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(1 1) SDS‑PAGE

ドキュメント内 メチル水銀の細胞内標的分子の解明 (ページ 41-53)

(1 0)で作製したゲルに(9)で調製したサンプルをアプライし、電気泳動

装置(MiniTrans‑Brot Cell: BIO‑fuD)にて泳動を行った。泳動には泳動バッファー

※を精製水で5倍希釈して用いた。

※泳動バッファー;Tris l5.14g、グリシン72.067g、 SDS5gを精製水に溶解し、

全量をlLとした

( 1 2) Westemblot

sDS̲PAGEで分離したタンパク質は、プロット装置(TRANS‑BLOT; BIOIRAD) を用いてセミドライ方式によりPVDF膜(Millipore)上にトランスファーしたo こ

‑38‑

の際、ブロッテイングバッファー※1を用いて行った。トランスファーした膜は、

ブロッキング溶液で一晩、振塗してブロッキングを行った。 1次抗体として、ブロッ

キング溶液で1000倍希釈したRL2抗体を1時間反応させ、その後mS※2で洗浄し、

続いて2次抗体として、 5000倍希釈したanti mouse lgG‑HRPを1時間反応させた。そ

の後TTBSで洗浄し、さらにTBS※3で洗浄し、 ECLT" westem blo血lg detecdon

reagents (Amersham)を用いてⅩ線フイルム上にシグナルを検出した。

※1ブロッテイングバッファー; 48mMTriS、 39mMglycine、 1.3mMSDS、 20%

メタノール

※2TTBS ; 10× TriS/glysine/SDS buffer( BIO‑IuD )を精製水で10倍希釈

して全量をl Lとし、そこにTween‑20を0.5 mL加えた

※ 3TBS ; 10 × TriS/glysine/SDS buffer( BIO‑RAD )を精製水で10倍希釈

して全量をlLとした

(13)統計処理

各データは平均値±標準誤差値で表し、有意差検定はStudent■s t‑testにより行った.

(1 4) GFAT発現プラスミドの作製

pBluescript II SK(+)にhuman GFAT(hGFAT) cDNAを組み込んだpBS(+)‑hGFATは Gary L. McKmight博士より供与されたものを用いた。 PBS(+)‑hGFATからhGFAT cDNAを単離し、 pcDNA3.1niygro/lacZベクター(Invitrogen)のBunH u池o Ⅰサイト

に入れ直してGFAT発現プラスミド(pcDNA3.1‑hGFAT)を作製した。またコント ロールプラスミドとしてpcDNA 3.1/Hygro/血cZベクターを用いた。

(15)プラスミドの精製

一39‑

実験で用いたプラスミドは、大腸菌(xLlBlue株)中で増幅した後に、

QIAGEN Plasmid Maxi kit (QIAGEN)により精製した。

( 1 6 )細胞への遺伝子導入およびstable transfbrmantの作製

(14)で作製したGFAT発現プラスミドをリボフェクション法により、 293細 胞に導入した。すなわちFCSを含まない培地P'MEM (‑) ) 96 mLにTransITT"ILT I

を4 mL摘下して軽く撹拝した後、室温で5分間放置し、そこに精製したGFAT発現 プラスミド3mgを加えて軽く撹拝し、再び5分間室温で放置した。この混合溶液

を、 6穴プレートで50‑70%コンフルエントになるまで培養した293細胞に添加し

た。なお、細胞は先に述べたとおりD‑MEM(+)で培養した。コントロールプラスミ

ドについても同様にして遺伝子導入を行った。それぞれのプラスミドを導入した

細胞をハイグロマイシンB 450mgmLで処理し、 1‑2週間後に生き残って増えてき た細胞をstabletransformantとした.なお、以後の実験には、 GFAT発現プラスミド

を導入したstable transfbrmantをGFAT高発現細胞(GFAT/293) 、コントロールベク

ターを導入したstable transformantをコントロール細胞(pcDNA3.1/293)として用い

た。

(1 7)樹立した細胞の性質

GFAT活性の測定: 1‑1と同様に、細胞抽出液を調製してGFAT活性を測定した。

細胞増殖速度の測定: pcDNA3.1/293およびGFAT/293を6穴プレートl wellあたり5

× 104個播き、 24、 48、 72時間培養後の細胞数を血球計数板を用いて数えた。

( 1 8)メチル水銀およびDONに対する感受性

I̲1で述べたように、 96穴マイクロプレートに細胞を5×103個仙ellとなるように

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播き、 24時間処理後の細胞増殖を測定した。

( 1 9 )メチル水銀によるαGIcNAc含有糖鎖合成への影響

同様に6穴プレートに細胞を1.5×105個/wellとなるように播き、メチル水銀また はDONで24時間処理した後、細胞を回収してRL2抗体を用いたWesternblotにより αGIcNAc含有糖鎖量の変化を調べた。

