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(0.015) (0.019) Lagged MB

ratio

-0.253*** -0.176***

(0.016) (0.013)

lagged sales growth

-0.146*** -0.123***

(0.024) (0.021)

log(Asset) 0.001 -0.000 0.012*** 0.017*** 0.003 0.002 (0.000) (0.001) (0.005) (0.004) (0.002) (0.002) Constant -0.008 0.006 -0.129*** -0.182*** -0.053* -0.043*

(0.005) (0.007) (0.050) (0.043) (0.029) (0.025) Observations 8,859 8,969 6,539 6,629 8,474 8,477 R-squared 0.073 0.020 0.201 0.130 0.030 0.023 Industry FE YES YES YES YES YES YES

Year FE YES YES YES YES YES YES

注:Robust standard errors in parentheses,*** p<0.01, ** p<0.05, * p<0.1

ROA, MB ratio, sales growth rateは産業のメディアンで調整した。

サービス産業は SIC 2 桁 code 50-89 とした。

(1) (3) (5) の従属変数:

(2) (4) (6) の従属変数:

表 5.14 は社長強制交代によって、企業の資産規模がどのように変化しているか、日米比 較した結果をまとめたものである。産業レベルの年次の固有効果をコントロールするために、

資産変化率を産業のメディアンで調整した。社長強制交代前後3年平均の総資産額の変化率 と、社長強制交代翌年と交代年の資産額の変化率、2つの指標を用いて検証した。推定式は 以下のようである。

3 年平均を使った推計式

⋅社長強制交代

,, ⋅ log ,

.,

(4)

, , . , , . /

, , .

1 年の変化を使った推計式

, ⋅社長強制交代,, log ,

,, , (5)

, , , / ,

分析の結果によれば、日米共に社長強制交代後に資産規模は縮小していることがわかるが、

その縮小率はアメリカ企業のほうが圧倒的に高い。

表5.14 社長強制交代前後の資産の変化

日本 アメリカ

(1) (2) (3) (4)

説明変数 (3年平均)

(3年平均)

社長強制交代 -0.027 -0.049* -0.483*** -0.111***

(0.092) (0.027) (0.115) (0.039) Log(Asset) 0.060*** 0.010*** 0.052*** -0.006*

(0.004) (0.001) (0.016) (0.003) MB ratio 0.003*** 0.000 0.130*** 0.033***

(0.001) (0.001) (0.022) (0.006) Leverage -0.076 -0.064*** -0.264* -0.068*

(0.068) (0.018) (0.140) (0.035)

0.047*** 0.009

(0.015) (0.013)

Constant -0.563* -0.110 0.034 0.251*

(0.325) (0.165) (0.382) (0.130) Observations 19,561 19,176 11,627 13,185

R-squared 0.018 0.018 0.025 0.023

Industry FE YES YES YES YES

Year FE YES YES YES YES

注: Robust standard errors in parentheses. *** p<0.01, ** p<0.05, * p<0.1.

は SIC2 桁産業 メディアンで調整した。全ての変数の 1st (99th ) percentiles 以下(以上)のサンプ ルは取り除いている。

表 5.15 では、社長強制交代付近の従業員数の変化を日米比較した。推計では、資産変化の 分析に用いた同様の式を使用した。表 5.15 の結果から、社長強制交代後に、日米両国で従 業員の数は減少していることが観察される。しかし従業員の減少幅は、日本企業はアメリカ 企業に比べて小さく、社長強制交代が従業員削減を引き起こすという仮説検定の結果は、有 意ではない7

7日本では解雇できないため労働者を減らすより賃金を下げる可能性が考えられる。その可

表5.15社長交代前後の従業員数の変化

日本 アメリカ

(1) (2) (3) (4)

説明変数

(3年平均)

(3年平均)

社長強制交代 -0.078 -0.005 -0.140* -0.093***

(0.071) (0.037) (0.080) (0.030) Log(Asset) 0.056*** 0.014*** 0.033*** -0.002

(0.007) (0.002) (0.011) (0.003) MB ratio -0.005* -0.002*** 0.094*** 0.022***

(0.003) (0.000) (0.017) (0.003)

Leverage -0.226*** -0.027 -0.143 -0.052*

(0.078) (0.019) (0.116) (0.030)

0.064*** 0.035**

(0.014) (0.015) Constant -0.908* -0.258*** -0.177 0.053

(0.482) (0.095) (0.223) (0.057)

Observations 16,992 18,005 11,192 12,915

R-squared 0.017 0.017 0.027 0.021

Industry FE YES YES YES YES

Year FE YES YES YES YES

: Robust standard errors in parentheses. *** p<0.01, ** p<0.05, * p<0.1.

