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9 Wirtinger 不等式

ドキュメント内 KIT 学術成果コレクション (ページ 56-75)

8.3. exp(A(n)) =SO(n)

証明. 6系5.6よりexp(A(n))⊂SO(n).定理4.1より,任意のg ∈SO(n) に対して,h∈SO(n)が存在して,

g =h









cosθ1 sinθ1 sinθ1 cosθ1

. ..

cosθm sinθm sinθm cosθm

(1)









th

ここで,

X =









0 −θ1

θ1 0 . ..

0 −θm θm 0

(0)









とおくと,X ∈A(n).よって,hXth∈A(n)であり,

exp(hXth) =h(expX)th=g.

はCnの係数体をRに制限した実ベクトル空間の基底になる.R2nの標準 基底を{e1,· · · , en, en+1,· · · , e2n}と表し,iej =en+j (1≤j ≤n)と同一 視すると,R上ベクトル空間CnはR2nと同一視される:

Cn=Ce1⊕ · · · ⊕Cen =Re1⊕ · · · ⊕RenRie1⊕ · · · ⊕Rien=R2n すなわち,

CnR2n;



x1+iy1 ... xn+iyn











 x1

... xn y1

... yn











(xj, yj R)

と同一視している.Cnの演算v 7→ iv からR2nに複素構造J が誘導さ れる:

J ej =iej =en+j, J en+j =i2ej =−ej (1≤j ≤n) 行列表示では

J = (

O −En En O

)

R2nの標準内積を⟨, と表す.

u=

n j=1

xjej+

n j=1

yjiej, v =

n j=1

xjej +

n j=1

yjiej R2n に対し,

⟨u, v⟩=

n j=1

(xjxj +yjyj) ここで,

J u=

n j=1

yjej +

n j=1

xjiej, J v=

n j=1

yjej +

n j=1

xjiej

だから,⟨J u, J v⟩ = ⟨u, v⟩.すなわち,J O(2n).特に,∥J u∥ =∥u∥. また,

⟨J u, u⟩=⟨J2u, J u⟩=−⟨u, J u⟩=−⟨J u, u⟩

より,⟨J u, u⟩ = 0が得られる.次に同一視Cn = R2nの下でU(n)のCn への作用をR2nへの作用として書けば

U(n)= {(

A −B

B A

)

A+iB ∈U(n), A, B ∈Mn(R)

}

⊂O(2n)

が得られる.特にU(n)のR2nへの作用は標準内積⟨, を保つ.U(n)の Cnへの作用は複素線形だから,任意のg ∈U(n)についてgJ =J gが得 られる.u, v R2nに対し,Ω(u, v) =⟨u, J v⟩とおくと,

Ω(u, v) =⟨u, J v⟩=⟨J u, J2v⟩=−⟨J u, v⟩=Ω(v, u)

となり,ΩはR2n上の交代形式になる.Ωを(R2n, J,⟨ , )のケーラー形 式という.u, v R2nに対し,

Ω(J u, J v) = ⟨J u, J2v⟩=⟨u, J v⟩= Ω(u, v) よって,ΩはJ-不変である.u, v R2n, g ∈U(n)に対し,

Ω(gu, gv) = ⟨gu, J gv⟩ (Ωの定義)

=⟨gu, gJ v⟩ (J g =gJ)

=⟨u, J v⟩ (g ∈U(n)⊂O(2n))

= Ω(u, v) (Ωの定義)

よって,ΩはU(n)-不変である.u, v R2nとする.シュワルツの不等式 より

0≤ |Ω(u, v)|=|⟨u, J v⟩| ≤ ∥u∥∥J v∥=∥u∥∥v∥

∥u∥=∥v∥= 1のとき,0≤ |Ω(u, v)| ≤1であり,

|Ω(u, v)|= 1⇔J v =±u,

|Ω(u, v)|= 0⇔u⊥J v

R2n内のk次元実部分空間全体のなす集合GRk(Cn)はGrassmann多様体 と呼ばれている.ユニタリー群U(n)の Cnへの自然な作用はGRk(Cn)へ の作用を誘導する:g ∈U(n), V ∈GRk(Cn)に対して,gV ={gv|v ∈V}V ∈GRk(Cn)が複素部分空間であるとは,J V =V となるときを言う.この とき,kは偶数である.V ∈GRk(Cn)が全実部分空間であるとは,J V ⊥V となるときを言う.これらはU(n)-不変な概念である:V が複素部分空間

