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上と高い項目が9項目(発障,知る,保育,問題,意欲,
意義,協力,共通,育観)あった。これらは,Ea,Ebで も3点以上で,職種の如何にかかわらず評価が高い。こ のうち「協力」は,A群の評定がC群よりも有意に高く,
他 の 8 項 目 は 職 種 間 に 有 意 差 は な か っ た 。 つ ま り , 保 育 者は「保育・発達・障害・保育観・障害児保育の意義な ど に 関 し て 保 育 者 の 理 解 が 深 ま る と 同 時 に , 保 育 の 関 心 と意欲が高まる。また,問題意識が明確になり,職員間 の共通理解が進み協力して保育するようになる」ことを 高く評価する。その中で、担任・担当は「職員の協力関 係ができる」ことを特に高く評価する。
担任・担当固有に支援評価が高い項目(担高項目群)
EaだけがECに比べて有意に高い項目が2項目(協力,
日課)あった。つまり,具体的で切実な問題意識をもつ 保育者は「職員の協力関係をつくり,保育の日課を見直 す」という点で高く評価する。
園長・主任固有に支援評価が高い項目(管高項目群)
EbだけがECに比べて有意に高い項目が6項目(体制 見通,対処,発達,保護,自信)あった。管理職として 園運営の当事者意識の高い保育者は「いかに発達を促 し,問題に対処し,保育体制をつくり,保護者に対応す るか等について示唆を得て,保育の見通しをもち,自分 たちの保育に自信をもつ」という点で高く評価する。
当事者の支援評価が高い項目(当高項目群)Ea,Eb 両方ともにECに比べて有意に高い項目が2項日(整理,
楽に)あった。担任・担当ないしは管理職として,当事 者意識が高い保育者は「問題を整理し,気持ちが楽にな る」という点で高く評価する。
支援評価が低い項目(低項目群)3職種ともに評定 平均値が2.5点以下と低い項目が1項目(連携)あった。
専門機関との連携をつくるという点で評価が低い。
保育者が巡回相談を評価する構造の分析
保育者による巡回相談の評価の構造を分析するため に,241人の回答に因子分析を行ったところ,主因子法 の初期解で1.0以上の固有値が6つであった(第1因子
から順に,10.33,1.99,1.65,1.48,1.23,1.01,0.97,0.78 以 下 略 ) 。 探 索 的 に 因 子 構 造 を 探 る 目 的 で 6 因 子 を 抽 出 した。あらためて6因子を指定して抽出しプロマックス 回転を行った結果を'Elble2(右)に示す。
第1因子は,「子どもの遊び,ことばなどをいかに育 て , 問 題 行 動 に い か に 対 処 す る こ と な ど で , 保 育 目 標 と 見 通 し が 持 て る よ う に な っ た 」 と い う 内 容 で あ る 。 こ れ を「保育方針の作成」への支援と解釈した。第2因子は,
「障害・保育・発達に関して考えを深める機会になった」
という内容である。これを保育者の「障害などの理解」
への支援と解釈した。第3因子は,「職員の協力関係を 形 成 し て 保 育 の 意 欲 が 出 た 」 と い う 内 容 で あ る 。 こ れ を
「保育意欲」への支援と解釈した。第4因子はα係数が 0.68と小さく,2つの支援(これまでの保育や問題を整 理確認することへの支援,保育に自信を持つことへの支 援)を含んだ内容と考えられる。これを「保育成果の評 価」への支援と解釈した。第5因子もα係数が0.63と小 さく,2つの支援(保護者との協力関係,専門機関との 連携)を含んだ内容である。これを「協力連携」への支 援と解釈した。第6因子は,「クラスの他児への保育」
への支援と解釈した。
この6因子と,東京発達相談研究会・浜谷(2002)が 経験的に分類した7つの支援(保育実践,保育者の組織 化,保護者との協力,連携,行政への要求,力量形成,
心理的安定)を比較すると,保育実践,力量形成は,第 1,2因子として確認され,保護者との協力と連携は合 わせて第5因子として確認され,保育者の組織化と心理 的安定は合わせて第3,第4因子として確認された。
支援因子ごとの職種による評価傾向
因子分析の6因子ごとに評価値を検討する。6因子を 構成する各項目が,職種ごとにどのように評価されたか を分類したのが'mable3である。
これをみると,「保育方針の作成」は,園長・主任に 高く評価され。担任にも高く評価される傾向がある。
「障害などの理解」は保育者全般に高く評価されている。
'Iable3支援因子ごとの職種による評価
保育方針の作成 障害などの理解 保育意欲 保育成果の評価 協力連携
クラスの他児への保育 合 計
高 群 担 高 群 管 高 群 当 高 群 低 群 そ の 他 合 計 支 援 因 子
4001005
巡 回 相 談 は ど の よ う に 障 害 児 統 合 保 育 を 支 援 す る か
2101228
0000101
0441009 0011002 2010003
注.表中の数字は,各支援因子を構成する質問項目のうち,職種による支援評価傾向別の各群に該当する項'1 数である。なお重複該当項目が1項目ある。
306 発 達 心 理 学 研 究 第 1 6 巻 第 3 号
