犬手、大規模、長期 ! 土地買収
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19i5 1980(年) 図4‑9 時聞を変数にした開発事業収支推移 (30km圏) 図4‑10 時間を変数にした開発事業収支推移 (50凶圏)
‑9, 4 ‑10である。
なお,図4‑9,4‑10における「地価jは, 便宜上,開発面積あたり(買収用地全体あたりの 平均)の「地価Jを示したものであり,各事業費 の算出は,この地価を有効宅地率で除した値を「
素地費jとして用いている。
また,乙れらの間には,開発事業を収支上収益 があがった場合にのみ成立するとの見方をするた め,先の実態事例をもとに,各年度の販売面積あ たりの住宅販売価格を,各々の圏域での地価変動 率及び卸売物価指数にあわせて推定している。そ して,乙の図においては この住宅販売の実態価 格の推計値を,需要者側の購買力を前提とした u
住宅販売価格水準"とみなす乙ととした。
図4‑9,図4‑10において「収入jよりも「
総事業費Jが上まわると,本研究の概念モデノレと したような事業方式では,事業が成立しないこと を示す。そういう視点で乙れらの図をみると,次 の点が指摘できょう。
①大手企業一大規模一長期開発類型においては,
30km圏, 50km圏いずれにおいても,事業が成立す る時期が限られることである。事業収支が
o
(交 差する点)になる年次は, 30km圏, 50km圏いずれ も1969年と 1977年ということになる。この大 規模開発は,事業期間8年間としているので,結 局のと乙ろ, 1961年から 1969年,つまり地価 推移において安定した1950年代に用地購入を開 始し,地価の急騰期である 1970年代に,販売す るという事業形態において成立しているという乙 とを示していると考えられよう。このことは,換 言するならば,開発i乙要する諸費用にかかる利子 率による経費増を上まわる地価の上昇が,需要者 の所得増を前提としつつも,住宅販売価格水準の 上昇をもたらすために,事業収益をあげえたこと を示している。従って,逆i乙地価が高値安定しは じめた 1970年代後半以降に,このような開発事 業を展開しても事業収益をあげることが極めて困 難であることを示しているのである。②他方,中小零細企業一小規模一短期開発類型 においては, 1965年 ‑1980年の全期間を通し て,事業が成立するということになる。乙れは,
事業期間が短い乙ともあって,期本的 l乙は地価変 動l乙左右される割合が近く,かっ,有効宅地率の 高いことが相対的に事業費を低下させるためと考 えられる。しかしながら,両図を注意深く観察す ると, 1970年代の前半(乙の時期が地価高騰の 最も激しい時期である)における収益に対し, 70 年代の後半においては,収益幅が狭くなり,地価 変動の低下(安定化)は,用地買収から2年後の 販売という概念モテ、jレに示したような事業手法で は,利潤が少なくなることを示す。つまり,当然 ながら,小規模開発においても,地価の高騰は,
事業収支を大きく左右するという乙とである。た だし,大規模(長期)開発ほどには,地価 l乙左右 されない乙と,換言すれば,いわゆる地価差益に それほどは依存しなくても事業が成立しうること が考えられるのである。
@この地価差益との関連のために,手JI幅l乙着目 すると, 30km圏, 50km圏いずれにおいても, 1970 年代中端において,大規模開発が小規模開発を上 まわる。いうまでもないが,乙のことは,開発規 模 lζ起因するのではなく,事業期聞に起因する問 題である。すなわち,地価の高騰が激しい時期に おいては,事業期間を長くするほど(具体的には 土地を安く(なるべく早い時期に)買って,長く 寝かせておくほうが)収益幅が増大する乙とを示
しているのである。
次l乙,場所の変数を変えることで同じ時期lとは, どのような状況が現れるかを検討するが,検討に 先立ち場所の変数について考えてみると,本節で は2つの地域30畑圏と 50km圏の例をとり説明した。
都市化が内から外へと連続的に進展すると仮定す れば,論理的にはこの2地域の地価の変動率は,
時期的に異なってくると考えられるが,本研究で は,地価の推測値を求めるのに公示地価の変動率 を用いた結果,地域によって大きな差にはならな かった34)。したがって,都市化が内から外へと連 続的に進展すると仮定して,地価の推移を模式的 l
ζ考え,地価の推移を地域別に表わすと図 4‑11 のようになる。
そのように概念設定すれば, 30km圏の地価は50 km圏より早い時期に変動率が大きくなる形で推移
84 総 合 都 市 研 究 第24号
地1由1
50km図
, 零調11、小fJ.l段、知!日l 川地問収、宅地造成、販売
,大T'、大規模.Jklt/J.
、 IIIJ也i'
w .
