木村 正雄
物質構造科学研究所放射光科学第二研究系
総合研究大学院大学高エネルギー加速器科学研究科物質構造科学専攻
表1 フォトンファクトリーにおける産業利用の形態(2015年12月現在)
表2 専任の研究者と対応分野
制度 利用料 有効期間 応募/年 成果の取扱 備考 共同研究 有償 半年〜複数年 随時 公開 有償
施設利用 有償 − 随時 非公開可 標準BL: 27,300円/時
高性能BL: 53,550円/時 トライアルユース 有償 1年 3回 公開 新規利用の制限有り 共同利用※1 無償 2年(基本) 2回 公開 応募資格に制限有り 優先利用※2 無償 1年 随時 公開
応募資格に制限有り 標準BL: 12,600円/時 高性能BL: 25,200円/時
※1 企業の場合は,科研費に応募可能な資格を持ち,学術目的の実験課題の実施
※2 国又は国が所管する独立行政法人その他これに準ずる機関が推進するプロジェクトにより採択された研究課題の実施
0 1000 2000 3000 4000 5000
2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 施設利用 共同研究
TU 共同利用 PFにおける産業利用の実験時間数
年度
実験時間総数
図1 産業利用の制度別延べ実験時間数
2.活動内容
このような制度のもと,PFでは毎年約50社の民間企業 が実験を実施している。また,全ユーザータイムに占める 産業利用の実験時間の率は概ね6〜8%で推移している。
産業利用の分野別利用度は2013年度実績について分析し たところ図2のようになった。今回初めて調査したために 分野の設定の仕方などの整理方法に課題はあるが,感覚的 には納得感のある比率となっている。社会動向や産業動向 などを反映しつつ,創薬などの放射光分析の特長を活かせ る分野で利用率が高いことが見て取れる。このような動向 を踏まえてスタッフ体制の整備や制度の検討,及びグルー プ運営を行っている。具体的には,当グループでは産業利 用の多いビームライン(分野)の維持・発展をビームライ ンスタッフと一緒に行うと共に,PFでの産業利用が円滑 に進むように,ユーザーの方々のニーズの把握,広報活動,
複数の分野横断の利用のアテンド,等の活動を進めている。
グループ内の情報交換と各種議論のために1回/2〜4週 間の頻度でミーティングを開催している。
3.今後の展開
イノベーション貢献,新研究分野のシーズ開拓,産業界 の若手研究者の人材育成,の3つの観点から,PFでの産 業利用の充実は重要と考えている。補助事業によるTUは 2015年度末で終了となったことから,それに代わる新た なユーザー優遇処置の制度設計を検討しており,比較的早 期に制度化したいと考えている。
産業利用の詳細については,PFの産業利用サイトを参 照。http://www2.kek.jp/imss/pf/approach/industry/
図2 実験時間数で評価した産業利用の分野別利用度(2013年度)
2013年度 平成25年度
共同研究 実験時間数 施設利用 実験時間数
キャノン イメージング技術 240 半導体
JT 創薬 303 構造材料
新日鉄 構造材 696 ナノ 36
日立 イメージング技術 636 電子部品・材料 60
JX 触媒 96 触媒 84
富士フィル無機材、微量 156 電池 597
NEC 電池 48 高機能有機材料 100
東レ 環境エネルギー 204 創薬 2283
日揮 触媒 72 ヘルスケア 17
三井造船 エネルギー 68 その他 202
JFE ナノ材料 120
2639 3379
薬剤・タンパク質 32%
電池・エネルギー 触媒 14%
4%
半導体・電子材料 9%
構造材料 8%
手法研究 10%
ナノ・有機材料 16%
ヘルスケア 1%
その他 6%
2013年度
薬剤・タンパク質 電池・エネルギー 触媒
半導体・電子材料 構造材料 手法研究 ナノ・有機材料 ヘルスケア その他 共同利用
施設利用 共同研究 トライアルユース
1.概要
本グループは,共同利用・広報に関する幅広い情報交換,
