7 多変数公開鍵暗号(MPKC)の新方式提案と組織暗号への活用
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されました。
MI方式は、1988年、EUROCRYPTという国際会議で発 表され、1995年、解読され、MI方式を拡張したHFE方 式が提案され、現在も研究が続いていますが実用に耐え られる方式は発表されていません。
順序解法についても、金子等により解読法が示されま した。1993年、A. Shamirにより、辻井等とは独立に、
順序解法を署名に利用する方式が提案され、Copper-smith等により解読されております。
1980年代に日本において起きた方式提案と解析に関 して同様の現象が、1990年代、米国においても生じた のです。これは、今ではよく知られているランク攻撃も グレブナ基底攻撃などの解析法も知られていなかった当 時の安全性解析のレベルを物語っています。
1994年、量子コンピュータが実用化された場合、RSA 暗号が依拠する素因数分解の困難性も、エルガマル暗号 が依拠する離散対数問題の困難性も利用できないことが 明らかにされるに及んで、暗号研究分野に衝撃が走り、
欧米各国においても、MPKCの研究が盛んに行われるよ うになりました。
順序解法については、その改良版は、Ding等によっ て解読され、また、1段ごとの順序解法を多段化する方 式が笠原・境によって、提案されましたが、これに対し ても解読法が示されています。
以上の通り、これまでのところ、秘匿用のMPKCにつ いて、信頼感の持てる方式は提案されていません。
他方、量子コンピュータの進歩も遅々として進まず、
RSA暗号を解読できる性能を実現できる見通しは立って
いません。
こうした中で、最近、IoT, 或いは、ウェアラブル に 耐えられる軽量暗号の必要性が高まってきました。
著者らが先に発表した論文(ISEC-2015年5月、電 子情報通信学会英文論文誌(A)、2016年1月号掲載予定)
では、以上のような背景の中で、量子コンピュータの出 現は遠い先のこととして、先ずは、素因数分解の困難性 に依拠するMPKCを提案した次第です。上記の方式は、
素因数分解の困難性を仮定すれば、ランダム2次多変数 多項式と等価な安全性を有しているとの信頼感を得てい ます。
以上のように書いてくると、暗号に対する信頼感が薄 れそうですが、暗号研究者達は、可能な限り、数学的に、
安全性証明を付した方式を提案すべく努力しています。
本研究でも、素因数分解の困難性に依拠する方式につ いては、安全性証明に対する信頼感が持てる方式として、
電子情報通信学会英文論文誌(A)に採択され、2016年 1月号に掲載されることになりました。
このような歴史的経緯はさておき、量子コンピュータ の出現にも耐えられ、かつ、IoT時代に相応しい軽量で 実用的なMPKCの確立が待たれていることも間違いあり ません。
そこで、本研究では、多素数MPKCを提案し、2015年 9月の電子情報通信学会 情報セキュリティ研究会
(ISEC)で発表を行いました。国際会議にも投稿し、評 価を仰ぐ予定です。これに関連した図表などを、ご参考 までに下記に載せておきます。
7 多変数公開鍵暗号(MPKC)の新方式提案と組織暗号への活用
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表7-1 MPKCの分類
方式 提案者・年
Mixed-field
(or “Big Field”)
MIA MI Scheme A or C* 松本、今井他 1983~88
HFE Hidden Field Equation (MIAの一般化)
Patarin 1996
Single-Field
(or “True”)
UOV Unbalanced Oil and Vinegar Kipnis, Patarin, Coubin 1997~99
TSK 辻井他 1985~89,Shamir 1993,笠原,境 2003~05 Stepwise Triangular System
Goubin, Courtois 2000, Wolf et al. 2004.
図7-2 多変数公開鍵暗号(MPKC)の標準的構成
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こうした中で、最近、loT、或いは、Wearable 環境に対する考慮が必要となっている。
(第一段階)
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図7-3 現在のコンピュータに対して安全な多変数公開鍵暗号の提案方式と性能
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(第二段階)
図7-4 量子コンピュータに対しても安全な多変数公開鍵暗号の提案方式
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図7-5 グレブナ基底攻撃に対する安全性
図7-6 耐量子コンピュータ型多変数公開鍵暗号のIoT・ウェアラブル環境への応用を考慮した構成