2 .水質調査計画の策定
ダム管理者は、学識経験者の意見を聴いた上で、水質調査計画を策定するとともに、必 要に応じて、見直すものとする。
図Ⅱ-2-1 水質調査計画の策定とPDCAサイクル導入の概念図
水質調査計画は、以下の構成及び内容を基本とし、ダム貯水池の状況に応じて内容を 検討、工夫するものとする。
1.ダム貯水池の概要 1-1.ダム貯水池の概要
・ ダム貯水池の水質を整理するにあたり、ダムの諸元、目的、所在地、貯水位変動状況、
利水の状況等のダム貯水池に係る基本的な情報を記載する。
・ ダム貯水池の水質を整理する上で重要な情報である流入する負荷に関連する流域の自 然環境、社会環境、魚類の放流実績、降雨状況、支川別の流入量等を記載する。
・ 水質保全対策を実施済みであれば、当該対策の内容(目的、種類、位置等)を記載 する。
1-2.ダム貯水池の水質 (1)水質概況
・ 試験湛水時、管理開始~現在までの水質状況を整理し、ダム貯水池の水質特性、時 間経過に伴う変化傾向を記載する。
・ 着目すべき水質項目、変化の見られない(頻度・地点の効率化を視野に)水質項目 等を記載する。
(2)水質変化現象の履歴
・ 試験湛水時、管理開始~現在までに発生した水質変化現象を整理、記載する。
・ どのような水質変化現象(冷・温水/濁水長期化/富栄養化/その他)が支配的で あるか、時間経過や水質保全対策の実施により、水質変化現象の発生傾向に変化は 見られないか等の評価を記載する。
1-3.水質上の課題(将来予測)
・ 水質の変化傾向や水質変化現象の履歴を踏まえ、現在発生している水質変化現象と その兆候、将来的に発生が予測される水質変化現象等を記載する。
・ 今後の水質調査を考慮した評価等を第1章のまとめとして記載する。
2.水質調査基本方針
2-1.水質調査にあたり注視すべき事項
・ 「1.ダム貯水池の概要」での整理結果を踏まえて、注視すべき調査項目、調査地点 等について、記載する。
2-2.水質調査の合理化(効率化・重点化)の検討方針
・ 「1.ダム貯水池の概要」及び「2-1. 水質調査にあたり注視すべき事項」での整理結 果を踏まえて、水質調査の合理化(効率化・重点化)を検討する調査項目を抽出し、
合理化(効率化・重点化)の検討方針を記載する。
3.水質調査計画 3-1.基本調査計画
・ 全ての管理中のダムで記載する。
・ 現行と合理化(効率化・重点化)後の調査項目・調査地点・調査頻度が対比できるよ うな整理(一覧表等での整理)を行う。
・ 合理化(効率化・重点化)にあたって検討した内容・手法について記載する(本調査 要領やその他マニュアル等を参考に実際に検討したプロセスも盛り込む)。
3-2.詳細調査計画
・ 水質変化現象の発生が確認されており、詳細調査を計画する必要があるダムで記載 する。
・ 実施する調査項目が、水質変化現象の何を把握するために行うのかが分かるよう整 理し、記載する。(例:現象と調査項目の対応表の作成)
3-3.水質保全設備管理運用調査計画
・ 水質保全設備が設置されており、水質保全設備管理運用調査を計画する必要がある ダムで記載する。
・ 実施する調査項目が、水質保全対策のどのような効果を把握するために行うのかが 分かるよう整理し、記載する。(例:対策と調査項目の対応表の作成)
4.水質変化現象対応計画
4-1.詳細調査開始判断基準を設定する水質変化現象
・ 今後、水質変化現象の発生が予測される場合に、当該水質変化現象を抽出し、記載 する。
4-2.詳細調査開始判断基準
・ 抽出された水質変化現象毎に詳細調査の開始判断基準を設定する。
4-3.想定される水質変化現象に対する詳細調査計画
・ 想定される水質変化現象に対する詳細調査計画を記載する。
・ 実施する調査項目が、水質変化現象の何を把握するために行うのかが分かるよう整 理し、記載する。(例:現象と調査項目の対応表の作成)
<参 考>
参考資料 3.水質調査計画の策定事例
3 .現地調査にあたって 3-1 採水・分析方法
採水方法は、本調査要領の「Ⅳ.現地調査指針」、「国土交通省 河川砂防技術基準 調 査編」、「河川水質試験方法(案) [1997年版]」、「河川水質試験方法(案) [2008年版]」、
「河川、湖沼等におけるダイオキシン類常時監視マニュアル(案)」、「河川、湖沼等にお ける底質ダイオキシン類対策マニュアル(案)」及び各地方整備局の技術事務所の「採水の 手引き」等に基づいた方法とする。
分析方法は、本調査要領の「Ⅴ.分析方法」を参考とする。
3-2 現地調査時の記録 (全ての調査に共通)
本調査要領に示す全ての調査を行う際に、調査地点毎に以下の項目について記録する。
①調査年月日 ②調査地点(採水位置) ③調査開始時刻 ④天候 ⑤気温 ⑥全水深
⑦透視度(河川)/透明度(ダム貯水池) ⑧水色(ダム貯水池) ⑨貯水位
⑩流量(河川)/流入量・放流量(ダム貯水池) ⑪採水水深 ⑫外観 ⑬臭気(冷時)
<解 説>
現地調査時の記録項目は、本調査要領に示す全ての調査を行う際に、調査地点毎に記録 すべき項目である。
記録項目のうち、①~⑥、⑨~⑪については調査の背景として記録すべき基礎的な項目 であり、⑦⑧⑫⑬は現地における観察や簡単な測定で水質の状況が把握できる項目である。
②調査地点(採水位置)については、ダム貯水池においては調査地点を記録する。河川に おいては流心を原則とする。
⑥全水深については、採水又は測定位置の全水深とするが、ダム貯水池で表層のみの採 水又は測定の場合は記録する必要はない。
⑦河川においては透視度を、ダム貯水池においては透明度を記録する。いずれも水の清 澄の程度を表す指標の1つである。透視度は透視度計により、透明度は透明度板(白色円板)
を用いて測定する。
⑧水色については、フォーレル・ウーレの水色標準液により測定し、記録する。フォー レルの水色標準液は青色の標準であり、ウーレの水色標準液は黄褐色の標準である。
⑨貯水位、⑩流量(河川)/流入量・放流量(ダム貯水池)については、ダム管理記録から 調査時のものを記録する。流入河川における調査で流量データがない場合は実測する。
⑪採水水深については、採水した点の水面からの深さを記録する。
⑫外観は、採水した水について色の種類と濃さ、濁りの有無、混入物がある場合はその 性状(粒子の大きさ、砂質、粘土質、植物プランクトン、その他)等について、できるだ け具体的に記録する。
⑬臭気(冷時)は、採水した水について臭気の有無、有りの場合は臭気の種類について、
できるだけ具体的に記録する。
4 .基本調査
基本調査は、次の3種類の調査から構成されている。
①定期調査
主に水質汚濁に係る環境基準項目について、ダム貯水池の水質・底質の状況を定期的 に監視し、その実態を経年的、長期的に把握することを目的として行う調査
②出水時調査
出水に伴う冷水現象や濁水長期化現象の発生状況の監視、及び流入負荷量を把握する ことを目的として行う調査
③試験湛水時調査
試験湛水中のダム貯水池の水質の状況を監視し、その実態を把握することを目的とし て行う調査
なお、本調査要領では、基本調査について標準的な内容を示しており、調査を行うにあ たっては、ダム貯水池の状況に応じて調査内容を検討、工夫するものとする。