灰塚山古墳はこれまで後円部はやや楕円形を呈するが、前方後円墳と認識してきた。た だ、後円部先端の等高線の流れには直線的に見える部分もあり、前方後方墳の可能性も否 定しきれない状況にあった。
そこで今回の調査では墳形を確定するため、後円部墳端にやや広い調査区(2b区)を 設定した。2b区は第
1
次調査で設定した第2
トレンチに接する位置に設定した。トレン チの大きさは約6.0 m×7.0 m
である。これまでの調査で墳丘下部は地山削りだしであることが判明したので、調査では地山面 まで掘り下げ、形状を観察した。
トレンチ西側断面では図の ④ 層が大きくふくらんでいるところを傾斜変換点とした。
トレンチ西側では断面で確認された傾斜変換は部分的に追うことができたが、木の根によ る攪乱がひどく、平面的に傾斜変換線の連続を確認することはできなかった。トレンチ東 側断面でも西側とほぼ同じ土層が観察された。断面の様子から図の ④ 層が大きくふくら んでいるところを東側の傾斜変換点とした。東側の傾斜変換点から西に延びる傾斜変換線 は
2 m
程度確認できたが、トレンチ中央付近では攪乱のため追うことができなかった。トレンチ全体の平面観察と
10 cm
間隔の等高線作成による検討の結果、東西両断面で認 識した傾斜変換点から延びて標高217.300
付近を通るようにつなぐ線を2b
トレンチ全体 の傾斜変換線と考え、これを後円部墳端と結論づけた。以上の検討の結果、傾斜変換線は円弧を描いていることが判明した。後円部墳端の傾斜 変換線の様相は、灰塚山古墳が「前方後円墳」であることを示すと考えられた。
(安部喜俊)
写真29 後円部墳端全景
福島県喜多方市灰塚山古墳第8次発掘調査報告
写真30 後円部墳端(西側傾斜変換点)
写真31 後円部墳端(東側傾斜変換点)
第11図 後円部2bトレンチ平面断面図(1/60)
217.000
218.000 217.500 墳端 傾斜変換線 01m
傾斜変換点 傾斜変換点
① ②③ ④⑤⑥
H=218.600
①
② ③
④
H=218.300m
H=218.600m
①
②
③
④
①
② 根による撹乱
南北セクション西側東壁 No.土色粘性締まり粒度備考 ①Hue 10YR 2/3 黒褐弱弱シルト表土 ②Hue 2.5Y 6/4 にぶい黄弱中シルト2Tの④層に対応 ③Hue 2.5Y 5/4 黄褐弱弱シルト2T⑨層に対応か 礫の量が少ない ④Hue 2.5Y 6/6 明黄褐弱中シルト2T⑪層に対応か 東西セクション北側南壁 No.土色粘性締まり粒度備考 ①Hue 10YR 2/3 黒褐弱弱シルト表土(南北セクション西側東壁①に対応) ②Hue 2.5Y 6/4 にぶい黄弱中シルト南北セクション西側東壁②に対応 ③Hue 2.5Y 5/4 黄褐弱弱シルト小礫を含む ④Hue 2.5Y 7/3 浅黄弱弱シルト ⑤Hue 2.5Y 7/3 浅黄弱弱シルト小礫を含む ⑥Hue 2.5Y 8/3 淡黄弱弱シルト 南北セクション東側西壁 No.土色粘性締まり粒度備考 ①Hue 10YR 2/3 黒褐弱弱シルト表土(南北セクション西側東壁①に対応) ②Hue 2.5Y 6/4 にぶい黄弱中シルト南北セクション西側東壁②に対応 ③Hue 2.5Y 5/4 黄褐弱弱シルト南北セクション西側東壁③に対応 ④Hue 2.5Y 6/6 明黄褐弱中シルト南北セクション西側東壁④に対応
福島県喜多方市灰塚山古墳第8次発掘調査報告