は SIC2 桁 産業 メディアンで調整した。全ての変数の 1st (99th ) percentiles 以下

(以上)のサンプルは取り除いている。

表 5.16 では総負債額を総資産額で割った数値で測った、企業の負債比率の変化を調べた。

その結果、日本企業では社長強制交代後に負債比率が低下しているが、アメリカ企業では負 債比率の低下が起こっていないことが確認された。

代後に販管費が有意に下がったかどうかについて検証してみたが、販管費が有意に下がる結 果を得られなかった。

表5.16 社長交代前後のリバレッジの変化

日本 アメリカ

(1) (2) (3) (4)

説明変数 (3年平均)

(3年平均)

社長強制交代 -0.018** -0.009** 0.003 0.001 (0.009) (0.004) (0.007) (0.003)

Log(Asset) 0.004*** 0.001** 0.001 -0.000 (0.001) (0.000) (0.001) (0.000) MB ratio -0.000 0.000 0.003*** 0.001**

(0.000) (0.000) (0.001) (0.000)

0.005 -0.046***

(0.010) (0.011)

Constant -0.028 -0.000 -0.046* 0.010

(0.020) (0.006) (0.024) (0.009)

Observations 19,544 19,691 11,551 13,312 R-squared 0.027 0.010 0.028 0.021

Industry FE YES YES YES YES

Year FE YES YES YES YES

: Robust standard errors in parentheses. *** p<0.01, ** p<0.05, * p<0.1.

は SIC2 桁 industry メディアンで調整した。全ての変数の 1st (99th ) percentiles 以下(以上)のサンプルは取り除いている。

以上の結果が示された日アメリカ企業の社長強制交代後の企業パフォーマンスは、仮説で 論じたように、アメリカ企業と日本企業のコーポレートガバナンスの違いを示す結果となっ た。投資リターンを追求する個人株主と機関投資家のプレゼンスが高いアメリカでは、社長 強制交代後、企業パフォーマンスは短期間で改善をするという仮説は支持された。また、強 制交代後に就任した CEO は、資産と従業員を大幅に減らすことで業績回復を達成しているこ とが分かった。

一方で、1970 年代から 1990 年代半ばまでの日本企業のコーポレートガバナンスは、事業 会社間の株式の持合いにより、マーケットリターンを求める株主、またはコーポレートコン

トロール買収市場によるトップマネージメントの監視はほぼ存在せず、経営規律がパフォー マンス最大化を基軸に行われていたかは疑問が残る。また、1990 年代以降の株式持合い解 消と外国人投資家と個人投資家の台頭により、メインバンクと企業内部者主導のガバナンス は影響力を弱めたと推測されるが、2000 年から 2007 年のデータを使用した実証分析でも、

社長強制交代後に企業パフォーマンス向上は起こっておらず、日本企業ではパフォーマンス を優先とする企業統治が行われていないという仮説を肯定する結果となった。

また日本企業では、社長強制交代後の資産と従業員数の縮小率はアメリカ企業と比べて小 さいが、資産額に占める負債を有意に下げているという結果を得た8。これは、株式持合い が減少した 1990 年代以降も、金融機関やグループ企業主導の企業統治が行われている可能 性を示唆しており、興味深い。

6. 今後の課題と結び

本稿では、2000 年から 2007 年の社長強制交代データを使って、社長強制交代が日米で企 業行動にどのような影響を与えているのか分析し、日アメリカ企業のコーポレートガバナン スを比較した。その結果、アメリカ企業では社長強制交代後、企業パフォーマンスが改善し ているのに対し、日本企業ではそのようなパフォーマンス改善は見られなかった。またアメ リカ企業では、社長強制交代後、資産の規模と従業員数が大幅に縮小し、日本企業では負債 比率が減少していることが示された。

