1.管理者は、患者の安全が脅かされている事実がないかを観察し、改善を図る。
2.管理者は、患者の療養生活において我慢を強いられていることを観察し、看護 師の日常生活の援助技術の上達をはかる。
3.管理者は、看護師が看護以外の業務に労力が使われていないか観察し、看護に 専念できるようにする。
4.管理者は、患者に24時間継続して看護を提供できる体制になっているかを観察 し、看護体制を整える。
5.管理者は、組織の日々の活動を実地に観察し、スムーズな運営ができるように 組織化を図る。
<第2期>
1.管理者は、看護師が対象を理解して個別に関わっているか観察し、対象理解のだ めの教育を推進する。
2.管理者は、看護師が根拠を持って実践しているか観察し、看護理論に導かれた実 銭を促す。
3.管理者は、看護部全体が同じ目標に向かって看護しているか観察し、看護観を明 示し、全体で共有できるようにする。
4.管理者は、看護師が新人看護師に実践の根拠を明らかにして指導しているか観察 し、根拠ある実践に取り組む看護師に成長することを促す。
5.管理者は、看護師を指導する専任看護師を確保して、教育効果を上げる体制を整
える。
<第3期>
1.管理者は、患者の健康の段階とケアの必要な内容を観察し、患者の多様化に対応 できる療養環境を整える。
2.管理者は、看護師が患者の求めにすぐに対応しているかを観察し、看護体制を整
える。
3.管理者は、看護師がケアに専念できるようにケアに必要な設備・備品を整備する。
4.管理者は、よりよい医療をめざして、それぞれの職種が専門性を発揮し協働して いるか観察し、専門性がより発揮できる体制を整える。
5.管理者は、患者の疾病動向や社会制度の変化を観察し、患者に有用な制度は積極 的にとり入れる。
<第4期>
1.管理者は、病院の社会的評価を高めるためのチャンスをつかんで体制を整える。
2.管理者は、どの部署の管理者が不在の時もその部署の役割をはたせるように手筈 を整える。
3.管理者は、職員が病院の目標達成に主体的に参加できる目標を定めるよう促す。
<第5期>
1.管理者は、健康に害を与える生活をしている患者に、自ら健康をめざすように働 きかける場を準備する。
2.管理者は、生命力が消耗している患者に対し、消耗が減少するように整える場を 提供する。
3 管理者は、患者の健康管理のための働きかける場を準備し体制を整える。
4.管理者は、看護の専門一性が発揮できる場を積極的に整備する。
5、管理者は、職員が協働する体制を整え、促進する。
次いでこれら23項目の指針の共通性・相異性を吟味した結果、大きく病院組織面の 管理の向上を図る項目(4項目)と実践を支える個々の職員の能力向上を図る項目(2 項目)の共通性を抽出した。その結果を以下に示す。
1.管理者は、よりよい医療をめざして、それぞれの専門職が互いの専門 性を理解 して協働できる体制を整える。
(1期の指針3・5,3期の指針4,5期の指針1・3・4・5)
2.管理者は、入院患者に限らず在宅療養をしている患者にも、24時間継続して看 講を提供できる体制を整える。(1期の指針4)
3.管理者は、患者の疾病動向や地域社会の医療二一ズを捉え、地域の人々が必要 としている医療・看護を提供できる体制を整える。(3期の指針5,4期の指針1)
4.管理者は、全ての職員が病院の目標に向かって、それぞれの役割がはたせるよ うに、各部門の体制を整える。
(1期の指針5,4期の指針2・3・4)
5.管理者は、看護師個々が、患者をひとりの人間として尊重し、根拠ある看護実 践ができるように、教育体制を整え、一貫した看護理論に導かれた実践カの向 上を図る。(2期の指針1・2・3・4・5)
6.管理者は、看護師個々が、患者の生命力の消耗を最小にすることを目標に、よ いケアが実践できるように、看護師の看護力の向上を図る。
(1期の指針1・2・3,3期の指針1・2・3,5期の指針2)
以上から、管理者の認識の特徴は、患者のおかれた状況やケアを観察し、患者によ いケアが実践されるように看護体制や療養環境を整えることと、個々の看護師たちが よい看護を実践できるよう、患者の見つめ方から学習を始めており、それが次第に看 護部全体の実践力向上へとつながり、患者の人間としての見つめ方が担当医や理学療 法士、栄養士など他職種へと拡がって、病院機能評価受審を機に、病院全体の体制と 全職員の意識が患者中心にまとまり、それぞれが専門性を発揮しつつ協働する病院へ
と発展したという構造をもっていることが明らかとなった。
注
1)院長が招集し、院長・副院長・各部門の部長・常務理事1名で構成し、病院の方 針決定、経営・運営を企画・決定、病院運営に関する重要事項の検討をする。
2)病院組織の科長以上の職員、安全対策委員長、感染対策委員長で構成し、病院生 体の現状の共通理解と部署間にまたがる業務実践上に関する事項の検討を目的と している。月1回開催される。
3) 「立体像モデル」は薄井坦子が考案した。対象特性を捉えるための道具として作 成したもの。円錐モデルを真上から見た図で、まん中の人間モデルを人間一般と して、対象の<発達段階><健康障害の種類><健康の段階><生活過程の特徴 >のキーワードを重ねながら、その人がどういうケースであるといえるかを大づ かみに描く。
<立体像モデル>
健康の段階 健康障害の種類
生活過程の特徴 発達段階
薄井坦子=何がなぜ看護の情報なのか、95−99、日本看護協会出版会、2001 4)財団法人目本医療機能評価機構が医療機関の機能を第三者評価する目的で、1995 年に設立された。設立趣旨は、国民の医療に対する信頼を揺るぎないものとし、
その質の一層の向上を図るために、病院を始めとする医療機関の機能を学術的観 点から中立的な立場で評価し、その結果明らかとなった問題点の改善を支援する。
5)禁煙外来は、たばこをやめたい人向けに作られた専門外来の科目として、2006年 から健康保険が適用となった。この外来を開設するための施設の条件は、施設内 禁煙であること、禁煙治療を行っていると提示していること、禁煙治療の経験が ある医師が1名以上勤務していること、禁煙専属に看護師が1名以上勤務してい ること、治療のために一酸化炭素測定器が備わっていること、社会保険事務局長 に喫煙をやめた患者を報告することが義務づけられている。