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(1)回答者の基本属性、生活実態、介護意識と介護サービス利用希望との関係

基本属性および生活実態の各項目と介護サービス利用希望との関連を検討するため、各 項目のカテゴリー別に利用希望率を算出し、χ2検定を行った。表 2-6 には在住社区別と基 本属性別の利用希望率のほか、サービス利用希望のいずれかと有意な関連がみられた生活 実態項目についてまとめた。

在住社区では、A 社区の高齢者は B 社区より高いショートステイサービス利用希望率を 示した。基本属性では、低い年齢層の高齢者ほどショートステイサービスの利用希望率が 高かった。学歴はホームヘルプサービス、ショートステイサービス、デイサービスの利用 希望と有意な関連を示し、高卒以上の人で介護サービス利用希望率が高い傾向がみられた。

生活実態の各項目をみると、家族状況では、「一人暮らし」で施設入居サービス、デイサ ービスの利用希望率が有意に高く、また、子どもがない人で施設入居サービスとホームヘ ルプサービスの利用希望率が高かった。健康状態では、「病気・障害あり」および「健康・

普通」の人の方が「要介護」の人より利用希望率が高く、ホームヘルプサービスとデイサ ービスでは統計学的に有意であった。経済状況では、年金を得ている人、子どもから生活 費を得ていない人で、施設入居サービスとホームヘルプサービスの利用率が有意に高かっ た。また、施設入居サービスに対して、個人月収が高い群ほど利用希望率が高く、関連は 統計学的に有意であった。

日常生活における話し相手として「家族」「親戚」「近隣」をあげていない人では介護サ ービス利用希望率が高い傾向がみられ、とくに施設入居サービス、ホームヘルプサービス、

ショートステイサービスでは有意差がみられた。しかし、「友人」については話し相手にあ げた人の方が、施設入居サービスの利用希望率が有意に高かった。生きがいの対象につい ては、「家族との交流」をあげていない人においてホームヘルプサービス利用希望率が有意 に高く、「学習など」をあげた人の方がショートステイサービスの利用希望率が高かった。

日常生活において不安や心配なことについて、「自分の健康のこと」「家族のこと」「自分の 介護のこと」と回答した人では、そうでない人より各介護サービスの利用希望率が高く、

いくつかの項目に有意差がみられた。

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表 2 - 6   高 齢 者 の 基 本 属 性 、 生 活 実 態 と 各 介 護 サ ー ビ ス の 利 用 希 望 と の 関 係 n = 6 0 7     単 位   %

    施 設 入 居  ホ ー ム ヘ ル プ  シ ョ ー ト ス テ イ       デ イ     サ ー ビ ス    サ ー ビ ス    サ ー ビ ス    サ ー ビ ス

