B〜(i)i*+Ii*=C^i*+𝒟i*,あるいは,同じことだが,
C^i*v+𝒟i*v=𝒟i*(C〜i*v+vi)=𝒟i*vnet
≕
^vinet(48) ⒅ =B〜i*(i)v+vi=cnet(i)+vi≕v
net(i). ⒆ これは,横型探索アルゴリズムの方法がBaldoneの研究結果(49)と全く等しいという結論を意味する。すな わち,v^inet=vnet(i)である。例証された事例
上図9-4:原典図S4「単純な蝶タイ〔状の〕ネットワーク・トポロジー.強連結成分(SCC)内の企業の高 度な相互連結性を伴う例」において例示されたネットワークを考察しよう。これは単純な蝶タイ〔状の〕ネッ トワーク・トポロジーの例である。SCCは,株式相互持合いの問題を強調するための方法として構成されて いる。ここには,蝶タイ〔状のネットワーク構造〕の中枢内の各企業から発し,あるいはまたそこに終着す
(47) ⒀を成分で書くと
𝒟
ij=Iij-[
diag(C^)]
ij,これを⒄に代入する。「*」は「任意の番号」なので分かりやすく「j」(j は任意)で書くと,B〜(i)ij=C^ij-
[
diag(C^)]
ij (←⒄)B〜(i)ij=C^ij-(Iij-𝒟ij) (⒀の成分版を
[
diag(C^)]
ijについて解いて代入)B〜(i)ij+Iij=C^ij+𝒟ij
(48) ⒅の最初の等式はC^に⒁を代入して
𝒟で括ったもの。C
〜v+vがvnetと書けるのは⑻より。これをv^inetと定義。他 方,⒅式の最初の式に戻り,上のB〜(i)i*+Ii*=C^i*+𝒟i*を代入すると,C^i*v+𝒟i*v=(C^i*+𝒟i*)v=(B〜(i)i*+Ii*)v=B〜(i)i*v+Ii*v=B〜(i)i*v+v. ここで厳密には,「単位行列の第i行ベクトルだから」と書くべきであろう。しか し,「単位行列とその行ベクトルの両方の意味にとってほしい」というのがおそらく著者の本意であろう。もっとも それは無理(意味不明)という方が正しい。著者の記法はこのような疑問を読者に生じさせ,また理解し難い。(テ ンソル解析で使われる「アインシュタイン規約」に似ているが,“死んでいる” 添え字を「*」で表すのならばvにも,
付けないと不徹底であり,他の部分の記法も首尾一貫していない。著者の記号法を通常の数学の流儀で,行列・ベ クトルそのものの関係として表すと,次のようになる。(C^v+𝒟v=(C^+𝒟)v=(B〜(i)+I)v=B〜(i)v+Iv=B〜(i)v+v.但 しI=(Iij)は単位行列,C^=(C^ij),𝒟=(𝒟ij),B〜(i)=(B〜(i))は行列,v=(vij i)は縦ベクトル。)元の著者の表記法に戻っ て,最右辺の第 1 項B〜(i)i*vは(⒆式では,添え字「i*」と「(i)」の前後が変わっているが同じ意味であろう。cnet の意味からcnet(i)と書くことができ,全体をvnet(i)と置く。それゆえ⒆式が導かれる。
(49) Cf.,Baldone,etal.,op.cit.
図9-4(原典図S4):単純な蝶タイ〔状の〕ネットワーク・トポロジー.強連結成分(SCC)内の企業の高度 な相互連結性を伴う例.
1 0.1 1.0
0.5
0.3 0.5
0.6 0.3
0.5 0.2
0.2 0.5
0.3 2
4
3
5 6
出所:‘Vitali,Glattfelder&Battiston,“SupportingInformation”’,p.10,FigureS4.
― 55 ―
― 54 ―
流通経済大学論集 Vol.54, No.3る多くの間接的所有の循環がある。
前提として,基底にある各企業の価値が 1 ,すなわち,v=(1,1,1,1,1,1)tで,tは転置演算(transposition operation)を表記する。さらに,閾値モデル(TM)を援用しよう。それゆえ,Cij=Wijである(50)。この結果 はネットワーク価値であり,方程式⑻〔vnet=C〜v+v=cnet+v〕を使用して,積算値は次式のようになる。
net
=
=
,
. 50 6
27 49 55 1
1.000
0 0 0 0 0
0.100 0 0 0 0 0
0 0 0.162
0 0 0
0 0 0.095 0
0 0 0 0 0 0 0.086
0 0 0 0 0 1.000 0
⒇
それゆえ,ネットワークに存在する価値の総計は6=
Σ
iviであるが,企業 5 は不釣り合いに大きなネット ワーク支配,v5net=54(51)を持ち,循環の存在による支配の過剰推定の問題を強調している。Baldone等の研究(52)で提示されている修正を援用して,すなわち,方程式⒀〔v^net=𝒟vnet=C^v+𝒟v〕で定 義されている修正演算を計算することによって,次式を見出す。
net
=
=
,
. 50 6
27 49 55 1
1.000
0 0 0 0 0
0.100 0 0 0 0 0
0 0 0.162
0 0 0
0 0 0.095 0
0 0 0 0 0 0 0.086
0 0 0 0 0 1.000 0
㉑
方程式⒂〔修正されたネットワーク価値〕〔v^net=𝒟vnet=C〜v+𝒟v.〕から次の修正値が算出される。
6.000 5.000 4.378 4.667 4.714 1.000
net
=
=
net
(1)
net
(2)
net
(3)
net
(4)
net
(5)
net
(6)
1.500 5.000 4.378 4.667 4.714 1.000
^
.
