新漁業管理推進総合対策事業-2
図2 マイワシの漁業種類別採捕数量(2007年)
図3 サバ類の漁業種類別採捕数量(2007年)
2)遊漁船日誌調査
標本船2経営体における2007年4月から2008年3月 までの操業状況を整理して表1に示した。また、同 標本船2経営体における2000年度から2007年度まで の乗船人数および操業日数(合計値)の推移を図4 に示した。
いずれの標本船も営業形態は日中の船釣りを行っ ており、マアジを主に漁獲していた。1日1人当たり の漁獲尾数は昨年度をやや下回っていた。乗船人数 および操業日数は、2001年度以降ゆるやかな減少傾 向にあったが、2003年度を境にして大きく減少して おり、2007年度も大きな増加はみられなかった。
1月 3月
5月 7月
9月 11月
まき網 釣り
さし網 底びき網
船びき網 その他
113211
127
0 10 20 30 40
採捕数量(トン)
1月 3月
5月 7月
9月 11月
まき網 釣り
さし網 底びき網
船びき網 その他 0
100 200 300 400 500
採捕数量(トン)
表1 標本船の操業状況
図4 標本船2隻における乗船人数・操業日数の推移
2.TAE管理
サワラの漁獲量および市場調査による体長測定を 実施している佐賀関支店の資料を解析し、取りまと めた結果を水産振興課へ報告した。
3.標本船日誌調査
小型底びき網漁業を営む大分県漁業協同組合臼 杵、佐伯、米水津、上入津支店所属の計7経営体に 標本船日誌(4月~3月)の記帳を依頼し、漁獲・操 業実態等を把握した。
標本船A 標本船B
操業日数(日) 71 68
乗船人数(人) 564 469
漁獲尾数(尾) 13,449 10,520
1日1人当たりの漁獲
尾数(尾/人・日) 23.8 22.4
0 500 1000 1500 2000 2500 3000
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 年度
延べ人数
0 50 100 150 200 250 300 350
延べ日数
乗船人数 操業日数
戦略魚種タチウオ資源回復計画策定事業
(国庫交付金)
真田康広・藤原弘樹
事業の目的
タチウオは大分県漁業における重要な魚種で漁獲 量は全国屈指である。最盛期に県全体で6,000トン を超していた漁獲量は1997年以降1,000~3,000トン 台に減少し、1998年に漁業者の自主的な取り組みで ある資源管理計画が作成されたものの実効に現れて いない。さらに、減少した資源をめぐり漁業調整や 操業のトラブルが増加したことから、大分県がタチ ウオを対象とした資源回復計画を早急に策定するこ ととなった。そこで計画策定に必要なタチウオ資源 調査および資源診断等の解析を行い、資源回復が見 込める具体的な管理方策を提示することを目的とし た。
調査は漁業実態、資源状態の把握のための漁業生 物調査のほか、資源水準を判断する指標を得ること をねらいとして、計量魚群探知機を用いた資源調査 の導入について検討する。今年度は、タチウオに関 する知見の収集・整理を進めるとともに、得られた 結果から資源解析を実施し、タチウオ資源の管理の 方向性について検討した。
事業の方法
1.標本船日誌調査
タチウオ漁業の操業実態を把握するため、水試お よび浅海研究所毎に標本船(ひき縄釣、はえ縄、底 びき網等)について、操業位置や漁獲量の記帳報告 を依頼し、年間を通して操業状況の追跡を行った。
2.サンプル調査
成長および成熟等に関する知見を得るため、2007 年4月から2008年3月の間に伊予灘で漁獲されたタチ ウオを水試・浅海研で分担し定期的に購入または試 験操業によって採集し、精密測定を行った。測定項 目は外部形態(全長、肛門前長,体高、頭長、眼径)、
雌雄、生殖腺重量とした。年令形質として頭部から 耳石を摘出採取し年令査定試料とするとともに、雌 生殖腺の一部を10%ホルマリン固定し分析試料とし た。また、4月から10月の間は、くにさき支店所属
のはえ縄および杵築支店所属の底びき網で漁獲され たタチウオを旬別に採集し、漁法別に成熟状況を調 べた。なお、銘柄は6本以上、7~9本、10~12本お よび13~18本の4規格とした。
3.水揚げ量調査
タチウオは以前より県外市場へまとめて出荷され る頻度が高かったことなどから、流通形態が他の魚 種に比べて確立されており、魚体サイズ別に銘柄分 けされ(5キロ当たりの尾数)、集荷または出荷され ている。そのため漁協各支店や仲買(もしくは運搬 業者)には銘柄別の取扱伝票や市場出荷伝票等の資 料が比較的良好な状態で残されている場合が多い。
そこで漁業種類別に漁獲量、漁獲隻数の変動を把 握するため、タチウオ主要水揚げ支店毎に銘柄別取 扱伝票もしくは市場出荷伝票からの集計を行った。
4.調査船調査 1)卵稚仔調査
伊予灘から豊後水道にかけて毎月調査船で実施し ている卵稚仔調査のサンプルの内、2007年4月 ~ 2008年3月のタチウオ卵の出現状況から産卵時期お よび場所を調べた。
2)魚群量調査