  % 値   % 値   % 値   %

全体 39.6 45.8 18.1 16.0

在住社区 A社区 39.5 46.9 23.4 ** 13.8

B社区 39.7 44.7 12.7 18.2

基本属性 性別 男性 42.3 46.7 20.5 13.8

女性 36.3 44.7 15.1 18.7

年齢 70~74歳 40.0 50.3 21.8 14.5

75~79歳 41.5 40.3 15.5 * 15.3

80歳以上 34.7 42.6 11.9 21.8

学歴 学歴なし 41.3 43.0 10.5 20.3

小・中学校卒業 35.4 42.4 * 19.0 ** 11.3 **

高校卒業以上 46.2 55.9 25.4 20.3

家族状況 世帯形態 一人暮らし 56.3 50.0 18.8 40.6

夫婦二人暮らし 44.5 * 51.1 21.5 13.5 ***

子との同居・その他 35.8 42.8 16.3 15.1

子ども人数 0人 72.7 72.7 18.2 27.3

1~3人 41.6 * 49.1 * 20.9 15.5

4人以上 35.8 40.7 14.7 16.2

健康状態 健康・普通 39.9 44.3 18.1 15.1

病気・障害あり 41.9 53.5 ** 20.0 20.5 *

要介護 31.2 31.6 13.2 7.8

経済状況 収入源 年金 はい 42.0 ** 47.5 * 18.7 16.0

(複数回答) いいえ 25.3 35.6 13.8 14.9

子どもからの はい 27.6 * 34.2 * 11.8 17.1

生活費 いいえ 41.3 47.4 18.9 15.7

個人月収 1000元未満 30.9 39.1 15.1 13.8

1000~1500元未満 38.8 ** 48.4 15.2 13.8

1500元以上 46.5 48.0 23.0 19.7

日常生活 話し相手 家族 はい 39.5 44.3 ** 17.8 15.3

状況 (複数回答) いいえ 41.3 64.4 21.7 23.9

親戚 はい 34.5 * 41.3 15.7 15.3

いいえ 43.3 49.0 19.8 16.5

友人 はい 44.4 * 49.3 19.3 15.6

いいえ 35.6 42.9 17.1 16.3

近隣 はい 36.4 * 39.6 *** 13.6 *** 14.2

いいえ 44.3 54.9 24.6 18.6

生きがい対象 家族との交流 あり 38.9 43.5 ** 17.8 15.1

(複数回答) なし 44.2 61.0 19.7 22.1

学習など あり 45.3 49.7 25.5 ** 18.0

なし 37.7 44.5 15.6 15.3

不安あるいは 自分の健康 はい 41.9 54.1 *** 22.5 * 21.5 **

心配なこと のこと いいえ 38.1 40.1 15.0 12.2

(複数回答) 家族のこと はい 51.2 60.5 * 27.9 20.9

いいえ 38.7 44.6 17.3 15.6

自分の介護 はい 68.1 *** 63.0 * 23.4 42.6 ***

のこと いいえ 37.2 44.3 17.6 13.8

数値は各項目別の養老介護サービスの利用希望率である。   *<0.05   **<0.01   ***<0.001

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高齢者の介護意識に関する項目と介護サービス利用希望率との間で有意な関連がみられ たものを表 2-7 にまとめた。自分の介護における不安に関して、「介護者がいない」をあげ た人ではホームヘルプサービス、デイサービスの利用希望率が有意に高く、「介護の時間が 尐ない」をあげた人では 3 つの在宅サービスの利用希望率がいずれも高かった。要介護に なった時の主な介護者として「介護サービスの利用」をあげた人はすべてのサービス利用 希望率が高く、また、希望する介護サービスとして「施設に入居する」または「自宅でサ ービスを利用する」と回答した人において、各介護サービスの利用希望率が高い傾向が認 められた。

表2-7 高齢者の介護意識と各介護サービスの利用希望との関係 n=607  単位 %   施設入居  ホームヘルプ  ショートステイ    デイ   サービス   サービス   サービス   サービス

  % p値   % p値   % p値   % p値

全体 39.6 45.8 18.1 16.0

介護におけ 介護者が はい 44.8 62.1 *** 14.7 34.4 ***

る不安 いない いいえ 38.6 42.7 18.7 12.5

(複数回答) 介護の時間 はい 46.2 67.4 *** 26.9 * 30.1 ***

が尐ない いいえ 38.4 41.9 16.5 13.4

要介護状態 配偶者 44.2 44.9 23.1 12.0

になった時の 子ども・親戚 32.9 *** 40.7 *** 13.1 ** 16.5 ***

主な介護者 介護サービスの利用 97.1 80.0 34.3 40.0

保母 24.5 59.6 18.8 12.2

希望する 家族介護 25.5 29.0 12.8 8.7

介護形態 自宅でサービスの利用 56.3 70.9 21.1 30.3

施設に入居 97.8 *** 65.2 *** 34.8 *** 37.0 ***

保母の雇用・その他 37.0 64.8 26.8 9.6

数値は各項目別の養老介護サービスの利用希望率である。  *p<0.05   **p<0.01  ***p<0.001

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(2)介護サービスの利用希望に関連する要因の分析

各種の介護サービス利用希望を従属変数とし、(1)のχ2検定においていずれかのサービ ス利用希望と有意な関連がみられる属性項目をそれぞれ別々に独立変数として多項ロジス ティック回帰分析を行った。各分析では調整のために、性別、年齢、学歴、世帯形態を独 立変数として加えた。その分析結果を表 2-8 にまとめた。

A 社区の高齢者であることと、年齢が若いこと(「70~74 歳」)はショートステイサービ スの利用希望に対して有意に高いオッズ比を示した。ホームヘルプサービスとデイサービ スの利用希望に対し、健康状態が「健康・普通」及び「病気・障害あり」であることは「要 介護」に比して有意に高いオッズ比を示した。施設入居サービスおよびデイサービスに対 しては、高齢者の個人月収が低いとオッズ比は有意に低く、収入が尐ないと利用希望率も 低いことが示された。日常生活における話し相手に「親戚」「近隣」をあげることは、そう でない場合に比し、オッズ比は低かった。しかし、「友人」をあげることはオッズ比を高め ており、とくに施設入居サービスとホームヘルプサービスの利用希望に対しては有意であ った。不安や心配なこととして「自分の健康」や「自分の介護」をあげることは、各サー ビスの利用希望に対して有意に高いオッズ比を示したものが多かった。

表2 - 8 各介護サービスの利用希望に関連する要因分析( 多項ロジ ステ ィッ ク回帰分析)

 カテゴリー   施設入居 ホームヘルプ ショートステイ    デイ

(基準カテゴリー)   サービス  サービス  サービス   サービス

オッズ比 オッズ比 オッズ比 オッズ比

在住社区 A社区(B社区=1) 0.82 0.89 1.78 * 0.63

性別 男性(女性=1) 1.17 0.97 1.48 0.58

年齢 70~74歳(80歳以上=1) 1.20 1.36 2.10 * 0.55

75~79歳(80歳以上=1) 1.37 0.86 1.43 0.63

学歴 学歴なし(高校卒業以上=1) 1.49 0.87 0.74 1.23

小・中学校卒業(高校卒業以上=1) 0.88 0.72 1.01 0.65

世帯形態 一人暮らし(子との同居・その他=1) 1.64 0.84 0.87 2.39

夫婦二人暮らし(子との同居・その他=1) 1.30 1.27 0.97 0.94

健康状態 健康・普通(要介護=1) 1.55 2.00 * 1.41 3.97 **

病気・障害あり(要介護=1) 1.69 3.01 *** 1.91 4.57 **

個人月収 1000元未満(1500元以上=1) 0.52 * 0.75 1.05 0.30 **

1000~1500元未満(1500元以上=1) 0.70 1.14 0.72 0.52 *

話し相手(複数回答)