ならば,任意のg U(n)に対して,gV も複素部分空間であり,V が全 実部分空間ならば,gV も全実部分空間である.

u1,· · · , u2m Cnに対し,Ωm(u1,· · · , u2m)Rを Ωm(u1,· · · , u2m) := 1

2m

σS2m

sgn(σ)Ω(uσ(1), uσ(2))· · ·Ω(uσ(2m1), uσ(2m)) と定める.ここで,S2mは2m次対称群である.

V ∈GR2m(Cn)の正規直交基底{u1,· · · , u2m}をとり,

|m|(V) := |m(V)|=|m(u1,· · · , u2m)| ≥0

とおく.次の命題は|m|(V)の定義がwell-definedであることを示して いる.

命題 9.1. |m|(V)の定義はV の正規直交基底{u1,· · · , u2m}の取り方に よらない.

証明. {v1,· · · , v2m}V の他の正規直交基底とすると,g = (gij)∈O(2m) が存在して,

(v1,· · · , v2m) = (u1,· · · , u2m)g すなわち vj =

2m i=1

gijui gの第i行をgiと表すと,

2mm(v1,· · · , v2m)

= ∑

σS2m

sgn(σ)Ω(vσ(1), vσ(2))· · ·Ω(vσ(2m1), vσ(2m))

= ∑

σS2m

i1,···,i2m

sgn(σ)gi1σ(1)· · ·gi2mσ(2m)Ω(ui1, ui2)· · ·Ω(ui2m1, ui2m)

= ∑

i1,···,i2m

gi1 ... gi2m

Ω(ui1, ui2)· · ·Ω(ui2m1, ui2m)

ここで,i1,· · · , i2m の中に同じものがあれば,

gi1 ... gi2m

= 0となるから,

i1,· · · , i2mは互いに異なるものについてのみ和をとればよい.よって,

2mm(v1,· · · , v2m)

= ∑

σS2m

sgn(σ)Ω(vσ(1), vσ(2))· · ·Ω(vσ(2m1), vσ(2m))

= ∑

τS2m

gτ(1) ... gτ(2m)

Ω(uτ(1), uτ(2))· · ·Ω(uτ(2m−1), uτ(2m))

=|g|

τS2m

sgn(τ)Ω(uτ(1), uτ(2))· · ·Ω(uτ(2m−1), uτ(2m))

= 2m|g|m(u1,· · · , u2m)

|g|=±1だから主張が得られる.

9.2. V ∈GR2(Cn)に対し,V の正規直交基底{u, v}をとる.このとき,

0≤ |Ω(u, v)| ≤1であり,

|Ω(V)|= 1⇔V = spanR{u,±J u}=Cu (複素部分空間),

|Ω(V)|= 0⇔V ⊥J V (全実) θ [0, π/2]に対し,

V(θ) :=Re1R(icosθe1+ sinθe2)∈GR2(Cn) とおく.

9.3. 任意のV ∈GR2(Cn)に対し,g ∈U(n)とθ [0, π/2]が存在して,

gV =V(θ).

また,θ1, θ2 [0, π/2]に対し,g ∈U(n)が存在して,V1) = gV2) となったとすると,θ1 =θ2

証明. (後半)g ∈U(n)が存在して,V1) =gV2)となったとすると cosθ1 =|Ω(V(θ1))|=|Ω(gV(θ2))|=|Ω(V(θ2))|= cosθ2 θ1, θ2 [0, π/2]だから,θ1 =θ2

(前半) V GR2(Cn)の正規直交基底を{u, v}とする.U(n)S2n1 Cnに推移的に作用するから,g1 U(n)が存在して,g1u = e1.このと

き,{e1, g1v}g1V の正規直交基底になる.U(n1)と同型なU(n)の 部分群

U(n1)= {(

1 0 0 g

)g ∈U(n1) }

⊂U(n)

