本章では、大きく分けて次の2種類の検証評価を行う。
検証1 DMAMF プラズマ重合膜に GOD を共有結合固定させたグルコースバイオセンサデ
バイスの評価
検証2 DMAMFプラズマ重合膜にGODを埋め込み固定させたグルコースバイオセンサデバ
イスの評価
上記の 2種類で電極デバイスの作製方法および測定方法に差異があるため、それぞれを記載す る。
4-5-1-1: 検証1で用いる電極デバイスの作製の流れ
電極デバイスの作製の流れと、作製する電極デバイスの構造概念図を図4-3に示す。
(1) 基板となるマイクロスライドガラスを混合溶液(蒸留水、アンモニア水、過酸化水素水)
で70℃、10分程度ボイリングした後、ガラスを取り出して、蒸留水でリンスし、アルゴン ガスで水垢を除去する。
(2) 洗浄後のガラス基板をスパッタ用チャンバーに入れ、密着層としてクロムを 40nmにスパ
ッタリングで成膜する。
(3) その後クロム上部に電極層として、金を200nmにスパッタリングして成膜する。
(4) ガラスカッターでガラス基板を適当な大きさに切り出し、カプトンテープで不要な金を覆 うことにより絶縁し、センサ面積(0.5×0.5cm2)の調整を行う。
(5) ガラス基板をプラズマ重合用のチャンバーに入れ、金電極上部に、GODを共有結合させる
ための基盤となる DMAMF プラズマ重合膜を成膜する。RF13.56MHz、外部電源方式、誘 電結合方式のプラズマ重合装置を使用する。DMAMF の重合条件は、電力:50W、圧力:
5.0Pa、放電時間:1min(膜厚:約20nm)とする。
(6) プラズマ重合用のチャンバーからガラス基板を取り出し、DMAMFプラズマ重合膜とGOD
を共有結合させるため、DMAMFプラズマ重合膜上に2.5%グルタルアルデヒド溶液を滴下 し、その後に、余剰のグルタルアルデヒドを蒸留水で洗い流す。
(7) 最後に、DMAMFプラズマ重合膜上に、酵素溶液(GOD)を滴下し、自然乾燥させ、その
約10分後に非吸着のGODを蒸留水で洗い流す。
(8) 電極デバイス作成後は、冷蔵庫(4℃)にて使用まで冷蔵保管し、使用時にはリン酸緩衝溶 液にて洗浄して使用する。
4-5-1-2: 検証1で用いる評価・測定方法
本研究では、測定方法にリン酸緩衝液(pH7.4)を用いた3電極方式による電気化学測定を用 いる。Ag/AgCl を参照電極、Pt を対極とし、作製した電極デバイスは作用電極とする。測定系 に関しては、第2章の2-4-3(1)と同じとする。測定種類は次の2種類である。
(1) サイクリックボルタンメトリー:
グルコース溶液を所定量追加していき、各濃度での電圧―電流特性を評価する。
(2) 定電位時間電流測定:
所定の電位を設定し、測定開始から所定時間ごとに、グルコース溶液を所定量ずつ滴下し ていき、各濃度での時間―電流特性を評価して、電極の感度やセンサの検出濃度範囲・応 答性を確認する。
4-5-2-1: 検証2で用いる電極デバイスの作製の流れ
電極デバイスの作製の流れと、作製する電極デバイスの構造概念図を図4-4に示す。
(1) 基板となるマイクロスライドガラスを混合溶液(蒸留水、アンモニア水、過酸化水素水)
で70℃、10分程度ボイリングした後、ガラスを取り出して、蒸留水でリンスし、アルゴン 図4-3 検証1に用いる電極デバイスの構造概念図
ガラス基板
GOD
クロム密着層 金電極層 面積調整用絶縁層 GOD
DMAMFプラズマ重合膜層
GOD
グルタルアルデヒドガスで水垢を除去する。
(2) 洗浄後のガラス基板をスパッタ用チャンバーに入れ、密着層としてクロムを 40nmにスパ
ッタリングで成膜する。
