可能に する「Provisional Sum」をBQ(数量・単価表)に設けるべきことを示した。

5. Selection of DB members

DBメンバーの選び方を示し、選択手順のフロー・チャートを示した。どこで DBメンバ ーを探すかを示唆し、選択の合意が得られなかった時にどのように指名機関を使って指名 してもらうかのガイドとした。DBメンバーの報酬の合意や3者合意書の調印についても 説明している。

6. Remuneration of DB members

DBメンバー報酬、必要経費の支払い手順を解説した。

7. Site Visit

DBの現場訪問(Site visit)の契約書上の規則を解説し、初回の訪問の重要性、定期的訪問 の実務、訪問レポート(Site visit report)の意義と注意点を説明した。

8. Information to DB during Intervals between Site visit

現場訪問と次回の訪問の間にDBメンバーに提供すべき情報とその方法について解説。必 要な情報には毎月出来高調書、アップデートされた工程表、必要なクレーム・ノーティス、

変更などが含まれる。また、それら情報の伝達方式、たとえばインターネットまたはハー ド・コピーの使い分けについて説明した。

9. DB Informal opinions

DB による非公式見解・助言・勧告が紛争の予防に非常に役立っていることを指摘した。

当事者がDBに依頼することを合意して初めて要請できる。これらに拘束力はないが、受 け入れるのは当事者の自由である。また、これらをベースにさらなる交渉を続けることに よって和解に至る可能性は高い。

10. Referral and DB Decision

正式な紛争に至ってしまった場合には、その紛争はDBに付託され裁定が求められる。本 章では紛争解決手続きのフロー・チャートを示した。DB への付託手続きはフレキシブル であり、契約条件はDBがコスト・セーブと時間ロスをできるだけ防ぐ方法をとることを 規定している。裁定は付託後 84 日以内に出さなければならないが、以外に短いので注意 が必要となる。

11. Amicable Settlement

DB裁定に不服申し立てを提出しても、56日以内は仲裁を始めることができない。この期 間に当事者は和解の努力をすることが求められている。この期間を当事者のトップ・マネ ジメントがDB裁定を承認すれば仲裁は回避される。いわゆるミニ・トライアルや模擬仲 裁の手法を用いて和解交渉をすることが推奨される。

12. Arbitration

入札図書の作成時に仲裁に関連する情報をContract Dataに記入しなければならないが、具 体的な必要情報の解説をした。また、契約条件書の仲裁条項のあいまいさも指摘している。

最後に仲裁にかかる費用の膨大さ、仲裁判断の不確定さを考えて、和解を勧めている。

ドキュメント内 No. アジア地域における紛争裁定委員会 (Dispute Board) 普及, 及びアジュディケーター育成体制整備促進のための企画検討調査 調査報告書 平成 24 年 3 月 (2012 年 ) 独立行政法人国際協力機構 (JICA) 委託先日本工営株式会社 ( 社 ) 日本コンサルティング エン (Page 30-33)