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6.1 活用可能なODAスキーム

(1)ODAの活用スキーム

本邦推進工法技術は、他国で例のない曲線施工・長距離(1km 超)施工などが出来る点で 世界最高水準にある。しかしながら、これら高度な施工を可能とするためには機器の発達 のみならず、精細測量・推進機の制御技術に習熟した Operator が不可欠である。しかしな がら、2011 年、12 年の 2 ヵ年に渡り実施した現地集中指導を通じ、Operator の育成には 現地での実地指導だけでは足りず、本邦に招聘し数ヶ月に渡って高難度の現場にて研修す ることが必要であることが判明している。仮に Operator として現地技術者を育成しなけれ ば、日本人が必要とされ収益源となりうるが、それでは真の技術移転とは言えず、また早 晩、価格競争力を失うことになる。

一方、本邦にて現地技術者を育成するためには多大なコストが必要となり、中小企業の集 まりである推進工法技術企業群の財務力では無理があると言う問題を抱えている。

かかる状況から、下表のように、「本邦研修へODAを活用する」ことが出来れば、上記問 題が解消するだけでなく、併せて公共事業の発注・監督機関向けの研修を実施することで、

インドネシア国の中央・地方政府との関係構築および推進工法技術の効果的な現地導入が 可能となる。

さらに、民間連携ボランティア制度を活用し、本共同企業体構成会社から現地指導員を協 力先国営企業に派遣することが出来れば、事業実施に際して不可欠な現地慣行や規則に精 通することが出来るだけでなく、推進工法技術普及を担うグローバル人材の育成が可能と なる。

表 6.1 ODAの活用スキーム

中小企業側ニーズ 我が国ODAの活用方法 途上国政府関係者等との関係

を構築したい

本邦研修への研修生受け入れや、技術セミナー・推進技術設 計・施工指針類の作成(改訂を含む)を通じて、インドネシア における推進技術の継続的な官民連携を支援する。

グローバル人材を確保したい ボランティア事業の活用や我が国ODA案件の受託を通して、

民需への参加を展開する人材を育成する。

ビジネスを通じた途上国貧困 層への貢献

単純労働から、技能・技術を必要とする建設技術者を育成する。

ODA案件(無償)の参加 -

当該事業実施にあたって進出 先周辺住民の生活改善・生計向 上への貢献

技能・技術を有する建設技術者を配置することより、建設工事 現場における風紀を改善する。

推進工法技術によって、下水幹線を構築する。次に、現地技術 である開削工事による下水管路の整備が進む。このことによ り、汚水の排水・処理が行われ、生活環境が改善する。

当該企業所在地の自治体のサ ポートを得て、今後、途上国へ の足掛かりを構築したい

推進技術の設計・施工監理基準や管材の品質などソフト支援を 行い、推進技術の普及を図る。

出典:推進工法技術普及事業調査団

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(2) 民間提案型 普及・実証事業

本調査の構成会社は、インドネシアにおける営業所または現地法人を有せず、工事の受注 および機器のリース・メンテナンスサービスを提供できない。カーブ・長距離推進技術を 普及させるためには、実証工事を実施して、工事の施工実績およびインドネシア政府・ジ ャカルタ州政府などの発注機関の評価を得ることが不可欠である。

ジャカルタ下水道については、インドネシア政府およびジャカルタ州政府のプロジェクト 実施方針として、2013 年末~2014 年当初に工事に着工することが表明している(PPP 水ビ ジネスセミナーで副知事の表明、2013 年 2 月 1 日)。

民間提案型の普及・実証事業が、下水管路建設のパイロット事業としてジャカルタ下水道 のODAプロジェクトに適用可能であれば、カーブ・長距離推進技術への理解を醸成し、

下水管路整備の事業実施方針を確固たるものとするとともに、日本企業のビジネス展開に 寄与することが期待できる。

(3) STEP 案件への取り組み事例

建設会社 WIKA 社(Wijaya Karya)は、STEP 案件であるジャカルタ MRT に参入するため、

原産地ルール「我が国から調達した資機材に加え、借入国の日系製造企業(*)から調達し た資機材を含めることが可能。(*)本邦企業が 10%以上出資していて、かつ第 3 国からの出資比率 が当該本邦業者からの出資比率を上回っていない現地法人。」の適用に合致するよう神戸コンクリ ートと合弁で、コンクリートセグメント製造会社 PT Wijaya Karya Komponen Beton(PT WIKA KOBE)を設立した。WIKA 社は、STEP 案件を契機として、日本の優れた技術を修得し、様々 なプロジェクトでの優位性を構築する経営方針である。現地子会社の経営についても、WIKA 社 51%、神戸コンクリート 49%と、ほぼ対等の意思決定関係を構築している。

また、PT WIKA KOBE は、カーブ・長距離推進に必要な高強度の推進管を製作する意思を持 っているので、我が国の推進工事会社がODA案件に参入する場合には、有力なパートナ ーと期待できる。

10 May, 2012

WIKA Beton and Kobe forms Joint Venture Company “ PT Wijaya Karya Komponen Beton”

In order to develop the company, PT Wijaya Karya Beton (WIKA Beton) a subsidiary of PT Wijaya Karya (Persero), Tbk. (WIKA) intends to increase its market opportunities in the field of precast concrete products with formed a Joint Venture (Joint Venture). The Joint Venture carried out by a Japanese company in order to capture opportunities of projects funded by JBIC (Japan Bank for International Cooperation)-Special Term for Economic Partnership (STEP) Japanese Loan, which requires the product of collaboration with one of the companies of Japan . Another benefit from the establishment of the JV Company is the absorption of new technologies and new products that can be developed in Indonesia. The signing of the Articles of Association was carried by the notary at WIKA Building, Jakarta, Thursday (10/5).

