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3)移転新築前後の 「 広間 」 での生活場面 3-1)2003 年

3-1-1)調査日における利用者の属性

 表 3.3.6 に 2003 年の調査当日の利用者属性を示す.2003 年の利用者は,11 人であり,その中で,独 歩の利用者は,6 人であった.また,平均年齢は 81 歳,平均要介護度は 3.5 である .

3-1-2)「広間」での生活展開

 図 3.3.9 に 2003 年の利用者の生活展開と利用者間の会話発生状況を示す.調査当時の Y2 の平面図を 図 3.3.10 に示す.

車いす

車いす 車いす 介歩 介歩 独歩 独歩

独歩 独歩 独歩 独歩 (外:介歩) 利用性別

3-2)2015 年

3-2-1)調査日における利用者の属性 

 表 3.3.7 に 2015 年の調査当日の利用者属性を示す.利用者 6 人の中で,3 人が独歩が可能であるが,

利用者 g 以外は,活発な行動がみられなかった.平均年齢は 85 歳であり,平均要介護度は 4 である.

3-2-2)「広間」での生活展開

 図 3.3.11 に 2015 年の利用者の 「 広間 」 での生活展開と利用者間の会話発生状況を示す.2015 年の Y2 の平面図を図 3.3.12 に示す.

車いす

介歩 介歩 独歩

独歩 独歩 利用性別

92 5 5 5 4 3 2 89 72 85 83 87

年齢 要介 利用期間 護度

歩行 状態

a

b c d g h

3年10月 3年 12年4月 11年10月

3月 2月

○週6

○週6

○週7

○週7

○週7

○週4 通所 泊まり 調査時利用サービス

住む

○月4

○週2

○週2

○不定

ゾーン

時間 10:00

a

b b

c

c g

g d

d h

11:00 12:00

(物品保管押入)

13:00 14:00 15:00 16:00 17:00 18:00 19:00 20:00 21:00 22:00

1-1

広間

台所

茶の間

居室 脱衣/浴室 トイレ トイレ/

洗面 1-2 1-3 1-4 1-5 1-6 1-7 2 3 4-1

6-2 6-3 他

4-2 4-3 5 6-1

昼食 コーヒー 夕食 就寝

18:55 家族訪問

0 1 2m

1-1 1-2 1-3 1-4 1-5

1-6 1-7

滞在 移動 会話

広間の ゾーン (2015年)

N

物品保管押入

台所

(2) 浴室

(3) 4-2

4-1

居室(6-2) 6-3

茶の間 (5)

広間(1)

ゾーン分類を元に各利用者を観察し,各施設の平面図に利用者の 滞在場所を把握した.

 2015 年にも日中に定められたプログラムはなく,利用者 1 人 ひとりの意向による生活がみられた.9 時半から 「 デイ 」 が始ま り,会話の発生は,比較的に自立の利用者 (d,g,h) がいたゾー ン 1-1 のみで会話が発生している.さらに,利用者 g と h は夫婦 であるため,会話の頻度が多くみられた.利用者 a,b,c は,自 表 3.3.7 2015 年の調査当時の利用者の属性

図 3.3.11 利用者の生活展開と利用者間の会話 (2005 年 7 月 17 日 )

 13 時 45 分頃,昼食後の時間に利用者 g が夫 (h) に急に怒り出している様子を見たスタッフが利用者 g に声をかけ,スタッフがギターを弾きながら歌い始めると,利用者とスタッフ全員が一緒に歌う場面が みられた.歌の時間は,15 時 10 分まで続いていた.

このように 2015 年の Y2 での生活場面では,定められた日課はなく,その時の利用者の状況にあわせて 対応していることがみられる.

3-2-3)生活場面の事例

 図 3.3.13 に 2015 年 7 月 17 日 13:45 の生活場面を示す.

0 1m

<歌の時間>

13時45分

利用者

h d g a

b c

スタッフ 台所 静養室 昼食後,1人のスタ

ッフがギターを弾 きながら歌を始め る(13時45分)と,利 用者全員が反応し, 歌い始める.歌の 時間は,15時10分ま で続いていた.

図 3.3.13 生活場面の事例 (2015 年 )

3-3)移転新築前後の生活場面の比較 :「広間」を中心として

 2003 年の利用者属性と 2015 年の利用者属性を比較すると,2003 年利用者の平均年齢は,80.9 歳であり,

平均要介護度は,3.9 である.11 人の利用者中,車いすで歩行する利用者は 3 人,独歩が 6 人である .  それに対して,2015 年の利用者の平均年齢は,84.7 歳であり,平均要介護度は,4.0 である .6 人中 1 人 が車いすでの歩行であるが,独歩の利用者は,3 人であり,利用者の属性に 「 重度化 」 がみられた.