(3) その後クロム上部に電極層として、金を200nmにスパッタリングして成膜する。
(4) ガラス基板をプラズマ重合用のチャンバーに入れ替え、金電極上に GOD が2次元均一的
に物理吸着できるよう、金電極上に第一層となる HMDS プラズマ重合膜を成膜する。
RF13.56MHz、外部電源方式、誘電結合方式のプラズマ重合装置を使用する。第一層HMDS
プラズマ重合膜の重合条件は、電力:100W、圧力:0.6Pa、放電時間:28sec(膜厚:約2nm)
とする。(なお、AFM像観察に用いるデバイスでは、HMDS をモノマーとして重合条件、
電力:200W、圧力:0.6Pa、成膜速度:22.2±2.8nm/min、放電時間:60sec(膜厚:約20nm)
で、シリコン基板上に直接成膜する。)その後、GODとHMDSプラズマ重合膜の親和性を 高めるため、窒素プラズマ処理を行い膜表面へのアミノ基の導入を行う。窒素プラズマ処 理条件は、電力:100W、圧力:3Pa、放電時間:20secとする。
(5) 作製途中のデバイスをプラズマ重合用のチャンバーから一度取り出し、ガラスカッターで ガラス基板を適当な大きさに切り出し、カプトンテープで不要な金を覆うことにより絶縁 し、センサ面積(0.5×0.5cm2)の調整を行う。
(6) 第一層プラズマ重合膜上に GODを物理吸着させるため、重合膜上に酵素溶液(GOD)を
滴下し、約1時間の自然乾燥させた後、非吸着の酵素を蒸留水で洗い流す。
(7) GODを埋め込み固定するための、そしてメディエータ機能を持たせるための、第二層とな
るDMAMFプラズマ重合膜をGOD上に成膜する。RF13.56MHz、外部電源方式、誘電結合
方式のプラズマ重合装置を使用する。DMAMF の重合条件は、電力:50W、圧力:20Pa、
放電時間:1min(膜厚:約20nm)とする。
(8) 電極デバイス作成後は、冷蔵庫(4℃)にて使用まで冷蔵保管し、使用時にはリン酸緩衝溶 液にて洗浄して使用する。
図4-4 検証2に用いる電極デバイスの構造概念図
ガラス基板
GOD
クロム密着層 金電極層 GOD
GOD
第二層DMAMFプラズマ重合膜
面積調整用絶縁層
第一層HMDSプラズマ重合膜
(窒素プラズマ処理あり)
4-5-2-2: 検証2で用いる評価・測定方法
本研究では、AFMを用いて、GODがDMAMFプラズマ重合膜に埋め込まれた状態の観察を 行う。また、測定方法にリン酸緩衝液(pH7.4)を用いた3電極方式による電気化学測定を用い る。Ag/AgClを参照電極、Ptを対極とし、作製した電極デバイスは作用電極とする。測定系に 関しては、第2 章の2-4-3(1)と同じとする。測定種類はサイクリックボルタンメトリーと定電 位時間電流測定の2種類である。
(1) AFM観察:
第一層プラズマ重合膜の表面や GOD が物理吸着した表面状態、そして GOD を DMAMF プラズマ重合膜に埋め込んだ複合体の表面状態を、AFM画像およびその断片プロファイル で観測する。AFM観察は、大気中測定にてタッピングモードで行い、走査速度は0.6Hzに 設定する。
(2) サイクリックボルタンメトリー:
電極デバイスのクリーニングのためにサイクリックボルタンメトリーを行う。また、グル コース溶液を所定量追加してサイクリックボルタンメトリーを行い、各濃度での電圧―電 流特性を評価する。
(3) 定電位時間電流測定法:
所定の電位(+300mV)を設定し、測定開始から所定時間ごとに、グルコース溶液や他の電 極活性物質(妨害物質)を所定量ずつ滴下していき、各濃度での時間―電流特性を評価し て、電極の感度やセンサの検出濃度範囲・応答性を確認する。