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Fig. 5-7には花粉挙動アニメーションのスクリーンショットを1つの花粉に着
目する形で表示した.それぞれのスクリーンショットには目立つよう大小 2 つ の円形が書かれている.それらは別々の位置に描かれているが,共通の花粉を 囲んでおり,花粉が時間をかけてどのような軌跡で移動しているのかわかるよ うにしている.Fig. 5-7からはゆっくりと空気清浄機に引き寄せられた花粉が,
吸入されずに巻き上げられていく様子が確認できる.さまざまな運転方法にお ける花粉挙動のアニメーションを観察してきたが,このような挙動を示す花粉 は決して珍しくなかったと思える.このことは花粉除去の観点からは望ましく ない現象だが,逆に除去率を改善するための余地が残されているとも言える.
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Fig. 5-8. 室内気流分布可視化yz平面表示(横視点x=2.5).
Fig. 5-8より排気角が時間的に変化する様子と,排気角を固定した場合よりも
室内気流がかなり不規則な風向きをしている様子が確認できる.しかし,これ が花粉除去にどのような影響を与えるのかはこれだけでは何とも言えない.
次に花粉除去率をグラフにする.まずは可動範囲を 0°から 90°としたとき の結果を示す.可動周期はそれぞれ24[s],36[s],48[s],60[s]としている.
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Fig. 5-9. 花粉除去率時間変化(可動範囲0°から90°).
次に可動範囲を 0°から 30°とした結果を以下に示す.可動周期はそれぞれ 6[s],12[s],24[s],36[s]としている.
Fig. 5-10. 花粉除去率時間変化(可動範囲0°から30°).
排気角を動かしても花粉除去率が改善されるわけではないことと,可動周期 と除去率の関係があまり大きくないことがFig. 5-9,Fig. 5-10よりわかる.どち らの可動範囲でも可動周期が長い方が若干花粉除去率は高くなるが,それでも
排気角を0°や30°に固定した方が除去率は高い.
次に効果範囲の可視化を示す.排気角可動範囲が0°から90°で周期 12[s]と
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60[s]としたときの効果範囲をxy平面表示すると以下のようになる.表示方法は
これまでと同じである.
Fig. 5-11. 効果範囲xy平面表示(排気角90°-0°周期12[s]).
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Fig. 5-12. 効果範囲xy平面表示(排気角90°-0°周期60[s]).
排気角固定の結果からは,排気角により吸入しづらい領域としやすい領域が異 なっていたので,排気角を動かすことにより固定していた時には達成できない ような効果範囲を示すことができないか期待したが,Fig. 5-9,Fig. 5-10,Fig. 5-11,
Fig. 5-12を見る限り思うような結果は得られなかった.周期的に排気角を動かす
だけでは花粉除去に良い影響は与えられないと考えられる.
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6 章 定常モデルと時発展モデルの比較
この章では定常モデルと時発展モデルで花粉挙動シミュレーションを行った 場合の結果を比較する.我々の研究室では空気清浄機による花粉除去をシミュ レーションする際,室内気流を定常と仮定してきた.それは,空気清浄機によ る気流が部屋全体にいきわたれば,その後の時発展は小さく花粉の挙動に与える 影響も小さいと考えたためである.そのことを確認するため定常モデルの花粉 挙動シミュレーションを,気流生成時間を20[s],50[s],100[s],200[s]と変えて 複数回行い,時発展モデルとの比較を行う.
まず花粉除去率のグラフを示す.排気角は0°とする.
Fig. 6-1. 花粉除去率時間変化.
Fig. 6-1からは同じ定常モデルでも気流生成時間により花粉除去率に差が出る
ことと,気流生成時間100[s]と200[s]と時発展モデルは近い結果を示すことがわ
かる.20[s]の気流で花粉除去率が低いのは気流が部屋全体へいきわたっていな
いためと考えれば納得できるが,100[s]と200[s]で除去率の増え方が近いことは 意外だった.2章で室内気流分布を可視化したが,室内気流は100[s]を過ぎた後 も局所的な乱れが広がるように時発展を続けていたので,正直この結果は意外 といえる.