最後に、本稿の分析結果から示唆される政策提言、分析結果を解釈する際の留意点、これ からの研究の方向性をまとめて結びとする。日本企業とアメリカ企業の間に、社長強制交代 後の企業パフォーマンスの違いを生み出す潜在的な要因を第二節で考察した。ここでは、日 本型コーポレートガバナンスの根本的な問題とは何か議論し、その問題点を解決するための 政策を考察する。まず、企業経営がパフォーマンス最大化ではなく、企業存続や資本を確保 する目的で行われれば、投資リターンを求める株主の利益は損なわれる。更に、企業パフォ ーマンス最大化を優先しない企業経営は、資本や人材などの生産要素の非効率的な活用につ ながり、マクロの視点からも日本経済に負の効果をもたらす。

日本企業で、従業員主導の経営が行われる原因の一つとして、内部者のみで構成された取 締役会構造が挙げられる。アメリカ企業では、株主利益の保護を目的に、取締役会の独立性

8日本企業が資産を減らさないで負債比率を低下させていることは、資産を減らして資金を 調達するよりは可能な限り当期利益を利用して負債返済に注力する可能性が考えられる。

を高める動きが近年高まってきている。この動きを受けて、取締役会による経営の監視は、

パフォーマンス最大化を目的として、より厳しく行われていると推測される。日本では、

2003 年の 会社法改正により、委員会設置会社では社外取締役選任が義務化された。このよ うな取締役会の独立性、すなわち経営の監視機能を高める政策によって、株主利益を優先し た企業経営が行われることが期待され、日本経済活性化に重要な役割を果たすと予測される。

また、日米間での企業株主構造の違いも日米間の企業統治の差をもたらす要因である。メ インバンクやグループ企業、取引先企業との株式の持合いにより、株主利益と投資リターン 最大化が乖離し、株主主導の経営監視がパフォーマンス最大化を目的に機能しない可能性を 指摘した。バブル崩壊後の企業間株式持合いの解消は企業経営目的を企業パフォーマンス最 大化と一致させるのにプラスに働くであろう。しかし、この株主構造の変化を企業統治に反 映させるためには、企業側が株主に与える権利行使の幅を広げて行くことが必須である。

更に、日米の経済構造の差が社長強制交代後のパフォーマンスに影響を与えている可能性 もある。アメリカではマネージメント業に特化した CEO 労働市場が存在するが、日本ではそ のような労働市場はほぼ存在しない。マネージメント労働市場の存在の有無により、日アメ リカ企業間で社長候補者プールの大きさに差が生じ、それが社長交代後の企業パフォーマン スに影響を与えている可能性も考えられる。日米の社長候補者プ−ルの差が、社長交代後の パフォーマンスにどのように影響を与えているか分析するには、外部からの社長選任のメカ ニズムについて詳しく研究する必要があり、今後の課題としたい。

本稿の実証分析結果を解釈する際に留意するべき点は、日米のサンプル企業規模の差であ る。この研究では、社長強制交代は新聞記事で報道されている内容をもとに、社長交代が強 制的であったかどうかを判断した。しかし、企業は社長を強制交代したことを公にすること に関して積極的ではないため、報道内容で発見された社長強制交代の件数は、日米ともに少 ない。よって、多くの強制交代は、退任した社長の年齢が 60 歳以下という基準をもとに、

判別されたケースである。日本の場合、60 歳以下の社長を選任、または退任させる企業は、

規模の小さな企業に集中している。一方で、アメリカでは大企業でも 60 歳以下の社長が就 退任することは稀ではない。現に S&P1500 に採用されている企業は規模が比較的大きな企業 群であるが、確認された社長全交代に占める強制交代の割合は、日本企業に比べて高い。そ の結果、日本の社長強制交代を行ったサンプルの企業の規模は資産、従業員数ともにアメリ カのサンプル企業と比べて小さい。

よって今後の研究課題は、他の手法を使って社長交代を強制的と判断した場合に、社長強 制交代が企業行動にどのような影響を与えているか、分析することである。 Jenter and

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