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―CRLA チューター研修認定を参考に―

1.はじめに

高等教育界において、学生が学生を支援する「ピア・サポート」活動が広まり を見せているが、法政大学もピア・サポート活動を行なっている大学のひとつで ある。法政大学は、文部科学省の新たな社会的ニーズに対応した学生支援プログ ラム(以下、学生支援 GP)に採択され、2007 年度から 2010 年度まで学生による 学生支援の方策を企画・実施した。その後の 2011 年度に、「学習ステーション」

が学生の授業時間以外の学習活動のサポートを目的に開設された。学習ステーショ

ンは、学内の学生に向け、学生スタッフが主導となって行なうプログラム(以下、

学生プログラム)、教職員によるプログラム、産学連携企画や学生向けガイドブッ ク作成などのプロジェクトを実施する場となっている。

学生プログラムでは、およそ2~3名の学生スタッフを1チームとして、具体 的な実施内容を彼ら自身が企画し、実施するに至る。しかし、これまでの学生プ ログラム参加者数は、学習ステーションの最大収容人数1を大きく下回っており、

学生プログラムに改善の余地があるといえ、その際の重要な要因として学生スタッ フの能力について着目することとした。なぜなら、学生スタッフは、学生プログ ラムの企画から実施までを担っているため、彼ら自身の能力を開発する方策を打 ち出すことにより、持続的に学生プログラムは改善されるのではないかと考えた からである。

そこで本研究では、他大学における学生スタッフ養成の研修事例、および CRLA チューター養成認定制度 ITTPC(International Tutor Training Program Certification)を踏まえ、学習ステーションの学生スタッフの研修プログラムと比 較し、研修制度充実化に向けた一提案を行なう。

1.他大学事例の紹介

香川大学では、ピア・サポートに関する能力を学内基準にて認定する制度であ る CPS(Certificate for Peer Support)を 2008 年度から 2011 年度まで実施していた。

学生支援に関する基礎的な内容を扱う正課科目を履修することで第1段階、課外 講座による研修を受けることで第2段階、支援活動を行ない、活動に関するレポー トを作成し、担当教職員に適切と認められると第3段階の認定を大学から授与さ れる。正課科目の事例としては、学内や他大学のピア・サポートの実践例を学び、

グループワークを通じて自分たちにできるピア・サポートの企画を行なうものが ある。課外講座では、コミュニケーション力や異文化理解力、信仰力、アピール 力などの養成を目的として開講されており、そのほとんどが 90 分の講座となって いる2。つまり、第1段階の認定には正課科目による評定、第2段階は研修時間や 内容、第3段階はピア・サポートの内容や質について見ているといえる。

他としては、大学院生 TA を対象とする「北海道大学 TA 研修マニュアル」、青 山学院大学経営学部マーケティング学科の初年次教育科目「マーケティング・ベー シックス I」における SA 研修プログラムなども参考となる例がある。

2.CRLA チューター養成認定制度 ITTPC

ITTPC で は、 研 修 レ ベ ル と チ ュ ー タ ー 学 生 の 経 験 に よ っ て、Regular、

Advanced、Master の3段階の研修制度について認定のレベルを設けている。

Regular の認定レベルの場合、10 時間で、チュータリングに関する基礎知識や、ゴー ルの設定、参照スキルなどの8項目以上を含む研修を行なうこととされている。

実際のチューター経験時間も認定内容に設定され、業務に就いた内容も評価の対

象となることがいえる。しかし、評価基準については明確な表記がないが、定期 的に行なわれ、結果をチューター本人に通知することが求められている。

2011 年 10 月現在、この ITTPC の認定を、名桜大学の言語学習センターにおけ るチューター育成プログラムは、日本で唯一受けている。そのトレーニング内容 のうち3分の2は先輩チューターによるセッションとなり、残りは教職員によっ て行なうとある3

3.まとめ

学習ステーションでは、セメスター毎に書類選考を通過した学生を対象に、3 時間程度の研修プログラムが用意され、学生スタッフ間の情報共有や各種プログ ラムの改善のため、学生スタッフと教職員によって定期的に会議を行なっている。

研修プログラムでは、コミュニケーションに関して、また業務に当たっての注意 事項について触れるのみとなっている。そのため、香川大学にあるような「企画 の構想」の練習、ITTPC にあるような「ゴールの設定」や「参照スキル」が指す 資料収集能力について、現状の研修プログラムでは扱えていないといえる。すな わち、研修プログラムが扱う範囲を拡大し、より広範囲にわたる能力開発を受け た学生スタッフが、学生プログラムについてのセメスターを通した目標の設定と、

各回の目的を意識しつつ、業務に就くことが想定されよう。また、e ラーニングを 研修の復習教材として併用し、定期的に学習させることで、研修内容で扱った範 囲の定着を促すことが考えられる。さらに、学生プログラムの目標と目的の設定は、

各回および企画全体を通しての省察を可能にするであろう。学生プログラムの実 施後、学生スタッフはチームのうち1人が報告書を書くことが義務付けられてお り、担当メンバー、学生プログラムの参加者人数と所属、実施内容について記入 する。ここに、達成度の自己評価が加わることで、より具体的に次回へ向けた省 察が行えることが期待される。

1 座席数は 24 席ある。

2 2011 年度に 120 分講座、2010 年度に 180 分講座と 120 分講座、2009 年度に1 泊2日が2講座、2日にわたる講座がある。(香川大学 学生支援プログラム  主体性の段階的形成支援システム(CPS), http://cps.ca.kagawa-u.ac.jp/about/

schedule.html, 参照日 2013/11/12)

3 津嘉山 淳子, Stephen A. Templin「名桜大学言語学習センターの活動と CRLA 証明書(ITTPC)」,『国際的保証制度 ITTPC 認定プログラムによる学 生チューターの育成と学習支援』, 日本リメディアル教育学会, 2011, pp.16-17

 

田邊美樹(大嶋ゼミ)

●発表タイトル

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