 2003 年と 2015 年の広間での生活場面の分析から,各調査時の空間と利用者状況 ( 利用者数,自立度 ) などは異なるが,両者ともに定められたプログラムはなく,会話や歌など,1 人ひとりの利用者の個別の 過ごし方に合わせた対応が,ソファーや椅子などの配置や組み合わせによって,柔軟になされているこ とに共通点がみられた.

(3)考察

1)Y2 におけるサービス利用記録

 1995 年から 2005 年まで 20 年間に亘り,利用者のニーズに合わせてサービスや空間を提供してきた Y における全利用登録者 125 人の利用記録の分析結果とスタッフへのヒアリング内容をもとに,以下の点 が明らかとなった.

 サービス利用期間が 1 年未満の利用では,「 デイ 」 を単独で利用するパターンが 3 割以上を占めている が,2 年以上になると 「 複合 」 パターンが増加している.Y では,複数サービスを利用することで,利用 者の生活が安定し長期間の施設利用に繋がっていると考えられる.

 2010 年度以後,7 人以上の 「 住む 」 利用状況が続き,住むことを希望した 3 人の利用者が同法人の他 の宅老所へ移動した.また,行政の指導により 「 住む 」 自主サービスが認められなくなり,同法人が新 築した特養に 9 人の利用者が移動することになった.このように,Y2 に 「 住む 」 ことを希望する利用者 が増加していた.こうした傾向は,同一スタッフによる柔軟なサービスによって安定した生活を送るこ とができた利用者がその延長として住むことを希望していると捉えることができよう.

 サービス利用終了の理由では,約 60% の利用者は,他施設や病院に移動となったが,約 13% の利用者 は宅老所内で死亡となっており,Y2 は終の棲家として役割も果たしていることが分かる.

2) Y2 における移転新築前後の空間構成と利用特性

 Y2 は,民家を改修して開設し,増改築を繰り返しながら,利用ニーズに対応してきた.2007 年には,

建物の老朽化問題のため,建物を移転新築することになったが,それまでの建物での暮らし方を継続で きるように,新築された建物でも日中の生活の場と夜間の過ごす場を分離した空間構成が踏襲された.

 2002 年と 2015 年の施設内の生活様態を比較すると,両者ともに日中は広間にて 「 デイ 」,「 泊まり ・ 住む 」 の利用者が過ごし,夕方からは,茶の間と居室で過ごしている.交流の場としてのパブリックゾー ンと寝室まわりのプライベートゾーンが分離された空間構成となっている.安定した暮らし方を支えて いると考えられる.

 2002 年の平面では,台所が 「 広間 」 や 「 茶の間 」 より,南側に配置されているが,2015 年の平面では,

台所の位置が 「 広間 」 と 「 茶の間 」 の中間に配置されている.生活様態結果の 「 台所 」 でのスタッフの 滞在した回数を同じ時間帯に比較すると,2002 年では 5 回,2015 年では 7 回であり,台所の配置の変化 による生活様態に変化はないが,どの時間帯でもスタッフが台所で利用者の様子を確認できるように改 善されたことが分かる.

 2003 年と 2015 年の広間での生活場面の分析から,各調査時の空間と利用者状況 ( 利用者数,自立度 ) などは異なるが,両者ともに定められたプログラムはなく,会話や歌など,1 人ひとりの利用者の個別の 過ごし方に合わせた対応が,ソファーや椅子などの配置や組み合わせによって,柔軟になされていた.

3.4 宅老所 ・ デイサービス S における実態分析

(1) 利用者記録分析結果 1)開設から 13 年間の利用記録

1998 年度

全利用 登録者 の 利用期間

と サービス

内容

施設空間[宅老所KS]民家を借り,開所(下連雀) [宅老所KS]牟礼に引越し

訪問介護中止

[デイKS]運営者の自家を改修,開所 [宅老所KS]内部改修期間

サービス

1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011

10 0 20

1

2 3

4 56

8 910

1112 13 1415 1617 1819 2021

2223 24

2526 27

2829 3031

3233 3435

36

37 38

3940

41 42

4344 45

4647 4849 5051

52 5354 55 5657

58 60 59 61 6263

64 6566

67 6869 70 7172 7374

7576 77 7879

8081 8283

84 85

8687 8889

9091 9293

94 9596

97 98 99100 101102

103104 105106 107108 109110 111 112113

114115 116117

118119 120

121 123 122

124 125126 127128

129130 131132

133134 135136 137 138139

140141 142143 144145

146147 148149

150151 152153 154

155156 157158

159 160

161162

163 164

7

10 0 20

訪問介護(介護保険制度)開始 デイサービス開始 通い・泊り•住む

サービス提供

N-1

n-2

n-3 n-4 n-5 n-6 n-7 n-8

d-1 d-2

<勤務形態>

常勤 非常勤

<スタッフ資格>

介護福祉士 ヘルパー2級 S-1

S-2 S-3

S-4

S-5

S-6 S-7

S-8 S-9 S-10

S-12 調査時の

スタッフの 勤務期間

名前 S-1 S-2 S-3 S-4 S-5 S-6 S-7 S-8 S-9 S-10 S-11 性別 資格

○△

○△

○△

○△

S-12 男 S-11

新規利用者 利用登録者数

(人)

