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多民族が住む注意地域の地下鉄を出てすぐの店舗を 2 日間かけて視察。

150坪ほどの店だが、低所得者を中心に客は常によく入っている。

フリーザー・センターと言っても、 「冷凍食品」だけではない。

入口には、野菜や果物も販売し、チルド食品やドライ食品や雑貨なども低価格 で販売している。

レイアウトは、店の壁面の二分の一が、リ―チインの冷凍ケース、それに続き チルドの冷蔵ケースが並ぶ。中通路には、冷凍平ケースが両側に配置されてい る。

企業の宣伝用スローガン: 「だからお母さんはアイスランドへ行く」

PB商品ばかりの品揃えであると思いきや、NB商品が意外と多い。

£1、£2、£3と、価格レンジが明確にされ、特に、£1商品の品揃えが多 く、1.8kgのポテト、£1、8kgもありそうなIQFのホーレン草が£1 など、大型パックがズバ抜けて安いのが特徴である。

また、大型のパーティ用品が低価格で常に品揃えされているのも特徴で、この 点は日本も見習いたい。

販促方法は、 「バンドル販売」が中心で、1 パック£3、2パック£5の表字が よく目立つ。勿論「低価格の£1 レディ・ミール」の品揃えも充実している。

客の殆どが、 「低所得者層」である。チルドのレディ・ミールは品揃えされてい ない。

チルドのレディ・ミールは、中間層以上という構図が見えてくる。

(3)チルド商品やドライ食品の価格も安い。

大型パックのみを購入して、試食をしてみたが、レベルは思った程低くない。

「日本に今すぐに導入出来る業態ではない」

「アイスランド」は、軌道に乗るまで、4 年間も「赤字」を出している。それで も、我慢して現在に至っている。日本の冷凍食品の需要がさらに拡大すれば、

将来はチャンスがあると思われる。

6.イギリスの「アイスランド」とフランス「ピカール」との違い

今、フランスで注目されている冷凍食品専門店企業は、 「PICARD(ピカー ル) 」です。店舗数は800店舗とアイスランドと変わらない。2社の大きな違 いは、アイスランドは「低所得者をターゲット」にしているのに対し、ピカー ルは「中間層をターゲット」にしている点だ。

次に、アイスランドの冷凍食品の売上構成比が50%であるのに対し、ピカー ルは99%である。ピカールの方がより冷凍食品に注力している。

ピカールは非上場企業であるため、数字は明らかにされていないが、アイスラ

ンドの数字からかなりの高収益企業であると推測する。

まとめ

1.コンビニに十分対抗できるSMのフォーマット

日本もイギリスと同じように「レディ・ミール」の需要は今後高まると思われ ます。ただし、今の商品では、コンビニの10倍規模の都市型小型店を作るこ とはできません。賞味期限がD+1、2では扱い品目の飛躍的拡大は難しいと 思われます。

「ガス充填」または「袋入り」で、製造から1週間程度の賞味期限を実現する だけの「商品のイノベーション」が必要です。

「コンビニに客を奪われている」と言われていますが、イギリスを見る限りに おいては、逆に「都市型、ミールソリューション型」の小型スーパーマーケッ トが主流です。現在はコンビニ主導の商品開発だが、SM主導の商品開発が必 要。コンビニでは、500アイテムの品揃え、30台ものセルフレジを設置で きない。

2. 「世界の料理」「こだわりの料理」がスーパーマーケットで買える未来 日本では世界各国の料理が居ながらにして食べられるレストランが数多くあり ます。「スペインのタパス料理」を食べたければ、「スペイン料理 タパス」と 検索すればインターネットで店を探すことができます。また、「マクロビ料理」

の店も探すこともできます。

料理食材や惣菜を提供するスーパーマーケットは、はたしてお客の要望に答え ているでしょうか。テレビ番組の約40%が料理番組または料理が登場すると いわれている現在、家庭でテレビに登場した料理食材を全て提供できていませ ん。特別な料理を作りたくても専門店を探さなければ特別な食材を手に入れる ことができないのが現状です。

そうであれば、料理食材やソースがセットになっていてフライパンで炒めるだ け、電子レンジで温めるだけで「世界の料理」や「こだわり料理」がスーパー マーケットで販売されていれば「買って食べてみたい」という需要が生まれま す。そうした時代が近い将来訪れるのではないかと思われます。

3.SM のインストア惣菜はもうこれ以上拡大されない。

PROGRESSIVE GROCER 2011/9 JRC 作成(日本リテイリングセンター資料)による と、アメリカの SSM の売上構成比は、鮮魚、精肉部門 15.5% 青果 10.8% デ イリー8.7% 冷凍食品 6.8% デリカ 4.7% ベーカリー5.2%である。デリカ 部門の詳細は、サービスデリ 3.4%、

