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131 I 内用療法証明書

...殿( 年 月 日生まれ,男性/女性)は西暦20 年 月 日に当施設で

... MBqの放射性ヨウ素131による治療を受けた.この核種の物理学的半減期は8日である.

空港や国境などで警備に用いられている高感度の放射線検出機器は,この核種から放出されるγ 線を投与後何週間にもわたり感知する可能性がある.

また,一部のショッピングセンタ,医療機関などに設置されている炎感知型火災報知機もこの核種 から放出されるγ線を感知して誤作動する可能性がある.

この患者の放射性医薬品投与後の当施設からの退去は,わが国の法令(1998年6月30日医薬安発 第70号)で定められた指針に従って適正に行われた.

当患者により高感度な機器の放射線のアラームや炎センサーが作動した場合,上記の治療によるも のと考えられるので周辺に危害が及ぶものではない.

日付 ...

施設名 ...

医師氏名 ...

外来治療のリスクについて

ポイント

甲状腺機能がコントロールされていれば,ほとんどの症例は外来での131I内用療法が可能である.

高齢者,著しい甲状腺中毒症状,重篤な合併症などのリスクを有する症例では,入院治療を要する かどうか専門医と相談すべきである.

ステートメント

1]バセドウ病患者に対して131I内用療法を行う場合のリスクは,高齢,著しい甲状腺中毒症状,重 篤な合併症(特に心臓疾患,肝疾患,糖尿病など)である.従って,上記のリスクを持つ患者を 外来で治療する場合は,少なくとも抗甲状腺薬で甲状腺ホルモン値を正常にしてから131I内用療 法を行うべきであり  レベル4   グレードA131I内用療法後も甲状腺機能が落ち着くまで の一定期間,抗甲状腺薬を投与すべきである. コンセンサス   グレードA

必要に応じて,β遮断薬,ヨード剤を使用する.甲状腺機能を十分にコントロールしていても,

通常,131I内用療法前後で抗甲状腺薬を中止するために治療時に甲状腺ホルモンレベルが高値に なることが多い.リスクを持つ患者は,入院して131I内用療法を行う方が望ましいが,外来で治 療を行う場合は,専門医と相談すべきである. コンセンサス   グレードA

2]リスクを有しない患者では,β遮断薬のみで治療して外来131I内用療法を行ってもよい場合もあ る. レベル4   グレードB2  可能ならば,リスクを有しない患者でも,131I内用療法前には 抗甲状腺薬で甲状腺機能をコントロールしておく方が望ましい. コンセンサス   グレードB2 しかし,リスクを有しない患者は入院の必要はない. コンセンサス   グレードB2

3]甲状腺腫が大きな患者では,外来での131I投与量に制限があるために一回の治療で治すのは難し く,131I内用療法前後に甲状腺機能が著しく亢進することがあるが,必ずしも外来治療のリスク とはならない. レベル4  患者と相談の上,入院にて治療するかどうかを決めることが望ま しい. コンセンサス   グレードB2

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ステートメントの根拠

1]高齢,著明な甲状腺中毒症状,重篤な疾患(心疾患,肝疾患,糖尿病など)などのリスクを有す る患者では外来131I内用療法を行う場合,甲状腺機能を十分にコントロールしていないとリスク となっている合併症の悪化が生じる可能性がある.従って,かかる患者では131I内用療法前に抗 甲状腺薬で甲状腺ホルモン値を正常にしておくことが肝要である.131I内用療法後も,その効果 が発現してくるまで引き続き,抗甲状腺薬を投与しておくことが必要である.甲状腺機能を十分 にコントロールしないで131I内用療法を行うと,稀ではあるが甲状腺クリーゼを引き起こすこと が報告されている1131I内用療法後の甲状腺クリーゼは,131I内用療法自体で引き起こされる甲 状腺機能増悪というより,むしろ抗甲状腺薬を中止したことによる甲状腺機能増悪により引き起 こされるという報告もある2.いずれにしても,131I内用療法前後で甲状腺機能を十分にコント ロールしておけば,リスクを有する患者でも外来治療が可能である3,4.抗甲状腺薬で甲状腺ホ ルモン値を正常に抑え込んでいても,131I内用療法後に症状が悪化する可能性があるので5,6,上 記リスクを有する患者は入院の上,131I内用療法を行うことが望ましい場合もある.入院の必要 性については甲状腺専門医と相談の上,決めるべきである.

