16 % 工業GDP
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B. 平均生産性
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1970年 =100 180
1970 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 160
140
120
178
スペイン経済:1982年(下)一スペイン銀行「年次報告」よりーー(楠) 629 るので,それの下限と見なすにとどめておこう〔1。〕 2‑15図(下段)には, 工業の観察 された平均生産性の推移が,最高水準の就業者数に対応する平均生産性とならんで載って いる。前者の場合, 1977年以降,平均労働生産性は,年々4.4%の率で累積的に上昇し続け たが,これは, 1970年 1977年期をつうじて記録された累積(的上昇)率の平均を上回っ ている。逆に,後者の場合,つまり生産性が最高水準の就業者数との比率で計測された時,
その結果には1978年以降まったくの停滞が見られるのである。上で主張した論点にしたが えば,「標準的」生産性の推移は,用いられた二つの計測方法によって設定された両限界 の間のどこかの点に見出されることになろう。こうした生産性の計測における曖昧さは,
工業の雇用低下がより激しかった数年間において,労働コストの上昇が工業での雇用の悪 化に及ぼした影響を分析するうえで, 残念ながら決定的に重大なのである。いずれにせ ょ,相次ぐエネルギー危機以降,工業諸国全般に見られた生産性の低下は,スペインでは
(むしろ) 1978年以降「標準的」生産性が,それ以前よりも強いリズムで上昇したかも知 れない,というこのテーマに疑問を投げかけている。
工業について,銀察された(見掛けの)平均生産性と最高水準の就業者数に対応する生 産性という二つの生産性の測定値を用いて,生産単位当たり実質労働コスト指数が推定さ れている。これらの指数は,それぞれの構成要素とともに2‑40表に載っており,また2
‑16図で示されている。同図から分か・るように,スペイン経済が(まだ)高度成長をして いた1970年 1974年の期間をつうじて,生産単位当たり実質労働コストはかなり安定的に 維持され, 1971年から1974年にかけてはわずかながら低下すらしたのであるが,これは実 質労働コストの上昇を吸収しうる平均労働生産性の向上を反映していた。その期間をつう
じて実質労働コストの上昇率は,雇用水準を維持できる持続的成長経路の範囲内に保たれ た。 1974年から生産単位当たり実質労働コストの上昇を支える傾向が現れたが,その傾向 は,生産性の測定方法の如何にかかわらず1979年まで続いた。この時期には同時に,工業 における実質労働コストの最高の上昇率と,平均生産性の最低の伸び率が記録されたので 1〕 「稲準的」生産性のこうした近似方法は,_過去に記録された最大の就業者数で計 った完全雁用水準が分母に代入されているけれども,・分子に算入されるのは,完全雇 用時の生産ではなく観察された(実際の)生産であるから_統計的に過少評価の傾 向を含んでい・る。それゆえ, もし完全雇用を下回る生産水準をもたらすような総需要
•もしくは総供給の要因が存在すれば,観察された〔完全雇用を下回る〕生産/最高水
準の就業者数の比率として計算された平均生産性は,観察できない〔完全雇用時の〕
平均生産性の値を下回るであろう。
179
630 闊西大學.「継清論集」第40巻第3号 (1990年9月)
ある。その結果,実質労働コストと平均生産性の間にますます大きくなるヒラキが現わ れ,ここから,①利澗マージンの縮小,③資本収益率の下落,⑧ (設備)能力利用度の低 下,④ (設備)陳腐化の進展,⑥労働需要の収縮,そして最後に⑥投資のリズムの衰退,
がもたらされたのである。
