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ドキュメント内 駒澤大学紀要14号.indb (ページ 103-139)

I want to thank my wife for translating some important information vital to  the completion of this article. I would also like to thank Asst. Prof. Robert C. 

Olson  of  Tomakomai  Komazawa  University  for  his  encouragement  and  helpful discussions.

(セス ユージン セルバンテス・本学講師)

インタビュー活動を用いた「日本事情」科目の実践

Implementation of Interviews on the Subject;Nihon-Jijo

野 田 孝 子

NODA Takako

キーワード:日本事情、インタビュー活動、留学生、

      コミュニケーション能力、異文化対処

要旨

 本稿では、「日本事情」科目において、インタビュー活動を用いた学習の効果を考 察する。

 現在、「日本事情」科目では、紹介・解説からインターアクションへの教授法が求 められている。そして、学習者が授業を通し、四技能の習得、向上ならびに異文化 リテラシーの育成ができるよう支援する必要性が唱えられている。インタビュー活 動の考察から導き出した特性により、この活動は「日本事情」の授業として有効的 な学習者支援が可能であることがわかった。

 そして、実際行った授業をとおし、インタビュー活動は異文化対処の育成にも役 立つと考える。

苫小牧駒澤大学紀要第14号(2005年11月30日発行)

Bulletin of Tomakomai Komazawa University Vol. 14, 30 November 2005

1.はじめに

 本稿では、1.「日本語教員養成において必要とされる教育内容」のガイド ライン、2.『日本語教員養成における「日本事情」教育のシラバス構築のた めの調査研究』の研究報告書、3.「総合的な学習の時間」のインタビュー活 動の特性、4.「日本語」ならびに5.「日本事情」のインタビュー活動の資料 を手がかりにインタビュー活動が「日本事情」科目において効果的な学習活動 であることを導き出す。

 そして、本年4月から3ヶ月間、苫小牧駒澤大学に短期語学研修で来学した 韓国人留学生に対し、このインタビュー活動を用いた授業を行ったので報告す る。加えて、このインタビュー活動の効果を考察していく。なお、学生数は14 名、日本語能力レベルは、日本語能力試験1、2級程度である。

2.日本語教育で求められる「日本事情」科目の姿

 この章では、「日本語教員養成において必要とされる教育内容のガイドライ ン」、ならびに、『日本語教員養成における「日本事情」教育のシラバス構築の ための調査研究』の研究報告書を手がかりに、日本語教育で求められる「日本 事情」科目について考察していきたい。なお、これら二つの資料を選定した理 由としては、今後、その教育を受けた日本語教師が日本語・日本事情で学習者 に提供する教育方法、教育内容に影響を与えるという理由に加え、現在の日本 語教育に対するニーズとしても受け止めることができるからである。

 2000年、文化庁・日本語教員の養成に関する調査研究協力者会議にて、日本 語教師養成の新しい指針である「日本語教育のための教員養成について」が報 告され、「日本語教員養成において必要とされる教育内容」として1985年に示 されたシラバス(1)に変わり、新たなシラバスが公表された。そして、日本語 教育とは、「広い意味で、コミュニケーションそのものであり、教授者と学習 者とが固定的関係でなく、相互に学び、教え合う、実際的なコミュニケーショ ン活動」と定義づけられた。また、この定義におけるコミュニケーションは、

新たに示された教育内容(2)の核となった。さらに、日本語教師としての基本 的な資質・能力として、「言語教育者として必要とされる学習者に対する実践 的なコミュニケーション能力」が求められた。このように、教育内容、教育方 法、また、教師にコミュニケーションが重視されたことは、外国語としての日 本語教育が、言語のための教育からコミュニケーション能力のための教育へと 実質的に移行している証拠であると考える。

 そして、時同じく『日本語教員養成における「日本事情」教育のシラバス構 築のための調査研究』(2000)が報告された。この論文は、「日本事情」教育の モデル化をめざし、日本語教員養成における「日本事情」教育のありかたを検 討したものである。報告書で佐々木は、教師に対し、日本語習得と異文化リテ ラシー育成の支援能力を求めている。なお、この異文化リテラシーにおける「リ テラシー」とは、「日本文化・社会を読み解き行動できる能力」(p.13)という 意味を指す。また、シラバスの作成にあたって「伝統文化に固執しないこと、

日本文化と学習者の母文化といった2分法を避けた具体化を行うこと」(p.25)

