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伊豆半島は、ジオパークの仕組みを活用し、自然・歴史・文化の保全と観光をはじめとした地 域振興、教育、防災への取り組みを推進してきた。現在、国内外のジオパークとの交流・連携を 進めており、ジオパーク全体の発展に貢献することを目指している。首都圏から近い有数の観光 地である当地域は、ジオパーク全体の知名度向上や、変動帯に生きる日本の人々の新たな自然観 醸成に大きな責務を持つと考えている。

今後は「ジオパーク」という世界共通の取組を実践する地域として、ジオガイドや住民の活動 を世界に発信し、研究、教育、防災、地質遺産の保全などの分野で新しい挑戦を続けていきたい。

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川端康成「伊豆序説」冒頭

伊豆は詩の国であると、世の人はいう。

伊豆は日本歴史の縮図であると、ある歴史家はいう。

伊豆は南国の模型であると、そこで私はつけ加えていう。

伊豆は海山のあらゆる風景の画廊であるとまたいうことも出来る。

伊豆半島全体が一つの大きい公園である。一つの大きい遊歩道である。

つまり、伊豆は半島のいたるところに自然の恵みがあり、美しさの変化がある。

私たちは、GGNに対して、三つの価値を提供できる。

一つ目は、世界的にも特異な伊豆半島の地形・地質の価値である。

伊豆半島は、かつて南洋に位置した火山島であり、フィリピン海プレートの北進に伴い火山活 動を繰り返しながら本州に衝突して誕生した。このような成り立ちとともに、現在も火山活動や 地殻変動が続く伊豆半島は、ダイナミックな地球の活動を感じることのできる、世界でも同種の 例を見ない地球上の特異点とも言える地域である。

伊豆半島では、その成り立ちを示す証拠を各地で目にすることができる。深い海での火山活動 から浅い海での活動への遷り変わり、本州との衝突に伴う変動、陸化後の火山活動、現在も続く さまざまな変動という大地のストーリーを連続的に知ることができる。

二つ目は、変動体に生きる人々の自然観と大地の資産の活用の事例、さらには防災対策などの 先進的具体的な取組である。

伊豆で暮らす人々は、火山の恵みである温泉をはじめ、天城山の豊富な湧水を使ったワサビ栽 培、地殻変動によってできた急峻な崖が作る雄大な景観など、たくさんのジオの資産を観光など の地域経済に活用してきた。

一方で活発な変動帯に位置する伊豆半島は、地震や火山噴火が起きる場所でもあり、また、地 形が急峻で雨が多いことは土砂災害や洪水の原因ともなっている。ジオパークの取り組みは、伊 豆の自然を深く楽しみながらも、これから起こりうる災害に関する理解を地域の共通認識として 浸透させていくための有用なツールとなる。

施設面でも、氾濫を繰り返していた河川のバイパス放水路や観光展望台が敷設された大型水門、

伊豆東部火山群の観測網などが整備されており、自然災害に苦しむ世界の人々に対して有益な情 報を提供できる。

三つ目は、地域住民が主体となった持続可能な取り組みが始まっている点である。

見慣れた地形・風景にはすべて意味があり、その意味を読むことができれば世界は違って見え る。伊豆半島に住む人々は、ジオパークの活動を通じて大地の成り立ちの物語に感動し、その土 地と人々の暮らしが密接に関わっていることに気付き始めた。慣れ親しんだ土地の価値を再評価 するとともに、伊豆を訪れる人や次の世代へ伝える活動が始まっている。伊豆半島ジオパークの 活動は、伊豆の人々に一層の地域への愛情と誇りを醸成し、古くからの地域の伝統文化や慣習を 大切にするとともに、地域の特性に十分に合致した持続可能な開発・地域づくりを進めていく共 通認識を育んでいる。

ノーベル文学賞を受賞した川端康成はかつて「伊豆序説」の中で「伊豆半島全体が一つの大き い公園である」と述べた。私たちは、この「一つの大きい公園」を持続可能な形で発展させる挑 戦を続けていく。

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