意見交換,情報共有を行いながら,現在のPF共同利用体 制の維持と必要に応じた変更への対応,ユーザーや一般者 への各種情報提供,広報に関する活動等を実施している。
グループ会議には,グループ構成員(物質構造科学研究所 放射光科学第二研究系 伴 弘司,宇佐美徳子)とともに,
共同利用・広報担当主幹の足立伸一主幹,共同利用に関 わる主幹秘書(濱松),PF事務室職員(外山)が参加して いる。放射光共同利用実験審査委員会(PF-PAC)につい ては,研究協力課共同利用支援室共同利用係とともに PF-PAC準備打ち合わせを実施して,PF-PAC委員長(足立主 幹),PF執行部との密接な連携のもとで,PF-PACの事務 運営を共同利用係とともに実施している。
2.活動内容
2015年度には,14回のグループ会議,8回のPF-PAC 準備打ち合わせを実施した。また,グループ構成員の都合 によりグループ会議として設定しない共同利用・広報に関 する意見交換会を1回実施した。さらに必要に応じて,共 同利用・広報に関する個別打ち合わせ(KEK研究成果管 理システム構築について,PFWEB更新について,PF-PAC 事務運営について,個人情報保護についてなど)を実施し ている。また,共同利用,ユーザーに関することは,必 要に応じて先端基盤安全グループ,産業利用促進グルー プ,物構研広報室,PF主幹秘書室,PF事務室,物構研 事務室などと連携をしながら対応をしてきた。今年度は,
PFWEBの全面的な更新を実施するとともにKEK研究成
果管理システム運用開始への対応があった。以下,主な活 動について記載する。
【PF-PAC 関係】
年二回(1月,7月)開催されるPF-PACに関する各種 事務局対応(公募関係,ステーション担当者への対応,レ フリー審査,イエローカード対応,分科会審査,安全審査,
全体会議(資料整理),他放射光施設との情報交換)。PF-PACへの提案事項,PF-PACからの提案事項への対応。
【共同利用関係】
共同利用に関する各種データの解析に関する対応。ユー ザーからの各種コメントや要望に関する対応。新規利用に 関する問い合わせへの窓口としての対応。施設からのメー ルマガジンの発送(4回),課題公募開始に関する施設か
らのメールマガジンの発送(4回)。PF-UAとの連携に関 することへの対応。KEK管理局,他部署とのKEK研究成 果管理システムの構築,公開への対応。共同利用者支援シ ステム(KRS),PF実験課題申請システム,PF実験課題 審査システムの改修に関する検討。PF関係員等旅費支給 に関する窓口対応。ユーザー用自転車,宅配便に関する対 応。ユーザー控室,仮眠室,トイレ等の業務委託業者によ る清掃業務に関する対応。
【広報関係】
新しいPFWEBページの準備と公開,facebook等の情報
発信ツールの検討。PFWEBページからの各種情報発信へ の対応。サイエンスカフェ(チョコレート関係,水素関 係),各種サイエンスキャンプ実施への対応。一般見学者,
KEK一般公開,メディア懇談会,サイエンスアゴラ,ナ ノテク展等への対応。「一家に一枚」ポスター(文部科学省)
制作への対応(物構研)。放射光学会,ナノテク展,量子 サイエンスフェスタなどの施設ポスターの制作。放射光関 連各種パンフレットの制作と増刷に関する対応,産業利用 ユーザーを含む(産業利用促進グループとの連携)新規ユ ーザー獲得のための利用の手引き制作に関する検討。
3.今後の展望
現在のPF共同利用・広報に必要な事項については,引 き続き,PF執行部,関連PF内グループ,KEK他部署と の密接な連携のもとで対応していく予定である。特に共同 利用に関する各種データの解析と整理,新規ユーザー獲得 のための工夫については,将来の放射光利用との関係から も各種対応が必要であると考えている。また,将来の共同 利用のあり方や戦略的広報などについて,各種情報を収集 しながら情報交換,意見交換を重ねていく予定である。
3-8. 共同利用・広報グループ
兵藤 一行
物質構造科学研究所放射光科学第二研究系
総合研究大学院大学高エネルギー加速器科学研究科物質構造科学専攻
1.概要
グループの目的:
1.新光源での放射光利用において注目される,機能性物 質構造の外場応答とダイナミックスなどの先端研究を支え る新しい検出器の開発を行う。