S2n3 ⊂U(n1)に推移的に作用するから,g2 ∈U(n1)(⊂U(n))が 存在して,

g2g1v =

 ia

b 0

Cn (b0, aR, a2+b2 = 1)

と表示される.g :=g2g1 ∈U(n)とおくと,{e1, gv}gV の正規直交基 底である.θ [0, π]が存在して,

gv =

 icosθ

sinθ O

Cn

もしπ/2< θ≤πのときは,

g3 :=

(1

En1

)

∈U(n) だから,

g3gV = spanR



−e1,



−icosθ sinθ

0





= spanR



e1,



icos(π−θ) sin(π−θ)

0







となり,証明が完成した.

上の例より,U(n)のGR2(Cn)への作用の軌道空間について U(n)\GR2(Cn) = {U(n)V(θ) [0, π/2]} ∼= [0, π/2]

9.4. 2m≤nとする.組θ = (θ1,· · ·, θm)[0, π/2]m に対してV(θ) GR2m(Cn)を

V(θ) = ⟨e1, icosθ1e1+sinθ1e2R⊕· · ·⊕⟨e2m1, icosθme2m1+sinθme2mR

と定めると 1

m! |m(V(θ))|= cosθ1· · ·cosθm 1

= 1 ⇔V は複素部分空間.

θ= (0,· · ·,0)のとき,V(θ)はCnの複素部分空間であり,θ = (π/2,· · · , π/2) のとき,V(θ)は全実部分空間となる.

証明. 1≤j ≤mに対して,

u2j1 =e2j1, u2j =icosθje2j1+ sinθje2j

とおくと,Ω(u2j1, u2j) = Ω(u2j, u2j1) = cosθj であり,その他の j, kに対して,Ω(uj, uk) = 0となる.Ωm(u1,· · · , u2m)の定義より

m(u1,· · · , u2m) = 1 2m

σS2m

sgn(σ)Ω(uσ(1), uσ(2))· · ·Ω(uσ(2m1), uσ(2m))

= ∑

σS2m,σ(2j1)<σ(2j)

sgn(σ)Ω(uσ(1), uσ(2))· · ·Ω(uσ(2m1), uσ(2m))

= ∑

σS2m,σ(2j1)+1=σ(2j)

sgn(σ)Ω(uσ(1), uσ(2))· · ·Ω(uσ(2m1), uσ(2m))

{1,3,· · · ,2m1}上の全単射の全体のなすm次対称群をSmと表すと,

sgn(τ(1), τ(1) + 1,· · · , τ(2m1), τ(2m1) + 1) = sgn(τ)2 = 1 だから,

m(u1,· · · , u2m) = ∑

τSm

Ω(uτ(1), uτ(1)+1)· · ·Ω(uτ(2m1), uτ(2m1)+1)

=m!Ω(u1, u2)· · ·Ω(u2m1, u2m)

=m!(−1)mcosθ1· · ·cosθm 0≤θj ≤π/2だから

1

m!m(V)

= cosθ1· · ·cosθm 1

= 1 ⇔V は複素部分空間.

田崎博之([5])は次を示した.

定理 9.5. 2m nとする.任意のV GR2m(Cn)に対し,g U(n)と θ= (θ1,· · · , θm), 0≤θ1 ≤ · · · ≤θm ≤π/2が存在して,gV =V(θ).

証明. {u1,· · · , u2m}V の正規直交基底とする.この正規直交基底は 複素構造と無関係なので必ずしもよい基底とは言えない.そこで交代行 列の標準形の議論をケーラー形式に適用することにより複素構造を反映 したよい正規直交基底を取り直す.2m 次交代行列 (Ω(ui, uj))1i,j2m を 直交行列で標準形にすることを考えると,V の正規直交基底

{u1,· · · , um, um+1,· · · , u2m} で次の条件を満たすものが存在することが示される:

Ω(ui, uj) = Ω(J ui, J uj) = 0 (1≤i, j ≤mまたはm+ 1 ≤i, j 2m), Ω(ui, um+j) = aiδij (ai R,1≤i, j ≤m)