, 大F、大腿校、民!日l
、 宅地造成、 l阪光
v 大子、大fJ.l1賞、民mJ
、 宅 地 造 成 、 販 売 '
, 零制、小tJUI,l、短mJ 、
、 JlJJ也買収、宅地造成、 l阪売 '
H年1111
図4‑11 場所を変数にした開発事業収支推移概念図
し. 50km圏では同じ地価推移が時期をずらした形 で現れるはずである。従って,各地域ごとに,各 開発類型の用地買収期,開発期,販売期が現れる のは. 30km圃より 50km圏の時聞が遅れ,地価推移 がうしろにずれた形になるはずである。
初期地価不変期には,近い将来での地価高騰が 確実に保障されないかぎり,大手企業開発類型で は事業収支は成立せず,よって用地購入はしない 乙とになる。しかしながら,将来的な地価の高騰 (それは需要の顕在化を意味する)を見込むこと によって,企業は(利子負担とのバランスの上で) 用地の入手を始めるのである。
一方,中小・零細企業開発類型では,乙の時期 でも住宅需要は地域的で小さいとはいえ,あると 考えれば,利益は少ないが若干の地価上昇を前提
に事業収支は成立するのである。
次l乙,都市化のインパク卜が,その地帯に押し 寄せ,地価上昇期を迎えると,住宅需要が増大し 大子企業開発類型では利益幅が最大になる。しか
し,乙の時期に造成し販売するためには,それ以 前の時期に用地を購入しておく必要がある。用地 高騰後に用地を入手するよりも,利益幅を大きく するには,用地買収はその時点における地価不変 期の土地,つまりはその時点、における(既成市街 地に対しての意味で)より外側の土地を購入して
お乙うとするはずである。
中小・零細企業開発類型では,乙の時期も事業 収支は成立し,前期と異なり住宅需要が増加しは じめ,地価が高騰すれば利益幅がそれ以前よりも 大きくなる。そ乙で,地価上昇中の土地を購入し,
短期間で造成し販売する。乙の場合,近傍で大規 模開発が行われ,地価水準(乙の場合は販売価格 水準)が高騰すれば,便乗的 l乙中小規模開発の収 益は大幅なものとなろう。
最後に,終期地価停滞期には,大手企業開発類 型では,利益幅が中小・零細企業より低下し,や がて事業収支は成立しなくなる。従って,この期 以降に大規模(長期)事業を展開するには,より 外側の地価上昇前の地域での用地を買収すること になる。需要が常に存在し,より外延の地域を通 勤限界地内化することが可能であれば,乙の原理 で大都市地域での通勤限界地一杯まで開発事業を 進める乙とが可能となるのである。しかしながら,
より外延地域の通勤地化が不可能であれば(つま り売れなければ).大規模開発事業そのものの外延 化は事業として成立しえない乙とになる。そして,
近年の現状は乙うした状況にあると考えることが できょう。
他方,大手企業をもまきこんでの中小規模開発 は,事業が成立しても以前の時期よりも利益幅が
85 小さくなり,その中でより利益をうむために有効
宅地率をあげる乙とを指向する乙とになろう。従 って,有効宅地率をより最大にできる「ミニ開発J
化が顕著となる乙とになる。そして,その後地価 の再上昇がなければ,いずれは事業収支は計算上 は成立しなくなるが,現実には住宅需要が相対的 l乙大きい場所での短期決戦型の開発形態であるの で,かろうじて収支を成立させつつ,局地的 l乙展 開しているのであると考えられる。
4‑6 地価安定期における住宅地開発事業手法 の展開とその機構の予察
前節までの本研究における検討の前提は, 4‑2 で導出した「販売面積あたりの事業経費jの積み 上げによる,事業収支算出概念式であった。しか しながら「販売面積あたりの事業経費」は,開発 面積に占める販売面積の割合,いわゆる有効宅地 率により本来時に大きく規定されるものである。
つまり,一般には,有効宅地率が低いと,販売面 積あたりの単価は相対的に高くなるはずである。
そして,近年の地価の安定的状況においては,前 節で検討してきたような事業概念では,事業が収 支的に成立困難な状況になっており,有効宅地率 の引き上げによる利益の向上を目指さざるをえず,
またそうした動きが現実に見聞きされるところで ある。
こうした状況における事業成立を収支的に検討 するには,先の概念式では,変数としての「有効 宅地率」や,
r
開発地の密度指標jからの事業成立条件への検討がなしえない欠点をもっていると いわざるをえない。そ乙で,先の事業収支概念式 を一部改良して,次のような事業収支モデ、Jレ式を 設定した。
Y
寸‑(弓主C1
+p)t1+己与三
(l+P)t寸 -t(1+P 戸+~}
乙乙 l乙
Y:販売面積あたりの収益(円/rrf) H:全開発面積 (nf)
α:有効宅地率(全開発面積に占める販売 面積の割合) (%)
A:全開発面積あたりの売り上げ(収入),
(円/nf)
x 全開発面積あたりの素地費(円/nf) b:全開発面積あたりの税金等(円/nf) c 全開発面積あたりの造成設計費
(円/nf) d 全開発面積あたりの造成工事費
(円/nf) e 全開発面積あたりの開発負担金
(円/nf) f 販売建築物の延床面積あたりの建築工
事・設備費(円/nf) h :販売建築物の延床面積 (nf)
g:全開発面稽あたりの販売事務及び一般 管理費
p 年利子率
t 各事業経費項目の事業開始から販売完 了までの期間(年)
とすれば¥上式中の,
言:ある住宅地開発事業での「容積率J(労) を示す乙とになるO
この事業収支モデル式は,住宅の建築費を,建 物延床面積あたりの単価で投入しうる乙と,その 結果「有効宅地率:αJと「開発容積率:h/HJ の変数によって,事業収支がどのように変化する かを検討しうるものであると考えられる。そこで,
先の表4‑1及び表4‑4 ~r 示した 4 件の実態 調査例 l乙,首都圏10km圏で、のマンション開発事例 を加えた6事例について,表4‑7のように各項 目の実態値を換算し,上式l乙投入してみると,表 4ー71ζ示すような販売土地面積あたりの収益が 算出される。
乙乙で取り上げたマンション開発の事例は,い れも大手企業のN不動産によるもので,世田谷区 内のO駅及びP駅から各々徒歩10‑15分に立地す るマンションであるo 乙れらのマンションは,各 々1981年及び1980年に販売されたもので用地 購入から建設,完売までに1年強を要している杭 乙乙ではI年として概算した。また,各々の素地