供給の価格弾力性
•
価格弾力性は,税負担の割合を決めるだけでなく,課税によって生じる死 荷重の大きさとも密接な関係がある•
(A
)課税前の市場均衡のもとで,需要と供給の価格弾力性のどちらかが[ ]なら,課税により発生する死荷重は小さくなる
(
B
)需要と供給の価格弾力性がともに[ ]なら,死荷重は大 きくなる•
以下でこれを説明する。まず(A
)について。死荷重の大きさ(1)
需要の価格弾力性が小さいため,消費者価格が上昇し てもあまり需要量が減らない。そのため,需給量はあ まり減少せず,余剰の損失分,つまり死荷重が小さい
死荷重の大きさ(2)
需要の価格弾力性が大きいため,消費者価格が上昇する と大幅に需要量が減ってしまう。そのため,需給量が大
幅に減少し,余剰の損失分,つまり死荷重が大きい
① 供給曲線は同じで,需要曲線が異なる場合
需給量 価格
D! S!
X E!
O! P’!
S’
税額分
E’!
P” F!
消費者価格
生産者価格
P!
X’! 需給量
価格
D! S!
X E!
O! P’!
S’
税額分
E’!
P” F!
消費者価格
生産者価格
P!
X’!
死荷重の大きさ(3)
•
このことから,需要の価格弾力性の[ ]財に課税すると,社会的余剰 の損失が大きくなり,余剰の観点から望ましくないと言える•
反対に, 需要の価格弾力性の[ ]財に課税する方が,社会的余剰の損 失が小さくすむのでよい→ 酒やタバコに高い間接税が課される理論的根拠
→ 酒やタバコは嗜好性や習慣性が強く,代用品がないため,需要の価格弾力
性が[ ]→ 高い税を課して消費者価格が高くなっても消費量があまり減らず,社会的余
剰の損失が小さくすむ死荷重の大きさ(4)
② 需要曲線は同じで,供給曲線が異なる場合
供給の価格弾力性が小さいため,生産者価格が下落し てもあまり供給量が減らない。そのため,需給量はあ まり減少せず,余剰の損失分,つまり死荷重が小さい
供給の価格弾力性が大きいため,生産者価格が上昇する と大幅に供給量が減ってしまう。そのため,需給量が大
幅に減少し,余剰の損失分,つまり死荷重が大きい 需給量
価格
D! S!
X E!
O! P’!
S’
税額分
E’!
P” F!
消費者価格
生産者価格
P!
X’! 需給量
価格
D! S!
X E!
O! P’!
S’
税額分
E’!
P” F!
消費者価格
生産者価格
P!
X’!
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このことから,供給の価格弾力性の[ ]財に課税すると,社会的余剰 の損失が大きくなり,余剰の観点から望ましくないと言える•
反対に, 供給の価格弾力性の[ ]財に課税する方が,社会的余剰の損 失が小さくすむのでよい→
土地や固定資産に課税する理論的根拠•
以上,①および②の結果をまとめると次のようになる。 需要と供給の価格弾力性 のどちらかが[ ]なら,課税により発生する死荷重は小さくなる。特に,いず れかの価格弾力性が0
となる(いずれかの曲線が垂直になる)ような極端なケースで は,死荷重はまったく発生しない死荷重の大きさ(5)
ドキュメント内
ミクロ経済学 Keida's Website
(ページ 37-43)