ここで,後述の補題 9.6を用いた.このとき,

V =

m j=1

spanR{uj, uj+m},

spanR{uj, uj+m} ⊂ {uj, J uj, uj+m, J uj+m}R=Cuj+Cum+j, j ̸=kのときCuj+Cum+j Cuk+Cum+k

ここで,Cuj+Cum+jは直和とは限らない.例えば,um+j =±ujのとき,

Cuj+Cum+j =Cuj. Cuj+Cum+jは複素2次元または複素1次元の複素 部分空間になる.これらの次元の和は

m j=1

dimC(Cuj +Cum+j)2m ≤n= dimCCn

を満たす.系4.5より,g ∈SU(n)(⊂U(n))が存在して,任意の1≤j ≤m に対して,

g(Cuj +Cum+j)CejCem+j

が成り立つ.8以下,混乱の恐れのない限りV ∈GR2m(Cn)とgV (g ∈U(n)) とを同一視する.gV, gujをそれぞれ新たにV, ujとおくと,

V =

m j=1

spanR{uj, uj+m}, Cuj +Cum+j Cej Cem+j (1≤j ≤m)

8この部分までで,この証明は勝負あった!となっている.

SU(2)-作用を考えることにより,uj =ej (1≤j ≤m) としてよい:

V =

m j=1

spanR{ej, uj+m}, uj+m CejCem+j

ej ⊥uj+mより,uj+m RiejCem+j.U(1) =U(Cem+j)-作用を考える ことにより,

uj+m = (cosθj)iej + (sinθj)em+j (0≤θj ≤π)

としてよい.ej 7→ −ejU(1)-作用なので,0 θj π/2 としてよい.

{1,· · · , m},{m+ 1,· · · ,2m} の置換Sm×Sm は自然にU(2m)-作用に拡 張されるので,0 θ1 ≤ · · · ≤θm ≤π/2 とすることができる.よって,

任意のV ∈GR2m(Cn) に対して,g ∈U(n)と0≤θ1 ≤ · · · ≤θm ≤π/2が 存在して,

gV =

m j=1

{ej,(cosθj)iej+ (sinθj)ek+j}R

となる.

補題 9.6. ω :Rn×Rn Rを交代線形写像とする.Rnの正規直交基底 {u1, . . . , un}に対して,n次交代行列(ω(ui, uj))1i,jnを考える.直交行 列g ∈O(n)に対して,

tg(ω(ui, uj))1i,jng = (ω(gui, guj))1i,jn 証明. gui =

n j=1

gjiuj と表示する.このとき,

ω(gui, guj) =∑

k,l

gkigljω(uk, ul) = ∑

k,l

gkiω(uk, ul)glj よって主張が得られる.

定理 9.7 (Wirtinger不等式). ([2, Lemma 6.13], [3, Lemma 7.18]) V GR2m(Cn)に対して,

1

m!m(V) 1

= 1⇔V は複素部分空間(J V =V).

証明. U(n)のR2nへの作用は複素線形で計量を保つから,g U(n)と V GR2m(R2n)に対して, 1

m!m(gV) = 1

m!m(V)となる.そこで主 張を示すためには,V =V1,· · · , θm)の形であると仮定して一般性を失 わない.例 9.4から主張が従う.

参考文献

[1] A. L. Besse, Einstein manifolds, Springer-Verlag, (1987).

[2] R. Harvey and H. B. Lawson, Jr., Calibrated geometries, Acta Math., 148 (1982), 47–157.

[3] R. Harvey, Spinors and calibrations, Academic Press (1990).

[4] B. O’Neill, Semi-Riemannian geometry with applications to relativ-ity, Academic Press, (2010).

[5] H. Tasaki, Generalization of K¨ahler angle and integral geometry in complex projective spaces, Steps in Differential Geometry, (De-brecen, 2000), 349–361, Inst. Math. Inform. , De(De-brecen, 2001;

http://www.emis.de/proceedings/CDGD2000/pdf/K Tasaki.pdf.