,
㉒
修正は,蝶タイ〔状のネットワーク構造〕の中枢内の企業の価値を約10倍以内縮減する(53)。これから,v^net およびc^netが実際にネットワーク内のSCCsの存在下で考慮すべき正しい尺度であることが確認される。
残念ながら,この例は,さらに,第二の方法上の問題を強調する。根ノードが全ての支配を蓄積すること は明らかである。すでに言及したように,われわれの提示したアルゴリズムは,この問題を修正する一方,
同時に,循環における過剰推定について修正する。
方程式⑽〔vnet(1)=
[
B(I-B)-1v]
1+v1=d(Isub-Bsub)-1vsub+v1≕d
〜・vsub+v1〕から見出されるように,6.000 5.000 4.378 4.667 4.714 1.000
net
=
=
net
(1)
net
(2)
net
(3)
net
(4)
net
(5)
net
(6)
1.500 5.000 4.378 4.667 4.714 1.000
^
.
,
㉓
これは,v1net=v^1net=6≥vnet(1)=1.5の違いを例証している(illustratingthechangefromv1net=v^1net=6≥
(50) 原典では,左辺がCijであるが,正しくはCijであろう。
(51) 式⒇が正しいとすると,正しくは55か,または式⒇の55が正しくは54のいずれかであろう。
(52) Cf.,Baldone,etal.,op.cit.
(53) 中枢とはvnetの中頃の 2 〜 5 番目の成分を指すものと考えられる。
(411)
vnet(1)=1.5)。要約すると,蝶タイ状の構成形態を伴うネットワーク内の支配の計算のためにvnetを援用することは,構造 上SCC内の支配の水準を過剰推定する。他方,v^1netの使用は常に,根ノードに最高の支配を割り当てる。唯一 vnet(.)の尺度だけが,根ノードおよびSCCノードを,SCCノード相互間および葉節点〔各下位のノード〕と 同等に置いて(putsrootandSCC-nodesonparwitheachotherandtheleaf-nodes),初めてネットワーク内 の各ノードの支配に関する正確な分析を可能にする。
補論終〕
9.3 過剰推定問題の克服方法
規模の小さいネットワークに関する解法はBaldone等による研究
(54)
で提示してある。大規模な支配ネットワークに関するそれ以前の研究は異なるネットワーク構築の手法を用い,この解 法の問題を完全に無視していた
(55)
(下記補論「‘Vitali,Glattfelder&Battiston,“SupportingInformation”’第 2 節「データおよびTNCネットワークの検出」;第3.5節「先行研究との関係」」を参照されたい)。本 稿では,Glattfelder&Battistonに基づき,大規模ネットワークにおける支配力について計算するために 援用可能な,支配の過剰推定の問題を克服するための新しい方法を開発する
(56)
。〔補論:‘Vitali,Glattfelder&Battiston,“SupportingInformation”’ 第 2 節「データおよびTNCネットワー クの検出」;第3.5節「先行研究との関係」:
データおよびTNCネットワークの検出
Orbis2007 マーケティング・データベース(57)は,194ヵ国に位置する自然人および法人を併せ,約3,700万 人,さらに大雑把に捉えて,1,300万の直接的および重み付けの所有のリンク(株式関係)を含む。このデー タ・セットは,全所有的関係よりは支配関係を跡付けることを意図している。利用可能な場合には何時でも,
所有の百分率は,議決権と係わる株式に関連する。OECD(58)で与えられるTNCsの定義は以下の通りである。
TNCsは,[…]複数の諸国に居住する(59)会社およびその他の法人を含み,多様な方法でそれらの営 業を調整するよう結び付けられる一方,これらの一つもしくは複数の法人は,他の活動にかなりの影 響を及ぼす場合があり,それら法人内の自律性の程度は,或る多国籍企業と別の多国籍企業の間では 大きく異なるかも知れない。所有は民間,国家もしくはその混合の場合がある。
そこで,複数の諸国に居住する,株式の少なくとも10%を保有する会社が選出される。しかしながら,巨大 TNCsの多くの子会社そのものも,TNCsのこの定義を満たす(例えば,TheCoca-ColaCompanyは,Coca-ColaHellenicBottlingCompanyを所有し,この会社は次いで,Coca-ColaBeveragesAustriaを所有する)。以 降,各多国籍グループについて,われわれは一代表企業だけを所持することに関心を持つから,いわゆる究極 的な所有者(すなわち,会社の上流で会社をそれぞれ最高の程度で所有する会社(60))が株式市場に上場されて いる場合,その下位の企業は選択肢から除外することとする。その代わりに,上場された究極的な所有者がリ
(54) Cf.,Baldone,etal.,op.cit.