The results from the formation of the joint venture will produce concrete products earmarked for infrastructure projects in Indonesia. The targets are the main projects funded by JBIC STEP Loan, Japan and several other large projects around Jabodetabek such as Mass Rapid Transit (MRT) Jakarta.

In forming this joint venture, in partnership with PT WIKA Beton is PT Komponindo Betonjaya (KOBE) which is a

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subsidiary of PS Mitsubishi Construction, Co.Ltd. based in Tokyo, Japan. KOBE is a company engaged in the precast concrete industry which produces a variety of precast concrete products.

The name of the joint venture that agreed by WIKA Beton and Kobe are the PT Wijaya Karya Concrete Komponen Beton (PT WIKA KOBE).

Also planned, in the near future will be built factory in Industrial Estate in Karawang, West Java with area of 3.3 hectares. The plant is designed to be capable of producing precast concrete, especially with regard to Japanese technology products to meet the needs of the Jakarta MRT construction and other projects later.

As for the investment of each parent company is 51% for WIKA Beton and Kobe is 49% and each company will deliver its representative management in position of board of commissioners and directors.

出典:Wijaya Karyaホームページ

6.2 ODA案件化の具体的スキーム

ODAの案件化のためには、次の要件と手順が不可欠である。

① 現地法人との技術協定または現地法人の設立による受注体制の整備

② 公共工事参入のための実績作り

③ 地下インフラのプロジェクト形成

④ カーブの曲率・推進距離および管径に係る施工実績の資格要件

① 受注体制の整備

現地建設企業と合弁会社を設立し、インドネシアにおけるODA下水道事業をはじめとす るインフラ管路整備事業を推進する。その場合、現地企業は施工資材、施工労務の調達お よび渉外を、当方(日本企業)は施工管理および掘進機操作(オペレーター)を分担する ことが、双方の経験・ノウハウを活用し早急な参入が可能となる。我が国企業は、保有す る経験と技術を駆使して施工方法の選定をはじめとする施工計画の立案、および施工機械 の選定、手配および品質管理を行い、高品質で工期の短縮・円滑な施工を実現する。

推進工法技術の具体的な普及工程としては、以下を想定している。

2013 年 1 月:インドネシア現地建設会社と、カーブ・長距離推進技術の使用について、

技術協力協定締結

2013 年 2 月: 本調査終了(Output としてODA案件受注のための工程表作成)

2013 年 6 月: 現地国営企業との合弁会社設立

2014 年: 下水管路建設パイロット事業・洪水対策事業(ODA案件受注に向けての 現地実績作り)

2015 年: ジャカルタ中央処理区下水道管路整備事業ODA案件の入札に参加

② 実績作り

本調査の構成会社は、インドネシアにおける営業所または現地法人を有せず、工事の受注 および機器のリース・メンテナンスサービスができない。

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日本政府の支援とパートナー企業の理解を得て、JO(Joint Operation)としての元請け 実績を作ることが不可欠である。

③ 地下インフラのプロジェクト形成 上記工程にてODA案件を足掛か りとしてジャカルタでの基礎を固 め、その後に続く下水道管路整備 事業・雨水対策、及び大都市で必 要となる電力・通信線・共同溝(右 図)等の公共事業・民需に事業展 開を図る。

④ 公共工事調達における適切な 資格要件

カーブ・長距離推進技術は、地中 に長大な構造物を構築するため、

高い精度の設計・施工監理技術を 求められる。公共調達制度は、一 般競争入札においても、工事の品 質を確保するために、資格要件を 条件付けている。カーブの曲率・

推進距離、管径に係る施工実績および専門技術者の配置を資格要件に条件付けることで、

適切な工事品質の保証と我が国の優位な技術の展開が可能となる。我が国のODA案件を 円滑に執行するとともに日本のプレゼンスを示す効果も期待できる。

6.3 海外ビジネス参入への課題

推進工法技術の適用には、施工計画の策定、推進機械の制御技術・施工監理、推進管の製 作技術及び公共工事発注制度など、総合的な技術と制度が必要である。本調査では、イン ドネシアの実情を事前に把握することで、解決すべき次の課題を絞り込み、調査計画を策 定した。

 推進管の製造会社及び製造能力

 カーブ・長距離推進技術のユーザー及び適用プロジェクト

 潜在的なパートナー企業

Easy installation

& expansion

Easy

inspection &

maintenance Cable box system

出典:国土交通省

図 6.1 共同溝の概念図

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