SC-ADE + 0.0045% adenine
Control (Red color ) Leucyl-3-epi- deoxynegamycin (10)
(White Color)
TCP-112 (11b) (White color) TGA
種々検討した結果、500 µMのネガマイシン類縁体を含むSC-ADE + 0.0045%アデニン寒 天培地において、本来赤色のYKH-002は白色のコロニーを生成することが明らかとなった。
一方、G418(2)においても同様に170µMにて白色コロニーの生育が確認できた。G418(2)
に関してネガマイシン類縁体と同様の 500 µM を添加すると、その細胞毒性によって、
YKH-002株は生存しないことも確認できた。
第 4 節 ネガマイシン耐性株の単離とゲノムリシーケンス
(1)ネガマイシン耐性株の単離
第 2 節にて構築したリードスルー感受性ナンセンス変異含有酵母株を用い、ネガマイシ ン誘導体の標的分子を同定することを目的として、ネガマイシン類縁体に対するリードス ル ー 耐 性 変 異 株 を 取 得 す る こ と と し た 。 す な わ ち 、 ネ ガ マ イ シ ン 誘 導 体
(Leucyl-3-epi-deoxynegamycin(10)及びTCP-112(11b)) 500 µMを含み、0.0045%のアデ ニン硫酸塩・2 水和物を含む栄養要求性培地(SC-ADE)を作成し、OD600=0.05(5.0 x 108
個)のYKH-002細胞を播種した。30 °Cにて4日インキュベートした後、リードスルーに
より白色変化したコロニーの中で赤色のまま変化していないものを単離した。単離したコ ロニーを、再度ネガマイシン含有寒天培地に植継ぎすることで、リードスルー耐性を有し ており赤色のコロニーにて生育することを再度確認後、ネガマイシン誘導体間でのクロス チェックを実施することで、ネガマイシン類全般に対するリードスルー耐性が付与されて いることを確認した。この結果、計30株のネガマイシンリードスルー耐性変異株を取得す ることに成功した。これら30株を以降の解析に用いることとした。
(2)ネガマイシン耐性株のゲノムリシーケンス解析
上記にて、ネガマイシン誘導体に対する耐性変異株を取得に成功したことから、これら の変異遺伝子の同定を行うこととした。すなわち、ゲノムリシーケンス解析を行うことで、
変異遺伝子の同定を行った。単離したリードスルー耐性株30株のゲノムDNA(chromosome)
をTakara Genとるくん®︎を用いて単離精製後、東京農業大学応用生物科学、笠原浩司准教授
及び東京農業大学ゲノム解析センターの兼崎友研究員にゲノムリシーケンス解析を依頼し た。
ゲノムリシーケンスによる、ネガマイシン耐性株の変異部位解析の結果、27 個の遺伝子 のタンパク質コード領域に 1 アミノ酸変化を含む種々の遺伝子変異があることが明らかと なった。これらの情報を元にネガマイシン耐性を付与する遺伝子変異の探索を行うことと した。
第5節 ネガマイシン耐性遺伝子の解析
(1)各種耐性遺伝子破壊株の構築
ゲノムリシーケンスの結果明らかとなった27遺伝子の中で、酵母の生育に必須ではない との報告がある15個において破壊断片を作成し、YKH-002に導入することで遺伝子破壊株 を構築した(Figure 26)。耐性株取得時と同様の栄養要求性培地SC-ADE+0.0045%アデニン 寒天培地を用い、ネガマイシン誘導体(500 µM)に対するリードスルー感受性をスポット アッセイにより評価した。評価結果を、Figure 27に記載する。その結果、UBR1、RAD6、 UBP3、PTR2 の計 4 遺伝子の破壊株はネガマイシン添加プレートにおいても赤色を呈する ことが明らかとなり、ネガマイシン類縁体へのリードスルー耐性が付与されていることが 明らかとなった(Figure 27)。一方、高いリードスルー活性を有するアミノグリコシド、G418
(2)も合わせて評価したが、2 へのリードスルー耐性は付与されないことが確認できた。
このことから、これらの遺伝子がネガマイシン感受性に何らかの影響を与えていることが 示唆された。その一方で、この G418(2)における評価においては、UBP3 破壊株(ubp3 Δ::CgURA3)でG418(2)感受性の向上が確認された。この考察については後述する。
Figure 26. Method of gene disruption.
Primer 1 : S1_Genename_F1)
CgURA3
Primer 2 : S1_Genename_R1)
Genomic DNA
Transformation Genomic DNA
CgURA3
1) C. Janke., et al., Yeast., 2004, 21, 947-962.
CgURA3 (Gene Δ)
(2)CUP9の関連性
遺伝子破壊株を用いたスポットアッセイの結果、UBR1、RAD6、UBP3、PTR2の計4遺伝 子の破壊株においてネガマイシンに対するリードスルー耐性が付与されていることが明ら かとなった。これらはそれぞれユビキチン E3 リガーゼ、E2 ユビキチンリガーゼ、ユビキ チン特異的プロテアーゼ、ジペプチドトランスポーターをそれぞれコードする遺伝子であ る。ここで著者は、ジペプチドトランスポーターPTR2に着目した。
2015年、D. Mckinneyらは大腸菌において、ジペプチドトランスポーター DppA を介し てネガマイシンが細胞内移行することで抗菌活性を発揮していると報告した 52)。本報告は 抗菌活性の発現にのみ着目しており、リードスルー活性発現との関連性は議論していない。
Mckinney らが合成したネガマイシン誘導体は、 (+)-negamycin(8)同様の基本骨格を有す
ることから、著者の合成した高活性ネガマイシン誘導体も類似の経路で細胞内に移行し、
リードスルー活性を発揮している可能性が考えられた。
ジペプチドトランスポーターPtr2pの発現は、そのサプレッサーであるCup9pの分解、及 び N 末端アミノ酸に依存してタンパク質分解を誘導するE3 ユビキチンリガーゼ Ubr1p に よって正に制御されることが知られている 53)。さらに Rad6p もまた、Ubr1pと相互作用す
ることでPtr2pの発現を調節している54)(Figure 27)。一方、UBP3に関しては、PTR2との
関連性の報告は現時点でなされていない。
Figure 27. Schematic diagram of relationship of UBR1, RAD6, CUP9, and PTR2.
Cell
membrane