PI
5. AST 、 ALT
前回(第
25
回)の調査では試料融解後の安定性の問題が生じAST
は評価しなかったの で、今回(第26
回)のAST
データに関しては前々回第24
回の結果と比較することとした。JSCC
標準化対応法を使用している施設はAST
、ALT
共に全参加352
施設中351
施設(
99.7
%)で、それ以外はドライケミストリー法ビトロスJ
の1
施設のみであった。これ は日本医師会臨床検査精度管理調査における94.7%
をはるかに上回っている。今回の試料活性は
AST
(17~133U/L
)、ALT
(17~138U/L
)で、AST
は前々回と比較 して低活性試料、高活性試料共に活性値が低くなっており、ALT
は前回と比較して低活性 試料の活性値がやや低く、高活性試料はほぼ同程度であった。JSCC
標準化対応法におけ る同程度の活性試料の標準偏差を比較すると、AST
は低活性試料で前々回と同程度、高 活性試料はやや拡大し、ALT
は前回よりやや拡大している結果であった。また日本医師会 臨床検査精度管理調査における近似した活性試料の1回棄却後の標準偏差と比較すると本 調査の標準偏差はAST
、ALT
共にやや小さい結果であった。測定値の正確さに影響を与える各施設の検量法は、図
2
から明らかなように、製造販売 元指定の酵素キャリブレータを用いている施設は前々回では99.7
%、前回は100.0
%、今回は
100.0
%と高い利用率が保たれており、日本医師会臨床検査精度管理調査におけるJSCC
標準化対応法での製造業者製品校正物質(製造販売元指定以外を含む)の利用率(
99.3
%)より上回っていた。トレーサビリティの確認については図
3
に示すように、前々回95.9%
、前回97.7%
、そして今回
98.6%
の施設で行われており、前々回から今回にかけて増加傾向であった。今回の
AST
の結果で80
点以上の施設は、自施設測定で94.4
%(前々回96.1
%)、外部 施設測定で98.6
%(前々回99.0
%)であった。自施設測定は前々回より少なくなり、外部 施設測定でもやや少なくなった。また、ALT
の結果で80
点以上の施設は、自施設測定で88.9
%(前回98.0
%)、外部施設測定で98.6
%(前回98.5
%)であった。自施設測定は前 回よりかなり少なくなり、外部施設測定はほぼ同じであった。一方、
AST
で60
点未満だった施設は、自施設測定で2
施設(前々回3
施設)、外部施設 測定で0
施設(前々回1
施設)であり、自施設測定は前々回と比較して1
施設減少し、外部 施設測定も1
施設減少した。AST
で60
点未満だった施設の詳細を確認すると、1
施設は5
試料のうち1
試料のデータが明らかに外れた値であった。もう1
施設は5
試料のうち2
試料 のデータが外れた値であった。今回どのような問題があったかその原因の究明を行って、改善を図っていただきたい。また、
ALT
で60
点未満だった施設は、自施設測定で0
施設(前回
1
施設)、外部施設測定で0
施設(前回1
施設)であり、今回自施設測定、外部施設 測定共に0
施設と良好な結果であった。前々回
AST
で60
点未満だったのは、自施設測定で3
施設、外部施設測定で1
施設だった。このうち、自施設測定の
1
施設と外部施設測定の1
施設は、前々回検体の取り違いがあっ た施設であり、今回は90
点と83.3
点であった。また、自施設測定の1
施設は今回100
点と 改善がみられ、残りの自施設測定の1
施設は今回不参加だったため、改善がなされたかは 確認できなかった。また、前回ALT
で60
点未満だったのは、自施設測定で1
施設、外部施 設測定で1
施設だった。今回は100
点と96.7
点で、ともに改善がみられた。解析値評価点に対しての解析では、今回
AST
が60
点未満だったのは、自施設測定で6
施 設(前々回6
施設)、外部施設測定で1
施設(前々回1