2]リスクを有しない患者では,β遮断薬のみ投与して抗甲状腺薬で治療することなしに外来131I内 用療法を行っても安全であるとの報告もある4)131I内用療法前に抗甲状腺薬で治療した場合,

抗甲状腺薬を数日前から中止するために131I内用療法時および治療後短期間(通常2–3日間), 甲状腺ホルモン値が高くなることはよくみられる5,6.しかし,抗甲状腺薬を中止して増加する

131I内用療法後の甲状腺ホルモン値に比べて,抗甲状腺薬で治療しないで131I内用療法を行う場 合の131I内用療法後における甲状腺ホルモン値は有意に高い5,6.したがって,リスクの有無に 関わらず,131I内用療法前および後には,抗甲状腺薬で甲状腺機能を正常近くにコントロールし ておく方が安全であると思われる.

3]甲状腺腫が大きな症例でも分割投与で,外来にて十分対応できる3,7.栗原ら7は,巨大甲状腺 腫30例に対し,外来にて2回分割投与を行い,甲状腺腫の著明な縮小がみられたと報告した.

田尻3も,外来131I内用療法を行った438例中9例が甲状腺重量100 g以上の大きな甲状腺腫を 有する症例であったが,2–3回の分割投与で全例,著明に縮小して抗甲状腺薬を中止できたと報 告している.しかし,分割投与をすることで治療期間が長くなることを患者が好まない場合は,

入院にて十分量の131Iを投与する方法を患者に説明する.

■ 主要な臨床研究論文の紹介

田尻淳一 2005 3)

バセドウ病に対する外来放射性ヨード治療:安全性および短期治療成績について.核医学2005; 42:

115–122

【目的】 バセドウ病に対する外来131I内用療法の安全性について検討すること

【方法】 131I内用療法を受けたバセドウ病患者438人(男性100人,女性338人)を対象とした.

年齢は 44.6 ± 15.4歳(14–82歳)である.全例,外来にて131I内用療法を行った.初回投 与 量 は6.7 ± 3.3 mCi(1.2–13.5 mCi) で あ る.131I内 用 療 法 の 前 治 療 は,MMI 248例,

PTU 43例,ヨウ化カリウム(KI)130例,昆布3例,前治療なし11例であった.抗甲状

腺薬などは,131I内用療法4日前から3日後まで中止した.

【結果】 心疾患,糖尿病,肝疾患などの他疾患を同時にもっている症例,高齢者,放射性ヨード治 療時に著明な甲状腺ホルモン高値を示した症例などリスクを有する症例計110例がみられ たにもかかわらず,治療後に甲状腺クリーゼや甲状腺中毒症の悪化による合併症を起こし た症例は1例もなかった.

【結論】 バセドウ病に対する外来131I内用療法は安全である.

【コメント】 甲状腺機能をコントロールしておけば,外来で131I内用療法を行っても問題は起こらない ことが証明できた.本邦において,外来131I内用療法の安全性を検討した唯一の研究であ る.

Vij ayakumar V, et al. 2006 4)

Is it safe to treat hyperthyroid patients with I-131 without fear of thyroid storm? Ann Nucl Med 2006; 20: 383–385

【目的】 131I内用療法後の甲状腺クリーゼは非常に稀であるが,安全を期して甲状腺中毒症状が強 い症例には,131I内用療法前に抗甲状腺薬で治療を行っている.抗甲状腺薬で治療しない で131I内用療法を行い,安全性について検討した.

【方法】 対象は,122例の甲状腺機能亢進症患者.131Iは,10–20 mCiを投与した.多くの例で131I 内用療法後少なくとも2ヶ月間,β遮断薬を投与した.131I内用療法時に,甲状腺機能亢 進症状の悪化があれば,連絡するよう患者に説明した.

【結果】 25%が甲状腺クリーゼを起こす可能性のある症例であった(RAIU 65% <,著しい甲状腺 中毒症状,FT4,FT3高値).しかし,これらの症例は131I内用療法後も甲状腺機能亢進症 状の悪化はみられなかった.他の症例も,131I内用療法後に甲状腺機能亢進症状の悪化は みられなかった.