しかしながら,現行の雇用水準のもとで企業が耐えうる実質労働報酬の経路として生産 性の推移を見なすためには,生産性の測定値を実質交易条件の悪化によって調整しなけれ ばならないであろう。なぜなら,輸入投入財価格の上昇はおそらく,現行の雇用水準を維 持しつつ企業が提供できる実質労働報酬の低下を伴うからである。視点を変えて見れば,
実質交易条件の下落は,国内生産要素にとって一一輸I入投入財の代価を外国に支払う際に より大量の資源を移転しなければならないことに関連した一一所得の喪失を意味している のである。
工業部門の輸出入にかんする適切なデータが存在しないので,実質交易条件の悪化に応
2‑16
図 工業における生産単位当たり実質労働コスト 1970年 =100170ト
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70160f‑‑ 最高就業水準下の 生産性に準拠
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1釘071 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 180
スペイン経済:1982年(下)一スペイン銀行『年次報告」よりー(楠) 631 2‑40表工業における生産単位当たり実質労働コスト
生実産質単労位働当たり
工 業 観察され
最
水平性高均準就下生産業の 工労け業働る実にコス質お
コスト 就業者数 た平均生
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た性察平均にされ生準 最準生拠産裔下就性の業平に水均準
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1970 100. 0 100.0 100.0 100.0 100. 0 100.0 100. 0 1‑971 106. 2 6.2 102.3 2.3 103. 8 3.8 103.8 3.8 109.1 9.1 105. 2 5.2 105.2 5.2 1972 121. 8 14. 7 105.2 2.8 115.8 11. 6 115.8 11. 6 120.8 10.7 104.3 ‑0.8 104.3 ‑0.8 1973 134.9 10.7 108.6 ;3.2 124.2 7.2 124.2 7.2 129.0 6.8 103.9 ‑0.4 103. 9 ‑0.4 1974 143.2 6.2 112.3 3.4 127.6 2.6 127.6 2. 7 128.7 ‑0.2 100. 9 ‑2.8 100. 9 ‑2.8 1975 142.4 ‑0.6 112.8 0.5 126.3 ‑1.0 126.3 ‑1.0 148.8 15.6 117. 9 16.8 117. 9 16.8 1976 149.2 3.4 113. 5 0.6129.8 2.8 129.8 2.8 168.2 13.0 129'. 7 10.0 129. 7 10.0 1977 154.1 4.7 115. 2 1. 5133. 8 3.2 133.8 3.2 185.0 10.0 138.2 6.6 138.2 6.6 1978 157.2 2.0 113. 6 ‑1. 4138. 5 3.5 136.5 2.0 200.5 8.4 144.8 4.8 146.9 6.3 1979 157.0 ‑0.1 110.0 ‑3.2 142.9 3.2 135.2 ‑0.1 213.4 6.5 149.4 3.2 156.5 6.6 1980 157.7 0.4 105. 7 ‑3.9 149.3 4.5 135.7 0.4 210.8 ‑1.2 141. 2 ‑5.5 154.0 ‑1.6 1981 157. 7 0.0 101.1 ‑4.4 155.9 4.4 135.7 0.0 213.9 1. 5 137.1 ‑3.0 156.3 1. 5 1982
〔P〕1157.2‑0.3 95.5 ‑5.6 164.5 5.6 135.3 ‑0.3 219.9 2.8 133.4 ‑2.6 161.1 3.1 出所〕 INEとBE.