親戚 はい(いいえ=1) 0.63 * 0.71 0.88 0.82

友人 はい(いいえ=1) 1.90 ** 1.79 ** 1.52 1.14

近隣 はい(いいえ=1) 0.61 * 0.41 *** 0.49 ** 0.59

不安や心配なこと(複数回答)

自分の健康のこと はい(いいえ=1) 1.35 1.96 *** 2.07 ** 1.65 *

自分の介護のこと はい(いいえ=1) 3.87 *** 2.72 ** 1.53 5.23 ***

注 灰色で示しているのは調整変数である。調整変数のオッズ比は調整変数のみを独立変数とし、各サービスの利用希望を従属    変数として多項ロジスティック回帰分析を行った時の値である。その他の項目のオッズ比は、調整変数とその項目を独立変数    とし、各サービスの利用希望を従属変数として多項ロジスティック回帰分析を行った時の値である。

*<0.05   **<0.01   ***<0.001

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(3)高齢者個人月収と生活実態との関係

多項ロジスティック回帰分析の結果、個人月収の尐ない高齢者では施設入居サービスや デイサービスの利用希望が低いことが分かったため、その背景を分析するための一助とし て、さらに個人月収 3 階層別に、高齢者の基本属性や生活実態を比較してみた。χ2検定で 有意な関連を示した項目を表 2-9 にまとめた。

個人月収が 1000 元未満の低収入高齢者では、他の階層に比べ、B 社区の人、女性、高年 齢層、低学歴の人が多く、「一人暮らし」「夫婦二人暮らし」以外の世帯が多く、健康状態 は「要介護」の人の割合が高かった。また、日常生活における話し相手に「近隣」や「居 民委員会の人」をあげる人が多く、さまざまな生きがい対象に「なし」と答える人の比率 が高かった。不安や心配なことで、「自分の健康」と「家計」をあげる人の割合が高かった。

逆に、個人月収が 1500 元以上の高収入群は、A 社区の人、男性、低年齢層、高学歴、「一 人暮らし」「夫婦二人暮らし」、健康状態に「健康・普通」の人が多かった。そして、日常 生活における話し相手に「近隣」をあげる比率が低く、さまざまな生きがい対象で「あり」

の比率が高かった。また、不安や心配なことで、「自分の健康」や「家計」をあげる人は尐 なかった。

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表2-9 高齢者個人月収と基本属性・生活実態との関係 n=607  単位 % 1000元 1000~ 1500元

未満 1500元未満 以上

   %    %    %

全体 100.0 100.0 100.0

在住社区 A社区 36.8 43.6 65.4 ***

B社区 63.2 56.4 34.6

基本属性 性別 男性 9.2 61.8 79.4 ***

女性 90.8 38.2 20.6

年齢 70~74歳 42.8 52.9 55.3

75~79歳 29.6 37.3 29.4 ***

80歳以上 27.6 9.8 15.4

学歴 学歴なし 59.2 30.2 6.1

小・中学校卒業 38.8 53.8 48.2 ***

高校卒業以上 2.0 16.0 45.6

家族状況 世帯形態 一人暮らし 3.9 5.3 6.1

夫婦二人暮らし 15.8 28.0 46.1 ***

子との同居・その他 80.3 66.7 47.8

健康状態 健康・普通 34.9 50.9 64.2

病気・障害あり 44.7 39.7 25.7 ***

要介護 20.4 9.4 10.2

日常生活 話し相手 近隣 はい 71.7 62.2 48.2 ***

状況 (複数回答) いいえ 28.3 37.8 51.8

居民委員会 はい 26.3 16.0 28.1 **

の職員 いいえ 73.7 84.0 71.9

生きがい対象 学習など あり 5.3 16.4 46.1 ***

(複数回答) なし 94.7 83.6 53.9

趣味 あり 18.4 32.9 50.9 ***

なし 81.6 67.1 49.1

クラブ活動 あり 5.3 12.4 19.3 ***

なし 94.7 87.6 80.7

外出、買物 あり 24.3 20.4 33.8 **

なし 75.7 79.6 66.2

ボランティア活動 あり 7.2 7.6 16.7 **

なし 92.8 92.4 83.3

不安あるいは 自分の健康 はい 59.2 38.2 30.3 ***

心配なこと のこと いいえ 40.8 61.8 69.7

(複数回答) 家計のこと はい 25.7 11.1 4.8 ***

いいえ 74.3 88.9 95.2

 *<0.05   **<0.01   ***<0.001