伊予灘、豊後水道でのタチウオ漁は周年に亘る。
漁場は伊予灘から豊後水道北部にかけて広く形成さ れるが、2、3月になると豊予海峡周辺に縮小する傾 向がみられる。伊予灘西部では、タチウオは冬季の 越冬を豊予海峡周辺で行ったのち、水温の上昇とと もに北上して分布域を広げることが報告されてい る。そこで、漁業調査船「豊洋」の計量魚探を用い て豊予海峡および周辺海域を対象に、秋期から春期 の魚群分布を調査した。
5.資源解析
くにさき(富来地区)、姫島、臼杵の3地区を合計 した年級別漁獲尾数を元にコホート解析(VPA)
によりタチウオ資源の状況を調べた。ただし,くに さき(富来地区)地区の2000年と2001年のデータは 欠いている。
なお計算に使用した資源特性値は以下のとおり。
寿命:6年
自然死亡係数(M):0.4
成熟割合:0才魚-0、1才魚-0.5、2才魚以上-1.0 産卵数:体重(相対成長式から算出)による重み付け
事業の結果
1.標本船日誌調査
ひき縄釣りを営む大分県漁協佐賀関、臼杵支店所 属の計5経営体に標本船日誌(5月~3月)の記帳を 依頼し、操業日別の銘柄別タチウオ漁獲量、漁場位 置、投棄魚に関するデータを収集しデータベース化 作業を行った。
2.サンプル調査 1)成熟
精密測定したタチウオ雌1,332尾について、体長 と生殖腺熟度指数との関係を図1に示した。2006年 度と同様に、肛門前長200mmを境として、それ以 上の魚体では生殖腺熟度指数の高い個体が出現し た。
図1 タチウオ体長と熟度指数の関係
月毎の生殖腺熟度指数の変化からタチウオ雌の生 殖腺は多くが5月から増大し、11月まで継続して高 い水準を示した。特に5月下旬から10月中旬の間に 成熟度の高い個体が多く出現した(図2)。漁法別で は延縄に比較して底びき網で漁獲されたタチウオの 成熟度が高い傾向が顕著にみられた。
魚体サイズ別では大型魚(体重830g以上;6本以 上)の成熟時期が他のサイズのものより早い傾向が 認められた(図3)。
2007年度
N:1,332
図2 タチウオの熟度指数の変化
図3 魚体サイズ別の熟度指数(平均値)の変化
3.水揚げ量調査
今年度対象とした地区は、県漁協の姫島・くにさ き・臼杵の3支店で、月別の漁獲量を過去のデータ を含めて調査し、データベース化作業を行った。
4.調査船調査 1)卵稚仔調査
2007年に実施した卵稚仔調査(豊予海峡重点調査 結果を含む)から、卵は4月に豊後水道で出現し、5 月以後範囲が次第に北に広がるとともに豊予海峡周 辺での出現数が増大した(図4)。旬別の結果より、
この年のピークは豊予海峡付近では5月中旬~6月中 旬、7月上旬、8月上旬に出現したのに加えて,豊後 水道で9月下旬と11月下旬に出現した(図5)。
先述した成熟状況と卵の出現から、タチウオの産 卵期は4月から11月と長期に亘り、海域によってピ ークが異なることが明らかとなった。
2)魚群量調査
調査は2007年5月21~22日、11月19~21日および3 月24~26日に豊予海峡から伊予灘にかけて行い、魚 群分布について把握した。それぞれ調査初日の午後 から夜間にかけて調査定線上を10ktで航行しながら 実施した(図6)。翌日または翌々日に魚群反応があ った箇所において釣獲試験(タチウオ曳き縄釣り)
によって魚種の確認を行った。
2007年 2008年
図5 タチウオ卵採集数の変化
図6 調査定線
5.資源解析
1)資源量と漁獲割合
資源重量は2001年から2003年を底として2004年以 後増加傾向にある。一方、資源量に占める漁獲量の 比率(漁獲割合)は2000年をピークに減少傾向にあ る(図7)。これは漁獲強度を示す漁獲係数(F)の 推移と同調している。
また、臼杵支店(こぎ釣り)のCPUEの推移も同傾 向を示しており、データの欠損を考慮しても、最近 のタチウオ資源量は増加傾向にあることが示唆され た。
図7 タチウオ資源重量と漁獲割合の推移
131.4 131.6 131.8 132 132.2
33.2 33.3 33.4 33.5 33.6 33.7
CP 2 1 4 3 5 6 7 8
9 20m
50m 100m200m300m 国東半島
佐賀関 別 別府湾
府
4 5 6 7 8 9 10 11
卵親魚量とその翌年の0才魚の加入尾数の関係から、
右肩上がりの傾向がみられ、両者に正の相関関係が ある(図8)。
再生産成功率は2003年をピークに翌年以降は減少 傾向にあり、加入に際して何らかの付加が予想され 加入乱獲(成熟する前に強い漁獲努力が働き、次世 代の資源が確保されない状態で持続可能でないこ と)の可能性が否定できない(図9)。
3)資源評価
現状の漁獲係数(F)とYPR(加入あたり漁獲量)
曲線、%SPR(加入あたりの産卵量の割合)曲線お よび各種Fについて図10に示した。図より現状のF
(current)がF(Max)を越えていることから、成 長乱獲(漁獲開始年令が早い状態)にある可能性が 強い。
図8 タチウオ産卵親魚重量と加入尾数の関係
図9 年級別の再生産成功率の推移