【結論】 抗甲状腺薬にて治療しないで131I内用療法を行っても,甲状腺機能の悪化はみられず,安 全であった.

【コメント】 131I内用療法後から使用したβ遮断薬が,有効であったと思われる.論文の中には記載は ないが,外来で治療したと思われる.

Burch HB, et al. 1994 6)

Discontinuing antithyroid drug therapy before ablation with radioiodine in Graves disease. Ann Intern Med 1994; 121: 553–559

【目的】 バセドウ病患者に131I内用療法を行う際,抗甲状腺薬を中止することで131I内用療法前後 に甲状腺ホルモンがどの程度増加するかをみること.

【方法】 対象は,バセドウ病患者21例.17例は,抗甲状腺薬で治療して131I内用療法を受けた.

抗甲状腺薬の投与期間は,平均14週間(4–52週間).抗甲状腺薬は131I内用療法6日前 から中止した.4例は,抗甲状腺薬を投与しないで131I内用療法を受けた.131I内用療法 前後の甲状腺ホルモン値を経時的に調べた.131I投与量は,16.6 ± 3.7 mCi(9.8–22.0 mCi) であった.

【結果】 抗甲状腺薬で治療した症例では,FT4値は131I内用療法2日後(増加率86%;95% 信頼区 間 16.1% to 156%)に,FT3値は131I内用療法1日後(増加率71.6%;信頼区間 31%to 112%)に最高値に達した.それに反し,抗甲状腺薬治療なしで131I内用療法を行った症 例では,131I内用療法直後から急速にFT4,FT3値が減少した.

【結論】 131I内用療法後短期間の甲状腺ホルモン値の増加は,131I内用療法自体によるものではなく,

抗甲状腺薬を中止したことに起因すると考えられた.

【コメント】 抗甲状腺薬治療をしないで131I内用療法を受けた患者数が少ないことが気になった.しか し,その後,Andradeら5による58例を対象としたRCTでこの結果が正しいことが追 認された.

解 説

1998年6月,当時の厚生省からの通達により500 MBq(13.5 mCi)までなら,外来にて131I内用 療法が可能になった.これにより,ほとんどのバセドウ病患者の131I内用療法が外来で行えるように なった.さらに,外来で131I内用療法を行えば,医療費削減にも貢献できる.しかし,甲状腺中毒症 の症状が著明な症例,心疾患,肝疾患,糖尿病など別の重篤な病気をもっている症例では外来での

131I内用療法は不適切なこともある.実地臨床では,入院治療にするか外来治療にするかは,主治医 の判断で行っている.この手引きでは,外来131I内用療法のリスクについて述べることで,実地医家 が外来131I内用療法の限界と入院治療の必要性について理解していただければと思う.

抗甲状腺薬を投与しながらの131I内用療法も報告されている8,9.抗甲状腺薬を中止する場合に比 べると効果は劣るが,安全性は向上する.投与量を多くすることで,その欠点を補うことが出来る.

リスクのある患者を外来で治療する場合,考慮してもいい治療法である.

欧米では,131I内用療法前後で抗甲状腺薬を使用しない医師も多い.その理由については,他項を 参照されたい(「3.131I内用療法の実際 2)131I投与量の決め方」).しかしながら,欧米においても 高齢,著明な甲状腺中毒症状,重篤な疾患(心疾患,肝疾患,糖尿病など)などのリスクを有する患 者では,131I内用療法前後での抗甲状腺薬使用を勧めている10

米国では131I内用療法は第一選択肢であるが,本邦では第一選択肢は抗甲状腺薬であり,131I内用 療法は第二または第三選択肢である11.すなわち,131I内用療法の適応は,手術後再発例,副作用で 抗甲状腺薬が使えない症例,抗甲状腺薬で寛解状態に至らない症例,再発を繰り返す症例などに限定 される.抗甲状腺薬で寛解状態に至らない症例などのように抗甲状腺薬を服用中の場合は,甲状腺機 能も落ち着いており外来131I内用療法も安全に行える.問題は,甲状腺機能亢進状態にある患者をど のように扱うかである.抗甲状腺薬で甲状腺機能を正常にするには,通常1–2ヶ月を要する.この期 間は,抗甲状腺薬の副作用が出やすい時期に当たる.甲状腺学会編集「バセドウ病薬物治療のガイド

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