じて調整された労働の平均生産性を算定することはできない。だが,こうした現象をなん とかして組み入れる必要がある。というのも,エネルギーの相次ぐ高騰のインパクトは,
雇用の維持と両立できる実質賃金水準に影響を与えたからである。そのために,①未加工 品と中間財および②工業製品価格指数のうち石油精製品の項目から,工業用投入財のペセ 夕建て輸入単価指数が構築された。原油輸入価格指数の代わりに②の項目が組み込まれた 理由は,労働需要と価格形成にかんする企業の意志決定プロセスで,輸入エネルギー高騰 の国内エネルギー価格への反響が重要であるからだ。そして,周知のように第一次エネル ギー危機をつうじて,こうした高騰の重要な部分は,.間接税の引下げと補助金の引上げで もって吸収され,国内価格には組み込まれなかったのである。そうした事情は2‑17図に 反映されており, そこには①石油精製品の価格指数と③原油のペセタ建て輸入価格指数 の比率〔形表示〕から作成された「波及指数」が示されている。輸入投入財の高騰が国 内へ波及しなかったことから,当初は企業のコストにたいするインパクトが軽減され得た としても, こうして組み込まれなかった高騰も結局は, 国際収支の不均衡を許容範囲内 181
632 闊西大學「紐清論集」第40巻第3号 (1990年9月)
2‑1? 図 石油価格の波及指数と工業における輸入投入財の実質コスト 100
90 80 0 0 0 7 6 5
40 30
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輸入投入財価格 工業諸国輸出価格`
1970年=100 100 90 80 70 60 50 40 30 1970年=100 150
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実質的実効為替レート 90
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1970 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82
スペイン経済:1982年(下)一スペイン銀行「年次報告」より一―‑(楠) 633 に維持する必要性をつうじて,雇用に悪影響を及ぼす可能性があった点を考慮に入れねば ならない。
企業にとって輸入投入財の実質コストは,ペセタ建て輸入投入財価格とその最終製品価 格との関係によって決まる。この関係はさらに二つの要素に分けることができる。第一 の要素は, スペイン工業による輸入投入財価格指数と工業諸国の輸出価格指数との比率 であり, 第二の要素は, 工業諸国のペセタ建て輸出価格指数とスペインの工業製品価格 指数との比率であるが,これは実質的実効為替レートと見なしうる。
2‑11
図には,スペ イン工業による輸入投入財の実質コスト指数が,分解された二つの要素とならんで載って いる。輸入投入財の実質コストにたいする第一次石油危機のインパクトは,比較的おだや かなものであったが,そのおおかたの原因は,原油の高騰が石油精製品の国内価格に波及 しなかったからである。逆に, 1980年の輸入投入財の実質コストの上昇は,より激しくま たより長びいたのである。 2‑17図からはまた,二度にわたってエネルギー・コストが急 騰した局面において, 如何にペセタの実質的増価(上昇)が記録されたか, が読み取れ る。ペセタの増価は当初,企業のコストにたいする圧力と国内生産諸要素に支払われる可 処分所得にたいする圧力を低下させたが,しかし中期的には,'貿易収支に悪影響を及ぽす 貿易財の対外競争力の悪化によって,こうしたインパクトの削減は持続できなくなる。そ の時,輸入投入財の実質コストや国内生産諸要素の所得に悪影響をおよぼすのは,実質為 替レートの誘発された減価なのである。いずれにせよ,輸入投入財の高騰による反響を考 慮すれば,実質労働コストを支えるリズムが低下するだけでなく,雇用水準を維持するうえで企業が耐えられる労働コストの経路と(実際の)労働コストの動向の間のヒラキも拡 大するようになる(ことが分かる)。人員の整理が現行の法律上難しいうえに,最初の(石 油ショックの)局面において経済危機の性格とその継続期間についてなされた(誤った)
判断から,工業諸部門では当初,雇用の増加率が低下するだけで終わった。そのため,それ までは非常に大量の労働力を吸収(雇用)していた工業も, 1975年 77年期になるとごく 限られた数の雇用しか生み出さないようになった。実質賃金の調整に強い抵抗があり,解 雇が大幅に制限されている経済では,人員の整理は,労働者の新規採用をとりやめたり,
退職や(工場などの)閉鎖をつうじてしか実現できない。そしてこうした局面では,雇用 にとって上述のような推移が生じただけでなく,企業の閉鎖も拡大して, 197吟三 74年期 と1975年 77年期の間に,月間の倒産件数は4件から7件に高まったのである。この期間 に金融政策は,生産コストの製品価格への大幅な転嫁を可能にし,また企業の負債の急増 を容易にしたために,企業は必要な調整を先送りして閉鎖を避けようと試みた。他の機会 183