次に気流生成時間が50[s],100[s],200[s]としたときの効果範囲を比較する.
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Fig. 6-2. 効果範囲xy平面表示(定常モデル50[s]).
Fig. 6-2に気流生成時間50[s]における花粉挙動シミュレーションの効果範囲
を示す.Fig. 6-2からは気流生成時間50[s]においては吸入される花粉と落下す る花粉,浮遊する花粉つまり,青色と赤色と緑色のすみわけが比較的はっきり しているように見える.
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Fig. 6-3. 効果範囲xy平面表示(定常モデル100[s]).
Fig. 6-3より気流生成時間100[s]では,50秒のときと比べ効果範囲のすみわけ
がまだらになっているように見える.
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Fig. 6-4. 効果範囲xy平面表示(定常モデル200[s]).
Fig. 6-3,Fig. 6-4を見ると,気流生成時間が200[s]になると100[s]のときよりも さらに効果範囲がまだらになっていて,どこの花粉なら吸入されやすく,どこ だとされづらいのか判別が難しい.
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7 章 結論
本研究では「CAMPAS」をもとに連成シミュレーションを組むことで,時発 展する室内気流下における花粉挙動シミュレーションを実現した.また,気流 計算のアルゴリズムに変更を加えることで,気流計算時間を100分の1ほどに 短縮することにも成功した.
シミュレーション結果をまとめると以下のようになる.
・ 排気角を特定の角度に固定してシミュレーションを行った結果,0°,30° の除去率は高かったが,90°の除去率は低くなった
・ 効果範囲を可視化した結果,除去率の低い排気角90°でも0°では吸入し づらい領域の花粉も吸入できるなどの,排気角ごとの特徴が確認できた
・ 花粉の挙動をアニメーションで観察すると,空気清浄機に引き寄せられる が排気の影響で吸入されない花粉が多くみられた
・ 空気清浄機の排気角を一定の可動範囲と可動速度で周期的に動かしたシ ミュレーションを行ったが,除去率効果範囲に大きな改善は見られなかっ た
以上のまとめのように時発展する気流下での花粉挙動シミュレーションは実 現できたが,効果的な排気角可動は発見できなかった.しかし本研究では排気 角の固定と,周期的な可動の2パターンしかシミュレーションしていないので,
排気を効果的に制御することで吸入花粉数を増やせる可能性がある.
たとえば,Fig. 5-1からは排気角90°では花粉挙動時間が300[s]程度になる花 粉除去率が上昇しにくくなるがわかる.またFig. 5-5からは排気の影響の強い空 気清浄機前方の花粉が吸入されづらいことと,その分上方の花粉が吸入されや すいことがわかる.これらの情報を総合すると,排気角90°固定で挙動時間が
300[s]程になると空気清浄機上方の花粉が尐なくなってしまうことと,その後に
排気角を0°へ可動すれば,排気に飛ばされる花粉が尐なくなり除去率が上がる のではないかということが考えられる.また排気可動中に飛ばされる花粉を減 らすために,可動中は排気流速を小さくしてしまうという制御法も考えられる.
これらのシミュレーションは現行のコードに若干の変更を加えるだけで可能 なので研究室後輩の誰かが実現してくれると面白いかもしれない.
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謝辞
本研究を行なうにあたり様々なご指導やご教授を賜りました高橋俊樹准教授 に厚く御礼申し上げます.
高橋俊樹先生には,研究の事だけでなく,普段の生活における心構えや基本 までも指導して下さり,大変感謝しております.学んだ事を今後の研究生活に 役立てていければと思っております.
本研究に於いて,石川赴夫教授,橋本誠司准教授には主査,副査として,私 のために時間を割いて頂いたことを心より感謝致します.
また,私の研究に必要不可欠なシミュレーションソフトウェアの開発をされ た橋本明憲先輩に深い感謝の意を表します.また,先輩の執筆された論文は大 変参考になりました.
最後に1年間をともに過ごした高橋俊樹研究室の皆さんに心から感謝します.
研究以外の面でも大変お世話になりました.重ねて御礼申し上げます.
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参考文献
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