腎機能低下により腎臓からの酸排泄量が低下す ると,血液中の重炭酸イオンが消費され,重炭 酸イオン減少による高Cl性の代謝性アシドー シス(アニオンギャップ(anion gap:AG)正 常)となる.
さらに腎機能低下が進行し,硫酸やリン酸など 内因性の無機酸塩の排泄低下が加わると,代謝 性アシドーシス(AG開大性)は悪化する.そ の場合は,腎臓専門医が診療することが望まし い.
代謝性アシドーシスの診断は動脈血または静脈 血の血清重炭酸イオン濃度で行うが,血清 Na−血清Cl<36(主に血清重炭酸イオン濃度 減少を反映)も参考になる.
代謝性アシドーシスの補正は,血清重炭酸イオ
表 32 K を多く含む食品
野菜類(特に青菜類,レンコン,かぼちゃ,ブロッ コリーなど)
くだもの(特にバナナ,メロン,キウイフルーツ など)干した食品(干しいも,ドライフルーツ,切干大 根など)いも類,海藻類,豆類,インスタントコーヒー,
抹茶,減塩しょうゆ,青汁
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ン濃度20 mEq/L以上を目標とする.これは血 清Na−血清Clでは概ね32以上にあたる.
例:重曹(炭酸水素ナトリウム)1.5〜3 g,分3
コラム⑭
偽性高 K 血症
実際には血清Kが高くないにもかかわらず,採 血方法や検体処理あるいは検体そのものなどの影 響により検査結果として血清Kが高値となったも の.
細胞内K濃度は血清K濃度に比べて著しく高い ため,溶血によりK値は高くなる.LDH上昇があ れば溶血を疑う必要がある.また,全血を冷蔵保 存した場合も細胞内のKが細胞外に放出され,偽 性高K血症の原因となる.
血液が凝固すると,血小板や白血球よりKが流 出するため,著しい白血球増加症や血小板増加症 では偽性高K血症となる.血液を凝固させない血 漿K値の測定は,白血球増加症や血小板増加症に おける偽性高K血症の診断に有効である.
そのほかに,輸血やペニシリンGカリウム®な どの薬物,抗凝固薬中のK(EDTAカリウムやヘパ リンカリウムなど)が検査結果に影響する可能性 があるが,一般的には問題になることは少ない.
球形吸着炭は特殊な活性炭であり,インドキシ ル硫酸などの尿毒症物質を含むさまざまな物質 を吸着し,便として排泄する.
わが国での460人の血清クレアチニン(Cr) 5.0 mg/dL未満のCKD患者を対象とした多施 設共同ランダム化比較試験(RCT)では,腎複 合一次エンドポイント(血清Cr 2倍化,血清 Crの6.0 mg/dL以上への上昇,透析導入ある いは腎移植,もしくは死亡)については球形吸 着炭治療群と対照治療群との間に有意差がみら れなかったが,二次エンドポイントのクレアチ ニンクリアランスの低下率は,球形吸着炭治療 群のほうが有意に低値であった(Akizawa T, et al.
Am J Kidney Dis 2009;54:459 467.).また,米国 で の164人 の 血 清Cr 3.0 mg/dL以 上6.0 mg/dL以下のCKD患者を対象とした多施設共 同RCTでは,球形吸着炭治療群のほうが対照 治療群に比較して有意に一次エンドポイントで ある血中インドキシル硫酸濃度の低下が認めら れた(Schulman G, et al. Am J Kidney Dis 2006;47:
565 577.).さらに,血清Crの推移は両群で差
がなかったが,尿毒症症状のうち全身倦怠感に
ついては,球形吸着炭治療群のほうが対照治療 群に比較して有意な軽減が認められた.よっ て,球形吸着炭投与によりCKD進行の抑制効 果と全身倦怠感などの尿毒症症状の改善が得ら れる可能性があり,最近ではCVDの抑制効果 の可能性も示唆されている.
球形吸着炭は毒素だけでなく,同時に服用した ほかの薬剤も吸着する可能性があり,時間をず らして服用することが望ましい.
消化管通過障害を有する患者には投与禁忌であ る.また,消化管潰瘍,食道静脈瘤のある患者 や便秘をしやすい患者では慎重に投与する必要 がある.さらに,基礎疾患に肝障害を有する便 秘傾向にある患者の場合には,血中アンモニア 値が上昇する場合がある.
球形吸着炭は,細粒あるいはカプセルで通常1 日6 gを3回分割して内服するが,特にカプセ ルの場合は1回10カプセル,1日30カプセ ル服用しなければならないため,服薬遵守率ア ドヒアランスが悪くなりやすく,注意が必要で ある.
20 尿毒症毒素の管理
CKD ステージ G4~G5 では,他の標準的な治療に加えて球形吸着炭内服療法を併用することに より,CKD 進行の抑制効果と全身倦怠感などの尿毒症症状の改善が得られる可能性がある.
球形吸着炭は,ほかの薬剤とは同時に服用しない.
球形吸着炭により便秘,食思不振などの消化器系合併症を生じることがあり,十分な注意が必要 である.
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