2 0 0 1 1 2

0 6 2 8

5 6 10 21

4 7 8 19

9 3 10 22

14 13 13 40

10 8 9 27

8 5 14 27

10 6 13 29

14 4 11 29

9 5 12 26

8 1 9 18

6 3 10 19

3 1 8 12

- - - 10/1 10/2 - 11/6 8/5 11/4 11/0 12/3 10/2 10/2 9/3 7/7 6/5 6/5 6/7 6/6 6/5 7/6 9/7 9/7 8/3 8

5 18 10

9 11

13 9

27 26

13 14

14 12

15 15

15 16

12 16

8 7

8 9

2 1 利用終了者

利用者合計

スタッフ(常勤/パート)

訪問/

デイのみ デイ+泊り デイ+住む

<利用終了後移動先>

自宅へ 自宅死亡 宅老所死亡

病院入院 他施設へ 不明 訪問介護

<サービス>

デイサービス デイ+泊り デイ+住む 一時入院

 開設からの全利用登録者の利用経緯とサービス提供体制の変遷を図 3.4.1 に示す.1998 年 10 月から 2011 年 9 月までに利用した 164 人の全利用期間と利用サービス,利用登録者数,サービスごとの利用者数,

サービス利用終了後の退所理由(移動先)を示している注 3-5).利用者数合計をみると,開設から 1999 年 度までの利用者数は,10 人であるが,2000 年 4 月の介護保険制度施行以降は,利用者数が増加している.

注 3-5) サービスの種類と組み合わせは利用実態を報告している.なお,宅老所 S では,1998 年の開設から 2002 年まで訪問介護を行っ ていたが,2002 年 12 月にデイサービス(介護保険サービス)を開始した直後の 2003 年 3 月に訪問介護を終了している.

図 3.4.1 S における開設から全利用者の利用経緯とサービス提供体制の変遷

2000 年度から 2010 年度末までの年間利用者数は 18 〜 40 人で,平均 25.2 人となっている.新規利用者 は年平均 13.8 人である.開設当初は,[デイ+住む]が[デイ+泊り]を上回っていたが,[デイのみ]

の受け入れを開始した 2002 年度から[デイのみ]の利用者数が急増し,2003 年度の全利用者数は 40 人 に達している.

1-1)提供サービスの変遷(図 3.4.2)

初期の提供サービスは,泊り ・ 住む ( 自主サービス ) のみであり,2000 年 4 月から施行された介護保 険制度の開始により,訪問介護サービス ( 介護保険制度 ) を開始した.その後,S2 が 2002 年 12 月に開 所し ( 介護保険認定事業所 ),日中生活は S2 で通所介護を提供し,夜中では S1 で泊まりや住むサービス

1985 1990 1995 2000 2005 2010

サー ビス 変遷

空間 変遷 (S1)

空間 変遷 (S2)

時期

通・泊

・住 訪問

① ②

⑤ ⑥

③ ④

(自主) (制度) S1

S2 通所

① 2002 年時点

2002 年以前 2002 年以後

1 ㎞

② 2004 年 6 月まで : 台所 , フローリング , 増築

③ 2004 年 12 月 :   ソファコーナー , あがり設置

④ 2011 年 8 月 :

  テーブル数 , あがりの手すり等

⑤ 2004 年 12 月まで :

  間仕切りや柱取り払うなど→ワンルーム

⑥ 2011 年 8 月 :

  玄関に木扉 , 畳コーナー減設 ,ELV 閉鎖等

→訪

台所

畳コーナー

ELV

静養室 静養室

トイレ 浴室 脱衣室

0 1 2 4 m

0 1 2 4 m

台所

ソファー 畳コーナー

トイレ 脱衣室 浴室 西側の居室

南側のベッド

浴室 汚物 処理室

台所

あがり

0 1 2 4 m

0 1 2 4 m 0 1 2 4 m

西側の居室

台所

0 1 2 4 m あがり

西側の 居室

台所

西側の 居室

台所

凡例 自主サービス

制度サービス

制度+自主 ・通:通い ・通所:通所介護

・泊:泊まり

・住:住む

*1

<S1>

<S1>

<S2>

<S2>

<S1>

<S1>

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