[6] 岩堀長慶編,線形代数学,裳華房

[7] 笠原晧著,微分方程式の基礎,朝倉書店 [8] 三宅敏恒著,入門線形代数,培風館

[9] https://rms2005.org/subtext data/pdf/0020 20180914/ms0020.pdf 立命館大学理工学部数学学修相談会,簡約行列の一意性,2018年10 月4日,

問題解答 (一部の問題のみ)

問題 3.2. m, nm≤nとなる自然数とする.

(1) 写像

i:Km →Kn;x7→

( x 0

)

は単射線形写像であることを示せ.また,iの表現行列を求めよ.

(2) 写像

p:Kn→Km;









 x1

... xm

xm+1 ... xn









 7→

 x1

... xm



は全射線形写像であることを示せ.また,Ker(p)を求めよ.さらに pの表現行列を求めよ.

(3) 合成写像p◦i:Km →Kmi◦p:Kn →Knのそれぞれの表現行 列を求めよ.

証明. (1) x,y ∈Km, a, b∈Kに対し,

ι(ax+by) = (

ax+by 0

)

=a (

x 0

) +b

( x 0

)

=aι(x) +bι(y) ゆえにιは線形写像である.

x,y∈Kmに対し,

ι(x) = ι(y)⇔ (

x 0

)

= (

y 0

)

x=y ゆえに,ιは単射である.

標準基底に関するιの表現行列は (

Em

Onmm )

(2) Knの元をm次列ベクトルとn−m次列ベクトルを縦に並べ (

x x

) ,

( y y

)

∈Km (x, y ∈Km, x, y ∈Knm) と表す.a, b∈Kとすると,

p (

a (

x x

) +b

( y y

))

=p (

ax+by ax+by

)

=ax+by

=ap (

x x

) +bp

( y y

)

ゆえに,pは線形写像である.任意のx∈Kmに対し,

p (

x 0

)

=x ゆえに,pは全射である.Ker(p)は

Ker(p) =











 0m xm+1

... xn





xm+1,· · · , xn ∈K







 標準基底に関するpの表現行列は

(

Em Om,nm )

(3) x∈Kmに対し,

(p◦ι)(x) =p (

x 0

)

=x p◦iの表現行列はEmx∈Km, x ∈Knmに対し,

◦p) (

x x

)

=ι(x) = (

x 0

)

ι◦pの表現行列は (

Em Om,nm Onm,m Onm,nm

)

問題3.3. (m, n)行列Aに対して,rank(tA) = rank(A)となることを示せ.

証明. r = rank(A)とおくと,m次正則行列Pn次正則行列Qが存在 して,

P AQ= (

Er O O O

)

両辺の転置をとると,

tQtAtP = (

Er O O O

)

tQ,tP は正則だから,rank(tA) = r= rank(A). 問題 3.4. (例題1.1を参照)

rank





x21 x1x2 · · · x1xn x2x1 x22 · · · x2xn

... ... ... xnx1 xnx2 · · · x2n





を求めよ.

解答. (x1,· · · , xn) = (0,· · · ,0)のとき,rank = 0.

(x1,· · · , xn)̸= (0,· · · ,0)のとき,あるiが存在して,xi ̸= 0.このとき,





x21 x1x2 · · · x1xn x2x1 x22 · · · x2xn

... ... ... xnx1 xnx2 · · · x2n





(1)











x21 x1x2 · · · x1xn x2x1 x22 · · · x2xn

... ... ... x1 x2 · · · xn

... ... ... xnx1 xnx2 · · · x2n











(2)

 O x1 · · · xn

O

 (

1 O O O

)

ここで(1)は第i行にxi 1をかけた.(2)は第j行(j ̸=i)に第i行の−xj 倍を加えた.よって,

rank = {

0 ((x1,· · ·, xn) = (0,· · · ,0)のとき) 1 ((x1,· · ·, xn)̸= (0,· · · ,0)のとき)

問題 4.1. [Hadamardの不等式I] a1,· · · ,anRn− {0}n個のn次列 ベクトルとする.このとき,

|det(a1,· · · ,an)| ≤ ∥a1∥ · · · ∥an∥,

“ =′′a1,· · · ,anは互いに直交 となることを示せ.

