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A. mangium の既知 Al 抵抗性遺伝子

ドキュメント内 環境抵抗性マメ科木本植物の 低 (ページ 81-85)

Degenerate PCR法により、A. mangiumの根と培養細胞からNRAT1を除 く6種類の既知Al抵抗性関連遺伝子ホモログが単離され、これらの全長cDNA がクローニングされた。これらの遺伝子と、機能が同定されているシロイヌナ ズナホモログとの相同性は低いものであったが(Table 7)、他植物で機能解析 が行われているホモログ間の相同性も概して低いものであった[ダイズの ALMT1 (Liang et al. 2013)と AtALMT1 では 46%、ユーカリの MATE1

ALS3 (Grisel et al. 2010)とAtALS3では76%]。従って、活性に関わるドメ インのアミノ酸配列などの確認を要するものの、本研究で単離された遺伝子が Al 抵抗性遺伝子として機能している可能性は議論することができると考えら れた。

3-1. ALMT

転写解析の結果、AmALMT1は24時間のAl処理を加えたA. mangium実 生の根で発現し、培養細胞の転写物からは検出されなかった(Fig. 11)。一方 培養細胞を用いて有機酸分析を行ったところ、Al処理を加えた後に培地中への リンゴ酸排出が示された(Fig. 12)。これまでに知られているALMTの転写パ ターンは種によって異なり、コムギの根ではAl応答性を示さず(Sasaki et al.

2004)、シロイヌナズナやダイズの根では Al 処理によって誘導された

(Kobayashi et al. 2007; Liang et al. 2013)。シロイヌナズナでは十数種の ALMTファミリートランスポーターの存在が知られ、これらの中には、葉での 孔辺細胞の開閉に関わるものなど、Alストレス抵抗性以外の役割を果たしてい るものも知られている(Meyer et al. 2010; Koverman et al. 2007)。これらの ことから、本研究で同定された AmALMT は Al 活性型リンゴ酸トランスポー ターとは異なる機能に関与し、A. mangium培養細胞のリンゴ酸排出には別の トランスポーターが関与している可能性も考えられる。

3-2. MATE

MATEはDDRT-PCR法による解析でも検出されたが(AmMATE1; Table 6)、

degenerate PCR 法による解析では AmMATE1 とは異なる塩基配列をもつ遺

伝子が検出され(AmMATE2; Table 7)、2種類のMATE遺伝子が検出された ことになった。AmMATE1は根や地上部で低pHとAl処理に応答した発現上 昇が認められたのに対し(Fig. 15)、AmMATE2は培養細胞と根の両方で明確

には、オオムギで認められた Al 処理には応答しないパターンを示すものと

(Furukawa et al. 2007)、シロイヌナズナやイネの根で認められたAl誘導性 のものがある(Liu et al. 2009; Yokosho et al. 2011)。

トウモロコシでは、Al抵抗性に関わるQTL解析から、Al応答性でクエン酸 排出活性を示しAl抵抗性に関与するZmMATE1と、Al処理に対する応答性を 示さずクエン酸輸送活性を示さないが Al 抵抗性への関与が推察される ZmMATE2の2種類のMATE遺伝子が報告されている(Maron et al. 2010)。 一方、他の MATE ファミリートランスポーターには植物体内での鉄輸送に関 わるものも報告されている(Durett et al. 2007)。これらのことから、Al応答 性ではない発現パターンを示した AmMATE2 もまた、Al ストレス応答性の

AmMATE1とともにAlストレス抵抗性に関与している可能性とともに、他の

機能に関与している可能性が推察される。

3-3. STAR1 とALS3

AmSTAR1とAmALS3は、根と培養細胞の両方でAl処理に応答した発現上 昇が認められた(Fig. 11)。シロイヌナズナの根でAtALS3の発現パターンは Al応答性であったが(Larsen et al. 2005)、AtSTAR1ではAl応答性は認め られなかった(Huang et al. 2010)。シロイヌナズナにおいてAtALS3は主に 細胞膜に局在し、Al の植物体内での輸送に関与すると考えられている。また、

AtSTAR1と相互作用することが示唆されているが、AtSTAR1の機能は不明で

ある。一方イネではOsSTAR1とALS3ホモログのOsSTAR2とが複合体を形 成し、分泌顆粒膜上に局在して細胞外への UDP-グルコースの分泌に関与する とされ、それらの遺伝子は根で Al に応答して発現上昇したことが報告されて いる(Huang et al. 2009)。本研究でA. mangiumから単離されたAmSTAR1

とAmALS3はともにAlによって発現上昇しているので、両遺伝子の産物は相

互作用して機能しているかもしれない。イネとシロイヌナズナで機能が異なっ ている遺伝子が、A. mangiumにおいてどのような役割を果たしているのか興

3-4. ALS1

AmALS1 は 24 時間の Al処理を加えた根と培養細胞において発現上昇が認 められた(Fig. 11)。イネとシロイヌナズナから単離されたALS1はともに液 胞膜に局在し、Alの細胞内への隔離による耐性機構に関わっていると考えられ ている(Larsen et al. 2007; Huang et al. 2012)。また、ALS1の根での転写パ ターンは、シロイヌナズナではAl処理には応答せず、イネではAl応答性であっ た。A. mangiumがAlを蓄積しないexcluderであることから、A. mangium の Al 抵抗性の大部分は Al 排除機構によるものであると考えられるが、ALS1 によるAl耐性もまた機能しているのかもしれない。

3-5. STOP1

AmSTOP1 は、培養細胞と根のどちらにおいても、低 pH や Al処理に対す る明確な転写応答は認められなかった(Fig. 11)。シロイヌナズナの STOP1 やイネの ART1 の転写レベルも低pH や Alに応答性を示さないことが知られ ている(Iuchi et al. 2007; Yamaji et al. 2009)。タバコやミヤコグサLotus japonicusなどのSTOP1ホモログを用いたAtstop1変異体の相補性検定では、

植物種により表現型の回復に相違が認められ、これは種間におけるタンパク質 の構造や機能の相違に起因するものと推察されている(Ohyama et al. 2013)。 Al-exculuderとしての特性を持つA. mangiumにおけるAmSTOP1の機能に 関心が持たれる。さらに、木本植物では、Al-accumulator と Al-exculuder が 存在することと関連して、種ごとのAl抵抗性機構の違いとSTOP1ホモログの 機能の違いも興味深い。

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