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スピードスプレーヤーのVベルトの確認中、指が巻き込まれ、指骨折

(平成22年6月5時頃、柿園、男62歳)

柿畑で自走式噴霧機・SS(スピードスプレーヤー25年前購入)で農薬散布中、薬剤の 吐出が少なくVベルトが緩んでいると思い、エンジンをかけたまま、Vベルトを右手で持 ち上げた時、テンションがかかった状態になりベルトが回転しVベルトとプーリーの間に 指を挟まれ負傷。挟まった右手を助けようと、今度は左手でベルトを持ち上げてらさらに 左手も巻き込まれた。

結局、テンションが緩かったのではなく、給水管側に小さい穴が空いていて空気がもれ ていて、吐出管に圧がかからなかったためであった。

転作組合長をしていて、朝8時から会議があり早く終わらせたいと、焦りもあった。

右手第3~5指骨折、切断、神経・血管断裂等、左手第5指末節骨脱臼、伸筋腱断裂 家から樹園地まで3kmもあり、樹園地も広くて、いちいち場所を説明していても時間 がかかる。また、携帯電話を持っていなかった。そこで直接、4Km先の消防署へトラッ クで15紛かけて直行。救急車を出してくれるようお願いして出してもらった。近くの総合 病院へ相談したが、対応できないとの事で、遠隔地の形成外科のある病院へ搬送。結局治 療開始まで2時間半くらいかかった。入院はなく、化膿止めで対応。

本人は、エンジンを止めずにベルトの弛みを確認しようとしたのが、最大の原因、との 事。なお、右手が挟まれたとき、エンジンを止める緊急停止ボタンのようなものが、近く になかった。

①右手でを持ち上

②巻き込まれた右手を取ろうと 左手でベルトを持ち上げた

3.柿ヘタ取り機

干し柿用の柿の「へた切り機」の刃で手を切った

(平成21年11月10時頃、作業所、女・51歳)

干し柿の生産者で、シーズンの初日。義父が柿の収穫をしそれを作業場に運び、次々と

「へた切り」、「皮むき」作業中、朝8時から開始し、10時頃一服しょうとした際、へた 切り機の刃の向こう側にあるヘタやゴミを除こうと、刃を避けて手を出さず、直線的に手 をゴミに向かって出して、手前にあるヘタ切り刃で右手の甲を切った。「柿があると決し て手を出さないのだが、ないとついつい手が出てしまう」との事であった。

すぐにタオルで手を巻いて、500m先の外科医院に駆け込み、すぐに受診、事故発生か ら約5分。10時事故発生し治療を受けて11時には仕事に復帰。8日間通院、5回治療。今 はかすかに傷跡が残るのみ。

調査時に、調査員と会話していて、受傷者が「刃に注意」と機械に貼ってある事に気が ついた。この事は、導入時にメーカーが説明していないか、もし説明していても家族の誰 かに教え、教えられた人が、使う人にキチンと伝達する事がルール化されていなかったと 考えられる。

ただし、このような事は今回の事例のみならず、全国津々浦々で起こっていることであ り、企業とは異なり農業労働では家族労働等が中心であるが故に、家族内、お手伝いの方 々への注意の伝達の仕組み作りが重要である。

本人曰く、「とにかくオレンジ色の柿のみに集中していて、刃でヘタを切っているにも かかわらず、刃のある事に気がつかなかった」との事である。部屋全体の照明は100ルッ クス程度で必ずしも明るくない。また、機体本体の色が暗いエンジ系統で、必ずしも手前 の刃が浮かび上がるようになっていない。柿の明るいオレンジ色ばかり見ていて、刃が機 体の背景の色に沈み込み、刃の存在を忘れさせてしまう。

農作業現場は、得てして背景が土色であったり、何となく暗い。農作業安全のための機 械や施設、その他道具、衣服等

の配色を工夫する学問があって もいいと思うのだが。

今回の事例の場合、柿の色を 考慮して、刃が浮かび上がって 見えるような機体の色を工夫で きないものであろうか。

さらに、わざわざ手を出さな くても、向こう側に落ちたゴミ やくずが払い落とせる機構をつ

ける事が出来ないであろうか。 注意書

ヘタくず

4.リフト:フルーツワーカー

フルーツワーカーの支え金属が壊れ、230cmから落下、足筋断裂

(平成 4年 5月11時頃、自宅近くのりんご畑 女・51歳)

リンゴの手入れをフルーツワーカー(作業機)に乗って作業をしていた。お手伝いの女 性と二人で、作業台の両端に乗り、頂点直前の約230cmで操作していたところ、突然、

作業台がつぶれ下に落ちた。

リフトを支える金属が壊れ、軸の支えが真っ平らに下に落ちた。中央の金属はそのまま だったので、作業台の上にあるコンパネを突き破った。幸い、二人とも作業台の端に乗っ ていたので、その金属の突き出しによる怪我は避けられた。もし、中央に乗っていたら、

生命の危険があったかも知れない。しかし、2m以上の落下で、重心を掛けていた左足に 負担がかかり、ダメージを受けた。2度目のバウンドが効いた。もう一人の女性は、大事 には到らなかった。ハンドル操作に集中していたこともあり、対処できなかった。