を挙げ、更に教授法としては、「紹介・解説」から「インターアクション」へ の転換が必要であり、学習者が「知識」から「運用」―「 日本文化 との出 会いで、学習者のこれまでの文化に影響を与え、新しいその人独自の文化を生 み出す」(p.25)―への展開が可能となる支援の必要を述べている。

 授業の具体例として、佐々木は、伝統文化重視のシラバスを採用する場合に も、何故日本文化の粋を学習者に紹介したのか、今後、学習者の生活の中でど のように役立っていくかの筋道をたてる必要性を示している。また、細川は、

「日本事情」を「総合」と名付け、文化はコミュニケーション行為の中で学習 者自らが認識するという視点に立場を置き、教師は、学習者が発見した、学習 者にとっての「日本」を、学生がレポートで表出作業できるよう支援を行う授 業を提唱している。なお、この学習者のレポート作成までの作業を問題発見解 決作業と呼んでいる。

3.インタビュー活動の特性について

 この章では、「総合的な学習の時間」におけるインタビュー活動、「日本語」

ならびに「日本事情」の授業からインタビュー活動の特性を纏めていく。

 現在、日本の小・中・高等学校での「総合的な学習の時間」において、イン タビュー活動を用いた授業が行われるケースがある。インタビュー活動を通し て期待できる学力とは、1.コミュニケーションの形成づくり、2.話す能力、

3.聞く能力、4.メモする(書く)能力、5.礼儀やお礼の表現方法、6.

(インタビュー内容の)発表力である(3)。また、堀(2003)は、「<インタビ ュー>は、言語活動の中でも、レベルの高いものだ。相手の反応を予想しなが ら、聞く力、インタビューの目的のために、話しを最後まで導いていく構成力、

相手から上手く話しを聞き出すための非言語コミュニケーション力など、多く の力が必要とされるのである。」(p.21)と述べている。

 「総合的な学習の時間」とは、現在、日本の小、中、高等学校で行われてい

る教育課程の一つである。2002年4月1日から全面実施された新たな教育課程 基準は、自ら学び自ら考える力などの「生きる力」を養うことを基本的なねら いとして改訂された。そして、「総合的な学習の時間」においては、以下3点 のねらいをもって指導を行うものとされている。1.自ら課題を見付け、自ら 学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育て ること。2.学び方やものの考え方を身に付け、問題の解決や研究活動に主体 的、創造的に取り組む態度を育て、自己の生き方を考えることができるように すること。3.各教科、道徳及び特別活動で身に付けた知識や技能等を相互に 関連付け、学習や生活において生かし、それらが総合的に働くようにすること。

また、総合的な学習の時間の学習活動を行うに当っては、自然体験やボランテ ィア活動などの社会体験、観察・実験、見学や調査、発表や討論、ものづくり や生産活動など体験的な学習、問題解決的な学習を積極的に取り入れることが 配慮されている。殊に総合学習の時間におけるねらいは、先に触れた「日本事 情」教育にも共通する。

 なお、社会学によれば(4)インタビュー行為に共通しているのは、会話が相 互行為的な出来事であるということである。インタビューで得られたナラティ ブは当該の状況におけるインタビューの参加者による会話の産物なのであり、

回答者は情報の収納庫というよりはむしろインタビュアーと共同で知識を構築 していく者のこととして捉えられている。したがって、インタビューという空 間においてコミュニケーション活動が行われるということでもある。

 また、「日本事情」科目にインタビュー活動を取り入れている細川(1994,2002)

も、インタビュー活動の機能について、聞き取りの訓練、クラス発表での要約 の訓練となり、更にインターアクションによる自己変容と他者との交互関係の 獲得、自分の内側にある「考えていること」を他者に向けて、自らの表現とし て発信し、その表現を他者と共有することにあるとしている。

 さらに、日本語科目で行われるインタビューは、会話・スピーチの練習に用 いられ、コントロールされた状況の下で行われる練習から脱し、より自然なコ ミュニケーション場面で行われるコミュニケーション能力の養成を目的として 用いられている。

 以上のことから、インタビュー活動を用いた授業展開で、四技能ならびにコ ミュニケーション能力の向上が期待できることがわかるが、これらは、外国人 学生にとっても同様のことがいえると考える。また、インタビュー活動は、「日 本事情」に求められている役割の一端を担うことができると考える。続いて実 際に「日本事情」で行ったインタビュー活動を報告する。

ドキュメント内 駒澤大学紀要14号.indb (ページ 103-139)

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