るに要する時間はゲート電極の構造、ゲート駆動電流の大きさに
(5)ゲートと直列にシリコンダイオードを接続し、その立ち上が り電圧(約 0.7V)を利用して雑音電圧を阻止する。
(6)ゲートを陰極に対し負バイアスし雑音電圧を阻止する。
以上を図によって示すと図 3 のとおりです。
図 4.トリガ回路結線図
4.ゲート回路の設計例
図 4 の よ う な 主 回 路 電 圧 と 同 期 し た 電 圧 で サ イ リ ス タ FT1000A のトリガ回路を設計する例を説明します。トリガ電源 の負のサイクルはシリコン・ダイオード(SR)で阻止させます。
なお、このダイオードは、シリコン・ダイオードで、立上り電圧 が 0.7V あり、誤動作防止に役立ちます。トリガ電源電圧はシリ コン・ダイオード(SR)で半波に整流されますので、ゲートの責 務期間は 50% となります。図 1 のゲート負荷直線図に責務期間 50% 時の許容電力損失曲線を書き込みます。三菱サイリスタ FT1000A ではゲート平均入力が 3W ですから、例えば責務期間 50% の場合は 6W のラインとなります。
すなわち
の値を用います。この値がピークゲート損失(FT1000A では 10W)を越した場合は 10W を用います。
たとえば、トリガ電源電圧のピーク値を14Vとしますと、ゲー
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ト負荷直線ABは14V から50%責務期間時の許容電力損失曲線に 接するように引き、短絡電流 1.75A を得ます。この直線の勾配
(14V/1.75A)より抵抗値は 8Ω以上でなくてはならぬことがわか ります。ここで、抵抗値を 8Ωとして、他のトリガ電源電圧に対
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するゲート負荷直線をAB ラインに平行に引きます。トリガ電源
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電圧が零から上昇するに従い、AB ラインに平行な一連のゲート 負荷直線をとり、斜線部を横切らぬようになったとき、すべての
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素子がトリガします。CD ラインはこれを示し、トリガ電源電圧
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が 4.5V いることを示します。一方 EF ラインより、トリガ電源電 圧が 0.5V になったとき、ある素子はトリガすることがわかりま す。正弦波によるこのトリガ方式では、素子の特性により、トリ ガ電気角は 2.0°から 19°の間にばらつきます。このバラツキを小 さくするには、電圧を立上りを急峻にすればよく、もっと高いト リガ電源電圧を用いて、ツェナーダイオードで 20V 以下にク
ゲート平均入力 × 100 責務期間(%)
SCR C
R SR VO
負 荷
よって変わります。
サイリスタのゲート構造は大きく分けて、図5に示すようにセ ンタゲート構造(ゲート電極がシリコン基体の中央に位置する構 造)と、コーナゲート構造(ゲート電極がシリコン基体のすみに位 置する構造)とがあり、いずれの構造においてもサイリスタの ターンオンは接合内の最もトリガしやすい部分より開始します。
ゲート駆動電流が小さい場合には、両構造ともその初期ターン オン面積に著しい差は生じませんが、ゲート駆動電流が大きくな ると図 5 に示すようにその差は歴然と現れてきます。すなわち、
センタゲート構造では十分なゲート駆動電流を流してやれば、そ の導通領域はリング状となるため、コーナゲート構造に比べて初 期導通領域を著しく増加させるばかりでなく、導通領域の広がり 時間を短縮し、接合内の局部加熱をより軽減することができま す。したがって、センタゲート構造を採用し、十分なゲート駆動 電流を流す(High Gate Drive)ことにより、di/dtの問題及びター ンオン領域の広がりを著しく改善することができます。
前述のように、センタゲート構造を採用し、High Gate Drive を行えば di/dtの問題は解消しますが、大電力用のサイリスタで はHigh Gate Drive を行うためのゲート駆動電流が非常に大きな 値となってきます。この改善策として、センタゲート構造を一歩 進めた図6に示すようなダイナミックゲート構造(増幅ゲート構 造)があります。このゲート構造では図 6 の等価回路に示すよう に、補助サイリスタがターンオンすると主回路電流がゲート駆動 電流として主サイリスタのゲートに流入するため、高い di/dtが 加わるとそれに比例してゲート駆動電流も大きくなり、常に必要 に応じた High Gate Drive が行えるようになっています。
三菱サイリスタでは、di/dtが問題となる 40A クラス以上のサ イリスタのゲート構造は主にセンタゲート構造とし、さらに 300Aクラス以上の大電力サイリスタのゲート構造は主にダイナ ミックゲート構造とすることにより、とくに di/dtの高い電流が 流れる用途とか高周波用途において、高信頼度で動作するように 設計・製作しております。図 7 にゲート構造の例を示します。
一般に、サイリスタはゲートにゲートトリガ電流、電圧以上の 電流、電圧を印加すればターンオンし、とくに di/dtが高い用途 でなければこれでも安定に動作します。しかしゲートの温度依存 性、ターンオン時の電流集中などを考慮しますと、サイリスタが ターンオンするぎりぎりのゲート電流、電圧で駆動するより、若 干大きな電流で駆動する方がターンオンの遅れ時間も短くなって 装置としてより信頼度が高まります。
サイリスタのトリガ回路設計法
導通領域
ゲート電極 ゲート電極
導通領域
ゲート電極 ゲート電極
ゲート電流大の場合
ゲート電流小の場合
センタゲート構造 コーナゲート構造
図 6.ダイナミックゲート構造のターンオン領域の広がり 導通領域
ゲート電極 補助 サイリスタ
補助サイリスタ
ゲート
陰極 等価回路 ダイナミックゲート構造
主サイ リスタ
陽極
図 5.センタゲートとコーナゲートのターンオン領域の広がり
a. センタゲート構造 b. ダイナミックゲート構造
図 7.ゲート構造の例
8.ゲートトリガ波形
5 項で述べましたように、ターンオン時に di/dtが非常に高い と、素子を劣化させることがあります。これに対し三菱サイリス タでは High Gate Drive を行うことにより di/dtの限界値が高ま り、きわめて高い信頼性が得られます。とくに、センタゲート構 造においてはこの効果は著しいものとなります。次に実際に印加 するゲート波形について述べます。図 8 の波形は、100A 以上の 三菱サイリスタをdi/dtの大きな用途にご使用になる場合の推奨 ゲート電流波形の一例です。波形の立ち上がり、ピーク値は必ず しも図8の数値どおりでなくてもサイリスタは正常に動作します
が、できるだけ立ち上がりが速く、しかも定格値以下で大きな電 流ピークの波形が適当です。ただし、パルス幅は用途により適し
た値を選定してください。他の電流容量を有するサイリスタの High Gate Drive の波形は電流ピーク Ip として、ゲートトリガ電 流(IGT)の 8 〜 10 倍程度、最終値としてその素子のゲートトリガ 電流値程度を推奨します。このような High Gate Drive により ターンオンでのトラブルの90%が解決された実績があり、非常な 効果を発揮しています。
サイリスタのトリガ回路設計法
図 8.High Gate Drive 時のゲート電流波形 IG
550mA 1.5A IGT t
1.5 µs 50 µs
300 µs