事故後、受診、幸い特に骨折等はなく、肉離れであり、数回通院した。

フルーツワーカーの機械は、事故の2年前に購入したもので、長年使用による劣化とは 考えにくい。重要な支点であるのに、一枚の金属ではなく、溶接で繋いであり、機械本体 に問題があると考えられた。

本人からも農協を通してメー カーにその危険回避のための 提案を行った、という。その 後、自分たちには、同じよう な事故の報告は無いようだっ た。

自宅の周りのりんご畑。傾 斜は10~20°。フルーツワー カーはその傾斜に対応して水 平に作業ができ便利ではある が…。

①徐々に上昇

②支えの金属、

突然破損 コンパネの板に

乗って操作中

③コンパネが支柱を突き破って落下、本人も落下

Ⅲ.酪農・畜産関係

1.マニュアスプレッダー

2事例とも交通事故である。

①堆肥運搬中、公道を右折しようとして、後ろから来た乗用車がトラクターに追突

(平成23年12月 14時頃、公道 男・54歳)

マニュアスプレッダーに堆肥を積載 し堆肥舎を出て直線の県道を約200メ ートル走行、十字路を右折のため手前 約15メートルから方向指示器を出して 緩やかに反対車線半分くらい進入した ところ、後ろから来た乗用車にトラク ター右側方部辺りを後ろから追突され た。乗用車はトラクター後輪に接触後 キャビン下から前輪に正面追突し約14 メートル先のガードレールに当たり止 まった。ガードレールも破損。トラク

ターの右前輪は車軸から折れて外れ約20メートル反対車線前方に転がる。運転者、打撲。

当該道路は県道であるがあま り通行量が多いところではない。

年の瀬なので堆肥散布を早く終 わらせたかった。いつも右折の 時は対向車には気をつけている が、この時後方確認はしていな かった。

相手方が交差点で追い越しを かけ、かつスピードの出し過ぎ が原因と考えられる。また、本 人が右折時の後方確認が十分に できていなかった。さらに、ト

ラクターの牽引作業でマニュアスプレッダーに堆肥を満載した場合、後方の乗用車からは 方向指示器が見づらいことも考えられる。

乗用車 マニュアスプレッダー

方向指示器は付いているが、マニュアスプレッダーを 牽引していると、後ろからは、極めて見づらい

マニュアスプレッダー 牽引していたトラクター

前輪、飛ばされる

②追突され、けん引きしていたトラクター転倒、はじき飛ばされる、全身強打・肋骨骨折

(平成23年9月 20時頃 公道 男・56歳)

午後8時頃、水田のワラを分け てもらう農家の水田に堆肥散布 のため公道を走行中、斜度3.5°

の緩やかなの下り坂を10~15k mのスピードで走行中、後方か ら小型乗用車に60kmのスピー ドで追突された。

その際、乗用車はマニュアス プレッダーの下に潜り込み、そ の反動でマニュアは左のガード レールの上に乗り上げるように 180°回転して転覆し、トラクタ

ーは逆に反対車線の右側に横転。本人は反動で左に飛ばされ、ガードレールを超えた側溝 のコンクリートの上に左半身を叩きつけられた。みるみるうちに紫色になり、腫れ上がっ た。しばらくの間、気を失ったようで、何が起こったのか分からなかった。

乗用車の運転手が軽症だったの で、救急車を呼んでくれた。トラ クターのエンジンを切ろうとした が、頭が痛くて出来なかった。た またま、町内の会議があり、その 人たちが通りがかったため、大勢 の人で片付けてくれた。救急車で 病院に搬送、事故後約30分後。C Tなどで検査。左全身打撲、肋骨3 本折れ、骨盤骨折、70日間入院。

街灯のないゆるやかなカーブの

下り坂。トラクターの前灯は点灯していたが、緩やかな下り坂でライトは下向きになり、

乗用車側からは低速車が走っていることを確認することが難しい。なお、ガードレールの 高さ77cm、下り方面車幅360cm、反対車線330cm+50cm(コンクリート覆われた溝)。

マニュアに取り付けられた3角の反射板(1辺約20cm)は堆肥で汚れ、反射確認が出 来なかった。反射板だけでは後方からの車に存在をアピールすることは難しい。韓国など で実施されているように、回転灯などをつける必要があるのではないか。また、「低速車 が走行中」、あるいは「低速車通行道路」等の看板設置などの対応を行政も加わって検討 してもらいたいものである。

また、夜間の堆肥散布が日常化していることも問題。作業スケジュールの検討が必要で はないかと考えられた。

マニュアスプレッダー

①後ろから、乗用車が追突

②マニュアスプレッダーは、ガードレー ルを飛び越え、180°転覆

③トラクターは右に横転

④人は、ガードレールを飛び越 え、地面に叩きつけられる

真後ろから見ると、

牽引しているトラ クターが見えない 反射板も堆肥で 汚れて見えない

トラクターとマニュアは2本のジョイ ントで連結されているため、全く 別々の方向に転倒した。

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