(55) Cf.,Glattfelder&Battiston,op.cit.
(56) Cf.,Vitali,etal.,op.cit.,pp.1-2.
(57) http://www.bvdep.com/en/ORBIS
(58) Cf.,OECD(2000),TheOECDGuidelinesforMultinationalEnterprises(www.oecd.org).
(59) ここでの「居住」国は,本稿(上)(中)で使用した「本店居住地基準」に拠る「居住」国の定義とは異なり,
おそらく営業を行う国の全てを包括的に指す。
(60) http://www.bvdep.com/en/ORBIS.
― 57 ―
― 56 ―
流通経済大学論集 Vol.54, No.3ストにまだ加えられていないのなら加える。先の事例では,この手続きはTheCoca-ColaCompanyのみを TNCとして識別する。そして全体で,株式市場に上場された5,675社のTNCsを伴う,116 ヵ国に居住する 43,060社のTNCsのリストを得る。
TNCsのリストから始めて,データベース全体の中の会社の近隣を再帰的に調査する。第一に,横型探索〔a breadth-firstsearch(BFS)〕で,下流のTNCsを調べ(下図9-5:原典図S1;最初の二つの階梯の図示はTNC の下流への回帰的調査に踏み込んだものである。「BenettonGroup」から開始した横型探索(BFS)は直接的 な近隣の全てを描いており(A),また,次いで,近隣の近隣まで描いた図が(B)である),TNCsが直接的お よび間接的に関係する全会社を特定する。次いで,類似した方法で上流についてTNCsの全ての直接的および 間接的な株主を特定する。その結果として,ネットワークは,下図9-6:原典図S2「TNCネットワークの一般 的な構造」に見られるような,三つのクラスのノード,すなわちTNC,SH(株主),およびPC(関係企業)
に分割される。このようにして構築されるTNCのネットワークは,600,508の経済的主体と1,006,987の企業関 係から構成される。注意したい点として,幾つかのTNCsからPC(関係企業)に,あるいは,幾つかのSHs
(株主)からTNCに到達することができるかも知れない。言い換えれば,TNCsの下流もしくは上流に進む道 は重複している場合があり,結果として多様な規模のCCs(弱連結成分(61)〔:weakconnectedcomponents〕)
を生み出すかも知れない。
ここで構築されたデータ・セットをGlattfelder&Battistonによる研究(62)で分析されたデータ・セットと区 別することは有意義である。というのも,そのデータ・セットは再帰検索を使って得られたものなではな く,上場企業とその直接的な株主のみを収集する簡単な方法で取得されたものだからである。その手法で は,非上場会社に関与する全ての間接的な道(パス)は捨象される結果,真の所有のネットワークは精々近 似的に求められるに過ぎない。さらに,48カ国が,各国間のリンクが全て捨象され,基本的に,それぞれに 分析されている。この方法を採る場合には地球規模の所有関係が必然的に除外される。そこでの主な目的は 基幹を抽出し,そして分析される諸国内株式市場を個別に扱うことに置かれる。ここでは,しかしながら,
グローバルなトポロジー〔位相幾何学〕に焦点を当てる(63)。 先行研究との関係
要約すると,既存の研究との関連は以下のようになる。ネットワーク価値の概念(64)は,Brioschi等の研究(65)
において,総合的な所有の行列に加えて,導入された。この行列は,後にBaldone等の研究(66)において修正さ れている。
ネットワーク支配は,最初,先に記載したような修正を何ら抜きにGlattfelder&Battistonによる研究(67)で 定義されている。そこで分析されたネットワークは上場会社およびそれら会社の直接の株主のみを含むため,
長く続く間接的な諸道がないことに起因して,未修正の方法の適用で十分であった。これについては,‘Vitali, Glattfelder&Battiston,“SupportingInformation”’ 第 3 節「ネットワーク支配」内,第3.1節「既存の方法」,第
(61) 弱連結(weaklyconnected),弱(weak): ダイグラフの任意の 2 頂点u,vの間に半道が存在する;半歩道
(semiwalk),半小道(semitrail),半道(semipath):頂点と辺(αi)の交互列において,各弧に対して,(vi-1,vi) の一方が始点で他方が終点であれば,それを半歩道という。半小道,半道についても同様に定義される。
(62) Cf.,Glattfelder&Battiston,op.cit.
(63) Cf.,‘Vitali,Glattfelder&Battiston,“SupportingInformation”’,p.3.
(64) Brioschi等は所有のケースのみを考え,支配のケースを考慮していないが,彼等の方法はLM(線形モデル)を 援用する支配の定義に等しい(‘Vitali,Glattfelder&Battiston,“SupportingInformation”’,p.11,3.5RelationsTo PreviousWork,note3)。
(65) Cf.,Brioschi,etal.,op.cit.
(66) Cf.,Baldone,etal.,op.cit.
(67) Cf.,Glattfelder&Battiston,op.cit.