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2. UCC第3編「流通証券」「流通証券」「流通証券」「流通証券」

(1) 流通証券の意義・要件 イ.意義

 UCCは、流通証券(negotiable instruments)に人的抗弁の切断の保護を与え、その 流通性を高度に保護し、もって取引の安全を図っている。

 債権法ないし財産法における一般原理からいうと、債権譲渡においては、譲渡人 に対する抗弁はすべて譲受人に引き継がれるのが原則であるし(人的抗弁は切断さ れない)、自己が有していた権利以上のものを他人に移転することはできないから無 権利者からの取得者は無権利者とならざるを得ない。流通証券は、このような一般 原則の例外をなすものであるから、その要件は厳格に定められている。

ロ.流通証券の要件

 流通証券の要件は、次のようにまとめられる(§§3-104(a), 3-103(6)(9))。

① 必要的文言が「書面化」され「署名」がなされること。

② 「無条件」の「支払約束」または「支払指図」があること。

③ 「一定金額」の「金銭」の支払約束または支払指図であること。

④ その金銭支払は、「確定日払」または「一覧払」であること。

⑤ その支払は「指図式」か「持参人払式」であること。

⑥ 金銭支払以外の約束をしないこと(有害的記載事項のないこと)(§3-104(a)(3))。  上記の要件のうちで、⑥は、わが国手形法・小切手法のいわゆる「単純なる支払 約束」に当たるものである。なお、UCCは、証券の支払を担保する担保の設定・維 持・保存に関する記載、所持人に裁判上の自白や担保権の実行を授権する旨の記載、

法により与えられた債務者保護のための利益を放棄する旨の記載等は、証券の流通 性に影響を与えないとしている(§3-104(a)(3))。

 流通証券は、為替手形、約束手形、小切手、預金証書の 4

つに大別できる(§3-104(c)-(j))。また、旅行小切手、銀行自己宛小切手、銀行宛為替手形などについて特

に定義が置かれている。

(2) 流通証券の譲渡と善意有償取得者の保護

 第3編全編にわたる説明は省き、以下では、その流通証券の規制における特徴的 部分である譲渡と善意有償取得者の保護について簡潔に述べる。

イ.譲渡(negotiation)の意義

 流通証券の譲渡は、第3編の規定する正式な手段である譲渡(negotiation)にした がった場合と、そうでない方法による場合に分けられる。この譲渡(negotiation)は、

流通証券の権利移転の特別な方式であり、これによって証券を譲受けた者を所持人

(holder)という(§1-201(20))。この所持人が第 3 編の規定する保護を受けられる ことはもちろんである。

 こ の 譲 渡 (negotiation) 以 外 の 方 法 に よ り 流 通 証 券 の 権 利 移 転 を 受 け た 者

(transferee)も、正当な所持人の権利を含む全ての権利を譲渡人から移転される

(§3-203(b))。1990年改正前の第3編では、このような譲渡(negotiation)以外の方 法による譲受人(transferee)は所持人(holder)とはなれず、したがって第3編の規 定する保護を受けられないとの考え方がとられていた。しかし、それでは正当な所 持人が証券を資金化する市場を狭めることになる。そこで、現在の第3編では、譲 渡(negotiation)ではない引き渡し(delivery)による証券の譲受人も第 3 編の保護 を一定の範囲で受けられることとされている(§3-203参照)。

ロ.譲渡方法

 UCCが採用する流通証券の譲渡方法には、日本の手形法・小切手法と異なる部分 がある。流通証券には持参人払式証券と指図式証券とがあるが、これら証券の法的 性質は固定したものではない。その証券になされた譲渡方法により、譲渡後の証券 の法的性質が変化する場合があるのである。したがって、例えば、持参人払式証券 が、記名式裏書と証券の引き渡しという譲渡方法により、譲渡後は、指図式証券に 法的性質が変化し、次の譲渡は指図式証券の譲渡方法にしたがうということが生ず

る。

 まず、第3編が証券の譲渡(negotiation)として認めるのは、次の3つの方法であ る(§§3-201(b), 3-205)。

① 単なる証券の引き渡し。持参人払式証券にのみ許される。

② 白地式裏書と証券の引き渡し。持参人払式証券・指図式証券どちらにも許され る。

③ 記名式裏書と証券の引き渡し。持参人払式証券・指図式証券どちらにも許され る。

 次に、上記のうち、その譲渡方法が証券になされた場合に、証券の法的性質が変 化する場合を示す(§§3-109(c), 3-205)。

① 持参人払式証券+記名式裏書と証券の引き渡し=譲渡後の証券は指図式証券と なる。

② 指図式証券+白地式裏書と証券の引き渡し=譲渡後の証券は持参人払式証券と なる。

 したがって、上記の場合は、譲渡後のさらなる譲渡は新しい法的性質に合致した 譲渡方法によることを要する。

ハ.正当な所持人(正当経路の所持人)

 所持人(holder)が、さらに正当な所持人(holder in due course)の要件をみたす と、人的抗弁切断の利益を受けることができる。正当な所持人の要件は、①有償、

かつ②善意(good faith)で、③支払期日の徒過や支払拒絶を知らず、④無権限署名 や証券の変造がなされたことを知らず、⑤偽造やいかなる抗弁や請求権の存在も知 らずに、証券を取得することを要する(§3-302)。

 これらの要件をみたすと、証券の所持人は、正当な所持人として人的抗弁の切断 を受け保護される。切断される人的抗弁は、原因関係上の抗弁、約因の欠如の抗弁、

支払済の抗弁、前提条件の不履行の抗弁、無権限または権限踰越の白地補充の抗弁、

証券の不引渡(例えば窃取)の抗弁などである(§§3-305(b), 3-305(a)(2), 3-306, 3-407(c),

3-601(b)ほか)。UCCの人的抗弁切断には、日本法での善意取得に入る類型もあるこ

とに注意を要する。

 しかし、正当な所持人でも物的抗弁には対抗できない(§3-305(a)(1))。物的抗弁 は、静的安全との調和や法政策的な要請から、正当な所持人にも対抗を認められた 抗弁である。具体的には、未成年、無能力、債務が無効となるような強迫、債務が 無効となるような違法性の存在、証券作成に関する一定の詐欺、倒産手続における 免責などである。

 なお、正当な所持人からの証券の譲受人は、自らが正当な所持人の要件をみたさ なくとも、正当な所持人からの譲渡により、正当な所持人の権利を承継する。もし

この結論を認めないならば、正当な所持人が証券を譲渡して資金化することが困難 になってしまう。譲受人は、正当な所持人の権利を承継できるがゆえに、積極的に 譲渡に応ずることになる。しかし、これには2つの例外があり、①譲受人が詐欺や 違法行為の当事者である場合、および②証券の再取得者(はじめの取得で正当な所 持人の要件をみたさなかった者)である場合は、正当な所持人の権利を承継できな い(§3-203(b))。わら人形を挟むことにより、悪意者が抗弁を洗い流し、きれいな権 利を手に入れることは認められない。日本でも、善意者を挟んだ悪意者の戻裏書に おいて、人的抗弁の属人性の理論により同じ結論をとるのが多数説である。

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