(2 0)可溶性画分の調製

Wistarratを脱血死させ、直ちに肝臓、大脳、小脳を摘出し、肝臓については還流

により血液を十分に除去した。なお、これ以降の操作は全て4℃以下で行った。各

臓器について、臓器重量の3倍、 4倍、 5倍量のhomogenate buffer※を加え、ホモジナ イザ一により組織を破砕した。これを1,000Xgで10分間遠心し、その上清を105,000

xgでさらに1時間遠心して、得られた上清を可溶性画分として以後の実験に用いた。

なお、ラットの取り扱いにあたっては、東北大学薬学部動物実験委員会が作成し た「実験動物の取り扱いに関する指針」に基づいて行った。

※homogenatebuffer : 0.25 Msucrose、 25mMKCl、 10mMリン酸カリウム緩衝液

(pH 7.5)および用時、 10 mM glucosel6‑phosphate、 5 mM glutamine、 0.05 mM

glucosamine‑6‑phosphateを加えた

(2 1)アルコールデヒドロゲナ‑ゼ(ADH)活性の測定

2.8mMNAD、 50mMTris‑HCl緩衝液(pH 7.3)およびタンバク量0.4 mgとなる ように希釈した可溶性画分を含む反応溶液0.18 mLを37℃でプレインキュベーショ ンし、そこに20mLの100mMエタノールを加えて、直ちに3分閉経時的に340nmに

おける吸光度をマイクロプレートリーダーを用いて測定した。酵素活性は1分間に

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生成したNADH量を・蛋白質1 mg当たりに換算した値(mmol血i〟mgpmtein)で表 した。

(2 2)グルタチオンレダクタ‑ゼ(GR)活性の測定

50mMリン酸カリウムー100mMKCl (pH7.0) 、 0.2mMNADPHおよび可溶性画 分(タンバク量0.2mg)を含む反応溶液0.18mLを37℃でプレインキュベーション し、そこに20mLの2.5mM酸化型グルタチオン(GSSG)を加えて、直ちに3分間経

時的に340nmにおける吸光度をマイクロプレートリーダーを用いて測定した。酵 素活性は1分間に減少したNADPH量を、蛋白質1mg当たりに換算した値

(mmol/min/mg protein)で表した。

、 (23)メチル水銀の投与

Wistarratの皮下に0、 2・5、 5または10mgA(g/dayのメチル水銀(10mMNaHCO3緩

衝液(pH9.2)溶解)を1日1回ずつ、連続6日間投与した。各投与群をA、 B、 Cおよ

びD群とし、各群4匹ずつ処理を行った。なお、ラットの取り扱いにあたっては、

東北大学薬学部動物実験委員会が作成した「実験動物の取り扱いに関する指針」

に基づいて行った。

(24)各臓器の水銀濃度の測定

各群の肝臓、大脳および小脳を湿式灰化した後に、それらの総水銀量を還元気 化一原子吸光法により測定した。すなわち各臓器の一部(約0.1 g)を試験管にとり、

混酸(硝酸:過塩素酸‑4: 1) 5mLを加えて120℃で2‑3時間加熱し、放冷後、精

製水を加えて全量を5 mLとし、その一部を自動水銀分析装置に注入して測定した。

なお、検量線は塩化第二水銀を用いて作製した。

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(25)組織切片の作製と染色

(23)に従ってメチル水銀で処理したラットから小脳を摘出し、ブアン固定液

(ピクリン酸:ホルマリン:氷酢酸‑15:5:1)中で一晩固定した。これを70%

エタノールに移し、ピクリン酸を十分溶出させてから徐々にエタノールの濃度を

上げて脱水させ、パラフィン(TissuePrep)で包埋した。これをミクロトームでス

ライスし、予めTESPAコーティングしておいたスライドガラスに封入した。小脳 切片を封入したスライドガラスはキシレンおよびエタノールに浸し、続けてHE

(Hematoxylin‑Eosin)染色を行った。

結果および考察

まず、 HeLa細胞のGFAT活性に対するメチル水銀の影響を検討した。その結果、

メチル水銀の添加濃度に依存してGFAT活性は阻害され(Fig. 2B) 、細胞増殖も同 様に抑制された(Fig.2A) 。またこの時、 GFAT以外のSH酵素の一例として測定 したLDHの活性は本実験条件下ではほとんど阻害されなかった(Fig. 2B) 。この

ことからヒトの細胞においても、酵母の場合と同様に、 GFAT阻害がメチル水銀毒 性の発現に関与している可能性が考えられた。

次に、グルコサミン添加による細胞毒性軽減作用の検討を行った。 、グルコサ ミンー6‑リン酸は培地中に添加しても細胞内に取り込まれないが、グルコサミンは そのまま取り込まれて細胞内でグルコサミンー6‑リン酸に変換されることが知られ ている。酵母においてはグルコサミン添加によりメチル水銀の細胞毒性が顕著に 軽減されることから、培養細胞でもこのような現象が見られれば、晴乳類におい てもGFATがメチル水銀標的分子であるという仮説が強く支持されるものと思われ る。そこで、 HeLa細胞をメチル水銀で1時間前処理した後にグルコサミンを添加