証明1. まず,

a1 =







a11

0 0 ... 0







, a2 =







a12 a22 0

... 0







,· · · ,an =







a1n a2n a3n ... ann







という特別な形のベクトルに対して,主張が正しいことをいう.この形 の場合には,(a1,· · · ,an)が上三角行列になるので,

|det(a1,· · · ,an)|=|a11||a22| · · · |ann|

≤ ∥a1∥ · · · ∥an∥,

“ =′′a1,· · · ,anは互いに直交

部分群の列O(n) O(n 1) ⊃ · · · ⊃ O(1) があることに注意する と,任意のa1,· · · ,an Rn− {0} に対して,直交行列T O(n)が存 在して,ai := Tai とおくと,a1,· · · ,anは上の形になる.このとき,

(a1,· · · ,an) = T(a1,· · · ,an),|det(T)|= 1だから,

|det(a1,· · · ,an)|=|det(a1,· · ·,an)|

≤ ∥a1∥ · · · ∥an=a1∥ · · · ∥an

“ =′′a1,· · · ,anは互いに直交

a1,· · · ,anは互いに直交

証明2. 証明の準備として,X = (xij)∈Mn(R)を正値対称行列とすると,

0<|X| ≤x11· · ·xnn

“ =′′⇔X =

 x11

. ..

xnn



が成り立つことを示す.仮定より,P = (pij) O(n)λi > 0が存在 して,

X =P

 λ1

. ..

λn

P1

両辺の対角成分を比較して,

xii=∑

k,l

pikλkδklpil =

n k=1

p2ikλk ≥p2iiλi ≥λi

また,|X|=λ1· · ·λn>0であり,

|X|=λ1· · ·λn≤x11· · ·xnn

“ =′′⇔X =

 λ1

. ..

λn



以上の準備の下に主張を示す.{a1,· · · ,an}が線形従属のとき,det(a1,· · · ,an) = 0.ai ̸= 0より,

|det(a1,· · · ,an)|<∥a1∥ · · · ∥an となり主張が成り立つ.

以下,{a1,· · · ,an}が線形独立のときに,主張を示す.X := tAA = (taiaj) = (ai,aj)は正値対称行列だから,

(detA)2 ≤ ∥a12· · · ∥an2

“ =′′⇔ ⟨ai,aj= 0 (i̸=j) よって,

|detA| ≤ ∥a1∥ · · · ∥an

“ =′′⇔ ⟨ai,aj= 0 (i̸=j) ゆえに,主張が示された.

問題 4.2. 次を示せ.

(1) n次ユニタリー行列の全体U(n)は行列の積に関して群になる.

(2) 任意のT ∈U(n)に対して,|detT|= 1. 証明. (1) g, h∈U(n)とする.このとき,

(gh)(gh) = (hg)(gh) = h(gg)h=hEnh (g ∈U(n))

=hh=En (h∈U(n)) ゆえにgh∈U(n).g∗g =Enよりg1 =g

(g1)1 = (g)1 = (g1)

よって,g1 ∈U(n).以上より,U(n)は行列の積に関して群になる.

(2) En =TT の両辺の行列式をとると,

1 = det(En) = det(TT) = det(T)det(T) = det(tT)det(T)

= det(tT)det(T) = det(T)det(T) = det(T)det(T) =|det(T)|2 0≤ |det(T)|より|det(T)|= 1.

問題 4.6. [Hadamardの不等式II] 次を示せ.a1,· · · ,anCn− {0}に対 して,

|det(a1,· · · ,an)| ≤

n j=1

|aj|

“ =′′aiaj = 0 (i̸=j)

証明1. U(n)がCnの超球面に推移的に働くことと,自然な包含関係U(1) U(2)⊂ · · · ⊂U(n)があることから,g ∈U(n)が存在して,

a1 :=ga1 =



 a11

0 ... 0



, a2 :=ga2 =







a12

a22 0

... 0







,· · · ,an :=gan=



 a1n a2n

... ann





ここで,ajj 0.このとき,

a11a22· · ·ann = det(ga1,· · ·, gan) = det(g)det(a1,· · · ,an)