施設)であり、自施設測定、外部施 設測定ともに、前々回と同じ施設数であった。このうち、自施設測定の3
施設は、前々回100
点、もう1
施設は86.7
点、外部施設測定の1
施設は93.3
点と好成績だった。残りの自施 設測定の2
施設は前々回66.7
、73.3
点であった。解析値評価点が
60
点未満となる要因は、比例系統誤差によるものが多く占められてい るが、今回は偶発誤差が発生していた施設もみられる。比例系統誤差がみられる要因は概 してキャリブレーションの問題だが、偶発誤差はメンテナンス不良が主な要因となる。全 ての施設でトレーサビリティの確認を行っているようだが、各施設の測定値と表17
の平 均値とを比較し、今回どのような問題があったか、その原因の究明を行って改善を図って いただきたい。また、今回ALT
が60
点未満だったのは自施設測定で14
施設(前回2
施設)、外部施設測定で
2
施設(前回2
施設)あり、自施設測定で12
施設増加し、外部施設測定で は同じ施設数であった。このうち、自施設測定では今回から参加した施設を除いた13
施 設と外部施設測定の1
施設は前回86.7
~100
点と好成績あり、残りの外部施設測定の1
施設 は前回60
点と連続的に低い点数であった。全ての施設でトレーサビリティの確認を行っ ているようだが、各施設の測定値と表17
の平均値を比較し、今回どのような問題があっ たかその原因の究明を行って改善を図っていただきたい。前々回
AST
で解析値評価点が60
点未満だったのは、自施設測定では6
施設、外部施設測の取り違いがあった施設であり、今回は
80.0
点と73.3
点であった。また、自施設測定の3
施設は今回86.7
~100
点と改善がみられ、自施設測定の1
施設は今回不参加だったため、改善がなされたかは確認できなかった。そして、残りの自施設測定の
1
施設は今回外部委 託に変更となっており、当該施設で改善がなされたかは確認できなかった。また、前回ALT
で回解析値評価点が60
点未満だったのは、自施設測定では2
施設、外部施設測定は2
施設だったが、今回は全ての施設で100
点と改善がみられた。以上の問題点を除き、全体的にみると本調査に参加した施設の
AST
とALT
測定の技術水 準は高いといえるが、今回はALT
で80
点以上の施設が自施設測定で88.9
%と減少し、解 析値評価点が60
点未満だった施設が、4
施設から16
施設に増加しているので、さらに信頼 性の高いデータが得られるよう努力していただきたい。6.γ
-GT
今回(第
26
回)JSCC
標準化対応法を使用している施設は参加352
施設中351
施設(
99.7
%)、それ以外はドライケミストリー法ビトロスJ
の1
施設のみであった。これは 日本医師会臨床検査精度管理調査における95.8
%を大きく上回っている。今回の試料活性は
29~140U/L
で、前回と比較して低活性試料はやや低く、高活性試料 で低値となっている。JSCC
標準化対応法における同程度の活性試料の、標準偏差を前回 と比較するとほぼ同程度であった。また日本医師会臨床検査精度管理調査における、近似 した活性試料の評価用標準偏差1回棄却後の標準偏差と比較すると、本調査の標準偏差が やや小さい結果であった。測定値の正確さに影響を与える各施設の検量法は、図
2
から明らかなように製造販売元 指定の酵素キャリブレータを用いている施設は、前々回100.0
%、前回100.0
%、今回100.0
%と高い利用率が保たれており、日本医師会臨床検査精度管理調査におけるJSCC
標準化対応法での製造業者製品校正物質(製造販売元指定以外を含む)の利用率(
98.2
%)より上回っていた。
トレーサビリティの確認については図
3
に示すように、前々回95.9
%、前回97.7%
、そして今回
98.6%
の施設で行われており、前々回から前回にかけて増加傾向であった。今回の結果で
80
点以上の施設は、自施設測定で97.9
%(前回93.3