具体的には,1)高精細かつ高速読み出し可能な放射光X 線用画像検出器,2)ダイナミックス観測のための超高速・
高時間分解能X線検出器,3)軟X線領域での高速応答可能 なパルス型位置&エネルギー分解能を有する検出器である。
2.放射光実験のための次世代検出器システム開発を担う 人材を育成する。
1) 若手研究者・技術者のプロジェクトへの参画呼びかけ,
成果達成のサポート,プロモーションを行う。
2) 複数のスタッフによって開発の中核を形成・自立し,
他の組織との連携を強める。
実験ステーション,担当者:
BL・実験
ステーション 担当者 備考(ユーザー運営,
大学運営など)
BL-14A 岸本 俊二
* SOI 検 出 器, * APD リ ニアアレイ検出器,*APD シンチレーション検出器の 開発。橋本 亮(特任助教),
春木理恵(研究員),井上 圭介(総合研究大学院大学)
も実験に参加 BL-16A 雨宮 健太,
酒巻 真粧子 * マルチアノード MCP 検 出器システムの開発 BL-8A 熊井 玲児 SOI 検出器開発 BL-15A2 五十嵐 教之,
高木 秀彰 SOI 検出器開発
*検出器の名称については,「2.活動内容」を参照。
2.活動内容 R&D プロジェクト:
1)「放射光X線用画像検出器」:科研費・新学術領域研 究 計画研究「放射光を用いた空間階層構造とダイナミ クス研究のためのイメージング」(2013-2017)でのSOI
(Silicon-On-Insulator)技術による2次元ピクセルアレイ検 出器:SOI検出器の開発,2)ダイナミックス観測のための 超高速・高時間分解能X線検出器(科研費・基盤研究(A)
「ナノ秒時間分解・超高速ピクセルアレイX線検出器の開 発」(2013-2016)の高速シリコン・アバランシェフォトダ イオード(Si-APD)によるAPDリニアアレイ検出器の開
発や高速Si-APDを受光素子とするAPDシンチレーショ
ン検出器, 3)軟X線領域での高速応答可能なパルス型検出 器:BL-16深さ分解XMCD(X線磁気円二色性)測定用 マイクロチャンネルプレート(MCP)検出器システムの 開発を進める。
予算:
「SOI検出器」は科研費・新学術領域研究,「APDリニ アアレイ検出器」は科研費・基盤研究(A)により推進,
放射光科学系運交金:「PF検出器」「計測システム」によ り「MCP検出器」の開発を進めている。
「APDシンチレーション検出器」についてはKEK測 定器開発室のプロジェクト「高速シンチレータの開発」
(FSCI),総研大経費(総研大・井上の研究テーマ)によ り執行している。
活動形態:
ワーキンググループとしての会合は適宜(年数回以内)
開催している。シリコン半導体検出器(SOI,APD関係)
については関係者のミーティングが週1回を基本に行なわ れている。計測システム開発室プロジェクトとして進めて いるMCP検出器は,3ヶ月に1回程度,物構研・計測シ ステム開発室の会合を開催し,担当者を含めた議論を進め ている。
3.今後の展望
次期光源計画の中で実現を目指す,高強度ナノビームを 使うnmの空間分解能とmeVエネルギー分解能による先 端測定に対応する先端的な検出器開発には,2次元ピクセ ル検出器開発が重要になっている。とくに2次元データで は1フレームあたり1 ms以下の高速撮像,ピクセルにサ ブナノ秒の時間分解能を持たせる時間分解実験,計数率や 信号電荷の6桁を超えるダイナミックレンジのような要求 の高まりに答えること,テラバイト規模の大規模データを 扱うデータ処理技術や秒あたり数10ギガバイト以上の高 速データ取得技術が重要と考えている。このような大規模 で高度な集積回路技術をベースとするシステム開発に参画 するとともに,新しい検出原理や検出器素子を使った検出 器の開発も必要と考えている。BL-14Aでの10 µmサイズ X線ビーム利用のためのピンホール制御系の整備を進め,
引き続き科研費によるピクセル検出器の研究を展開する。
またKEK素核研,理化学研究所,中国・高能物理研究所 との共同研究を進める。さらに2016年度には「APDシン チレーション検出器」を軸とする大型外部資金の取得を目 指す。