両辺の絶対値をとると

|det(a1,· · · ,an)|=a11a22· · ·ann ≤ |ga1| · · · |gan| 仮定aj Cn− {0}より,

“ =′′ ⇔ajj =|aj| ⇔aj =











 0

... 0 ajj

0 ... 0













a′∗i aj = 0 (i̸=j)

aiaj = 0 (i̸=j)

証明2. 証明の準備として,X = (xij)∈Mn(C)を正値Hermite行列とす るとき,

0<|X| ≤x11· · ·xnn

“ =′′⇔X =

 x11

. ..

xnn



となることを示す.仮定より,P = (pij)∈U(n)とλi >0が存在して,

X =P

 λ1

. ..

xn

P

両辺の対角成分を比較して,

xii=

n k=1

|pik|2λk ≥ |pii|2λi ≥λi

また,|X|=λ1· · ·λn>0であり,

|X|=λ1· · ·λn≤x11· · ·xnn

“ =′′⇔X =

 λ1

. ..

λn



以上の準備の下に主張を示す.

{a1,· · · ,an}が線形従属のときは,

|det(a1,· · · ,an)|= 0 <

n j=1

|aj| となり,主張が成り立つ.

以下,{a1,· · · ,an}を線形独立とする.X :=AA= (ai,aj)は正値 Hermite行列だから,

detX =|detA|2 ≤ ∥a12· · · ∥an2

“ =′′⇔ ⟨ai,aj= 0 (i̸=j) よって,

|detA| ≤ ∥a1∥ · · · ∥an

“ =′′⇔ ⟨ai,aj= 0 (i̸=j) ゆえに,主張が示された.

問題 5.1. |α|<1のとき, lim

m→∞Jn(α)m = 0 となることを示せ.

証明. Jn(α) =αEn+Nと表示すると,Nn=O.m≥nとする.二項定 理より

Jn(α)m =αmEn+mC1αm1N +· · ·+mCn1αm(n1)Nn1

右辺の項の数はmによらずにnだから,主張を示すためには,|α|<1の とき,

mlim→∞mCk|α|mk= 0 (k = 0,1,2,· · · , n−1) を示せばよい.ここで,

0<mCk = m(m−1)· · ·(m(k1))

k! mk

k!

1< |α1| = 1 +h(h >0)と表示すると,

|α|mk = 1 (1 +h)mk

1

mkCk+1hk+1 = (k+ 1)!

(m−k)(m−k−1)· · ·(m−k−k)hk+1

(k+ 1)!

(m2k)k+1hk+1

よって,

0mCk|α|mk mk

(m2k)k+1 · k+ 1

hk+1 0 (m → ∞) ゆえに主張が示された.

問題 5.8. 次の行列AについてexptAを求めよ.

(1) A= (

4 2

3 1 )

(2) A= (

3 1

1 1 )

証明. Aの固有多項式をfA(λ) =|λE2−A|と表す.

(1) fA(λ) = (λ1)(λ2)より,Aの固有値は1,2.ゆえにAは対角化 可能である.Aの固有値1に対する固有ベクトルと固有値2に対する固 有ベクトルを順に並べ,

P = (

2 1

3 1 )

とおくと,P は正則で,

P1AP = (

1 0 0 2

)

以上より,

exptA=P (

et 0 0 e2t

)

P1 =

(2et+ 3e2t 2et+ 2e2t 3et3e2t 3et2e2t

)

(2) fA(λ) = (λ2)2より,Aの固有値は2(重根).A ̸= 2EnよりAは 対角化不可能である.Aの固有値2に対する固有ベクトルは

c (

1

1 )

(c̸= 0) これを踏まえて正則行列P とべき零行列N

P = (

1 1

1 1 )

, N = (

0 1 0 0

)

と定めると,P1AP = 2(E2+N).m= 0,1,2,· · · に対し,

Am = 2mP(E+N)mP1 = 2mP(E+mN)P1.

ドキュメント内 KIT 学術成果コレクション (ページ 56-75)

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