セルフデリ 1.3%と、ホールフーズやウェグマンのようなデリカ強化型の店を除

けば、デリカの売上構成比は高くない。冷凍食品がデリカの約2倍もの構成を

持っている。日本の冷凍食品の売上構成比は2%以下であることから、中食市 場においても冷凍食品の市場が拡大されることが予想される。

注目されていた日本の惣菜に関しては、ロス、コスト高の問題で、デパートや 大型店を除けば、インストア惣菜は今以上の拡大は期待できない。むしろ SM に おいては縮小傾向に向かうのではないかと思われます。その分、チルドや冷凍 の「レディ・ミール」や「即食系商品」などのアウトパック商品の売場が現在 の2倍、3倍に拡大されるように思われます。

4.ロングチルド、冷凍食品の RTC、RTH、RTE 商品の需要が高まる。

「RTC 商品」とは、食材やソースがセットになっていて鍋やフライパンで料理す るだけの商品。 「RTH 商品」とは電子レンジやオーブンで温めるだけの商品。 「RTE 商品」とはそのまま食べられる商品です。料理が面倒という客は、RTH 商品や RTE 商品を購入すれば、食べたい料理をすぐに食べられます。半加工商品、チル ド商品(ロングチルド)、冷凍食品分野の需要がさらに高まる事が予想されます。

5.ロスの削減がカギ

世界の料理をスーパーマーケットで品揃えするには、 「ロス」というリスクが発 生します。今の生鮮売場や惣菜売場で売られている賞味期限の短い商品では品 揃えに限界があります。また、インストア製造も料理を作るスキルやコストの 問題もあり、外部のベンダ―から仕入れるアウトパック商品を販売することに なると思われます。

1週間以上の賞味期限を持つ「ロングチルド」または「冷凍食品」にシフトす ることで、より幅広い品揃えが可能になります。そのためには、料理をパック に入れてチルド保存または冷凍保存する技術が必要になります。

6.今のままの生鮮食品のチルド保存の限界

ポンペイの生鮮市場跡 ポンペイの居酒屋 料理を入れていた跡

写真は2300年前のイタリアの古代都市 ポンペイの生鮮市場跡と居酒屋跡 です。当時は屋根も付いていました。中央に丸く置かれた石は「水槽」であっ たといわれています。現在のように、冷蔵、冷凍技術がなかった生鮮市場では、

鮮度を維持するために、水槽の中で活魚を放つ。動物は生きたまま飼われてい る、指定すれば、生きたままの鶏や豚、羊をその場でさばいてくれる。野菜や 果物は近くの畑から、荷車で運べる量だけ「朝どり」された鮮度の良い野菜や くだものを扱う。現在のスーパーマーケットの鮮度以上の生鮮食品を販売して いた。居酒屋では、できたて料理を提供していた跡が残っています。

2300年以上経った現在、SMはそれ以上の鮮度の向上が図れているでしょ うか。

市場や中食のビジネスモデルは2300年以上続いています。これは「農産物 直売所」 「海産物直売所」の現在のビジネスモデルと同じです。SMのチルド売 場では「鮮度維持」 「鮮度アップ」と叫ばれていますが、死んだ生物の鮮度が上 がることは絶対にありません。実現不可能なむなしい努力なのです。鮮度が高 いうちに売り切る、不足分は加工食品でカバーする方法する方向に向かうよう な気がします。

7.今世紀中に中食、惣菜は何ができるか?

冷蔵、冷凍技術のなかった時代の先人の知恵は、乾燥、塩蔵、糖蔵、発酵など の保存技術を生み出しました。19世紀にはイギリスで「産業革命」が起き、

製麦、製粉技術が発達し、それまでのローマ式の「全粒粉パン」から食べやす い「ホワイトブレッド」が誕生した。それが、日本に波及し「玄米」から「白 米」へと変わった。

20世紀に入ると、缶詰やレトルト食品、真空パック、ボイル殺菌などの包装 技術や添加物、冷蔵、冷凍などの保存技術も開発されました。21世紀に生き ている私たちはいったい何ができるか。その答えは、中食、惣菜は「ガス充填」

「殺菌包装」 「無菌パック」による「ロングチルド」と「冷凍食品」になると思 われます。

食品取扱の三原則は、1、清潔、2.迅速、3.加熱または冷却です。

鮮度を要求される食品は、「清潔」「迅速」「冷蔵」、すなわち昔の市場のように 鮮度の高いうちに売り切る。それができない食品は、 「加熱」または「冷凍」 「冷 蔵(ロングチルド) 」

「加熱調理」された料理を「ロングチルド」または「冷凍」で販売することが

主流になる。

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