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し、 24時間後の細胞増殖を調べた。その結果、 HeLa細胞ではグルコサミンによる メチル水銀毒性軽減作用はほとんど認められなかった(Fig. 3) 。この理由として、

(1) HeLa細胞ではグルコサミンがグルコサミンー6‑リン酸に十分変換されない・もし

くは(2) GFAT以外の細胞内分子が細胞毒性により大きく関与しているという可能 性を考えることもできる。そこでGFAT阻害剤として知られている

6̲diaz.̲5̲oxonorleucine (DON)を用いて同様の実験を行った。 HeLa細胞のGFAT活

性は、メチル水銀の場合と同様にDONによっても濃度依存的に阻害された(Fig. 4) 。

しかし、 DONの細胞毒性は、メチル水銀とは異なり、グルコサミンの添加により

有意に軽減された(Fig. 5) 。この結果から、 HeLa細胞においては、 GFAT阻害が

メチル水銀毒性の発現に関係しない可能性も考えられる。先に述べたように、

GFATは糖鎖合成に関与するへキソサミン生合成経路の初発反応を触媒する酵素で、

これが阻害されると、種々の糖鎖合成が減少して、細胞増殖が抑制されると考え られる。そこで糖鎖合成に対するメチル水銀の影響を、 0‑結合型N‑アセチルグル コサミン(αGIcNAc)を指標に、これを認識するRL2抗体を用いたウエスタンプ

ロット法により調べた。 0‑GIcNAcは真核生物に普遍的かつ豊富に存在することが

知られており、その代謝回転速度は速く、また細胞内に存在する種々の重要

なタンパク質を0‑GIcNAc化し、様々な細胞機能を調節していると考えられている0 ウエスタンプロットq)結果、 aGIcNAcを含有する糖鎖の量はメチル水銀処理によ

りほとんど変化せず、少なくともHeLa細胞ではGFAT活性阻害の影響がαGIcNAc

含有糖鎖の量には直ちには反映されない可能性が示された(Fig. 6) 。なお、本実

験において、グルコサミンの単独添加による糖鎖量の増加が認められた(Fig. 6) 。

この現象はメチル水銀存在時にも認められたことから(Fig. 6) 、メチル水銀存在 下でもグルコサミン‑グルコサミンー6‑リン酸の反応は進行しているものと思われ

る。

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HeLa細胞のGFATは確かにメチル水銀により阻害されることが確認されたが、細

胞内にグルコサミン‑6‑リン酸を供給してもメチル水銀毒性は軽減されないことか ら、少なくともHeLa細胞においてはGFATはメチル水銀毒性の主要な標的分子では ない可能性も考えられる。

メチル水銀の標的器官は中枢神経であり、また神経系における様々な現象に糖 鎖が関与すると考えられていることなどから、神経系の紳胞は非神経系細胞とは 異なる結果を与える可能性も十分考えられる。そこで次に、同様の検討を神経系 の細胞を用いて行った。実験には、ヒト神経芽細胞腫由来NB‑1細胞および神経細 胞に分化し得るラット褐色細胞腫由来PC12紳胞を用いた。その結果、両細胞共に

メチル水銀処理により濃度依存的に細胞増殖は抑制されたが(Fig. 7A, 9A) 、

HeLa細胞の場合と同様、グルコサミ●ン添加による毒性軽減は認められなかった

(Fig. 7B, 9B) 。一方、 HeLa細胞ではグルコサミンによる軽減が観察されたDON の細胞毒性も、 NB‑1細胞(Fig. 7)およびpc12細胞(Fig.9)ではほとんど認めら れなかった。また、 αGIcNAc含有糖鎖の合成量の変化をRL2抗体を用いたウエス

タンプロット法で調べたところ、 NB‑1細胞ではメチル水銀またはDON処理による

減少が認められ、この際DONにより減少したαGIcNAc含有糖鏡量はグルコサミン

添加により僅かに増加したが、メチル水銀処理群ではグルコサミンの効果はほと

んど認められなかった(Fig.8) 。しかし、グルコサミ

ン単独添加時にもCIGIcNAc含有糖鎖量の増加が認められていることからqig. 8) 、

NB‑1細胞ではメチル水銀添加時に、グルコサミンをグルコサミンー6‑リン酸に変換 するへキソキナ‑ゼ活性が阻害されている可能性も考えられる。一方、 PC12細胞 では、メチル水銀またはDON処理の有無にかかわらずグルコサミン添加による

αGIcNAc含有糖鎖量の増加が観察されたが、メチル水銀またはDONの単独処理に よる減少はほとんど認められなかった(Fig. 10)

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ドキュメント内 メチル水銀の細胞内標的分子の解明 (ページ 41-53)

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