%)、外部施設測定で
100.0
%(前回99.0
%)と、自施設測定、外部施設測定ともに前回より多くなった。一方、
60
点未満だった施設は自施設測定で1
施設(前回1
施設)、外部施設測定で0
施設(前回
0
施設)であり、自施設測定、外部施設測定ともに前回と同じ施設数であった。60
点未満だった施設の詳細を確認すると、5
試料のうち1
試料のデータが、明らかに外れた 値であった。今回どのような問題があったかその原因の究明を行って改善を図っていただ きたい。前回
60
点未満だったのは自施設測定の1
施設だった。この施設は今回100
点と改善がみ られた。次に解析値評価点が今回
60
点未満だったのは、自施設測定で3
施設(前回9
施設)、外 部施設測定は0
施設(前回1
施設)であり、自施設測定で6
施設減少、外部施設測定で1
施 設減少した。このうち自施設測定の1
施設は、前回93.3
点と好成績であった。この施設はトレーサビリティの確認を行っているようだが、比例系統誤差がみられており、今回どの ような問題があったかその原因の究明を行って改善を図っていただきたい。また、残りの 自施設測定の
2
施設は、今回から参加した施設であった。このうち1
施設は5
試料のうち1
試料のデータが明らかに外れた施設であった。もう1
施設はトレーサビリティの確認を行 っていなかった施設であった。是非トレーサビリティの確認を行って改善を図っていただ きたい。前回解析値評価点が
60
点未満だったのは自施設測定で9
施設、外部施設測定で1
施設だ った。今回は自施設測定の7
施設、外部施設測定の1
施設は100
点と改善がみられた。しか し、残り自施設測定の2
施設は60.0
、66.7
点で今回も前回と同様に高値傾向であった。ト レーサビリティの確認を行っているようだが、継続的にどのような問題があったかその原 因の究明を行って改善を図っていただきたい。以上の問題点を除き全体的にみると、本調査に参加した施設のγ
-GT
測定の技術水準は 高いと言えるが、総合評価点成績が良くても解析値評価点が低い施設は、さらに信頼性の 高いデータが得られるよう努力していただきたい。7.血糖
今回(第
26
回)、血糖測定の参加施設数は352
施設(前回356
施設)であり、内訳は自 施設測定が144
施設(前回151
施設)、外部施設測定が208
施設(前回205
施設)であり前 回とほぼ同様であった。測定法別分類は自施設測定と外部施設測定で異なり、表
8
のように自施設測定ではヘキソ キナーゼ・UV
法が77.1
%、ブドウ糖酸化酵素電極法が20.1
%、その他ブドウ糖脱水素酵素 法、ドライケミストリー法がわずかに用いられていた。外部施設測定ではヘキソキナー ゼ・UV
法が98.1
%と大部分を占めており、この傾向は前回と同様であった。また測定機器 は、日本電子JCA-BM
シリーズ54.3
%、日立ハイテクノロジーズ21.9
%、東芝5.7
%、エ イアンドティー5.1
%、ベックマン・コールター5.7
%、アークレイ4.0
%、協和メデック ス2.8
%、オーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス0.3
%、その他0.3
%でありこの 傾向は前回と同様であった。1
試料につき測定施設数が5
施設以下の測定法(または測定試薬)については計算値の 統計学的意義が乏しいことから「評価対象外」とした。「評価対象外」を除き、極端値(平均値
±3SD
)棄却後の試料1~8
の平均濃度は91.53
~201.57mg/dL
であり、前回の平均表8 測定法別分類
測定法コード 測定法 自施設数 割合% 外部機関数 割合%
21 HK・UV法 111 77.1% 204 98.1%
12 GOD電極法 29 20.1% 4 1.9%
31 GDH法 3 2.1% 0 0%
81 ドライケミストリ法 1 0.7% 0 0%
144 100% 208 100%
合計