「 保 育 意 欲 」 は , 保 育 者 全 般 に 高 く 評 価 さ れ る 項 目 が 多 いと同時に,担任・担当に高く評価される項目も見られ る。「保育成果の評価」は,全般的には中程度の評価で あり,園長・主任から高く評価される項目もある。「協 力連携」は,中程度ないしは低く評価される。「クラス の他児への保育」は中程度に評価される。
研 究 2 巡 回 相 談 に よ る 支 援 構 造 の 分 析
目的
研究lで抽出した6つの支援因子や東京発達相談研究 会・浜谷(2002)が指摘した各支援因子が巡回相談の進 行過程においてどのような連関と構造をもって支援効果 をもつのかを明らかにすることを目的として事例を分析 する。それをもとに,アセスメントと助言などの巡回相 談の過程が支援効果に果たす役割と巡回相談が満たすべ き要件についても考察する。
方法
事例を選択した理由Q,z市の障害児保育の障害分 類では自閉 性障害は精神遅滞とともに人数が多く,相談 ニーズの高い障害である。担当のA相談員(筆者)は,
相談時,Q市で相談員を12年,Z市で16年経験し,両 市の巡回相談の実施方法を熟知していた。これらが巡回 相談の標準的な状況を分析する事例として適当であると 考える理由である。
事例の概要と分析方法事例の対象児Pは4歳児クラ スで保育園に入園し,卒園するまで4回巡回相談した。
そのうち最初の2回の巡回相談の経過を分析する。4回 分の巡回相談依頼書,相談時の保育者からの聞き取り,
保育と子どもの行動の観察記録,発達検査の評価を資料 として用いた。さらに5歳児クラスの1月に,園長と担 任,担当保育者に2年間の保育についてインタビューを 行った。以上の資料から保育支援の経過を整理した。
相談までの経過Pは療育センターから「障害は軽い」
と報告を受け入園した。園では特別な保育体制をとる必 要はないと判断した。しかし入園直後から激しい多動 で,一人担任では保育できないと判断し,中堅保育者 (Y)を担当とする二人担任体制にした。同時に巡回相談 を依頼した。保育者は,「障害が軽い」という診断に疑 問をもち悩んだ。そのときの相談事項は「対応を考える ために,発達の遅れについて知りたい」,「クラス集団と してどう保育をすればよいか知りたい」などであり,現 状の保育体制と保育方法について不安を感じていた。
第1回巡回相談(××年5月):子どもと保育の状態 のアセスメント依頼書から障害は軽くなく自閉性障害 の疑いがあると推測した。観察から,注意の転導と衝動 的な傾向が強く,興味の偏りが強いこと,頻繁に空想の
世界に入る傾向があると評価した。K式検査で,視覚的
手がかりがあれば行動が落ち着くが言語的な手がかりだけの状況では多動になること,他者からの言葉かけに関 心 が 乏 し く 気 持 ち の 共 有 が 困 難 な こ と , コ ミ ュ ニ ケ ー ションの発達は1歳代半ば前後と評価した。観察から,
YはPの側に常時寄り添い,それによってPが安心を感 じ,Yの簡単な指示に応じること,また,生活の流れを 理 解 し て い る と 評 価 し た 。 こ れ ら か ら , P の 状 態 を , 言 語・社会性の発達の遅れが顕著な発達遅滞であると同時 に,自閉性障害の可能性が高いとアセスメントした。ま た,入園後2ヶ月で自閉性障害児の受け入れ初期として 適切な保育が行われているとアセスメントした。
保 育 者 へ の 助 言 自 閉 性 障 害 児 の 発 達 と 保 育 に 関 す る 一般的な知見と関連づけてPの状態を説明した。これま での保育で,PはYと関係が形成され,園の環境に慣れ 始め,適切に保育されているという判断を伝えた。さら に,今後の見通しとして,多動と集団活動に参加困難な どの特徴は徐々に改善されるが永続すること,また,集 団的な活動への参加にはいくつかの過程と長時間が必要 であると伝えた。これらをふまえ,1歳代を目安にして コミュニケーションの発達を促すことが課題であるとい う意見を述べた。
その後の保育緊急にYをP担当とする二人担任にし た判断の適否について巡回相談の助言が参考にされ,保 育体制は継続された。またYがPの後を追うように濃密 に寄り沿う保育が適切か迷っていたが,将来的な見通し を得て納得して保育することが可能になった。
第2回巡回相談(××年11月):Pが順調に発達して いることを実感してYの不安感は解消されていた。2回 目は,Pと他の子どもとのかかわりをいかに作るかとい う次の段階の保育を展開することが目標になっていた。
相談事項は以下の3点であった。①これまでの保育が適 切だったか,Pの発達を評価してほしい。②Pがクラス にいる時間が長くなり,他の子どもとのかかわりが生ま れたので,集団活動への参加にむけた助言がほしい。③ Pが園生活を順調にすごすことができるために家庭との 協力関係をつくりたい。
子どもと保育の状態のアセスメントK式検査から 言語・社会性領域で2歳代前半の課題ができるようにな り,指示や援助を受け入れて行動を修正することができ るようになったなど顕著な発達がみられたと評価した。
観察から,クラスや保育者が基点となり,自分から基点 に戻りクラス活動に関心を示すようになったと評価し た。また園生活において基本的安心感が形成され,それ を土台にしてコミュニケーションや社会性において顕著 に発達すると同時に友達への関心とかかわりが生まれて おり,これらは保育の成果であるとアセスメントした。
一方,聞き取りから,家庭で深夜まで長時間テレビゲー ムをすること,保護者はPの状態をことばの発達が遅れ ているという理解をしているなどが明らかになり,Pの